高知県物産公社の可能性は?
 
 今週のゲストは高知県特別職知事秘書の今城逸雄さんです。今日のテーマは「高知県物産公社の可能性は?」といういことでお話を伺います。
 以前出演されました前田正雄さんからも高知県物産公社構想はお話を聞きました。沖縄が先行し、「わしたショップ」という成功事例もあります。高知はどうなのでしょうか?
高知の特産品、自然、歴史、資源や風俗習慣をまとめて販売するのが「物産公社」です。沖縄のわしたショップはどうして成功したと思われますか?

 前田正雄さんのホームページでのコーナーも見せていただきました。前田さんがおっしゃることのなかに、「高知にはいいものが沢山ある。しかし高知の生産者は自分のつくったものが1番」とあります。確かにいいものは沢山あると思います。


 一方1番があれば、2番、3番はどうなっているのだと思ったりします。1番と自分では思わず2番、3番と思ってまだまだだなというほうが「のびしろ」はあるのではないでしょうか。
 そこにいろんな工夫が出て来るのだと思います。ものの販売の仕方の工夫も出てきます。

今城逸雄さん
 わしたショップは確か東京の有楽町駅前にありますね。大きなお店で、私も何度か行きました。あそこはものだけではなく、お店全体が沖縄の文化を発信しています。前を通るだけで「沖縄だ」と感じますね。

 店舗の外の門構え、ディスプレーも特色がありますね。「沖縄大使館」のようなものですね。全部が沖縄文化の発信地になっています。

東京銀座・有楽町のわしたショップの様子 沖縄の全てが展示されています。

 店舗でかかっている音楽。すべてが沖縄ですね。
 沖縄のわしたショップですが、銀座の中心街に近いところで、ブランドショップや百貨店などが近くにあります。家賃も月額800万ぐらいではないかと言われていますが、それが成り立つだけの売り上げがありますからね。
 そうですね。一部広告宣伝費と割り切っているところはあるかもしれませんが、なかなか高知県でそれだけ賃料を払うのは難しいと思いますね。
 高知県のアンテナショップは東京近辺に4店舗あり、民間が経営しています。吉祥寺など住宅地に近い場所に立地していますね。高知の物産などは、銀座でブランドのバックを購入した脇に持って帰るよりも、本当に下駄履きで買いに行くようなものが多いですから。それはそれで戦略としてはいいのかなと思います。

東京武蔵野市吉祥寺にありますアンテナショップ「高知屋」

この経営者の方針かもしれまんが、高知産品だけでなく長野県の野菜なども置いてありました。

 と言うのは成り立ちや、コンセプトが違うとは思いますけれども、高知が沖縄に勝てるとすれば、山の資源ではないかと思います。 さきほど今城さんも言われましたように、表現です。「高知らしさ」というのがなかなか難しいのではないでしょうか?

 以前ですが、沖縄の振興策の組織図を見せていただいたことがありました。普通は「ピラミッド型」に上から下に直線で出てくるのが普通ですよね。
 沖縄の場合は、音楽、芸術、健康、ファッション、体験型観光などを神経がめぐるように、くねくねと繋がっていますした。その図を見たときに、ああやっぱりと思いましたね。
 必要なときに繋がると言うか。そこが沖縄の強さかなと。その辺が考え方が違いましたね。自由な発想ですね。
 それは結いとか。ユイマール(沖縄の方言で「相互扶助」「助け合い」を意味しています。)という考え方ですね。結いは「もやい結び」のもやいですね。ネットワークの意味でしょうね。音楽とか芸術とか琉球独特のものでしょう。なにせ昔は国でしたから沖縄は。
 軍事力はなく貿易だけで国を成り立たせて時期がありましたし。中国に朝貢しながらも肝心要のときに救援してくれなかった歴史(明朝末期に薩摩に攻められた時。慎重末期の廃藩置県の時)がありますし。
 琉球王朝では外国人を「接待役」の役職が軍人より地位が高かったようですし。それが「伝統」になっていて沖縄県物産公社に反映されているかどうかはわかりません。そういう発想は沖縄にはあると思いますね。
 生い立ちをたどれば発足時期は高知県商品計画機構と同じ時期ですが、これほど差がついてしまってのは、こしらえ方や考え方の違いであると思いますね。
 その発展はめざましいものがありますね。東京だけでなく札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡、台北にもわしたショップはあります。今や100億近い売り上げと、沖縄では700を超える生産者と企業にはなくてはならない存在になりました。
 「物産公社」はひとつの「しくみ」です。今城さんのほうで、これはというしくみはありましたら、おかまいない範囲でご披露下さい。
わしたショップ(サンシンなども販売されています。)
住民登録用紙もありました。

 今は施設よりも無店舗販売などが盛んになっています。情報をどのように出していくのかということですね。いろいろ県内で聞いてみても情報は高知市に届けば十分ということで終わっている場合が多いようです。
 もっと貪欲に東京にも世界にも発信していくという意識がどこまであるのかと思いますね。その点はかなり損をしているのではないでしょうか。また生産者が消費の現場をどれ位見ているのかなと感じます。
 徳島県で葉っぱを売っている、上勝町があります。
あそこのおばあちゃん達が、料亭に行き自分達がこしらえている葉っぱがどのように料理に出されるのかを見に行っています。これは大変勉強になると思いますね。
 葉っぱを見てみんなが議論しています。高知ではどうでしょうか?一次産品であるとか二次製品もそうですが、どこまで現場へ見に行っているのかなと思います。
 顧客というか、消費者、実際に使われている場所を確認することは大切ですね。意見を聞いて改良していくということだと思います。
 そのようななかで高知の良さをイメージとして売って行く。いろんなところと連携して行く。先ほどの沖縄ではないですけれども、負けないように情報発信をしていくことですね。
 情報発信に高知県民は貪欲にならないといけないですね。
 そうですね。高知が日本のどこにあるのかわからない状態と言われてはいけませんね。
四国のどこにあるのかも知られていない状態ではいけないですね。
 観光の話ですが、東京起点に考えれば、ハワイ、グアム、香港、バリ島、韓国、台湾のほうが遥かに近いように思いますね。高知は物凄く遠い。旅費的にもそうですし。イメージ的にもぴんときません。
 大昔の話ですが、私の学生時代の友人達が、新婚旅行はお前のいる高知へ行くからなと言っておりましたが、全部奥様に反対されて誰も来ることはありませんでした。
 ハワイや北海道へ皆行きましたね。それは今も変化していないと思います。
 確かになんかのついでに来れるところではないですね。知事も言っておりましたが「わざわざ」でないと高知へは来れないようです。

 それが高知の弱みかなと思いますね。
 高知の「これはと思うもの」「売れ筋」はなんであると思いますか?
 いわゆる物産とは違いますが、私はひとつは「クリーンエネルギー」であると思います。今高知には風力発電がどんどんできています。また太陽光など新しいプロジェクトがありますよね。これらは東京から遠い、田舎の高知で何か新しい未来があるのではないかと 都会の人たちにはそう思わせるものがあると思います。「安心・安全」「環境」という良いイメージをこしらえて食品や製品造りにつなげていく。そうすれば「わざわざ行きたい」という具合になるのではないでしょうか。

 そういう気持ちを起こさせることが一つの戦略としてあるのではないかと思っています。

  檮原町での風力発電プロジェクト
2月番組に戻ります