シオマネキが世界を変える

今週のゲストは、高知大学理学部自然環境科学課教授の町田吉彦さんです。今日のテーマは「シオマネキが世界を変える」でお話をいただきます。
 シオマネキは干潟や河口域、沿岸域に生息するかにです。高知県評価は「絶滅危惧1A類」に指定されています。四万十川、仁淀川のみならず浦戸湾周辺でも生息が確認され、新堀川でも生息が確認されています。
 シオマネキが生息している生態系は自然環境が良好なのでしょうか?
新堀川で生息しているということは、新堀川も自然環境が良くなったということなのでしょうか?
 そうですね。昔高知パルプがあったことからいいますとはるかに良くなったということですね。カニも住める環境になったということです。
現在新堀川は都市計画道路が計画されています。関連資料は「かにっ子たちも住める「みち」づくり」となっています。市街地における自然環境に配慮した住民参加によるみちづくり。とあります。計画や経過は観察されていかがでしょうか?
 現状ではシオマネキはちゃんと新堀川で生息しています。2歳か3歳くらい前のシオマネキです。彼らは環境が良ければ7〜8年は生きますので、以前よそへ移植した後に出てきたものです。
 われわれからみたら汚い新堀川ですが、シオマネキから見たら、これ以上ない環境ですね。私は1年間かけてシオマネキの生息環境を浦戸湾で調査しました。僅か2箇所しか見つけていません。
 その1つが新堀川です。
須崎湾のシオマネキ
新堀川で生息している様子(写真は町田吉彦さん提供)
調査書によりますと、シオマネキは新堀川から高知市瀬戸地区に移植
されました。移植は上手くいったのでしょうか?その後追跡調査されてのでしょうか?
 私が観察した限りでは移植した場所いにはシオマネキはいませんでした。
 移植は難しいのでしょうか?人工的には。
 シオマネキのオスの場合は縄張りをつくります。新参者はなかなかその移植先で生きることは難しいものです。生物の常識だと思います。
 環境がいきなり変わることは、人間でもストレスが溜まりますね。
 そうだと思います。
 浦戸湾が生息している場所は、町田さんの調査によれば2箇所ですね。その1箇所が新堀川ですね。
 その新堀川の生息地も、今回の都市計画道路によって危なくなるということですね。
 そうですね。生息地の2箇所のうち1箇所がつぶれてしまえば、残りは1箇所。そうなれば浦戸湾ではシオマネキは絶滅ということになりかねません。
 資料の中に「干潟の再構築」とあります。人工的に可能なので しょうか?成功事例はあるのでしょうか?
 不可能ですね。シオマネキがなぜ絶滅危惧種になったかといいますと、環境が変わったからですね。
 干潟をつくることはできません。作っても他のカニは棲めますが、シオマネキは生息することは出来ません。
 有明海などは巨大なトラクターで「浜辺を耕して」います。そうしませんとアサリは生息できません。砂地ですと砂が硬く締り、アサリは潜れなくなり生息できなくなるからです。人工干潟はすべて失敗しています。
 絶滅危惧1A類カニであるシオマネキがいるといないでは、自然環境は大きな変化がありますね。生態系の影響は大きいですね。

 そうですね。絶滅危惧1A類の後ろには膨大なバックがあるのです。

 新堀川周辺の河川や道、石垣などはなかなか風情があると思いました。


 むしろ歩道を整備し、高木を植え、自然のビオトープ公園として整備 されてほうが、話題を呼ぶと思います。シオマネキの存在が市民と行政の意識を変えるのではないでしょうか。

 ビオトープというのについて一般の人には誤解があると思います。誤った考えがあると思いました。
 ビオトープは特殊な動物群集といいますか、浦戸湾であれば、エガニ、アカメ、そういうものが棲んでいる。泥地ですね。自然にそういう特殊な動物が集まって棲んでいる。その状況をビオトープと言います。
 ですから池をこしらえたり、人工のものをこしらえたりしていますが、そんなものはビオトープではありません。
 それを行政が積極的にこしらえようというのは、わたしはいかがなものかと思います。
 自然の群集で出来上がったのがビオトープであって、人工的に石垣をこしらえたり、草を植えたりするのはビオトープではありません。全く間違った考え方なのでしょうか?
 私はそう思います。本来自然にある。特殊な動物が集まった環境をビオトープであります。
 浦戸湾とか、その一部である新堀川は、ビオトープと呼んでいいのでしょうか?
 
 そうなんです。新堀川を含め浦戸湾全体が特殊な生き物が棲んでいるオトープです。高知県には四万十川の河口もありますが、四万十川の淡水の影響が大きい。
 浦戸湾は流入する河川が小さいので、海水の影響があります。と言う具合に四万十川も浦戸湾もそれぞれが「ビオトープ」と言えます。
 浦戸湾に関しましては高知新港の外側に大きな堤防が計画されています。完成したときの影響はどうなのでしょうか?
 浦戸湾の流入河川の水質は良くなって来ています。しかし浦戸湾そのものの水質は良くなってはいません、かえって悪くなってきています。
 理由は「水の出入りが良くない」のではないでしょうか。それにもうひとつ構造物をこしらえた場合、より悪くなるのではないかと思います。

 大きな堤防建設によって、浦戸湾湾内の対流がより悪くなる可能性が考えられるということなのでしょうか?
その可能性があると思いますね。
新堀川を埋め立て暗渠にする道路計画図。樹帯緩和の効果も期待できない。再検討が必要な都市計画道路である。
 自然と市街地を分断する自動車道路づくりは、中心市街地の再開発に は全く繋がらないと思います。総事業費100億円のうち50億円は地元自治体(県・高知市)の負担です。無駄な公共事業だと思いますが。

 私はそのように思います。それよりみんなが水に親しむ遊歩道をこしらえ、ベンチに座って、アカメやシオマネキを眺めるほうが、良いと思います。遥かに良いと思いますよ。