高知県の雇用確保策の現状について
 今週のゲストは、高知労働局職業安定部長の石井久さんです。今日のテーマは「高知県の雇用確保策の現状について」でお話を伺います。
 高知県は製造業部門の企業が少なく、建設業や病院関係、商業関係が多く、景気の動向に左右されているようです。とくに長引く不況と産業構造の変化で、有効求人倍率は低く、厳しい状態が続いています。
リストラ、解雇、倒産などで離職を余儀なくされた人たちの再就職支援活動はどのようになっているのか?また、多くの人は再就職できているのでしょうか?(かつて須崎市の松下寿、土電西武デパートの閉鎖がありました。大量の解雇者が出ました。)そのあたりはどうなのでしょうか?
 離職を余儀なくされた方たちの再就職の支援については、早期に再就職できるよう公共職業安定所では再就職のためのセミナーの開催や、職業訓練、個別の職業相談等を実施し、技能の取得などによる新たな職種への転換も含めた再就職の相談援助を行っています。
 また、事業所を訪問し、求職者のニーズにあった就職先の発掘に努めております。
しかしながら、本県の雇用失業情勢はいまだに厳しく、再就職するのに極めて厳しい状況であり、雇用保険が終了、また訓練が終了した時点で再就職に結びつかなかった方も多数おられると思われますので、公共職業安定所ではその後の把握に努めながら、親身になった相談援助に努めて参りたいと考えております。
新規の高校卒業者の就職支援活動はうまくいっているのか?また、学校側との連携はどうなっているのでしょうか?特に実業高校の場合はどうなっているのでしょうか?
 平成16年12月末現在の高校生の就職内定状況は56.3%と、昨年に比べ1.4ポイント増加していますが、県内企業への就職数が昨年を下回り、地元で就職したい高校生が毎年増加する中で、県内企業の求人は少なく一段と厳しくなっています。
 公共職業安定所では、高等学校と連携をとりながら地元企業を訪問し求人の確保に努めていますが、景気の低迷が続く中企業の雇い控えが続いております

 実業高校では、県外の製造業が回復してきたこともあり工業系が比較的好調ですが、事務・販売系統の希望の多い商業、農業系では苦戦をしいられている学校もあります。
 12月末現在で600人あまりの高校生の就職が内定してないことから、学校と連携して就職支援を行うことはむろんのことですが、2月2日には、「新規学校卒業者等就職面接会」を開催いたしました。一人でも多くの未就職生に参加していただき、就職できるよう応援を行って行きたいと考えております。
高校生のための企業合同説明会
高校生のための保護者説明会
中高年の再就職先状況はどうなっているのでしょうか?高齢者雇用推進協議会なども開催されているようですが・・・また。パソコン操作も苦手な世代ですしかなり苦戦しているのではないのでしょうか?・・・。

 県内の公共職業安定所が紹介した求職者の就職者数は、厳しい県内の情勢にもかかわらずここ数年増加していますが、中高年齢者については就職数が前年度を下回るなど、再就職への道はイバラの道となっています。


 また、高年齢者の雇用全般に関する地域情報の交換、高年齢者雇用確保措置及び再就職援助計画制度の周知・啓発、これらに係る事業主に対する取り組み要請、有効な再就職支援方法の検討、高年齢者雇用対策に係る関係機関との連携を促進することを目的とする「高年齢者雇用推進委員会」を設置しまして、「65歳継続雇用達成事業」「エイジフリー・プロジェクト地域普及啓発事業」「シルバー人材センターシニアワークプログラム事業」等がその目的に沿った成果があげられるよう指導援助を行っています。


 本県は、少子高齢化が進んでおり、高齢者の活用が重要課題であることから、関係機関と連携をとりながら企業への周知・啓発指導に努めて行きたいと考えています。

 障害者の雇用情勢はどうなのでしょうか?受け皿となる企業はあるのでしょうか?
 平成16年6月1日現在の民間企業における障害者雇用率は1.55%と、全国平均を上回っているものの、除外率制度の改定によりこれまで対象外であった企業が対象となったことなどから、昨年に比べ雇用されている障害者数は増加したものの、雇用率は0.09ポイント減少しました。
 また、障害者を多く雇用するための事業所、「特例子会社」は本県に2社あり30名近くの方が働いています。
 しかしながら、本県の特徴ともいえる零細企業が多いことから、雇用の場の広がりが少なく雇用は依然として厳しい状況にあります。
 障害者未達成企業の多くは1人不足であることから、今後は障害者雇用のノウハウ等の指導・援助も行いながら、1人でも多くの障害者の雇用に努めて行きたいと考えています。
 

高校生を対象とした就労セミナー盛んに開催されています。

 ジョブ・マーチ・フェスチバル。石井久さんもパネラーとして「発言されています。

 就職ガイダンスを受ける学生の態度はどうなのでしょうか?また、学校現場での就職教育はどうなっているのか?
 労働局、安定所、学校では「職業講話」「職業ガイダンス」「就職ガイダンス」「ジュニア・インターンシップ」「職場見学」等を行っていますが、生徒は就職の厳しさを認識し、就職に対する姿勢は以前に比べ大きく改善されています。
 また、学校では総合的な学習の時間に「ガイダンス」を取り入れるなど、就職に対する認識、危機感も高まっています。
 「受け皿」となる企業は増加していますか?高知県ではどのような業種、業態の求人が多いのでしょうか?
 高知県は、零細企業が多く、また製造業が少ないことから雇用の吸収力が弱いというのが現状です。
 また、公共事業の減少から、基幹産業である建設業も厳しい状況にあります。
 雇用の吸収力を高めるためには、製造業の増加、なかでも多くの雇用が見込まれる工場等の誘致が一番であると思われますが、昨今の状況では厳しいものがあります。
 公共職業安定所で受理する求人では、サービス業、なかでも福祉関連や、卸小売業が多くみられますが、パート求人の増加や専門技術の必要な求人が多く、求職者のニーズとあわないことが多く、ミスマッチが多く見られています。