高知が目指すモデル地域は?
 今週のゲストは、くろしお地域研究所研究員の松田高政さんです。今日のテーマは「高知が目指すモデル地域は?」でお話をお聞きします。
 当然目標が、東京やニューヨークは非現実的な話ですし、ありえません。松田さんは地域コンサルタントの仕事で全国各地を訪問されておられると思います。モデルとなる地域もあろうかと思いますが・・・
国からの補助金や支援策も少なくなる地方の自治体。生き残ることが難しいとは思います。方策はあるのでしょうか?
 いままで、国からの交付税や補助金や支援策に頼りきっていた自治体は、生き残ることが難しいと思います。高知県は自主財源少ないですし。私たちの業界も一緒で、仕事を行政に頼り切っているため、大変厳しい状況となっています。私も生き残れるように今模索中です。 松田高政さん
 最近そういう背景もあるのでしょう。市町村合併が進んでいます。これによるメリットと、デミリットはどんなところがあるのでしょうか?
 市町村合併は「まちづくりの手段」ですので、基本的にする・しないにかかわらず、また本当に自立できるか、できないかは別として、国からの補助金や支援策に頼らない自立の姿勢が重要です。
 合併しても自分達の住む地域は残るのですから自立したまちづくりが必要です。住民が行政と一緒に模索することは必要です。
合併特例債は有利な借金ですので、借金めあてに急いで合併したところは危ないと思います。今は合併しなくても、国に頼らない道を模索して、さらに効率的・効果的な地域運営を目指して、他の地域と一緒になるのであれば、その地域は理想的な合併によるまちづくりが進むと思います。
 今回は、有利な借金ができるというメリットはあったとしても、市町村は県と国に頼らない、住民は行政に頼らない住民自治の精神が確立しながら平行して合併の議論を進めるべきで、急いですべきでないと思っています。まあ、それはあとから考えると言うところもあるとは思いますが。
 

 各地fで市町村合併が進行しています。

 いの町での調印式のようすです。


 松田さんがモデルとされる地域はありますか?あるとすれば、それは何が素晴らしいところなのでしょうか?人なのでしょうか?
 私がすごいと思っている地域は熊本県水俣市です。かつて水俣病の対立の構図から、地域は割れ、イメージは落ちるとこまで落ちました。「環境先進地」になっています。
 見習わなければならないところは、「住民の対立を対話の関係に修復」しています。陳情も多かった地域ですが、今は陳情や愚痴を言うのをやめ自分たちでできることはやる自治の精神が浸透しています。今では環境先進地となり、 ユニークな職員がおられまして、「予算ゼロでなんでも取り組もう」国やお金に頼らない取り組みなど注目と応援をしています。
 住民参加のありかたですが。都市部の場合と、地域では異なるのではないかと思われます。松田さんは仕事柄いろいろと関わられておられますが、そのあたりはどうなのでしょうか?
 まちづくりはハードな(社会基盤整備など)ありますが、わたしが関わっているのはソフトな取り組みです。それは都市部も田舎も同じです。
 今「市民参加」などと言われていることが多いですが、私はこれからは、市民参加ではなく市民主体の取り組みに行政が側面支援をする行政参加の時代だと思っており、その実例づくりのお手伝いをしたいと思っています。
 後から行政がお手伝いするということですね、「市民参加」からこれから必要となりますのは「行政参加」ですね。
市民参加の梯子です。
 私がお手伝いした佐賀町のカツオのタタキづくり体験に行きました。漁協婦人部の皆さんが手弁当で頑張っておられました。場所もなく漁港でテントを張ってやっていました。最近になって行政がようやく建物が必要ですねということで、建物を建てました。今2000人くらいの人が来るようになりました。
 大方町蜷川地区の地域づくりは、主体は住民で行政は参加して側面的に支援していただいております。
 まちづくりの障害についてお聞きします。それはなんであると思いますか?
  意識ですね。まちづくりの言葉のイメージが、「市街地のハード整備」のように受け取られたり、専門的なイメージもあったりしています。そのためには分かりやすいメッセージと地域の情報を住民の方に届ける必要があります。
 「まちづくりって本当はむずかしいことじゃないんですよ、地域にとって良いことをすることすべてがまちづくりなんですよ」って。ごみ拾い一つにとってもまちづくりに入ります。心の壁やイメージを変えて行きたいと思っています
 まちのこんなところが好き、こんなものはいらないっていうような情報も積極的に発信して、みんなが関心や考えるきっかけづくりをもっとしないといけないですね。私のブログは趣味の世界もありますけど、まちづくりへのメッセージやまちの情報発信もすごく意識しています。自分の好きなことをしたり地域のことを思ったりすることもいろいろ関係ない情報も含めて情報発信に努めています。
 松田さん思われる理想の街とはどのようなところでしょうか?イメージがあればご披露下さい。
 収録の様子です、「緊張でどこどき」といわれていましたが、本番では落ち着いて、わかりやすくお話しいただきました。
   
 
 いろいろあって一言では難しいですが、街にはいろんな側面があって、どんな所でも良いところがあり、悪いところもあります。私がイメージする理想の街は、目に見える形やバードの面じゃなくで、「住んでいて気持ちが良くって、誇りの持てる何かがある街っていいな」って思います。
 それを住んでいる人が外の人に説明できる。そんな人が多く住んでいる街が理想です。あと、住んでいる人の心が前を向いているかどうか。愚痴や文句ばっかり言う地域は嫌です。
 言いたい気分はわかりますが、これを横で聞く子どもはたまったもんじゃありません。「できることを自分で考えて行動しろ」って言いたくなります。自分の街のよさを説明できるひとが住んでいる街がいいなと思います。