求職者の心構えについて
 今週のゲストは、高知労働局職業安定部長の石井久さんです。今日のテーマは「求職者の心構えについて」でお話を伺います。
 転職しても何とかなる時代は過ぎたようです。かつて流行語になった「サラリーマンは気楽な稼業」という言葉は完全に死語になりました。

やむなく失業(倒産、リストラ、病気など)された人の心構え、求職に挑戦する場合の準備や研修、求職探しの手立てについては、全般の動向からはどうなのでしょうか?

 仕事探しに当たりましては、自分のこれまでの職業経験を整理し、企業に自分の経験・知識をわかりやすく的確にアピールすることが大切です。企業は、中途採用者に実務能力を期待しています。
 どのような会社で、どのような仕事に取り組んできたか、また、仕事を行う上でどのようなことに苦労し、それをどう克服してきたか、さらに自分が培ってきた職業能力等を自分自身が十分把握できているか、ここでじっくりと見つめ直すことが大切です。
 また、最近の労働市場(求人と求職の状況)を理解し、自分の希望とする職業、産業の状況を把握することも重要です。
 ハローワークでは職業相談に気軽に親身に応じています。自分の希望を専門の職員に率直に伝え、じっくり相談することが大事です。そうすればきっとあなたの希望の仕事がみつかると思います。

 新規に学校を卒業しても職が見つからない場合の心得はいかがなものなのでしょう(私事なのですが、私は子供がそうなので他人事とは思えません・・・。)
 自分自身が「就職する」「仕事をする」ということに対し真剣に考えるとともに、具体的なイメージを持つことが大切です。そのためには、就職に当たっての「心構え」、「コミュニケーションのしかた」を身につけておくことが大事です。
学生時代は先生から教えてもらうことが基本でしたが、社会人になってからは自ら進んで学ぶ姿勢が大切です。
 職業選択に際しては、安易にフリーターを選択することは控えるべきかと思います。企業はフリーター経験をあまり評価しないといったところがありますので、低賃金での雇用とか、責任ある仕事をまかせてもらえないなどの現実があるようです。
 なお、職業選択に当たっては、一人で悩まず両親、先生、ハローワークなど、周囲の意見を是非聞いてみることです。必ず参考になると思います。
 ハローワークには様々な職業の求人があります。職種によっては求人が少ないとか、新卒生でなく即戦力を求めているとかで、自分の希望する職業、条件に見合う求人がなかなか見つからないということがあると思います。
 このような場合、簡単にあきらめず、ハローワークなどで職業相談や情報収集を行うと共に、スキルアップのためのセミナー、職業訓練などについても、検討することをお勧めいたします。
 また、ハローワークでは職業経験の不足などの理由により、常用就職がむずかしいと思われる若年者を対象に、3ヶ月間の「トライアル雇用」制度というものも設けています。
ハローワーク就職フェア2004の様子です。
新卒大卒者就職面接会〈学生就職フェア)
 求職当事者に回りの者が励ましの言葉をかける場合、どのような点に注意すればいいのか?(以前出演した雇用能力開発機構の中村美枝さんは「自分の希望の職が無ければ、自由にのんびり探せば良い」とか「安定しているのは公務員だから」とか言うアドバイスはしない方が良いと言われたのですが・・・。
 失業したくて失業する方はいないと思います。これが一番というアドバイスはなかなか難しいですが、その求職者の方のおかれている状況に十分配慮する必要があると思います。
 求職者には、自己都合で退職し、これまでの職業と同じ仕事を探す人、これまでの職業から職種転換を図りたい方、新規学卒生で初めて職業に就こうとする方、定年や会社の倒産、リストラ等により自分の意志と関係なく離職を余儀なくされた方、これまでの雇用形態を変え、正社員、パートや臨時の仕事に就きたい方など、様々な理由で仕事を探しておられる方がおります。そして、求職者は再就職が容易にできるか不安な状態にあります

 こうしたことから、まずその求職当事者の方の置かれている状況を正しく理解するよう努め、そのうえで励ましの言葉を言うのかどうかを判断してはどうかと思います。
誰だってはじめから自分にあった仕事なんてなかなか見つからないものです。

 会社に入ればメーンの仕事はあるでしょうが、電話対応や文書作成、コピーなど、会社や業種によって付随する仕事はいろいろあると思います。そういう仕事や、重要なことですが人間関係を含め、1日のうちの半分近くを占める仕事という世界を通じて、人は社会生活を送るわけです。
 私としては「まず働いてみては。いやなこともあるでしょうが、そんなこともあるさくらいの気持ちと、何事にも前向きな姿勢を持って、仕事をしてみては。」と言いたいと思います。そして『挨拶』と『ありがとう』の気持ちをいつも持つことが大事だと思っています。

 アドバイスという観点での話ではありませんが、求職者自身として、ご自分の具体的な求職条件と、働こうとする地域の労働市場における求人状況にどのくらいの乖離があるかとか、希望する業種・職種についてその労働市場における景気状況などについてもある程度知っておくことが必要であると思います。

 また、失業期間が長くなればなるほど、再就職が困難になる傾向にあることなどについても、理解しておいていただくことが大切です。

 このため、ハローワークの役割は大きなものがあると思っています。求職活動に必要な情報収集や、職業相談はもとより、スキルアップとしての各種セミナーも開催しておりますので、是非とも、ハローワークを積極的にご利用いただきたいと思います。
 求職者も在職中に転職の準備や、キャリアアップの準備をしなければならないでしょうか?その方法や手段はいくつかあるのでしょうか?ハローワーク、雇用能力開発機構、ジョブカフェなどとはどのようにつながっているでしょうか?
 企業の国際競争の激化、産業の空洞化等により、日本型経営の大きな特徴とされてきた終身雇用制度は、大きく変化してきています。
 在職中からキャリアアップのための努力をすることは、職業能力の向上にもつながり、企業活動にも貢献するのではないでしょうか。
  
 ハローワーク、雇用・能力開発機構では主に求職者を対象とした職業訓練や創業支援の取り組みを行っています。また、ハローワークでは一定の要件を満たす雇用保険被保険者であれば、在職中であっても厚生労働大臣が指定した教育訓練科目を修了した場合、教育訓練に要した費用の一部を国が負担する「教育訓練給付金」制度がございます。

 つながっているか、とのご質問の件ですが、高知県におけます雇用対策は、高知県、そして労働局、とりわけ職業安定部、各ハローワークがその中心ではあります。この他に雇用・能力開発機構、高知県雇用開発協会、高知県職業能力開発協会などがございまして、それらと連携・協力をしながら、雇用失業情勢の厳しい高知県におけます雇用対策に取り組んでおります。

 国の三位一体改革で「予算に聖域はなく」厚生労働省関係の予算も削減傾向にあると思います。ただ、失業対策は国の存亡に関わる問題です。そういう中で従来の対策とどのように変化してきているのでしょうか?
 平成15年度は改革加速のための総合対応策に基づく、不良債権処理に伴い離職を余儀なくされた者への支援や地域の創意工夫による雇用機会の創出に力点が置かれました。
平成16年度は、地域再生推進のための基本方針が示されたことから、自ら地域経済の活性化と地域雇用の創造に向けて取り組む市町村等の雇用問題への支援が重点化されたところであります。

 平成17年度予算では、まず若年者に関する雇用対策についてです。働く意欲が不十分な若年者、無業者の増加など新たな課題に対応するため、若年者の働く意欲や能力を高める総合的な対策として「若者人間力強化プロジェクト」の推進とともに、「若者自立・挑戦プラン」の着実な実施により、若者の職業的自立を促進するとされています。

 次に地域雇用対策についてですが、地域の自発的な雇用創造の取り組みを促進する「呼び水」となる雇用対策を講じていくことが効果的かつ効率的であると考え、来年度より、コンテスト方式により選抜された雇用創造効果の高い事業に取り組む市町村等への支援の実施や、地域が選択する重点産業に対する雇用創出支援など、地域の雇用創造に自発的に取り組む市町村等に対する総合的な支援を実施するとしています。
他の主要な対策ですが、三つ挙げられるかと思います。


 まず、建設労働対策です。建設労働者の雇用の安定を図る観点から、雇用管理の改善と一体的に労働力の需給調整を行う仕組みを導入することについて検討することにしています。
 二つ目は、高齢者雇用対策です。高年齢者雇用確保措置の義務化については、平成18年度からの施行に向け、すべての企業において定年の引き上げ、継続雇用制度の導入などの措置が講じられるよう、指導を行っていくことにしています。

 最後の三つ目は、障害者の方々などに関する対策です。私たちの目指すべき社会は、全ての人が、働く意欲と能力に応じて、就労し自立している社会であります。そのためには、障害者や生活保護受給者などの方々について、「福祉から就労へ」の取り組みを進めて行くことが必要と考え、そうした認識にたって、雇用と福祉の連携により障害者の自立を支援することにしています。
以上が、来年度の主要な対策です。
求職者の方も、求職情報入手のあり方が従来以上に多様化しているのでは?どのような方法・手段があるのか?また、そのサービスは登録しなければ利用できないのか?
    
求人情報の収集には 1)ハローワーク 2)求人情報誌
3)インターネット 4)職業紹介事業所 
等から情報収集することが可能です。
ハローワークでは、求人者への職業紹介はもちろん、職業相談も行っていますので、求職申込みを行っていただいています。また、職業紹介を行う事業所は、国の許可又は届出を受けていることが必要です。