東洋町再生の方策は?
 
西村 今月のゲストは、沢山保太郎東洋町長です。友人で市民オンブズマン高知代表の窪則光さんもお話に加わっていただきます。4月22日の東洋町長選挙で有効投票者の70%を超える支持を受けられ当選されました。国の強引な文献調査の推進に対して東洋町民の民意を示したとして全国から賞賛されています。
 今回のテーマは「東洋町再生の方策は?」ということでお話をしていただきます。

 日本経済新聞の記事で見ました。町内経済は厳しく。この10年で町内総生産額は28%低下(1994−2004)、完全失業率も14・9%を超えています。失業対策の具体的な処方はすぐはないとは思います。
 町内総生産を上げる為の方策はいくつかあるとは思いますが、おかまいない範囲でご紹介ください。

 
沢山 東洋町の人は町内、町外をとわず町のためになる人をおおらかに受け入れるところがありますね。排他的でない。そこがとてもよい所ですし、東洋町の長所ですね。

 やはり地場産品を販売する拠点は現在は分散した形でばらばらに町内にあります。それをひとつに集約できないか。「道の駅」のような形でできないだろうか。売り上げを見込めないだろうか。


 そうした一次産品を販売する拠点をつくっていこうと思っています。これはすでに(構想段階ではなく)実行段階にはいっています。許認可が与えられましたら、早ければ来春にスタートしたいと思っています。
 そのことによっていろんな生産活動が、活発にしていこう。いうことが当面の仕事ですね。

 
  第2番目には町内には荒れた農地が多い。おそらく税金を納めている農地の7割はあるのではないかと。耕作しているのは少ないと思います。
 なかには山林化している農地もあるでしょう。広範囲に荒地が残されています。


 例えば今直ぐできることといえば、「菜の花プロジェクト」があります。荒地を菜の花で埋めようではないか。そのことによって養蜂家を集め蜂蜜を採りたい。いろいろとやりたい人がアイデア提供していただいたりしています。
 この土地に菜の花を植えたらたっぷりと蜂蜜が採れるでしょうと。また菜の花の種を搾取することで食用油が採れます。それで燃料になります。石鹸も出来るでしょうし。

 
 そういうふうのプロジェクトに多少の補助金を出します。例えば駐車場の収益金などは毎年1000万円はありますから、それを廻せば、すぐにでも展開できると思います。

 それから大阪方面との交流も強めていかないとと思います、高知県で1番関西に東洋町は近いからです。明治以来東洋町の人間の多くが、京阪神へ出て行っています。
 特に大阪府守口市あたりは多いと思います。東洋町は現在人口は3000人足らずですが、東洋町から出て行った人は10倍はいるでしょう。そういうこともふくめて関西との交流を深めて生きたいと考えています。

 人的な交流を深めたいです。お年よりはどうぞ東洋町へ来てください。

生見海岸 サーフィンのメッカです
甲浦(かんのうら)地区
 
 東洋町は将来は守口市との合併か?
 
沢山 そんな話はしていないけれど。相手がよければいいのですね。都市と結びついて東洋町の産物、一次産品を販売していこうと。
 今は米が200〜300キロほど出荷されています。それは200〜300トンでなければいけないと思います。

 ここの米はひじょうに美味しいとか。数百トンぐらいは都市部の生協や職員組合などを通じて販売したい。経済的な交流を強める必要性がありますね。

 
 農業でも休耕地にすれば補助金が出るんでしょう。食用でなくて家畜とが食べる米は制限がないそうです。だから視点を変えて、休耕している農地を活用することも大事だと思いますね。
 

西村 さきほどの沢山町長のお話では、東洋町出身の人で子孫も含めますと大阪近辺に数万人おられるとか。今まではそのあたり全く交流がなかったのでしょうか?
 じつにもったいないうような気がしますね。
 
沢山 ある程度はあったでよう。形式的なものだったようです。6月の始めに大阪方面に行きます。
 
 守口市とは友好都市になっているの?
 
沢山 友好都市ですね。守口市とは限りません。大阪方面の都市とは今後のことも含めてつながりを持ちたいと思っています。

 収録の合間の沢山保太郎さんと窪則光さん。次々と[前向き」で「希望に満ちた東洋町づくり」のアイデアがどんどん出てきました。

 日本経済新聞(四国版)5月10日号では、沢山町長の取材記事が。[一次産品を販売する交流施設を早ければ来春に白浜ビーチに開設したい。」[関西との交流をより深めたい。」との記事の内容でした。

西村 確かにそうですね。沖縄県も世界各地に移民で行っています。南米やハワイなどですね。年に1度だか「世界ウチナンチュー大会」を宜野湾のコンベンションセンターでしていましたし。世界各国から移民の人達その子孫が沖縄へ来ます。交流は盛んで物も動いていますし。
 東洋町にゆかりのある人に「名誉町民」になっていただいて、東洋町の産物を定期購入していただくいとか。
 
沢山 それはそうであると思う。
 とにかく今回の核廃棄物の騒動でも、東洋町から京阪神へ出られた元町民の人たちからものすごく心配されていました。どっさり電子メールや手紙も来ました。

 連休の時には、家々を回りますと、普段人がいない家々にたくさん人がいました。普段は空き家です。「核がこんかってよかった」と皆言ってくれましたね。
 そういう人たちは経済的には恵まれています。

 

 ふるさとに対する思いいれも強いと思いますね。大事にして交流を深めたらなんかできるのではないでしょうかね。
 
沢山 歳がいったらこちらは綺麗な自然があるので、施設を向うからお金を出していただいてどんどんこしらえてください。土地や環境は保障します。
いうふうなことを関西在住の東洋町出身者や子孫の人たちに働きかけて行きたいと思っています。
海も砂浜も素晴らしい白浜海岸
 
西村 そうなりますと一種の企業誘致ですね。施設(高齢者対象の)を誘致するわけですから。当然ケア(世話)するスタッフが必要ですので雇用も町内には生まれますね。
 それは十分潜在力はあるようですね。東洋町は。
 
 だから子供達に小学生の時からこういう自然が豊かなところで育っていれば、都会へ出て行きましても将来は東洋町へ戻って暮らしたい。と思うでしょう。
 ホームスティの大型版のようなことを考えられたらどうでしょうか。
 
西村 それは民泊制度とか。エコツーリズムとか。夏のセミナーとか。町内の受け入れ体制がしっかりしていれば良いと思います。
 ホテルとか新しい施設はいりません。(あればあったで良いでしょうが)
 今ある民家を活用して、おもてなしをするだけでも違うのではないかと思います。それも住民グループの方々の頑張りが必要であると思います。
 
 もうひとつお聞きしたいことがあります。 東洋町の貴重な人材である東洋町役場の職員の皆様のより一層の奮闘が必要です。職員の皆様の「前向きな意識改革」が必要であると思います。
 具体的なプランがありましたらおかまいない範囲でご披露ください。
東洋町役場 東洋町役場前のコイン式駐車場。サーファーが利用しています。
 
沢山 その点は役場は先導する力がないといけないと思う。町を支えると言うことでは拠点にならないといけないです。
 とにかく事件がらみのしがらみがあり役場が機能を果たしていない状況があります。
 町民のためになることも一部の利権に渡してしまうとか。東洋町が安い利用料でしていたことを町外のやらして高い利用料を支払ってきたとか。
 それに対して東洋町は莫大なお金を支払ってきた。福祉の面でも東洋町はお金は4億円、5億円と出しているのですが、それが町内で消化されない。そういう手立てを逆の方向に役場は従来してきました。

 そういう点では東洋町役場は180度転換しないと駄目ですね。役場の機能もです
 
西村 「反核町長沢山保太郎の町長日誌」というブログをこしらえて、沢山町長の考え方を全国に、また英語版で世界に発信していただこうと思っていました。

 開設されましたのは「ヤスタロウの東洋町長日誌」というブログです。

 しかし東洋町内はブロードバンド環境も整備されていません。町内の情報を町内の人達が気軽に全国に情報発信できる環境になってはいません。今直ぐには無理でありましてもコストをかけずに情報発信できる方法はないものでしょうか?

 東洋町役場は光回線が来ています。甲浦と白浜地区はADSL.野根地区はISDN回線が現状です。役場を「ネットカフェ」のうようにしてパソコンを持ち込めば光回線のインターネットが出来るようにはできないものでしょうか?

 

 2007年の5月24日に開設された「ヤスタロウの東洋町長日誌」。関係者の注目を集め、はやくも注目ブログになっています。

 多様なところに目配りする沢山保太郎さんの真骨頂。東洋町のまちづくりに関心のある人には必見のブログです。

沢山 専門的に詳しいことは知らないですが、そういう点では逆に先進的な地域にする必要はあると思うね。
 若い人でも年配者でも東洋町で仕事が出来る。そういう通信関係がお粗末ですと駄目ですね。
 役場のホームページを見ましても貧弱だよね。今現に行われていることも掲載できなくて、掲載が遅い。何年か前の記事が掲載されていたり。
 
窪 有線放送のインターネット版のようにどこの家庭でもつながる。重要なことは昔ながらの有線放送で放送する。そうすると住民と役場がより直結しますね。
 例えば高知市から東洋町へ来るにも車で2時間半はかかります。インターネットによって常に同時に情報を共有すること。そのことはとても大事です。
 距離感を短くしませんと。
 
西村  都市部からは離れていましてもインターネットで地域の情報を速報することはとても大事です。ブロードバンドが整備されますとコールセンターや企業の誘致も可能になります。(沖縄では集中的にやっていました。60社程度は沖縄へ進出しています。)
 
 ぜひそれはやっていただきたい。また沢山町長は英語が得意だから東洋町のことを海外まで発信してもらいたいですし。
 

沢山 通信網の整備も東洋町には「戦略的な課題」ですね。
 
西村 民間ベースでいきますとなかなか東洋町は現状では情報化が難しいです。
 野根地区は現在ISDN回線です。これをブロードバンド化するためには、野根地区には固定電話顧客が現在800あるそうですが、その1割の80台がプロバイダー契約をしないといけません。ADSLの場合の事例です。とてつもな数字です。

 役場が企業を誘致する方針をだされ、県とか国とかいろんな形の繋がりがあれば決して不可能な話ではありません。

 
沢山 そういうことも積極的にやらないといけねいと思いますね。そのあたりは関係者の人たちにいろいろと教えていただかないと。
 
沢山保太郎東洋町長のブログ「ヤスタロウの東洋町長日誌」 http://sawayama.cocolog-nifty.com/blog/