今の韓国ブームをどう思われますか?
 今週のゲストは、平和資料館草の家事務局長の金英丸(キム・ヨン・ファン)さんです。金さんは韓国のご出身で、東アジアの平和運動に関わられています。
 今日のテーマは「今の韓国ブームをどう思われますか?」でお話を伺います。テレビドラマの「冬のソナタ」のヒットで日本人にかつてない韓国ブームが起こりました。これについて金さんのご意見を伺います。
 最近は日本人女性がたくさん韓国を訪れています。韓国の観光地も賑わっているようですが?この傾向について、金さんはどう思われますか?
 一番最初に思うのは、韓国は一番近い国だった。日本の方々が、たくさん訪れることが嬉しく思います。2年前に日本へ来ましたが、画期的な変化です。
 たくさんの方々が韓国を訪れて、韓国社会に対して、歴史に対して知ることができる。それは大変嬉しいことです。もっともっと近くなればいいのではないかと思います。
 女性がたくさん韓国へ行かれることが、親しみを感じることになったのでしょうか?
 でも「冬のソナタ」のブームで、私の名前が金英丸(キム・ヨン・ファン)なので、「ヨン様」と言っていますよ。あれはドラマもそうですが、社会現象なのですね。どうして日本でブームになったのか。それは日本の男性に怒っている女性たちの警告ではないかと思います。
 何かと言いますと、ヨン様みたいな人、ドラマの人物ですが、やさいい男性を求めている。日本の男性がそうではなかった。日本の男性は仕事や高度成長とかで忙しく、それに対して日本の女性たちが怒っているという「メッセージ」ではないかと私は思っています。
金英丸さん 高知の「ヨン様」と自己紹介しています。と流暢な日本語、土佐便で話される金英丸(キム・ヨン・ファン)さんです。
 少し観点を変えます。先般開催されました中国でのアジアカップサッカーの決勝で、日本と中国の試合のとき、韓国人記者が気がついたら日本の応援をしたようだと書いている記事を読んだことがありました。韓国の人達の対日感情は変化したのでしょうか?
 今日本語を学んでいる外国人で一番多いのは韓国です。私の学生時代では第2外国語はフランス語やドイツ語を学ぶ学生が大半でした。今は学生の半分以上が日本語を第2外国語にしています。
 だから若い人でも日本語を話す人は珍しくありません。また年配の人は植民地時代に強制的に日本語を学ばされた世代の人達もいます。文化の面でもアニメや歌やゲームも入っていました。わたしも日本の歌で育ちましたし。
 日本で考えるより「反日感情」というものは、感情面ではあまりないのではないかと私は思います。
 韓国での日本の大衆文化の開放は今はどの程度まで進んでいるのでしょうか?アニメや音楽での交流はますます盛んになるのでしょうか?韓国は国策でエンターテメントに力を入れているようなのですが。
 特に映画に力を韓国はいれています。映画をものではなく「文化産業」として位置づけているからです。ハリウッドの映画に対して、自国の映画を守る。最近では韓国の映画を優先して皆見るようになりました。
 それと日本の大衆文化の開放と言われていますが、ビデオテープとか、CDとか、国が言わなくても、大勢の人達が日本と行き来していますから、借りたりしますと気軽に見たり、聞いたり出来ますね。
 私も韓国の映画館で見る前に、ほとんどの宮崎駿のアニメを見ました。若い人は殆どそうでした。井上陽水も知っていましたし。文化というものは、規制をしても、自然に流れるし、交流するのは当たり前だと思いますね。
日本へ来る観光客で一番多いのは韓国人。韓国へ来る観光客で一番多いのは日本人。そのなかでお互いの文化も流入し合うのですから。
 日本人でハングル語を勉強している人も増えているのでしょうか?
 もちろん増えています。わたしも、全部希望者に教えることが出来ません。ソウルにも日本の学生がたくさん来て、韓国を学んでいる人がたくさんいます。韓国の語学学校も半分以上は日本人です。
 韓国人は日本を意識しすぎ、日本人は韓国に今までは無関心でありすぎたように思います。「対等な関係」のためには、両国民の意識はどう変化すればよいと思われますか?
 韓国のなかには日本の植民地時代の歴史的なものがたくさん残っています。建物もそうですし、日本の文化であれ、「残りもの」がたくさんあります。生活の中にあります。
 意識しなくても日本のことが、生活の中にあるのです。日本人全体がああだこうだ。韓国人全体がああだこうだととはあまり考えません。
 と言うよりも自分の目線で考えること、知り合いとか、等身大の交流が進めば、お互いの理解が進むと思います。人間としての交流が大切であると思いますね。
 大阪市平野区は、市民の10分の1が、在日コリアンの人達ですね。税金も納めている。でも参政権がないので、地方参政権を認めるべきだという運動もありましたが。
 それは在日の方にもいろんな考え方があると思います。基本的には税金を払っているのだから、それにふさわしい権利がないことはおかしいことです。
 選挙権だけの問題だけではありません。例えば朝鮮学校のような学校には行政から補助金が出ません。学校の施設が老朽化しています。国立大学の受験資格の問題でも差別的なことがいまでも残っています。
 社会全体の在日韓国・朝鮮人の問題を見ることは、韓国を見るときにとても大事です。また在日外国人の地方参政権問題は、在日に人達の意思を反映するのが一番大事であると思います。
 焼肉、プルコギ、垢すり、買い物以外にお勧めする韓国の見所はどういうところなのでしょうか?
韓国で行われた、高知県の海洋深層水のPR風景の様子。市場としては大変魅力的であるとのことです。
 日本の皆さんにお勧めするのは、日本に似ているもの、違うものは何か。伝統であり文化を味わっていただきたいですね。
 韓国ではご飯をテーブルに置いて食べます。日本は手に茶碗を持って食べます。日本では「行儀が悪い」と言われることは、韓国ではいいことです。
 お互い似ている文化ですが、異なることもあります。比較しますと研究になりますし、凄く面白いことではないでしょうか。
 キムチは今や日本でも市民権を得まして、量販店などの漬物コーナーのかなりの部分を占有しています。キムチ以外の韓国の料理は日本になじんでいくのでしょうか?
 いっぱいありますよ。韓国料理は唐辛子の入った辛い料理を連想されますね。でも唐辛子は豊臣秀吉が朝鮮を侵略したときに、日本から韓国に入ってきたものです。
 韓国料理の半分以上は辛くないものです。韓国へ来られたらお分かりになると思います。
 確かにキムチも韓国のものはそれほど辛くはありませんね。

 唐辛子の種類が違いますね。唐辛子の入っていないキムチもありますし。辛いものは韓国料理という先入観ではなく、韓国へ来られて韓国料理をたくさん食べてください。
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