日本の林業経営はどうなっているのか?
 今週のゲストは国友林業代表者の国友昭香さんです。国友さんは土木建設業や他の事業も手広く展開されています。数年前から有機栽培の日本茶の栽培にも取り組まれています。
 今日のテーマは「日本の林業経営はどうなっているのか?」でお話を伺います。高知県でも伝統ある馬梁瀬の営林署が廃止になったり、林業経営の環境の厳しさを感じます。
実際の林業経営はどうなのでしょうか?山林の価値は下落しているのでしょうか?

本当に下落どころではありません。林業というものが生業として成り立たないというところまで来ています。非常に厳しいという事で片付けたくはありませんが、どうやっていけばいいのか?国も県も施策は打ち出してはいますが、現実にはどうにもならない切羽詰った状態です。

日本を代表する大きな面積を保有されている林業経営者にしても経営が立ち行かないのが現実なのですから。

そのなかで、高知県森林環境税を独自に県民から徴税しています。「山の日」を設けて啓発活動もしているようです。国友さんから見られて効果はあるのでしょうか?
 はい。林業にというよりは、県民の意識として山に関心が高まったということ、山がひじょうに大変な状態にになっていることを理解していただく過程としましては評価できます。それが即山が良くなることに繋がるかといえば、1年2年とイベントばかりで少し行政の方も飽きたような状況のようです。
 本当に根付かせる。山元に効果があると言うところには時間がかかると思われます。
高知山の日の行事の様子です。高知県ホームページより転載
 
最近では「排出権取引」が具体化しています。ビジネスになっているようで、森林が二酸化炭素を吸収する効果があるので、取引の対象になっているようなのですが。測定作業の委託などで森林学科の大学は忙しそうでしたが・・・・。国友さんの業界の方でも何か関係はあるのでしょうか?
 業界では現実的には全く関係ありません。大日本山林会が出版されています「山林」という月刊誌があります。資料を読んだりしまして勉強中ですが、ちんぷんかんぷんで、正直申しましてわかりません。
 本当に山元の森林整備として効果が出るまでには、まだまだ時間がかかるのではないでしょうか。そういう風に思いますね。
 林業経営がひじょう厳しい現状については理解できました。山や森林に対する憧れを日本人はかなり持っています。明るい展望についてはどうなのでしょうか?
 バイオマスであるとか最近言われてはいますがよくわかりません。国友さんのほうで、耳にされたような情報はありますか?動きなどありましたらご紹介いただきたいのですが・・。
 現実的には丸太の材価の問題や、建築基準法の問題もありまして、林業経営が明るい方向へ良くとは思えません。全く新しい情報で夢のある話も出ています。
 自分の好きな言葉では、松下幸之助先生の「行く道は無限に従え、事にあたって行き詰まるということはない。行き詰る考え方をしているだけである。」という考えが好きなんです。
 いろんな資料を見ていますと新しい方向としまして、石油に代わる資源として森林を活用しようということが言われています。みなさんご存知のように石油は近いうちに涸渇します。あと何10年かと言われています。
 そのなかで再生可能で、循環型資源として森林が考えられています。「バイオマス」と言うエネルギーとして。「バイオプラスチックス」という炭素化合物ですので、分子を利用した石油製品に変わるプラスチックが出来ないだろうか。そうした研究がどんどん進んでいます。
 これが現実になりますと山のなかに、物凄い資源が眠っているということになります。それはすぐ実現することではないかもしれませんが、ただの夢ではなくて、山元を潤す情報としてぜひともこういうことが進んで行ってほしいなと考えます。
森林経営者を対象とした専門誌「林経協月報」。森林経営についての情報が掲載されています。
 そうですね今から40年ぐらい前から、石油やガスによってエネルギー革命が起こりました。そして石油の汎用樹脂によりまして多数の製品がつくられています。石油の前は石炭の時代があり、その前は木炭の時代がありました。炭の時代もありました。
 紙も和紙であり、高知の山林は豊かな時代がありました。先ほどの国友さんのお話は、昔にかえるのではなくて、石油が持っている多様な機能を木材によって代替できる。そうなりますとリサイクルと言う観点、環境面、資源の無限さを考えますと現実味のある話になりますね。
 そうですね。今の木材の利用状況あんおですが、歩留まりといいますか、丸太が実際に利用されている比率は半分以下なのですね。30%切れるぐらいですね。後は廃材になっています。それがプラスチックになり、エネルギーになりますと、再生できる資源として素晴らしいことに思います。
 私はすぐに現実を確かめたいと思うほうなので、これから北米の材がどんどん入ってくると言うので2年ほど前にカナダへ行ってきました。厳しい環境の資源は一度壊されますとなかなか再生できないそうです。
 日本の森林資源は高温多雨で、どんどん再生できる資源と言うことで、これから期待できると思っています。
石油製品の加工品はたくさんあります。食品用トレーラップなどです。廃棄の問題が大きな環境問題になっています。
土佐備長炭の釜(室戸市吉良川) 和紙の原料の楮を干しているところ。
*県下の中山間部は炭や和紙の原料を供出し豊かでした。もう一度見直されています。写真は蕭紅燕(ショウコウエン)さん提供