アーチストと市民とのコミュニケーションについて
 今週のゲストはイラストレーターの中平順子さんです。今日のテーマは「アーチストと市民とのコミュニケーションについて」でお話しをお聞きします。
 芸術家と分類される職業の人たちとは、身内や親戚でない限り、一般市民は交流の機会がありません。県展や、個展などで交流されているのでしょうか?
中平さんは、9月の「おびさんマルシェ」にも出店されておられました。ブースで作品を販売されていました。市民との交流で得られることはあるのでしょうか?

 人との触れ合いで、やる気やヒントを得ることもありますが、一番は出会いがあってつながりができること。それが大事であると思います。出品してるアーティストの方と仲良くなる場合も多いし、他の出展者から刺激を受ける事も多いです。


 あとは作品を購入してくれるお客さんは知り合いもいますが、普通に街を歩いてて、作品を気に入ってくれて買ってくれる人も多いです。アート作品なんかはお客さんに気に入ってもらえないと、なかなかこちらから声をかけることはむつかしいのですが、少しでも気に入ってくれたらもっと作品をアピールすることもでき、その後に行う個展なんかに来てくれることも多いです。何らかの形でプラスになっていってます。おびさんマルシェは凄く楽しい場所になっています。

中平順子さん
個展なども開かれているそうですが、その場合はどうされているのでしょうか。アーチストの人たちには、こちらから話しかけることも「敷居が高い」と思うのですが・・・。難しく感じるのですが・・。

そうですね。わたしなどは、一番の目的は作品を見てもらう事です。販売が一番の目的ではないし、自分の考えを押し付ける気もないので私の方も積極的に話しかけるということはほぼありません。
 私なんかも人見知りをすることが多いのですが、作品を発表するということは自分の表現する事をいろんな人に見てもらいたいという気持ちが強いので、興味を持って話しかけてもらえるとこちらとしても話しやすいです。個展の会場に来る人の中には、「なんとなく入ってきた」とか「とりあえず見てみる」とかいう人も結構いるので、あまりうっとうしくつきまといたくはないです。
 好きなように見たい人もいると思いますので、私はあまり積極的でないです。軽く声をかける程度が多いですが、「敷居が高い」なんてことはないと思いますよ。お客さんから話しかけてみても意外と気軽に話してくえると思いますよ。
作品が全てを表現しているのであって、言葉で解説するのは適切ではないかと思われます。ただアーティスト側の意図と、評価が異なる場合もあるのではないのでしょうか?
おびさんマルシェの様子です。
中平順子さんのブースです。作品が販売されています。
そうですね。強いメッセージ性がある作品以外は、私は、作る側と見る側の意見が違っていても構わないと思ってます。これだけは感じ取ってもらいたいということがある時もありますが、世の中いろんな人がいるので、いろんな意見があってもおかしくないと思います。
 そういう意味で言うと抽象的な作品と言うのは難しいですよね。すごいと言われるる作品でもその作品が作られた背景がわからないと、なにがなんだか分からない場合も多いので、あまり深く考えないようにしています。単純な私は作者には申し訳ないんですが、抽象的でわからない場合は好きか嫌いでとめておくことが多いです。評論家でもないですし。
 街を歩いていまして、知らない作家の個展をみかけました。入場無料と書いてあるから入りました。そこで作家に話しかけても失礼ではないのでしょうか?
 気を悪くするとかはないと思います。喜んでもらえると思います。ただアーチストの人は喋るという人もいますが、人見知りする人もいますし。お客さんから話しかけられるほうがいいですね。
 おびさんマルシェのようにアーチストの人達が、ブースに作品を出されていたら話かけやすいのですが・・
 そうですね。わりと距離が近いですね。凄く可愛い作品ですね。とか、個展はしていないのですか?と話しかけられました。
 鑑賞する場合のエチケットなどありますか?またこういう鑑賞はしてほしくないというのはあるのでしょうか?
作家によりましては、作品に触ってほしくないと言う人もいます。基本的には美術館での鑑賞方法と同じように見てもらえると良いと思います。ただ、会場に入ってきて絵を見るなりすぐ出ていく人もいたことがあったので、一度入ってきたからには自分の好きな絵でなくても一通りは見て帰ってほしいです。
 

 8月であったでしょうか県立美術館で「トリックアート展」というのがありました。それは作品を撮影しても良い。触っても良い。ということで家族連れで大賑わいでした。

 ああいう展示の方法はどう思われますか?

 (トリックアート展 県立美術館)

「トリックアート展」私も見にいこうと思いながら個展の準備などでバタバタしてていけなかったのです。行かれた人から聞きましたが、子供が多く、家族で楽しんでいたようですね。触っても良いということはアートにぐっと近付ける方法の1つとして良いと思います。見るだけではわかならいものもあるし、子供も楽しんでアートに触れられるということは何か想像力をかき立てられるのではないでしょうか。
 屋外壁画や、屋外彫刻のように、身近なところに芸術作品があれば良いと思います。中平さんはそのあたりはどう思われますか?「アートのあるまちづくり」なども良いとは思われますが・・・

 そうですね。賛成です。アートのある街づくりはとっても良いことだと思います。残念ながらアートは一般的に普段の生活になくてはならないもの、というものではないです。でも、だからこそ、町中にアートがあふれていたら心が豊かになるような気もします。
 以前スペインのバルセロナに旅行したときも、町中のあらゆるところに有名なアーティストの作品があるんです。歩道にガウディがデザインしたタイルが埋め込まれていたり、ピカソの壁画があったりミロのオブジェがあったり、ただの蛇口も装飾されたりしてて、なんだか街がいきいきして見えました。わたしは賛成です。
 高知でも屋外彫刻を街中に置くとか、アーチストの作品を展示するとかはまだやっていないのでしょうか。
 あまり聞かないですね。今確か「浦戸湾色彩計画」というのをやっていると思います。結構アート作品が高知の街に溢れかえったら面白い街になると思いますね。
 はりまや橋商店街ではあるアーチストの描いた幕(歌劇で活用)をフラフのように掲げていました。
 
中平順子美術館コーナーは  こちら  から