薬に対する正しい知識 その2

 今週のゲストは薬剤師の川添哲嗣さんです。今日のテーマは「薬に対する正しい知識 その2」でお話しを伺います。
 複数の医院にかかっている患者の薬でのトラブルを防ぐ具体的な方法はどうすればいいのでしょうか?
 3つあります。ひとつは信用の置けるかかりつけの医師(自分の主治医と呼べる人)を持つこと。二つ目はかかりつけの薬剤師(信頼できる薬剤師)を持つこと。そして3つ目としてお薬手帳を持つことです。この3つがあれば、まず大丈夫です。
 主治医にはなんでも相談しましょう。他の診療科へかかりたい時も相談のうえで行く、というくらい主治医には信頼を置いて欲しいですね。最近は院外処方が多いですが、病院の数だけ薬局へ行くのではなく、薬局も信頼の置ける薬剤師のいる薬局1つに絞ったほうが、本当は安全かつ安心です。複数病院の薬の飲み合わせもすぐにチェックしてもらえますしね。
 でも家の近くにそういう薬局が無い場合、お薬手帳に全ての薬剤を記入していれば安心です。どこの薬局へ行っても飲みあわせをチェックしてもらえますから。薬をもらったときにその時の自分の病状を薬の記録の横に書き記している方もいらっしゃいます。副作用が出たときにも、どの薬で出たのかをしっかり書き記しておくんですね。そうやっていくとお薬手帳は単なる記録ではなく、自分のカルテを持ち歩いているのと同じことになります。大人、子供、老人を問わず、自分の体を守るために、お薬手帳はものすごく有効ですね。
お薬手帳です。服薬している処方薬、一般薬、健康食品などすべてか名前を書き混むことが大切です。

  薬は効用と副作用があります。副作用についてどのように考えたら良いのでしょうか?医師の診断を受け、調剤薬局で薬剤師から説明を受けます。「まれに○○の傷害を起す場合があります。」との説明がある場合の心構えはどうすればいいのでしょうか?
 薬の副作用については3つに大別されます。@薬理作用上当然出るもの A蓄積性の副作用(じわじわ出る) Bアレルギー性の副作用
このうち@は作用上必然性がありますから頻度は高いです。裏を返せば出る可能性が高いから対処もしやすいし、重大なケースにつながることはまれです。

Aはじわじわきますから、気付いた時には重篤な肝障害を起こしていたなんてこともありえます。定期的に血液検査を医療機関ではするはずです。あれは実は体調とともに薬による副作用のチェックにも役立っています。

Bは一番恐い副作用で、誰にいつ出るかまったく法則がありません。お薬自体に体が過敏に反応して発疹が出たりします。呼吸がしんどくなったり急激に肝臓が悪くなることもまれにあります。この場合すぐに服用を中止して医師に連絡を取ってください。6ヶ月以上飲み続けている薬でこのアレルギー反応が出ていなければ先ずそれ以降は出ないと言われています。
 「まれに○○の障害が・・」というのは、このアレルギー症状のことをさしているのですね。

在宅での相談をされている川添さん。主治医同様にかかりつけの薬剤師も必要です。
 最近新聞のチラシなどに「栄養補助食品」が流行っていますね。「これで治った」とか「効果があるとか」宣伝していますね。 また栄養補助食品と、医薬品との飲み合わせも、難しいようなのですが?高齢者は民間食事療法などを好む人も多いと思われますが・・・。
 
飲んでいる人は意外と多いです。。広告につられて購入するのはいいが危険もあることはご承知願いたいです。
 「治った」というのは効能効果で捉えないでください。危険だったケースを一つ紹介しましょう。
 ある糖尿病初期の患者さんの話ですが、糖を下げるのにいいとされる健康食品を先日飲はじめたところ、血糖が下がったのです。しかし妙に体がだるくめまいがする日があるとのこと。よく聴くと、どうやら低血糖症状を起こしていた様子。低血糖症状は大変危険です。健康食品でもけっこう効いてしまうことがありますが、副作用もあります。必要な副作用知識も持たずに健康食品を売りまくっている業者が多いことは問題です。
 
 健康補助食品とか、サプリメントいろいろダイエットに関するものはありますね。
 外国製の健康食品などで、危険なものがあるようなのですが?「難病が治った」式の派手な広告宣伝もあるようなのですが?

 中国製で「糖尿病に絶大な効果!」と宣伝している健康補助食品がありました。調べてみると、なんとアメリカや日本から取り寄せた糖尿病用医薬品を磨り潰し、固めなおして販売していた事が判明しました。効くのは当たり前ですが危険性は想像を絶します。ダイエット食品にも糖尿病の方が用いる食後の糖の上昇を抑える薬を混入させていたことがあるようです。


健康食品による健康被害は実は多く出ています。中国製のダイエット製品で肝障害が出て死亡という記事はまだ記憶にも新しいと思います。外国のもので、もしわけのわからないものが入っていて健康被害が出てもなかなか言って行けませんから手は出さないほうがいいですよ。

健康補助食品・サプリメントなどは、日本製・外国製など種類も豊富で、高価なものがあります。

宣伝のチラシは毎日のように入って来ます。弊害も多いので、薬剤師に相談すべきでしょう。殆どお奨め出来ないものが多いのではないでしょうか。

 日本でも中国から個人輸入した健康食品で女性が肝障害で亡くなりました。とんでもないものが入っているのですね。
 可能性は大いにありますね。ここが大事です。個人輸入で日本の法律をすり抜けています。もし何か障害がでましても「自己責任」です。 外国のものは特に危険なものが多いと思ってください。特に個人輸入されたら「自己責任」になります。日本では薬事法で認められていない医薬品を個人輸入することも可能です。でもすべて「自己責任」になりますので。
 この前、アガリクスの乾燥きのこをブラジルから取り寄せたと言う人がいて箱を見せてもらったのですが、すべてポルトガル語。文句を言われるのならポルトガル語で言ってください。もし何か健康被害が出たときはどうするの?と聞いたら困っていました。健康になれる食品なんだから安心。薬のような副作用が無い、と思ったら大間違いです。