平和のため 子供達のためにやれることは
 今週のゲストは、保育士の松尾美絵さんです。今日のテーマは「平和のため、子供達のためにやれることは」ということでお話を伺います。
 「安田純平さんを高知へ招く会」や平和運動への関心、子供たちを通じた社会などのお話を聞かせていただきました。今日はまとめであります。
 率直にお伺いしますが、今の日本の状態はどう思われますか?政府は「武器輸出禁止3原則」も緩和しようという動きもあるようなのです

 いろいろな法律を国民的な議論もおこすことなく次々と作って戦争の準備をひたすら進めています。日本の国であっても、あるいは外国であっても、まさにいつでもどこでも軍隊を動かし戦争が出来る状態にしようとしています。
 「武器輸出禁止3原則」も緩和して、日米軍事同盟をさらに強化し、アメリカと一緒になって技術的により高度な武器の開発を自由に行えるようにできるようにするためです。

ミサイルの迎撃のように、いろいろな場合を想定して、それらに対抗しようとする武力はこれでよいという到達ラインはないと思います。


 本当にイタチゴッコのように果てしなく続くと思います。

 組織や政党にも関係ない市民が声を上げるには勇気が要ります。松尾さんを動かしている動機(モチベーション)は何なのでしょうか?
 政治は何も国会議事堂と内閣府のなかにあるだけではありません。一般の市民生活の中にこそ政治の基本があると考えます。国内にはいといろいろな考えや意見があるにも関わらず、それらを代弁し、力や表に出していく大きな勢力や組織がないに等しい状態です。
 そうであるならば、1人1人の市民が街へ出て声を上げるしかないと思います。
 私は未来を担う子供たちに強い軍隊を残すことより、暴力的な恐怖に脅かされることのない、平和で友好的な日本を残したいのです。
 戦争では真っ先に犠牲になりのは子供たちです。子供たちを戦争に巻き込ませないために私たちが出来ることは何なのでしょうか?
バグダッドでの中谷元さん

 昨年5月にイラク現地を訪問された中谷元・元防衛庁長官。バクダッドで子供たちと記念撮影されています。

(写真は中谷元さんより提供いただきました。)

 そうですね。抽象的な言い方ですが、「自分を知り、相手のことを知りたければ」、話しあうことが言うことが一番大切です。暴力的な力でねじ伏せても一時的なものであって、怒りはどこかで爆発してしまいます。
 お互いの違いを大切にして、意見や価値観の違いを認め合う生活文化を日常のなかで作り上げていくことだと思います。そして他人の思いや立場をもしそれが自分の立場だったらという、想像力(イマジネーション)をふくらませることが大事だと思います。
 それらと平行して大人たちは自ら身体を張って戦争行為には協力しない姿勢を見せることだと思います。
 憲法改正を支持する国会議員が議席数の3分の2以上いるそうです。憲法は改正すべきなのでしょうか?
 憲法について論議をすることは良い事だと思います。しかしはじめに改正ありきような前提では自由な論議になりません。自分の考えを十分掘り下げて自分として確かなものをもつべきであると思います。
 私自身は平和憲法を掴んで離したくはありませんので、改正の必要はないと思います。

 若い人達が社会に関心がないかといえばそうではありません。2002年高知で開催されました「よさこいピック(障害者スポーツ大会)では多数の学生がボランティアで参加しました。

(写真は伊藤一統さん提供)

 松尾さんが若い頃と、現代の若者とを比較されて何が異なり、何が共通なものがあると思われますか?
 いつの時代にも若者の水々しい感性とあふれるエネルギーに変わりはないと思います。ただ現代の若者は物質的には豊かになり、身の回りのこと、その場限りのこと(笑いのようなもの)を求めがちです。できればと言うよりも、私の願いですがプラスアルファで、社会に対する視点も持っていて欲しいと思います。
イラク変遷集会
昔(1970年前後の反戦運動の様子)
今の反戦運動の様子
 最後に若い人達へのメッセージがあればお願いします。
 携帯電話を片手にしていましても、人と人とのコミュニケーションや、出来るだけ直に向かいあって全体として捉える事、そしてより幅広い人達との連帯感を持っていただきたいですね。
 最後に10年後、20年後の自分はどうなっているのか。日本の社会はどのようであって欲しいとか。あるいは未来の地球環境まで含めたグローバルな視点と思いを持ちながら、今現在の自分を生きていって欲しいと思います。
10月番組に戻ります