若者の就職について
  今週のゲストは高知大学人文学部助教授の石筒覚さんです。高知大学人文学部3回生の広末かおりさん、1回生の橋本若知(あきな)さんにも来ていただきました今日のテーマは「若者の就職について」でお話を伺います。
15歳から24歳までの若年就労者比率が高知県は全国最低です。就労したくてもできない「フリーター」という言葉が定着してしまいました。大学を卒業しても就労できない、就労出来てもすぐに辞めてしまう現象が多いようです。
 就職を早期から意識する教育は有効でしょうか?「13歳からのハローワーク」はベストセラーになりましたが。家業や家元のように職場が身近であると感じることは一般的にはなっていません。教育現場では職業教育はされた記憶は私などはありませんが。

ハローワークには若者達が殺到しています。

ハローワーク高知です。

石筒 現在高知大学では、キャリア教育、キャリア形成という呼び名で、就職に対する意識を高めようという講座を1年生の時から開いています。ただそれは、「就職というよりは、今後の人生を生きていくためにどのような道があるのかを考える。」ということです。
 その中で仕事、職に就くということは、非常に重要な意味を持つことになります。しかし、このことをあまりしっかり考えずに就職してしまう傾向がこれまでありました。
 以前は大企業はきちんとした企業研修をしていました。しかし最近は中途採用で、「即戦力」を取るようです。研修の必要な学生を採用しませんね。リストラの不安もあり、資格取得を目指す学生も多いように聞いています。どうなっているのでしょうか?高知大学でもそうした傾向はあるのでしょうか?
石筒 そのあたりは社会人の人が一番実感されているのではないでしょうか。 資格といっても、それを「活かす機会を持とうとしなければ、意味がありません。」いつかは使うかもという感じで資格を取って、活かされそうなのは、実は「クルマの運転免許」くらいです。
 最近は、資格だけを持っていてもダメだという意識が学生の間に浸透してきました。とりあえず取ったとしても結局、「それを活かす場、能力」も同時につけていないとダメです。そこで、自分のキャリア、人生をどうするのかをしっかり考えることが重要になります。そういうプランも同時に考えなければなりません。
 広末さんの場合は就職活動を実際に行われる直前だと思います。そのあたりはどのように考えられていますか・
広末 そうですね。高校生の時は漠然としたものでした。大きい企業とか公務員とかという程度の意識でした。実際に就職活動が近づいて来ますと、やりたいことを、自分の仕事のなかでしたいと思うようになりました。 広末かおりさん
学生の職業観について伺います。中学時代や、高校時代は目先の「受験」で手一杯だと思います。部活や受験勉強に追われていますので、将来の職業選択を考える余力はないのではないでしょうか?
 大学生は考える時間はたくさんあるように思います。そのあたりはどのようなご指導をされているのでしょうか?
 石筒さんは、学生はどういう職業観を持てばいいと考えているのでしょうか?
石筒 職業観というよりも、「自分がどうありたいのか」「自分がどうなりたいのか」がということを考えていただくことが大事だと思います。まず自分を分析する。そして客観的に分析する。長所や短所、失敗経験や野望など、自分はどうなろうとしているかを考えることだと思います。
 高校までは、親がこういう、学校がああいうといった感じで、自分が自分の人生の主役である意識が持てずに大学に来てしまうことが多いようです。
もちろん、彼らだけが悪いわけではないと思います。そういう状況を社会全体がつくってきたことも原因であると思います。
 橋本さんは大学に入学されたばかりですが、高校時代に考えたいた「就職について」の考え方は変わられましたか?
橋本 いやあんまり変わってはいません。やりたい仕事に就くために大学ではいろんな勉強をして実力をつけたいと思っています。 橋本若知さん
大学では実力をつけたいという学生をサポートする仕組みになっているのでしょうか?
 
石筒 以前は大学では、授業を受けて勉強しろ、(今でもそうですが)、それが中心でした。ではそれだけで、社会へ出た時にいろいろな事態に対応できるのかと言うとどうなのだろうか。実際社会もいろいろと厳しいので、他の事も考えないとならないだろうと思います。
 先ほど自分を分析するという話しをしました。やはり勉強するにしても「なんでこの勉強をしているのか」と職業に直結しなくても考えてもらいたい。
 特にそれは1年生とか、2年生とか大学が始まった時に早い時から考える。それで4年間、実際には就職活動があるから3年間しかありませんが、その期間をどう使うか考えていただきたいです。

インターンシップの様子

西岡燃料店でのインターンシップ。会報誌をパソコンで作成しているところです。

 
何をしたいのか?なにをしてきたのか。を表現するのは簡単なようで難しいと思います。
石筒 就職活動で、企業の人に示すのは「実際にやってきたことを示す」以外にはありません。今就職活動を見ていますと「こんなことをしたいんです」「あんなこともしたいんです」だけだとあまり企業は採用しません。
 「こんなことをしてきました。」「あんなことをしてきました」「どう考えました」「失敗もありました。」「どんなことをしました。」ときちんと話す事が重要です。
 仮にマッチしないことがありましても、やはりそういう考えが出来、動ける人を企業は採用すると思います。
こうやりたい。ああやりたいのではなく、「こうやってきた」ことをアピールすることなのでしょうか?
石筒 やりたい」ではなく、「やりたいことをやった」ということです。やっていないのに「ああやりたい。こうやりたい」は今は殆ど通用しないということです。 石筒覚さん