森に関心を持とう
 
 今週のゲストは安芸林業事務所林業指導員である福留将史さんです。福留さんはデジ森でもふくちゃんのペンネームで森林での活動を報告されています。
 今日のテーマは「森林に関心を持とう」でお話をお聞きします。
福留さんは「現代人はあまりに森に無関心。少しでも森に関心を持っていただきたいと思いさまざまな活動をしています。」と言われています。どのような活動をされておられるのでしょうか?お構いない範囲でご紹介ください。

 私は幼稚園から高等学校まで、木に関する「森林環境教育」をしています。学校にほうに入っています。言葉にすると難しいですが、木に関するさまざまなプログラムがあります。
 「森の働き」という座学で授業をしたりします。


 相手側の状況に応じて実施するので、ほとんど同じプログラムは、実施したことがありません。メディアでは、工作が取り上げられますが、それは最終であって、それまでに木の生態に関すること、森林の公益的機能などの話があります。以前は「木の一日先生」と呼ばれていました。

福留将史さん
 工作なども積極的にされているのでしょうか?

 趣味で木工などをしていますので。
 デジ森のホームページなどを見ますと木で工作をされておられますね。机などもこしらえたのでしょうか?
 木のベンチですね。

香美郡野市町(香南市)での野市小学校での木のベンチづくりを福留さんは指導されました。


 確かに昔(わたしなどの子ども時代)は、燃料に炭を使用し、お風呂も薪で五右衛門風呂などを沸かしていました。木材を引っ張る馬車を見ましたし、和紙の製造も盛んでした。経済活動で森林はとても身近な存在でした。小学校時代の社会科で高知県は木炭の生産高が日本1であると習いました。
 今は燃料は石油とガス。住宅は外国の材木。紙も洋紙。外国からの原木で製紙しています。山は遠い存在になったからではないでしょうか。山に関心が薄れてしまってのは・・・。
 そうですね。全国的なことですが、化石燃料を使うようになって、現在のようになりました。それはいけないことではないかということに最近は世界中で言われています。しかし、日本は自然エネルギーを使うことについては、太陽光発電などの技術は、世界のトップクラスです。欧米などの負けないように森林バイオマスの利用(木を使って発電をすること)も県内で進みつつあります。
小学校などの椅子や机が木材主体ではなく、合板と金属になったのも原因ではないでしょうか?校舎も木造から鉄筋コンクリートになりましたし。
 安いものを大量にという技術で、海外から合板を大量に輸入しました。現在もやっています。結果として、海外の森林は乱伐して、砂漠化が進んでいます。日本の森林は、利用されないために荒廃し一見すると、緑豊かですが、一歩山に踏み入れると、上土(うわつち)は流され、手入れが行き届かない為に木はまるで「カイワレ大根」のようになっています。大変なことになっています。
 福留さんは木材加工品のアイデアを出されたりして、需要が増やされているようですね。具体的にはどのような製品が生まれたのでしょうか?
 使う木は、「間伐材」です。間伐された木を使います。製材された木を使いますが、それ以外に、小枝でできるもの約50種類を超えています。
製品として一番有名なのは、旭東小学校で、試作し商品となった「木の筆箱」があります。この筆箱は、総合学習のなかで児童から自然とでてきたアイデアです。土佐山村の木工会社が生産し、ふくちゃんをシルク印刷して、高知市内で販売されています。また、旭東小学校でも販売されています。具体的には、スプーンやフォーク、バターナイフ、ペーパーナイフなどから、鉛筆、ハンガーなど小枝でできるものにこだわっています。
 同じ種類の木でも色が違います。仕上げはドイツのコスモカラーであったり、オイルフィニッシュですね。どの品物も金属製とは異なり手触りが良いです。
木は主に間伐された木の小枝。ふくちゃんの筆箱も子供達のアイデアだそうです。収録時に持参いただきました。

 間伐材を活用した木工キッドの作り方も小学校で福留さんは指導されたようにも聞きました。子供達の反応はいかがでしたのしょうか?
  以前に森林総合センターの情報交流館に勤めていたので、そのとき木工キットを使っていました。年間一万三千人以上の子供達が、木工などをしていました。売上も月20万円以上あったと思います。手先を使った作業は、子供達は大好きです。親子行事も多かったので、子供よりも親がむきになってはまってやっている印象もうけました。。。。
補足。。。子供からナイフを取り上げて久しいですが、自分が指を切ったことのあるある子供は、人を刺すことができないと思います。木工は午前中集中力のあるときに実施しました。午後は里山でやる「秘密基地」づくりでした。これも好評でした。
 今の子供達は、小刀で鉛筆を削ることもしないようですし、上手く使えるのでしょうか?

 わたしの授業ではあまりナイフを使うことはないですけれども
 学校の工作や教材に使用されているようですが、県内の小学校での採用状況はいかがなのでしょうか?
いろいろ学校へ行きますが、学校によって温度差がずいぶんあると感じています。環境教育を実践する学校は、県内では少ないようです。
環境教育をする学校は、1年生から6年生まで実施する学校もあれば、学P行事(学年PTA)のように単発的な物もあります。ただ、環境教育は、一発勝負なのでおもしろければ、次やってになりますが、そうでなければもういいです。の世界です。先生が不在なのが大きな問題となっています。
授業をされている福留さん
木工の実習もされます・
 高知市のはりまや橋商店街は木造のアーケードで有名です。山間部との交流に力を入れられています。交流事業はいろいろ考えられるのではないでしょうか?
 はりまや橋商店街は、先進的な取組みをしていると思います。今後も継続して実施してもらいたいと思います。県内に材料はあるし、アイデアや技術はあると思います。あとは、それをつなぐ接着剤となる人材が必要です。
はりまや橋商店街の木造アーケード
林業関係者が露店市の各店の看板を制作しました。
地元新聞も福留さんが関わられた旭東小学校の取り組みを紹介しています。
*学校での活動の写真は福留将史さんに提供いただきました。