田舎暮らしを見直そう
 今週のゲストは、中嶋健造さんです。中嶋さんは会社に勤務される傍ら、いの町成山にて、棚田をこしらえています。
 今日のテーマは「田舎暮らしを見直そう」でお話をお聞きいたします。
 都市生活が進展し、高知市のいたるところで、全国チェーンのコンビニを見かけるようになりました。生活も夜型の人が増え、多資源消費型の生活になっています。
愛知万博でも、昭和30年代の家を再現した宮崎駿氏のパビリオンが大人気です。
井戸があり、かまどがあり、お風呂は薪で沸かし、五右衛門風呂。「回帰」願望が皆にあるのでしょうか?
 ひじょうにあると思います。私も高校を卒業しましてから学生生活と社会人生活の約15年間を都市で生活をしていましたから。「隣のトトロ」などの映画などを見まして、里山の風景が懐かしく思われ、宮崎駿監督の取り組みには共感を覚えました。
 


 実は先日久しぶりに東京へ出張しました。池袋と新大久保へ行きました。知り合いに会うために周辺を歩きました。頭がくらくらしました。人の多さと車の多さ。何をしているのかわからない人ごみの中。非常に息苦しくなりました。


 早く高知へ帰りたいなと思いましたね。宮崎駿さんが描かれている里山の風景のあるところで生活をしたいと思います。だから自分のような人間。かつて都市に15年もいた人間が思うのですから、多数の都市に住んでいる人達も同じ思いではないかと思います。非常に「田舎回帰」の願望があるのではないか。と思いますね。

中嶋健造さん
 中嶋さんは学生生活も含め15年といえば結構長く都会に居られましたね。都市生活の便利な反面、嫌だなと思われるところはどのようなところなのでしょうか?
 一つはやはり画一化された風景ですね。確かに都市部にも下町のような良い風景はあります。だいたい私などが生活していたところは、道路はまっすぐで、水路は3面張りでした。それに加えて企業は弱肉強食の経済活動をしており、非常にストレスが溜まりました。ですので、都会にいましても山のあるところ、川のあるとこへ出掛けたりしながら何とかストレスを解消していました。
 最近の東京の名所と言えば「六本木ヒルズ」。交通の便利なたところある巨大な人工空間。物価も高く、とても田舎モノには長居は出来ない空間でありました。
 確かにそうですね。私は学生時代を含め7年間東京で生活したことがあります。海へ行くのは千葉の外房。スキーも長野か新潟で夜行バスで行かなければならない。非常に海も山も遠いというのが都市生活でした。
 確かに休みもありましたが、お金もかかりましたし、海や山へ行くことすらもストレスであった記憶がありますね。
 しかし、ただ最近の田舎暮らしも変貌しているのではないでしょうか?山は人工林。水路はコンクリート3面張り。荒れ果てた農地も目立ちます。地方の人たちは、どのように思われているのでしょうか?

 やはり思うのは、国が進めた全国一律の効率を求めた開発。これが進んだために「田舎も都市を目指した」ことになりました。下水道や道路などの社会資本整備も都市部と同じようにしようとしました。住民も要求しました。そこがなにかひとつ問題があるのではないか。
 有名な人が言われていましたが、「自然と結ばない文化はいずれ退廃する。滅びる。」
とのことです。その言葉に私はひじょうに感銘を受けました。やはり今それが表に出てきているのではないでしょうか。そのことにみんながきずきはじめたのではないのでしょうか。そのように私は思っています。
 中嶋さんは、論文のなかで「農村風景で勝負を」と書かれています。かつては日本の農村風景は浮世絵などで19世紀のフランス絵画の印象派などに影響を与える美しさがありました。小泉八雲やアーネスト・サトーが絶賛していた日本の景観美。近代化がそれを壊した面は否定できません。新たに美しい景観をこしらえるには何からはじめるべきなのでしょうか?今の農村には何が欠けているのでしょうか?
 やはり田舎であっても「自然と共生する」という文化がだんだんとなくなってきたと思います。昔は自然を上手く活用し、自然の中で人が生かされている営みがあったのです。 最近「地元学」というテーマの話を聞くことがありました。
 そのなかで、講師の方は「時間軸で見ると65年前から農村を駄目にしてきた。それ以前からある農村の文化は1000年以上の歴史があります。その集落を維持し続けることが出来た文化でありました。65年前からある文化を私たちは大事にしていくべきである。そうすることで、今後農村を維持していくことが出来るのです。」と言われました。
 非常に感銘を受けました。最近檮原町へ行く機会がありました。そこで昭和20年代の写真を見る機会がありました。梼原の歴史文化館のようなところにです。美しい風景でした。完全にその時代の風景に戻すことは無理でしょう。個人的には水を大事にし、動物を大事にし、自然と共生しながら生きた風景をつくりたいな。と思いながら実は田んぼをこしらえています。
新潟県旧山古志村の美しい棚田風景です。
日本有数の清流に淀川
 田舎暮らしと言われましても、都市生活に慣れ親しんだ人達。最近では「抗菌製品」の好きな清潔志向の高い都市生活者の対極にある暮らしです。そういう都市の方々に田舎暮らしは理解されるのでしょうか?
 すぐには無理だと思います。自分もそうでしたが、田舎の体験をしてみようと行動するには時間がかかりました。
 今自分がやっていることは、棚田へ出かけて、田んぼをつくる。といったひじょうに単純なことです。さほど難しくはありません。あるいは田舎へ行くだけでも良いのではないでしょうか。行って少し田舎の空気を感じてくる。週末少し行ってみる。そんなことをしているうちに、田んぼをみて田んぼをつくりたいなとなりますね。
 まだ自分も田舎に住んでいるわけではありません。住んでいるのはいの町の天王というところです。住宅地です。そういう「バッファー・ゾーン」と言いますか、緩衝帯といいますか、移行するまでのあいだの場所ですね。
 家庭菜園でもいいのですね。だんだんと田舎のことがわかることには、「時間とプログラム」がいるのではないでしょうか。個人的には思っています。
 
 中嶋健造さんの論文  「農村風景で勝負を」  は こちらから