若者に対するキャリア形成支援とは?
 今週のゲストは、ジョブカフェこうちのセンター長の竹内隆志さんとスタッフの皆様であります松木瑞恵さん。高鴨美和さん、大利忍さん、堅田典子さんに来ていただきました。また香川県からキャリアコンサルタントの小亀重喜さんにも来ていただきました。小亀さんの同級生で同じくキャリアコンサルタントである石井秀臣さんにも来ていただいています。
。今日のテーマは「若者に対するキャリア形成支援とは?」でお話を伺います。
 産業構造の変化で、日本でも大学・高校卒業者を新卒採用する企業が以前より減少しました。学生を企業で「再教育」する余力が、企業側になくなり「即戦力」を要求しています。
学生側は不況下の安定志向として公務員が人気があるようです。そのせいかひところと比べ公務員試験は難関になりました。若干名の採用に1000人応募者があった役場もありました。その傾向にどう思われますか?
大利 応募者が集中する理由として、2点ほど挙げさせていただきます。受験資格が最小限「年齢制限等」ですので、誰もが気軽に手軽に受験可能であることです。
 もしくは県内外の企業から内定をもらっているにもかかわらず、公務員試験に合格したら公務員に乗り換えようと言う応募者多、記念受験の応募者も少なからずありますので、その2点が応募者増加に拍車を賭けていると思います。

採用側から見てみますと不況のあおりで採用側の地方自治体側も採用を削減しています。今後も狭き門になります。公務員試験の状況からは学校の勉強だけは合格は難しいので、専門学校に通うと言うダブルスクールというのも珍しくはありません。

中学生は目先の高校受験が最大のテーマ。高校生は大学受験。進路指導は、「偏差値」指導であり、本人のやりたい仕事や、なりたい職業の選択から進学先を選択してい  くようにはなっているとは思えません。職場体験も「上滑り」しているようです。

大利 中高生の時点で具体的にこういった職業につきたいという言う生徒ならともかく、それ以外の生徒については、両親、担任、進路指導の先生等の意見が反映されやすいと思います。私の経験で申しますと、高校受験時は正直自分の意志とは関係なく、両親の意向で決められてしまいました。自分自身で進学したいという高校があったんですけれど、将来を見据えた上で野両親の決断もあったため、反発も少ししたんですが、仕方なく両親の意向にしたがいました。


 

 
高校受験時の反動ではありませんが、大学受験時に自分が何をしたい、何を勉強したいのかを真剣に考え両親を説得して進学しました。世間的には有名な大学ではありませんでしたが、自分の学びたい学部、学科に進学しましたので大変満足しています。また偏差値指導につきましては、指導する側にすれば実績を上げなければなりませんので、本人の志望と明らかな実力差がある場合は、妥当な進学先を勧めざるを得ないと思います。
村上龍の「13歳からのハローワーク」はベストセラーになりました。自分の適性を探すのは年齢が若い方が良いのでしょうか?ただ自分の願望を実現するための手段が確立できるものなのでしょうか?
高鴨
「お試し採用」とか、長期派遣とかは私どもは職業紹介の事業ができませんので、直接行うことは出来ませんが、関係機関の行なっている「職業体験講習」やハローワークの行なうトライアル雇用を通じて、その機会を提供することは可能です。
また独自の企画として、商店街等で自主企画によって、若者のかたに「自主体験型しごと塾」ということで、商いの実践の場を提供します。
コミュニティビジネス・まちづくり、イベントなどに参加し、生きるための経済的自立力、勘定力、自己を表現しアピールするための情報活用力と実践力を磨くことにより、自ら考え、段取り、感じ、気づく力を自律的に向上させ、自己の目標を実現するための体験的学習をしていただきます。
 なるほど、インターンシップだとか、コミュニティビジネスとかいろんな要素が含まれていることがよくわかりました。
 例えば漫画の上手い高校生がいたとします。ある程度周囲から認められています。
その場合進路選択はどうなるのでしょうか?美術系の大学や専門学校へ進学しましても、卒業後の職業選択が極めて小さいようなのですが・・・。
高鴨 その場合、漫画が得意であるなら漫画家をめざしたら良いという側面だけではなく、想像力、企画力、発想力、などを生かせる仕事はないのだろうかという「気づき」も必要です。ご本人が漫画が好きなら、漫画家にならなければいけないのか。それだけではなくて漫画の周りには、出版社、編集者、アシスタント、テレビ番組の製作者、など様々に関わる人達がいます。特定の仕事に絞り込むよりも興味のある職種を調べてみることも、新たな気づきにもなるわけです。その場合調べたり、自分の進路についてなど好きなものを探す最初の踏み出しを本人にやっていただくことが、重要です。主体的に情報を掴むくせをつけておけば、何かをきっとつかめると思います。
 それを親や先生がすべてお膳立てすれば、受動的にいますと、挫折した時に他人のせいにしてしまいます。自分考え、行動して万一失敗しても納得できますし、その経験はきっと役に立つでしょう。自分でやりたいことの努力であれば、どんな努力も無駄にはなりません。
 中学・高校・大学・などとの関係者との交流は大変大事です。学校ぐるみの取り組むテーマもあると思います。ジョブカフェこうちの事業計画はどうなっていますか?
高鴨 
若年者地域連携事業では保護者を対象としたセミナーや高校の進路指導者向けのセミナーや勉強会、合同求人会、就職ガイダンスなどを計画されています。様々な催しや事業などを計画しています。都市部の大学では既にキャリアデザインをサポートなどが学校ぐるみで行われており、選任の担当者も配置されているようです。
ジョブカフェでは、それぞれの役割分担のもとセンターの相談業務を中心に提携して
支援していきます。大学もこれから淘汰が進みキャリアサポートに力を入れていく必要があると思います。そのために当センターを利用していただきたいと思います。また共同企画といったセミナーやフォーラムも行っていきたいと思います。