森林環境税は活用されていますか?
 
 今週のゲストは安芸林業事務所林業指導員である福留将史さんです。福留さんはデジ森でもふくちゃんのペンネームで森林での活動を報告されています。
 今日のテーマは「森林環境税は活用されていますか?」でお話を伺います。
 「県民皆がサポーター」として平成15年から5年間、高知県民は森林環境税を支払っています。(働く県民1人から500円。企業からも1社500円を徴税)。増税にもかかわらず反対意見も殆ど出なくて採択されました。県民の山に対する関心が高まった証拠であると思いますが、どのように思われますか?
 山を持っている人も、そうでない人も森林の公益的な機能についてはうすうすわかっています。空気を綺麗にする機能とか、災害を防ぐ機能とか。だから「税金は払いたくないが、500円くらいならまあいいか。それで荒廃森林がなくなれば御の字だ。」と思う人が多いのではと思います。 福留将史さん
11月11日は「山の日」と言うことになりました。どのような行事や啓発事業が行われているのでしょうか?あまり知らないのですが・・・

 高知県下では様々な山の日のイベントが実施されています。山に入りやすいのは秋ですね。ただ、内容が似通った山の手入れなどの間伐や植栽といった行事が多いのです。参加人数も増えています。行事をお知らせするネットワークが必要ではないでしょうか。たくさん活動はしていますが、まだその活動が県民全体が知るところまではいってはいません。

 メディアも同じような内容では取り上げてくれません。いの町を中心として活動しているをやっているグループがあります。「土佐の森救援隊」や「焼畑による山起こしの会」「194元気塾」「わしのさと元気村」などがそうです。内容は、森林環境保全・焼畑・山の活用・里山の再生、など林業にこだわらず農業もやっています。こんなものもできるといろんな角度から実践しているようです。参加している人はすぐに産業にならんきグリーンツールズム(都市との交流・地元。体験を中心)をやっている。といいます。
こうち山の日は11月11日。各地で行事が行われました。
都市部の人たちの関心を高める作戦はありますか?おかまいない範囲でご披露下さい。
グリーンツーリズムでは、ものめずらしさの要素を取り入れ、遊びや、棚田コンサートなどがあり、動物をいれるといったこともどうでしょう。
森林は身近にあるようですが、持ち主には所有権があって誰でも手軽に入れるといった森林は少ないです。例えば、甫喜ケ峰森林公園(高知市より50分)のようなところで、野外活動はやっています。がこのような場所は少ないのです。参加者に、役に立つレベルの高い技術などを普及する必要があると思います
 このような場所がたくさん出来ますと都市部の人たちが森林に関心を持つと思います。
棚田での田植えの風景
焼畑の様子
 
 県民参加の森づくり推進費と森林環境緊急保全費というのが森林環境税の使用用途であると思います。5年間限度の県税ですが、期待される効果は出始めているのでしょうか?
 森林環境緊急保全事業などの実施は、今年で3年目となりました。ハードの間伐は、今年県下で550haの実施予定となっています。600近くはいくのではないでしょうか。間伐は、ダムの上流や水源地の上流などで実施されています。2年前に間伐された林を見ました。下草、潅木が生え効果はでていると思います。
 間伐の効果は出てきているのでしょうか?
 具体例ではこの間北川村の平鍋ダム上流で2年前に実施しました。そうしますと潅木とか下草が生えまして効果はで出ています。荒廃森林が解消されています。有効に活用されれていると思います。
 他県でも追随するような動きもあるように聞きました。どのような県なのでしょうか?
15年4月度に高知県が導入し、翌年16年4月に岡山県、17年度に愛媛県、島根、鳥取、山口、鹿児島、熊本県の6県が導入しています。その他の県では、現在検討中となっています。高知県ではじまった森林環境税が全国に広まっているようになりました。
間伐作業の様子。技術と熟練のいる作業です。
 勤労者1人が年間500円(企業も1社500円)徴税されています。
 森林環境税の予算規模がだいたいいくらで、現実にはどのように使用されているのでしょうか?福留さんところに部署でも活用されているのでしょうか?

予算は、年間1億4千万くらいとなっています。
 今年、安芸林業事務所の方では、強度間伐を260ha実施する予定です。
 強度間伐と言われましてもよくわからないのですが、普通の間伐とは違いますでしょうか?枝を切り落とすとか、密集して生えている木を間引く為に伐採することなのでしょうか?
 子供達に教えるときには「山の手入れ」「山の掃除」と言います。だいたい10本木が生えていますと混んだ状態ですので、うち3本は伐採します。
 ところがこの森林環境税で間伐を実施する森林は、半分の5本を伐採します。40%から50%を伐採します。
 10メートル角に20本ぐらい生えていますが、それを半分にしてもまだまだ混んでいる状態なのですね。天然林に生えている檜などでは10メートル角に4本ぐらい生えています。これが良い森林だと言われています。

 それに近づけるのが強度間伐なのですね。
 そうです。

森林環境税関連サイト 
http://www.pref.kochi.jp/~seisaku/kinobun2/hp_1/sinrinkankyouzei.htm

グリーツーリズム関連サイト
http://www.furusato.or.jp/
*間伐作業の多数の写真は松本誓さんと、中嶋健造さんのblogから掲載させていただきました。