中山間部の問題について

 今週のゲストは土佐町で農業に取り組まれている川田雅敏さんと、川田さんの師匠で本山町で同じく自然農を実践されている北村大助さんに来ていただきました。
 今日のテーマは「中山間部の問題について」でお話を伺いします。
川田さんは土佐町。北村さんは本山町にお住まいです。いずれの地域 も高知県北部の嶺北地方と言われています。平野部は少なく、山林が 多い地区です。地域の問題点とは一口には言えないでしょうが、どう いうところなのでしょうか?
川田 実感としましては、農業生産としては「換金作物」という「収入を得る」農作物がひじょうに少なくなっています。それと林業も中心ですが、山の木の値段が安くて農林業は収入的には大変です。 また高齢者が多くなりまして、不耕作地も増えています。それが現状です。
本山町のほうはいかがでしょうか?
北村 私が住んでいるとことは、本山町の大石というところです。高知県でも典型的な中産間地域です。特に私のところは南に棚田があり、谷川があり、農園があり申し分のないところです。
 問題は若い後継者が少ないことです。そしてまた本山町も1年に100人も人口が減少しています。そういう状況ですね。
高知県本山町大石地区の様子です。
川田さんの土佐町も、北村さんの本山町も人口の減少と、過疎化、高齢化の進展に歯止めはかかっていないということなのでしょうか?それが深刻化しているということなのですね。
川田 深刻化という面の現れは、田んぼのだったところが、高齢化で作ることがしんどいと言うことで、不耕作地が増えて来ていることです。土佐町で高齢化率が35%くらいです。大豊町では50%になっています。
 高齢化率はかなり進んでいます。
 都市部の人間は中山間部の動向には無関心な人が多いです。繋がりは 水の問題など深いと思いますが。意外に高松市あたりのほうが、熱心 ではないのでしょうか?

川田 ご存知のように吉野川があり、早明浦(さめうら)ダムがあります。そこから高松市民の「命の水」として流れています。高松市では上流部の水の問題についてはかなり関心が高いです。
 土佐町では、「早明浦マラソン」と言いまして、ダム湖畔を走る大会を開催しています。そのコースの整備に高松市の市民の皆様がボランティアで来ていただいたり、清掃に来ていただいています。


 徳島市から大川村のほうには、「どんぐり銀行」ということで、子供達も一緒に植栽をしています。そういう交流もあります。
 ダム湖畔ではブラックバス釣りの愛好者達がたくさん来ています。下流ではカヌーも、国体会場にもなりましたが、休日には多くの人達が訪れています。川を多くの人達が楽しんでいます。

 8月の集中豪雨で大川村は大変な土砂災害が発生しました。土佐町や 本山町でもどうでしたでしょうか。よく人工植林で手入れが行き届か なくなり、山の保水力の低下が言われていますがそういう要因がある からなのでしょうか?
川田 そうですね。大川村の例にとりますと、異常な集中豪雨ではありました。谷でなかったところが谷になっていました。植林していた木が押し流される。それが岩にひっかかり土砂が溜まって、土石流となって一気に崩落する状態になっていました。
 これは切り立った山があり、ダムが出来たことで、生活の場が山の上に上がって行ったことにあります。もともと地質的に弱いところに人工物をこしらえたこともあります。
 本山町の懸案事項は何でしょうか?
北村 そうですね。早明浦ダムというのは、「欠陥ダム」であると言われていますように、昔の保水力がありません。集中豪雨が来ますと、すぐに満水になります。そして放流がされます。
 雨が止んだあとに「濁水」が流れます。これが暫く下流に流れます。これが大きな問題です。
四国最大のダムである早明浦ダム。「四国の水がめ」とも呼ばれ、香川県高松市の上水道は依存している。香川県の人達の上流域への関心は高いようです。
濁水は濁った水なのですね。川がずっと濁った状態になるのでしょうか?
北村 そうです。今でも(台風から1週間経過していますが)濁った水が流れています。
 市町村合併について。土佐町や本山町は合併しないのでしょうか?
 合併するとすれば、どういう構想になるのでしょうか?
川田 この問題は住民の間から、本山町、土佐町、大川村の3町村だけでも
合併したらという住民運動がありました。住民投票をしました。結果は土佐町は合併をしたくはない。大川村と本山町は合併推進という立場でした。
 それで結果は合併問題は、ご破産になりました。
 それ以前に行政レベルで、嶺北5町村(本川村、大川村、土佐町、本山町、大豊町)で話合いが進められていましたが、それも自然消滅してしまいました。
 住民サイドのほうから住民投票をやろうということになり、実施しましたが、結果は合併しないことになりました。再度検討すべき課題ではあると思います。
高知県庁は中山間部対策をきちんとしていると言えますか?
川田 中山間地対策はメニューはたくさんあるでしょう。間伐が出来る対策は国のほうもしています。ただ市場での木の値段が安いので、なかなか間伐対策は進みません。
 林道関係などは進んではいます。県の対策も進んでいると思います。全体的に農業とか、過疎化対策、高齢者対策とありますが、主産業(農業。林業)をどうするのか。そうした対策を農業面でも違った対策をしなければならないのではないでしょうか?

収録風景です。地域の問題になりますと、話は尽きませんでした。

                  (高知シティFM Aスタジオにて)

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