前向きな人生を営むために
 今週のゲストは、独立行政法人雇用・能力開発機構高知センター企画部門長代理の中村美枝さんです。今日のテーマは「前向きな人生を営むために」でお話を伺います。
 国や行政がこしらえた制度や仕組みを研究し、活用することにより、勤労者も経営者もより高い勤労環境が確保できるのではないでしょうか。

中村さんは、今までIT講習の講師などをされていたそうですが、受講者の気質の変化は近年ありますか?やはり中高年世代は苦戦しているのでしょうか?

 40歳代が分かれ目のような気がします。パソコン導入時に興味を持ったか持たなかったかで大きな違いが出てきている世代です。若い方は、身近な環境にパソコンがありますので、抵抗なく使っているようです。しかし、業務で必要となると年齢には、関係ありません。以前に、教育を担当した会社では、50歳代の男性がお昼休みも、ご飯をすぐに食べられパソコンに向かいエクセルの習得に頑張っていました。
わからないことは、積極的に自分より「若い」講師に聞くことです。物怖じをしていてはパソコンは習得できません。
 パソコンが出来ないと仕事に支障が出るということになりますと切迫感も違ってはきます。年齢的に上がってくると「同じことを何度もききにくい」、「年下にばかにされそう」といった自意識のほうが習得の妨げになっているように思います。
 「企業の求めている人材」と、就労者が求めている「就労環境」に隔たりがあるのでしょうか?どうすれば、少しでも埋めることが出来るのでしょうか?
中村さんから見られて「求められている人材」はどのような人材なのでしょうか?
またどういう研修、仕組みを活用すれば少しでも社会や企業が求めている人材に近づけるのでしょうか?
 時代によって求める人材が違うのです。バブルの頃は、人数もたくさん必要でした。まじめで与えられた仕事を的確にこなせる人材が求められました。今は、採用人数が限られているので、採用にあたっては「即戦力」を言われています。 中村美枝さん
 即戦力と言われながらも、色々なことが出来そうな人材、やる気と積極性がある人材が求められています。仕事への適応性が言わています。自分を見つめ直して、自信を持って求職活動をしていただきたいのです。
 成績や教授推薦で採用する企業は、どんどん減ってきました。ですから本人が「頑張るぞ」と良い事を繰り返しているかどうか。結果が違ってくるのではないかと思います。
 今のの若い方のご両親が就職を決めた頃と今の就職の考え方も環境も違います。ご両親の時代は、高校を卒業したらいくつも就職先はたくさんありました。今は全然異なります。できたら、ご両親にもそういった時代の移り変わりをご理解いただき、ご自宅でもお話してもらいたいと思います。

 その中で、「好きな仕事がなければ1〜2年は、遊んでいてもいいよ」といった発言は、しないでいただきたいと思います。人間は、習慣の動物ですから、自由にすごしてしまうと時間に縛られる労働者の生活に入ることはしんどくなるからです。5年6年もその生活を過ごしますと、後で「しまった」と思われても遅いことがあります。

 そして学校を出たけれど就職できていない、すぐやめてしまった方を対象として若年者向けの職業訓練があります。おおよそ3ヶ月講習で知識や技術習得のための教育と2ヶ月の企業実習です。テキスト代は有料ですが、受講料は無料となっています。こういった行政のサポートをご家庭でもご利用ください。また、就職に関するご相談もお受けしています。若年者訓練と言います。


 そんな制度があるとは知りませんでした。
 私たちも広報していますが、まだまだ知られていません。制度を活用いただきたいと思います。
 こういう厳しい時代です。進学するにしろ大変な経済的な負担です。親の経済状態も厳しくなっています。かと言いましても高校を卒業して就職口があるかといえば、それも厳しい。そうした場合、よりキャリアアップする方法があると、先ほども言われていたのですが・・・・。若年者訓練の仕組みについて、詳しいことを伺いたいのですが。
ポリテクカレッジ高知(野市町)の全景。

 本当でしたら、高校を卒業するときに、就職出来たら一番良いのです。大学もそうなんですけどなかなか厳しくて、半分ぐらいとか就労が出来ていないようです。
 ですので、今年から力を入れています。3ヶ月間職業訓練を専門学校に委託をしまして、実施しています。
 内容のほうは専門学校ですので、コンピューターとか、経理とか、販売のテクニックというところになります。それを勉強していただいて、2ヶ月ぐらい企業実習をしていただいています。
 そういうことを勉強していただいていた後で、仕事を探していただきます。その場合専門学校のほうでもサポートをしています。例えば履歴書の書き方、面接の受け方などです。アドバーザーもいます。


 そうした方はうちのほうのインターネットからも求職者の情報を公開しています。企業のほうからそれを見て、こういう条件にあった人はいないかということも出来ます。
 ですので、少し経済的に厳しい場合も活用してください。テキスト代だけのご負担で受講でき、親御さんの負担は少なくしています。時間的にも3ヶ月から半年ありますので、受講後、新たな職場を探すことが出来ます。

 大変厳しい時代で、我々親の世代が安直に就労できていた時代とは異なることが良くわかりました。とは言いましても、家族の役割、家庭の役割と言うものがあると思います。
 それはどういうところにあるのか。最低親としてどういうところをしなけばならないのか。それについてはどう思われますか?
 個人的な意見になることをご容赦ください。
 私は、小学校までの内容は、ある程度理解しておかなければ就業は、厳しいと思います。基本的な下地がないといくら本人がやる気になっても知識や技能を積み上げることもできません。
 政府に要求することも大事ですが、家庭のほうで5分でも10分でもいいですから一緒に本を読んであげる、九九がいえるまでいっしょに練習するといった学習の習慣づけを家庭で培ってもらいたいと思います。
 私自身も働きながら、こどもを育てましたが、お風呂の中とか、寝る前とかに本を読んだり、九九を一緒に唱えて覚えたりしました。「あなたのために時間を割いているのよ」としてきた気持ちはあります。

 私達が子供の頃は、おとうふやさんの仕事も自転車やさんの仕事も習わなくても分かっていましたよね。

そうことを見聞きする機会がなくなったことは、非常に残念だと思います。「ものをつくる」ということは、仕事の基本ですから。

(露天でのやりとりは大変参考になります。はりまや橋商店街金曜市の様子です。)


 ただ、つくることに対する対価や価値観が変わり、しんどくて給料の安い仕事より、楽できれいな仕事が、人気があります。きちんとした技術がある人を評価する制度が確立し、しかるべき報酬が支払われるようにならないと薄利多売の昨今には、厳しいように思います。
絵本を読んであげることも必要です。
親子のふれあいの時間も大事です。
 「生涯学習」と「キャリアアップ」の違いはありますか?職業訓練は一生すべきなんでしょうか?
 生涯学習は、自分の人生を充実したものにしていく為に、生涯を通じて勉強や趣味をいいますが、キャリアアップは、自らの職業人生の中で必要な知識や技能の段階的に習得していくことをいいます。職業人を続けている間は、訓練ではなく、「自ら必要なものを学ぶ」という姿勢が必要なのだと思います。
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