法制定と人権との関係は

 今週のゲストは弁護士の小松英雄さんです。今日のテーマは「法制定と人権との関係は?」でお話しを伺います。
 最近「有事関連法案」とか「個人情報機密法」など国民生活に身近な法案が国会で議決されています。印象では国の権限を拡大、個人の権利を制約するように思われます。実際の話はどういう具合になると考えたら良いのでしょうか?
 まず「有事関連法案」なのですが、陣地の構築など民有地が接収され、物資の調達なども軍事優先になりそうです。市民としてどう向き合えば良いのでしょうか?中谷元さんにそのあたりを伺いましたが、「基本的人権に配慮して行う」言われてはいましたが。

有事の際、民有地の接収なども行いやすくするのが「有事関連法案」である。「基本的人権には配慮する」との事なのであるが・・・。

 なかなか難しい問題ですね。私個人としては基本的には国民に十分に情報が流されることが大事であると思います。市民が十分に知った上で判断する。それが大事です。
 今の社会、政治の世界を見ていますと、情報が出るのが「後出し」になります。
 有事関連法案にしましても国民に十分に情報が与えられ判断できるようになるべきであると思います。
 「個人情報機密法」ですが、民間企業の個人情報の漏洩などには厳しく、行政機関には甘いように思われます。メディアの規制などに向かうのでしょうか?
そうですね。弁護士をしていますと個人情報だという理由で、裁判所を通じて情報を入手しようとしても集まらない場合があります。特に行政側が個人情報を理由にして出さない。例えば固定資産評価なども出さない。プライバシーではない場合も出さない。
 一方で大量に情報が漏洩したりするなかで、情報を管理する側が、自分のもとに置いて、一方的に管理する。どうもそれが問題のようですね。さきほどの有事関連法案もそうですが、「どういう場合にどうなる。」という情報が十分あって判断すればいいのですが、情報が十分に流されないまま判断を迫られてしまう。そういう状況になっているのではないか。
 選挙で選ばれた国会議員の国民年金に関する情報なども、「個人情報だ」と言って情報開示しない人達もいました。そのあたり小松さんの言われるような心配があるのでしょうか?
 少なくても政治家、選挙で選ばれた人は、「公人」です。プラーバシーよいうのはごく少ないものだと思います。この間の年金問題で、払っている、払っていない問題はプラーバシーだと言って逃げられる問題ではありません。だからそういうところは選挙で選ばれた人間は認識いただきたいと思います。
最近法科大学院なども設立されまして、司法試験を目指す若い人が増えました。
 法律家を目指す若者にメッセージなどございましたら、お願いします。
 これから法学部卒業者でない学部卒業者は3年間。法学部卒業者は2年間の法科大学院が全国で55校程度開設されました。その過程を終了したら司法試験を受けます。その合格率は50%超えるようになるでしょう。
 それから修習をして裁判官や検事や弁護士になります。以前より法律家になりやすくなりました。これから法律家になりたい人は法科大学院をめざして行けば良いと思います。
高知検察庁。法曹界を志望する若者が増えますと検事になる人も多くなるでしょう。
 1日目に「裁判員制度の話し」を聞きましたら一般市民が司法に身近になりますね。一方で法律家になる人達が増やしていく社会になっていることですね。
 高知県でも現在弁護士は55人です。今の新しい制度で弁護士が増えていくとすれば、その6倍の330人程度になります。そうなれば事件が増えていくかわかりません。社会があるかぎり、いろんな問題がある限り、仕事はなくならないと思います。
 法曹者の数が問題ではなく、どんどん若い人も目指して頑張っていただきたいと思います。
 日頃仕事で、小松さんが市民に対して感じていることなどありましたら、メッセージをお願いします。
 弁護士の世話になりたくないと思っている人もおられるでしょう。でも何か困ったことがあった場合、あまり早とちりして決め付けないで、専門家に相談していただきたいです。
 病気をした場合、自分で診断して治すのではなくて病院へ行き,医者の診断を受けますね。医者の診断を受けると同様に、社会でのトラブルは法律の専門家である弁護士に相談して早く解決するように考えていただきたいのです。
 自分が解雇されたり、経営者で会社が破綻したりした場合も法律の専門家である弁護士に相談すべきであると言うことですね。
 だいたいわたしども弁護士のところへ来る相談は、絡み合って複雑になって、どうしようもない形で来る場合が多いでです。もっと早く来ていただいたら、解決できることがあります。
 例えば3年かかってトラブルになってしまえば、それを解決するには3年とは言わないまでもかなりの時間がかかります。それが1ヶ月2ヶ月であれば早く解決できます。あまり問題が複雑にならないうちに専門家に相談していやだきたいですね。

 病気も重体にならないうちに、早めの診断、はやめの治療が必要であるということですね。
それと同じであると思います。
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