平成南学精神での活動展開について
 今週のゲストは参議院議員の平野貞夫さんです。今日のテーマは[平成南学精神での活動展開について」でお話を伺います。
 現在の高知県が土佐藩と言われていた江戸時代には[土佐南学]と言われた教えがありました。論語を中心にする考え方で、土佐藩の施政や産業振興の理論となり、幕末の明治維新の原動力にもなりました。平野さんは[平成南学」を提唱されています。
 土佐南学では「多目多聴」「相互扶助」「奉仕勤倹」を教訓としていました。
平野さんはそれを「デモクラッシー」「社会保障」「ボランティア」の思想であると言われ、現代社会に生かすべきだと主張されています。詳しく説明してください。
 私の子供の頃からの思いをメディアに載せていただくのは御礼を申し上げます。
 南学と言う土佐でつくった学問。場所は五大山ですが。ここを大事にしたいですね。坂本龍馬も南学から生まれるのですから。やはり考え方ですからね。論語と仏教ですね。先人達が、鎌倉時代あたりからつくりあげてきたようです。
 江戸時代に野中兼山が殖産振興を行いました。最後は不幸でしたが。この人が土佐藩の運営に対して、「多目多聴」多くに人の目を参考にし、多くのひとの話しを聞くことを提唱していました。これは土佐人が議会をこしらえたわけですね。

 それから「相互扶助」。高知県人の現在の「相互扶助」「精神はどうだか知りませんが。
江戸時代はしっかりしたものがありましたね。ジョン万次郎がボストン郊外のフェアフェブンで大事にされたかと言いますと、土佐南学で教わった子供も頃からの躾が、アメリカの清教徒の躾とが同じであったからですね。
 土佐の片田舎の文化でも人類普遍の文化であったのです。お互いに助け合うことですね。

 一生懸命働いて公に奉仕する。公共的な自分達の社会に奉仕するということですね。これを平成時代に情報化時代の理念として、モデルとして理論化してそういう考え方を公表してゆきたいと思います。

 平野さんの政治理念、政治姿勢のバックボーンであると思います。[世界に開かれ、世界から信頼される国づくりに役立つことを目標に」活動をされてきたと思います。
衆議院事務局で33年。参議院議員で12年。合計45年間の政治に関わる生活をされてこられました。目標の達成度はいかがですか?
 大変厳しい質問なのでね。私が最後の質問を小泉さんにしました。国会議員の辞世の俳句です。

 「梅雨明けや 最後の質問 人の道」

 要するに私が達成したものは、ひとつもありません。しかしこれから若い人達に達成してもらいたいという問題の整理をしたつもりです。若い国会議員が私を慕っていろいろ勉強をしたいと言ってきています。国民の皆さんと一緒にやりたいと思っています。
 ただ「人間論」が足りません。「歴史観が足りない」。私はこういうものも勉強したい。
 私の師匠である前尾繁三郎さん(衆議院議長を歴任)は[政治家である前に、人間であれ。」と言うことを言いました。私は小泉さんに言いました。「あなたは人の道を知らない」と。

土佐藩家老野中兼山が建設した弘岡用水。梅雨時には1万本のあじさいが満開。
平野さんは今度の参議院選挙に立候補せず引退されます。議員は引退されても、「平成南学精神」での活動はされると思われますが、どのような活動を予定されているのでしょうか?差しさわりのない範囲でご披露下さい。
 かつて平野さんは土佐清水市出身で幕末に活躍した「ジョン万次郎」の再評価の
為に奔走されていました。同じく幡多で中村市出身の幸徳秋水も再評価されてしかるべきスケールの大きな思想家と思います。どう思われますか?
 幸徳秋水さんは、大逆事件というでっち上げ事件で、高知県の人達にもマイナスイメージで捉えられています。あれはでっち上げ事件で、関わりがなかったことは、学問的にも証明されています。思想家としても私たちは誇るべきだと思っています。

 特に高知県。わけても幡多郡のほうは、自然の深み、恐ろしさがあるところです。アミニズムのような形でアナーキリズムが残っています。それを僕は「四万十川アナーキズム」「足摺岬アナーキズム」とか呼んでいます。
 例えば吉田茂さんも[人間としてのアナーキズム」があるのですね。それで坂本龍馬もそうですね。権力につきたくない。権力を逃避する。その代表者として幸徳秋水は見直すべき人物の1人であると思います。

 現在も平野さんは大学で政治学の講義をされています。政界引退後は吉田松陰のように「平成南学塾」をこしらえ、次代を担う青年たちを啓発される予定なのでしょうか?
 もうひとつさきほどの幸徳秋水のことで忘れていました。幸徳秋水の先祖は、陰陽学の安倍清明なんですね。そういう観点から分析していくべきですね。
 私は夢が2つあります。小さい土地を持っていますからね。そこへ平成南学塾を建てて若い人と語り合いたいと思います。

 もう一つは殖産振興です。僕はインド栴檀(にーむ)という植物を四万十川流域で2000株育てています。これは農業を革命的に変えていきます。
 ミャンマーから取り寄せて育てています。これは環境・健康・そして臭化メチルの代替になるように育てようと思っています。今のところ協力していただける人は、少ないです。

 今の若い人についてどう思われますか?だんだんと国政も地方選挙も投票率が低下気味になっています。政治に関心が低くなりつつあるようですが、平野さんなりに政治に関心を若者が持つ方策はありますでしょうか?
2004年7月に参議院議員選挙も行われました。政治の改革は今後実現していくのでしょうか?
 一つの方策はよく聞きますが、選挙に以下に人にペナルティ(罰則)をというものです。これはやってはいけないと思います。やはり政治に魅力がなければ、駄目です。
 それと政治家が身近にならなければ駄目ですね。そして若い人は若い人らしい感性を持っていると思います。政治の立場の人が、その感性に共鳴を与えないのが政治に白けの原因であると思います。
 そういう努力をしていけねばならないと思います。
7月番組に戻る