働き方の変化をどう考えますか?

 今週のゲストは、高知労働局職業安定部長の石井久さんです。今日のテーマは「働き方の変化をどう考えますか?」でお話を伺います。この20年ぐらいの社会の変化で、日本人の勤労観は大きく変化したと思います。不況や倒産などの暗い話が多い反面、週休2日制度も普及し、休日は増え、生活水準は向上し、手軽に海外旅行へも一般市民が行ける様になりました。 

 日本人は働きすぎると言う言葉が一時期流行しましたが、日曜だけが休みの時代から現在では週休二日、週40時間労働が定着してきました。
 しかし、末端の企業までは十分浸透しているとはいえません。下請けの零細企業が多いわが国で、今後週40時間の定着に向けてどのように取り組みますか。

国では、年1,800時間、週40時間の実現を目指して、労働基準監督署を中心にして取り組んでいます。
 しかしながら、下請け孫受けの多いわが国では末端まで浸透するにはもう少し時間がかかると思われます。


 今後は、経済団体や業種別の団体など、事業主の方々が集まる機会を活用いたしまして、また、時短等が改善しない企業を直接訪問するなどして、いっそうの啓発・指導に努めたいと考えております。

わが国では持ち家のない国民が多数います。家を持つことは働くものにとって夢の実現にもつながります。そのためにはまず、失業のない社会になることが重要です。家庭を持っている割合が高い中高年ほど今の不況下の中では失業すると再就職が難しい状況です。 中高年齢者が安心して働ける職場の確保について、国の施策はないのでしょうか。
 家を持つことを奨励するため「財形貯蓄」という制度が出来たのはいつのことだったでしょうか。景気は一部に弱い動きがみられ、このところ回復が緩やかになってきていると言われていますが、雇用情勢は厳しさが残るとしており、地域格差は開く一方であります。

また、ここにきて産業再生機構関連では、個別具体的な企業名があがってきています。単体でも1万人という状況であり、連結ベースでみればその数倍にものぼる、と言われております。今後大きな山があると思っております。

 そうした状況のもとでは、いつ解雇されるかわかりません。その結果、各種ローンの支払いが出来なくなるという恐れを持っている労働者は決して少なくないと思われます。

中高年齢者が失業すると再就職が困難なことは数字が示しています。
公共職業安定所(ハローワーク)では、新たな技能の習得、職種の転換等の指導・援助を行いながら、その人その人に合った就職先のマッチングに努めています。
 不幸にして失業した時は、勇気を持って公共職業安定所をお尋ねください。1日でも早く再就職できますよう、相談にのりますとともに、一緒になって次の会社探しをいたします。

高齢者雇用促進大会をPRする路面電車の広告。

雇用促進のために様々な取り組みがされています。

 現在定年制は60歳が基本になっていますが、年金との関係から65歳まで働かなければならなくなるのでしょうか。65歳まで安心して働く制度について国はどう考えているのでしょうか。
 少子高齢化の急速な進展によりまして、生産年齢人口は平成27年までに約840万人減少し、これに伴って労働力人口も減少することが見通されています。
 また、今後平成19年から平成21年にかけて、いわゆる団塊の世代が60歳に到達することになります。
 こうしたなか、既に年金支給開始年齢は段階的に引き上げられつつあり、定額部分については平成25年度までに、報酬比例部分については平成37年度までに65歳に引き上げられる予定です。
また、中高年齢者をとりまく雇用情勢は依然として厳しく、一旦離職しますとその再就職は非常に困難な状況にあります。
 そこで、国としては、「65歳までの継続雇用制度の導入の促進」や、「年齢にかかわりなく働ける社会の基盤作り」にこれまで以上に取り組むこととし、昨年の通常国会に提出し、平成16年6月11日に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」が一部改正され、昨年16年12月から施行されたところです。
 そこで、17年度としては、従来から実施してきました施策に加え、次のような拡充施策が盛り込まれています。

1)65歳までの継続雇用制度等の導入を推進する「65歳雇用導入プロジェクト」の創設

2)「年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けた基盤づくり事業(エイジフリー・プロ  ジェクト)」の強化、

3)「シルバー人材センター事業」の拡充、の3点です。

 いずれにいたしましても、今後急速に進展する少子高齢化に対応するため、高齢者がその意欲と能力のある限り、年齢にかかわりなく働き続けることができるように、環境整備を行うことが必要だと考えています。

対策会議の様子です。国も県も市町村や企業も懸命に就労対策に取り組まれています。
 毎年多くの外国人が日本へ働きに来ています。しかし、彼らの労働条件は決して良いとはいえないと思われます。外国人が安心して働けるよなう整備をする必要があるのではないでしょうか。
 出入国管理及び難民認定法の改正から10余年が経過しておりまして、積極的に受け入れを図ってきました専門的・技術的分野の外国人労働者以上に、日系人労働者等の非熟練労働に従事する外国人が増加しています。
 我が国で就労する外国人労働者は、平成14年現在で約76万人と推計されておりまして、雇用労働者全体の1%以上に相当します。

そのような状況のもと、外国人労働者の多様化は進み、長期化・定住化の傾向も現れております。その就労や生活をめぐって、様々な問題が生じてきています。
 日本人と外国人が共に暮らしていける社会の構築のためには、外国人労働者に対する適正な雇用管理が行われることが必要であります。それが優秀な人材の確保など、企業のメリットにもつながることと思っています。

このため、厚生労働省では、「外国人労働者の雇用管理の在り方に関する研究会」(座長:鈴木宏昌早稲田大学教授)で、外国人労働者の雇用管理の現状と課題について議論してまいりまして、昨年、その報告書がまとまりました。
 こうしたことを踏まえまして、外国人労働者への雇用対策という面から、ハローワークでは、外国人の担当を配置しまして、仕事を探しに来所された外国人労働者には、不法就労でないことを確認したうえで職業相談や職業紹介を行っています。
 また、外国人が就労している事業所を訪問し、不当な扱いを受けないようチェックしています。
 いずれにいたしましても今後、外国人は増加するものと予想されています。雇用対策面では、職業相談、能力開発などの機会の提供などを行っていくこととし、国レベルでは法務省入国管理局、地方・地域では警察や市町村などとの関係機関とも連携・協力を図りながら、対応に努めていきたいと考えています。
 一方女性の高学歴化と就労比率の向上等により「少子化」が加速されています。現在の企業では「育児休暇」制度がまだまだ十分でなく、女性の「職場復帰」 が難しい現状があるのではないでしょうか。
 少子化対策はこれからの国の重要施策だと思われますが、国はどのような施策を持っているのでしょうか
 女性の高学歴化と就業率の向上は、女性の職域の開放を進めたことにより、ある程度は予想されたことと思いますが、少子化については、「育児休暇」制度が職場に定着していない現状があります。
 しかし、定着していないことについては男性を中心とした同制度への認識のなさが大きな問題であると思われます。
 育児休暇が取りにくい現状を打破し、男性も女性も「子供を生み育てる」ことの重要性を認識し、次の時代への希望を持っていくことが大切ではないでしょうか。
 男性と女性の育児休暇取得率が同じになり、父親も母親と同じように育児を行っていく社会に早くなることが望まれます。また、そうなるよう国をあげて取り組んでまいります。
2月番組に戻ります