平和のために出来ることは?
 今週のゲストは、平和資料館草の家事務局長の金英丸(キム・ヨン・ファン)さんです。金さんは韓国のご出身で、東アジアの平和運動に関わられています。
 今日のテーマは「 平和のために出来ることは?」と言うテーマでお話を伺います。金さん自身韓国時代から平和運動をされてこられていました。
 21世紀になりましてもアフガン空爆、イラク戦争、中東でのテロ、アフリカでの内戦など戦火が途絶えることはありません。
各市民が行動できること、今すぐしなくてはいけないことは、どのようなことがありますか?
「事実をはっきり知ること」が一番大事な事です。歴史を知ることも大事です。近代の歴史、日本と朝鮮半島、日本と東アジアの歴史などです。戦争の歴史も知ることが大事です。
 次は何かと言いますと「考えること」です。報道に対して、政府の言うことを「鵜呑みに」しないことです。自分の力で考えることです。

 それから「自分の意見を言うことです」自分の意見をと違う人と議論をすることです。私が日本へ来て思うことはあまり議論をしないことです。お互い意見を持っている人、違う意見を持っている人にも、議論を避けたりしないことですね。
 やはり議論をして、この問題に対してはっきり自分の意見を持つこと。そして「自分が声を上げること」です。今日本では平和の問題、憲法の問題、自衛隊の多国籍軍への参加の問題。教育基本法の改正の問題。一杯ありますが、自分の持っている考え方をはっきり声を上げることですね。
 例えば近所の人達と話をする。新聞に投書をする。自分の意見を政治の場で反映させることが大事です。
 みんなが黙っていて自分の意見があるのに、声を出さなければ、世論としてつくれません。「平和は大事だ」と思うのであれば、どの手段でもいいので「声を上げる」ことが大事であると思いますね。

東アジアの歴史と平和を考えるシンポジウムの様子です。東アジアの人達が参加されています。

金英丸さんは左端にいます。

日本人は韓国人に比べ政治や平和に対して関心が薄いのではないでしょうか?両国の事情をよく知っている金さんはどのように考えられていますか?
 平和に対しても運動も熱意も日本にはたくさんあります。また歴史も長いと思います。例えば政治の問題は話をしない。タブーにされている面がありますね。
 政治は自分が払っている税金の使い道を決まることですね。それと平和の問題は、自分の命と関わっている問題ですね。自分の使っている税金の使い道を決まることは何より大事であると思います。
金さんが参加された平和行動はどのようなものがありましたか?おかまいない範囲でご紹介ください。
 最初は強制連行された人達の遺骨を掘り起こす運動をしていました。日本と在日コリアの若者と韓国へ行き調査をしました。あちことの日本軍の
慰安婦だった人を訪ねて戦争の傷跡を尋ねたりしていました。
 高知へ来てからは、小学校や中学校へ行き、韓国の歴史、朝鮮半島の歴史、日本との関係などを話をしました。料理もつくるし、歌も唄うし。東アジアの人達が幸せが出来る活動をしたいと思います。
 私が直接会って話をしたりすることが一番大事であると思います。
 金さんが考える平和運動のやり方はありますか?日本では「護憲勢力」などはくどんどん衰退していますが・・。
 セクト主義もあるし。本気で政権をその党にあるのでしょうか?野党の位置で満足してきたからでしょうか?
 もっと幅広く議論をすべきでしょう。護憲か改憲かで線引きすると議論には参加できませんし。
 安田純平さんを高知へ招く会なども、私などもノンセクト有志でしています。とくに若い人たちの参加をお願いしたいと思っています。
 政党や労組の組織の人達も「このままではいけない」と思っているはずです。その人達とも連携して組織自体も変えないといけないでしょう。

 そういう人達の組織は頑固だし、硬直していますね。
 自己批判しませんし。だからつぶれるのでしょう。
 金さんの話を聞いていますと組織に入る人ではないですね。文句を言いますし。
 そうすぐ文句を言います。平和に関しては立場は自由ですし。韓国でも学生運動はセクトが介入してきてつぶれました。自由に発言し行動することがなにより大事ですね。 金英丸さん
 核兵器は原水爆禁止運動の展開にもかかわらず廃止されるどころか、拡散傾向にあります。それはなぜなのでしょう?核廃絶の運動は無力なのでしょうか?
 日本の反核運動の伝統はひじょうに強力です。世界的にも唯一の被爆国です。しかし今世界での核兵器をめぐるシステム自体をNPT(核不拡散条約)というものを問題ですね。
 NPTは既に核兵器を持っている国は不問で、これから核兵器を持とうとする国には駄目だという不平等な条約です。
 素直に考えてすべての国々が核兵器をなくせばいいのです。イラクでも劣化ウラン弾などという核兵器を使用しているアメリカは、核実験を禁止する協定にも加入していません。
 それが誰が考えてもおかしいのです。北朝鮮やイランが核開発するのは危ないから駄目だと言う。イラクも同じことは言いました。実際核兵器を使用して世界で一番人々を殺戮しているのはアメリカです。

 核兵器は駄目であるとの信念です。国際政治に左右される「不平等な関係」もおかしいと思います。来年NPTの会議の再検討があります。それに対し、日本の平和団体が声を上げることが大事です。
 特に昨年はビキニ被爆50周年でした。自由民権記念会でも福竜丸の展示がありました。水爆実験の被害を宿毛や須崎の漁船も被害に逢っています。今年高校生を連れて韓国のプサンに行きました。日本の漁船がいけなくなったビキニで被爆した韓国の漁船もありました。
 韓国内にも広島、長崎で被爆した人が7万人ぐらいいます。その人々の支援が大事です。

 最後にお伺いしますが、「私達でも出来る平和運動」について提案事項などございましたら、お願いします。
 
 最初に申し上げました。物事を正確に知り、議論をして、声を上げることです。平和運動というものは特別なものではありません。平和は「あるもの」ではなくて「私達がつくっていくもの」なのです。
 平和は動いているものです。そのために何ができるのか。足元で自分の周りの人達と手を結んで、その人々と連帯することです。
 国を超え、民族を超えて、平和のために連帯することです。平和でなければ何も出来ません。平和のための何が出来るのかを1人1にで考えて動きます。
 平和は1人1人がこしらえていくものです。みんなが平和運動家になる。そう思います。
 
 安田純平さんを高知へ招く会のホームページ    http://blog.livedoor.jp/kt1541/
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