環境問題について
 今週のゲストは、医療法人共生会理事、下司病院事務管理部長下司孝之さんです。
今日のテーマは「環境問題について」お話しを伺います。
 下司さんは環境問題にも関心が深く、「浦戸湾の浚渫土砂埋め立て問題」に関しても行動されていました。環境問題は裾野が広く、時に感情的になったりして難しい問題のように思われるのですが・・・・。
浦戸湾の「国分川浚渫土砂湾内廃棄」問題について伺います。この問題はどこにありますか?また県は計画を中止したそうですが、その合理的な理由はなにですか?
 県から直接土砂廃棄中止説明を聞いたわけではありません。推測での発言になります。
 港湾局というのは県知事部局の中でも環境問題への対応が遅れていると思いました。
県庁内でも、もまれてきた河川局ともどうも違います。もともとこの部局は住民運動では県下最大の漁民騒動等に対応する部局ですから丁寧に仕事を片付けねばならないのに、仕事は粗雑。漁民さえ押さえれば陸の住民は楽なもので、後「防災」だけの問題だと考えていたかもしれませんね。環境問題だという認識が薄かったのですね。

環境省が今では「おっと」と思う積極的な提案をして来ます。自分達より勉強しているなという提案もしてきます。河川では近自然工法等の取り入れがなされています。


 県港湾局は昔ながらに土砂の捨て場(国分川の土砂を災害対策で浚渫したもの)を近くに求めるところから考え、住民対策を後から考えるからどうしても無理が生じ、利権や親方政治に近寄ってしまうのではないかと考えます。
 砂を撒く事業はどこでもやられているし、国の事業でも有りますから、法律の改正がないと同じ主旨の事業は行なわれると思います。県はこのたび中止したのではなくて中断です。反対が強ければ様子をみるということでしょう。


 もっとも知事に陳情した「土佐生物学会」「浦戸湾を守る会」の方にはなんの連絡も有りませんでしたから、仕事も気分次第なんでしょうかね。相手の立場を硬化させるこんなにいいかげんな仕事をしていて到底再開するといってきても受け入れるものでは有りません。
町内会にもファックス一枚送ってきただけというものですから、信じられない粗末な扱いです。

「浦戸湾を守る会」が存在しているように伺いました。1970年代に「生コン事件」で高知の環境問題に警鐘を鳴らしたあの浦戸湾を守る会との関係はどうなっているのでしょうか?
浦戸湾は魚介類の宝庫のようです
浦戸湾を守る会のパンフより

「浦戸湾を守る会」はパルプ廃液を止める象徴的な事件となった生コン事件以後も活動をしていました。発足は1960年と公害がまきあがる高度経済成長の始まりになります。高知でも浦戸湾東半分の埋め立てが61年から強行されます。


 1971年生コン事件以後は、桟橋の競馬場跡地の池を生かした公園化、高知新港外洋港の新設阻止運動、丸山台への架橋設置反対運動、その間、浦戸湾への魚の放流を何度か試みています。平成13年11月23日には「江ノ口川浄化祈念碑」を城西公園の西側に協力して作っておりますからご覧になることが出来ます。
当時の山崎会長さん、坂本事務局長さんはともに亡くなられていますが、この1月の反対集会では先輩達や息子さんが沢山来られて同窓会の雰囲気もありました。


 もうひとつ、集まりでは皆さんの浦戸湾への思いは失われていないことがよく分りました。会は今迄40年間につちかった豊かな人脈がありますし、カンパも多少は集まりますから会は存続をしていくことができると思います。誰かに話しをつければ工事がスルスルとうまく行くような会では有りませんから、昔ながらの安定したスタイルに信頼感が有ると思いますよ。

環境問題を検討するに際して、下司さんは「行政とNPOの関係のありかたが問題」と指摘されています。それはどういうところにあるのでしょうか?
 県なども「これからNPOが切り札だ」とか「住民力」という言葉を使用していますが?

 NPOと言うのは「心優しい」人達がボランティアで活動しているもの。そういう印象を持たれています。この「砂を撒く」事件からNPOのあり方を考えるようになりました。
 この不景気に商売の契機を求めて様々な方々がNPOに関心を示します。詐欺師の立ち上げたのを「さーPO」、暴力団のを「やーPO」、ゼネコンは「ゼネコンNPO」等と巷では申している程です。管轄の法務省も遅ればせながらこの1月に悪質なNPOの取り消し等を発表しているくらいで、主旨とかけ離れたNPOが多く出来ています。
それを峻別する規準があるわけではなく、投機主義的な一発屋の参入があとを断たないのが現状だと思います。特に知事がNPOを評価し、県庁の仕事の3割から5割を委託する方針を出すに至って、なんの実績もないNPOが参入を計ってきているようですが、県民へのサービス低下につながらないか危惧しています。


 特に今回の浦戸湾に砂を捨てる計画(シーブルー計画)は大型のNPOが提案して、多額の県費を使うことであり、NPOの下部組織として県が認識するところの某任意団体を業者が主導している様子ですので、如何なものかという議論が巻き起こったわけです。
業者がNPOを組織してはいけないという法律は有りませんが、利益を得るためにこそ質のいい仕事が有るはずで、ボランテイアにできる仕事は限られています。
 目の前での出来事で疑問に思ったのは住民への説明会で県と同じ側の机に座っているというNPOの無神経、県が強力な反対にあうやNPOが住民との調整役としての機能を放棄してしまったということ。情報公開がNPOの設立要件でありながら問題が起こるとネットの書き込み欄ばかりか、NPO本体のホーム頁迄閉鎖してしまったということは業者としてはうなずけるとしてもNPOでは無責任、住民運動ならしない感覚です。
 結局は利益を追い求める為のダミーとしてのNPOであったといわれても仕方がないではないですか。顔見知りの沢山の方がこのNPOに名を列ねていますが、会員さんへの説明義務も果たされているのでしょうか。
工事のためだけの、環境改善運動やカンパニアは今迄、普通に行なわれてきました。
自然保護運動を名乗りながら破壊への役割を担い、県から金を引き出すというケースはこれからもあるでしょうね。


 私どもの「浦戸湾を守る会」はまずNPOにはなりませんから、申し添えておきます。法務省からお墨付きをお願いする立場でも、毒饅頭にもなる補助金を貰う立場でもなく、対等に行政にもの申す為の矜持として、古いタイプの住民運動でいいと思います。智恵あるものは智恵を、金のあるものは金を、動けるものは動くという普通のあり方でいいと思います。

 浦戸湾を守る会は、任意団体であるけれども、市民のカンパによって支えられている団体だということなのでしょうか?
 そうですね。そのほうが良いですね。NPOのように、会員名簿を提出して、事業計画や定款を整備して、行政からの補助金にありついたり、事業にありついたりする会ではありません。そういうことですからNPOになる必要はありません。旧来の浦戸湾を守る会のスタイルで十分だと思います。
 環境問題に関しては、ナショナルトラスト運動などがあります。日本での成功事例があるのでしょうか?
 私は企業開発の同伴者としてのナショナルトラストに落ちぶれている、無自覚にもそうでないと言い張っても、結局はそのような鞘におさまってしまう危険性をこの運動に感じます。欧米との文化の違いでしょうか。高知県でも森林トラスト運動などはありますが、トータルで考えていかないと、生態系をその枠の中では守りきれるのか
さえ覚束ないものが有ります。問題は一絶滅危惧種の問題ではないのです。
企業乱開発にまったをかける形でトラストは存在し、かつ機能をしているのか、トラスト運動をすすめる個人の利益になってはいないか、検証が出来ているというのでなくては私は乗れませんね。
 村落を残す営為の方が環境問題にとってはベターだと思いますから、飯を食える構造を小規模村落に如何に残せるかが問題です。これらの森林や田畑に人間の手が入れば山は荒れずに、巨大開発を招き寄せることもなく過ごせると思います。
 高知県が「森林環境税」を新設しました。反対もなく施行されますが、これについて活用法も含めご意見はありますか?
 高知県森林環境保全基金条例は生態系の多様性の確保等を目的の一つにしています。
問題は作文ではないということに持っていかねばならないと思うのです。
森林税が森林から海岸への水の流れの最後の部分に有る浦戸湾「覆砂」推進の為に使われるのではたまったものでは有りませんし、補助金に工事費はあっても調査費はないという現状は悲しささえ感じます。森林は山ばかりではなく海にも有ることを特に指摘しておきたいと思います。水質をいいながら覆砂で自然を壊すのは困ります。海
草に浄化の役割を求めるべきだと思うのです。
医療廃棄物問題について。産業廃棄物とともに医療廃棄物も大きな問題です。医療メーカーや業界としての取り組みは進展しているのでしょうか?
現在下司病院にもレントゲン廃液や粗大ゴミなど5部門の廃棄物業者が入っており、処理費もバカになりません。中でもおむつや血液が付着していたりする医療廃棄物はもっとも悩みのゴミです。病院では通常、鍵のかかる場所に保管をし、使用済みの注射器が持出されないようになっています。
この処理にはマニフェストと呼ばれる医療廃棄物管理票を8枚作って7枚を業者にわたし、中間処理業者に次々に渡っていって最終業者からまた順番に戻ってきます。こうして山中に不法投棄するとかの扱いはなくなっています。将来はもう少し情報公開がなされるように電算化も進んでいくものと思います。
浦戸湾を守る会のホームページhttp://www.syoku-my.com/zakki/uradowanmamoru/pro.html

浦戸湾の覆砂・埋め立てに反対する講演会

http://www.kochi-u.ac.jp/w3museum/UradoBay.html

http://www.kochi-u.ac.jp/w3museum/Fish_Labo/Whats_new/2004/2004UradoSimpo.html

高知NPO http://www6.ocn.ne.jp/~knpo/knpo/(長期の「工事中」のようです。

http://www.rkc-kochi.co.jp/daijiro/0006/000611.html(大二郎ワールドのゲスト)

 
知事の職員への戒告文書「つけこまれる隙の源」
http://www.pref.kochi.jp/~hisho/chiji/omoi-no68.html
赤とんぼ2004 NO2
                  浦戸湾を守る会事務局 田中正晴
                           電話880−0701
                    メール kouseren@bronze.ocn.ne.jp


アースディへの出展は思っても見ないほどの盛況

4月25日好天に恵まれた日曜日、丸の内緑地でアースディピクニックが開催されまし
た。浦戸湾を守る会も参加し、高知大学の町田先生よりお借りした、75枚の浦戸湾横
浜地区で撮られた海洋生物の写真を展示しました。会場を訪れた人や通りがかりの人
たちに見ていただきたく、暑かったのですが、人通りの一番多い場所に陣取って写真
を並べました。声を掛けると、多くの人々が立ち止まって見てくれました。見ていた
だいた人たちは関心を示してくれ、浦戸湾にこんなに生物がおりますかと一様にびっ
くりされていました。かつての浦戸湾を知っている高齢の方は、写真を見て懐かしが
り、生コン事件のことや、写真の生物を捕まえた話をしてくれました。若い方は浦戸
湾の生物の多様さに驚かれておりました。そして熱心に写真を見てくれていましたし、
説明もしっかりと聞いてくれました。説明する私も最後には声が枯れておりました。
それにしても浦戸湾に対する市民の思いは桁外れに強かったです。ただ私が海洋生物
のことをあまり理解しておらず、詳しい話が出来なかったことが残念です。また関心
を示していただいた多くの方たちへの対応が仕切れておりませんでしたことを反省し
ております。

灘で海洋生物観察会

日時 5月9日(日曜日) 午後1時00分より
集合場所 横浜漁港埠頭
集合時間 午後1時
講師 高知大学 理学部海洋生物学教室 町田教授
参加費 無料
少雨 決行
*長靴、軍手着用のこと、ウインドブレーカー、着替えなどもあればベストです。*

埋め立て予定地での観察会です。高知県が埋め殺そうとした生物たちを観察します。
奮ってご参加ください。

次回の企画です

(仮称)みんなで浦戸湾を語ろう会。
参加者が持ち寄った浦戸湾に関するこだわりの1品で、浦戸湾への思いや愛着につい
て、語り会う会を企画します。みんなで浦戸湾そのすばらしさを共有しましょう。奮っ
てご参加下さい。
日時、会場等は後日連絡します。

ただいま会員募集中