日韓両国民の歴史観と社会観について
 今週のゲストは、平和資料館草の家事務局長の金英丸(キム・ヨン・ファン)さんです。金さんは韓国のご出身で、東アジアの平和運動に関わられています。
 今日のテーマは「日韓両国民の歴史観と社会観について」でお話を伺います。昨日は日本での韓国ブームの背景についてお話を伺いました。歴史、とくに20世紀以降の歴史については両国民の意識は全く違うのではないでしょうか?
金さんが韓国で受けていた歴史教育とはどういうものなのでしょうか?私が以前視察した韓国の中学校でも半分以上歴史の授業が反日教育であったと思いましたが・・・。

「反日教育」という言葉自体が私は問題があると思います。「反日感情」とか「反米感情」とか。


 日本では朝鮮との歴史に関して、知らない人は多いですね。朝鮮の立場に立てば、朝鮮が日本の植民地にされたのは、1910年、以後35年1945年まで36年間の歴史があります。


 日本で歴史に関心がある人は15年戦争とか、アジア・太平洋戦争について認識がありますね。でもその前に日清戦争、日露戦争がありました。その戦場は朝鮮でした。


 100年にわたる近代化の歴史の中で、日本との関わるを除けば、韓国の歴史はないのです。だからそれに対して何があったのかを教える。もちろん今は、反日というより、その歴史をどう受け止めるかは、子供達の判断です。


 最近は東アジア全体で、日本、韓国、中国で歴史教科書をつくる動きがあります。日本の市民団体も関わっています。今年から来年出版されると思います。

キム・ヨン・ファンさん
草の家でパソコンに向かう金英丸さん
 それが確かに一番いいと思いますね。各国の民族意識はあろうかと思いますが、調整して「東アジア」という歴史をこしらえて教えることはいいことですね。
  日本では20世紀以降の近代史は、3学期で教えられ、入試にもあまり出題されないのか、生徒の関心は殆どありません。日本では「歴史と向き合う」授業形態になっていません。
 金さんも高知の学校へ教えに行かれてそのあたりも感じられますか?
 そうですね。例えば韓国の小学生であれば、豊臣秀吉とか伊藤博文のことをよく知っています。日本の学生は殆ど知りません。韓国の関係だけでなく、日本の未来のためにも、日本の近代の歴史を知ることが大事な部分であると思います。

日本の植民地時代の謝罪や、補償を求める韓国の人達の抗議運動の様子。

日本政府は最近になって、当時の政府や軍の関与を認めました。具体的な補償措置は未だにとられていません。

写真は東京地裁に入廷する韓国の人達です。

在日コリアの人達は、大変な苦労して商業で成功された人も数多くいます。パチンコ店や焼肉店で成功されています。ところが韓国では儒教思想の影響か、商人を蔑視する考え方が根強いように聞きましたが、本当なのでしょうか?

 いやそれは違いますね。韓国のイメージとして儒教思想の影響、「男尊女卑」とか「年長者を敬う」ことは日本では儒教から来ていると思っている人はいます。
 儒教は宗教ではありません。生活の中で儒教的なものが残っているとは思いません。年配の方を大事にするのは人間として当然の感覚であって、儒教とは関係ありません。
 商売についてそのように思っているのかという話は初めて聞きました。儒教が韓国の社会では根強く残っているとは思えません。
 儒教とか昔の慣習に気を使い大事にしているのは、韓国の人より、在日の人達ですね。1945年に植民地から解放され、韓国は変わりつつあります。在日コリアの人達は、韓国で捨てた文化や伝統を大事にされています。
 一世はそうかもしれませんね。ブラジルへ移住した日本人の1世は「古き良き」日本の文化・習慣を大事にしていますね。移民社会へいきますとそのコミュニティでは、古い考え方、昔のことがそのまま残っています。それはどこでもそうですね。
 徴兵制度の影響について。韓国では男子に兵役があります。どのような影響があるのでしょうか?金さんの場合はどうでしたか?学業や結婚などにも影響があると言われているのですが・・・・プロ野球選手や芸能人まで徴兵逃れをして社会的な問題になっていましたが・・。
 私も10年前に行きました。普通大学1〜2年の時期に、2年間軍隊へ行きます。学校を休学して行きました。なぜかといいますと軍隊へ行かないと就職が出来ません。
 今考えますと20歳前後の時期の軍隊生活は実にもったいないです。それは韓国は基本的に韓国は分断国家であるからです。韓国と朝鮮民主主義人民共和国に分断されているから、そういう制度があります。
 最近北と南とは交流が盛んになっています。平和的なムードが高まっています。徴兵制度も募兵に変えるとか、軍隊だけではなく、ソーシャル・サービスセンターへ行って仕事をするとか。政治的や宗教的な信念で
軍隊へ行かない人もたくさんいます。
 南北関係が良くなれば軍隊は縮小されるべきでしょう。韓国の若者にとっては軍隊生活は不幸なことです。自由がありませんからね。
 日本の若者をうらやましく思っている理由ですね。
 プロ野球選手や芸能人はピークの時期が短いですので、焦るのでしょうね。
 韓国ではお金のある人も地位のある人も行かねばならない平等な制度が軍隊です。昔はお金を使って、自分の息子を行かせないようにしました。そのブローカーもいました。
 兵隊は少なくなってほしいと国民は思っています。「徴兵を募兵に」を公約の一つにしている大統領候補もいます。

2年間人生の一番大切な時期を軍隊で過ごさなければならないことは大変辛いことです。

最近では「良心的徴兵拒否」をされる人も多くなっていると金英丸さんから聞きました。

 日本人はアジアの人に対し、蔑視し、優越感を抱いている人が多くいるのではないでしょうか?その原因はなんであると金さんは考えられますか?
 日本に来て一番感じたことは、日本の社会全体がアジアにいる感覚がないのではないでしょうか。日本人はハワイとかアメリカに近い意識を持っています。
 日本はアジアにあるのですが、そのことが日本へ来たときは衝撃でした。もちろん日米関係、日米安保の面でも大きな影響があることはわかります。
 日本がアジアを意識することは「自分を知る」ことなんですが、それに対して、目を外に向けている。アジアではなくて欧米の方に向いている。
そのことが今も残っている。顔も肌の色も似ています。
 私は日本がアジアを意識することはとても大事なことであると私は思っています。
 最近韓国は、日本海という名称を、「東海」と名称変更をするように国際地理学会などに働きかけています。この動きは民族主義的で理解できませんが。
 韓国では昔から東海と呼んでいます。韓国の東にあるから東海、西にあるから西海といいます。昔から日本は韓国や中国、ロシアとも領土の問題で緊張関係を持っています。
 結局日本がどういう認識を持っているか。相手の立場も考え対話によって解決すべきであると思います。 
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