子育て支援から男女共同参画社会の実現へ
 
 今週のゲストは高知女子大学学生の西森美菜子さんです。西森さんは大学にて「言語とジェンダー」を研究されています。
 今日のテーマは「子育て支援から男女共同参画社会の実現へ」でお話しをお聞きします。「母子手帳」など、出産、育児にいたる子育て支援制度は日本はかなり充実しているのではないでしょうか。しかし男女共同参画社会には未だになっているとは思えません。
 高知女子大学も、男女共学の県立大学にという意見も県民の一部にあります。その点につきましてどのように思われますか?女子教育の特異性や女子大の伝統も必要であると思いますが・・。

 私は、現在4回生で、来春には卒業なので、実際に共学になったとしても、直接は関係がありません。しかし、母校となる、高知女子大学がなくなるのは、正直寂しいです。 県立なのに、何で女子だけ優遇されているのか、という意見もわかります。 

 一方で、女子大は、高知県の誇る伝統だという、意見もわかります。少し前の、新聞に、「男子と女子とでは、異なる学習法で教育したほうが、どちらにもよい結果が期待できると思う。脳の働きの違いによって、このことを説明した研究もある」というのが載っていました。
 だからというわけでは、ありませんが、女子大だから今の女子大の学生があるのだと思います。これが、共学だったら、また違う学生が育っていたと思います。私もその一人ですが、女子大で学んできたからこそ、いまのわたしがあるのだと思います。

西森美奈子さん

 一方で「ジェンダー・フリー」という考えもあるようなのですが良くわかりません。そのあたりは西森さんはどのように考えられていますか?
 簡単に言うと、社会的・文化的につくられた性差をなくそうといことだと考えています。たとえば、「男は仕事。女は家事・育児」という考え方も作られた性差といえるのではないでしょうか。
「女はつくられる」とある哲学者は言われていました。「社会的につくられる」というのです。また男も「男らしく」という圧力は想像以上で、不況の中日本では3万人以上が自殺しています。6割以上が男性で、しかも中高年世代が多いです。「男女かくあるべし」の定義が重苦しさを感じさせるからではないのでしょうか?
 

収録の様子です。西森美菜子さんは、自分の言葉で明瞭に話をされました。「言語とジェンダー」という私には普段はなじみのないテーマを説明いただきました。

 ラジオ番組の収録は初体験と言うことでしたが、きわめて順調に収録は進行いたしました。

 いじめで自殺をする子供も男の子が8割を占めるそうです。しかし、いじめ電話相談に電話してくるのは女の子が半数を超えているそうです。「男の子は泣くものじゃない」「弱みを見せるな」といわれ、一人で抱え込んでしまって、最悪の結果になってしまうそうです。
 また中高年になってくると、「高い給料をとっている、役に立たない男性を首にして、20代の若い女性を3人雇ったほうが、コストも低いし、生産性も高くなる」といわれます。そして、中高年男性はリストラされ、家族には一家の主として、相談できずに思い悩んでしまうのだと思います。
 同性愛者や、性同一障害者の問題についてどう考えれば良いのでしょうか?日本では未だに高校まで制服のある学校が多く、男女別に服装検査も厳しく行われています。その方々にとっては大変な苦痛だと思いますが、救われる手立てはあるのでしょうか?
 制服については、私も何で女の子はスカートなのだろうとよく思っていました。ある市では「男女共同参画のまちづくり条例」とし、同性愛者、両性愛者、自己の性別が受忍できない性同一性障害者ら、一般に男性や女性に定義づけられない人々の権利も擁護し、さらに、学校現場などに対し、共同参画の理念に配慮した教育を求めたものを制定されたようです。
 このような条例を策定している地域もあります。救われる手立てになるかは、わかりませんが、環境づくりとして、これも一つの手立てだと思います。
 また介護の問題も今後大きな問題に今以上になります。家庭内での女性の負担が大きくなりますが、手立てはあるのでしょうか?また超高齢者の8割は女性です。介護施設のありかたには問題はないのでしょうか?
 高齢者の世界は女性優先社会であり、介護するほうも、されるほうも女性が大半だからです。世の中のありようが変わるように思いますが・・
在宅介護も施設での介護も大きな問題です。世の中のありようが変化していくと思います。
 そうですね。介護も、家事・育児と同じように「女性」の役割だという考えを捨てなくてはいけないと思います。大体、子供が自分達のの手から離れていくくらいの時期から、今度は自分の親たちの面倒を見なくてはならなくなります。
 共働きの家庭や、核家族が多くなり、介護施設の受け入れ人数が、需要に追いついていない状態です。海外から、安く労働者を雇い、補うという案もあるようですが、逆に日本の雇用を衰退させてしまう恐れがあります。
 高齢社会もまだまだ、先続いていくことなので、将来を見据えた対策が必要になると思います。
調査の中で男性側の意識の変化は感じられましたでしょうか?家事・育児を分担する男性も最近は多いように聞いているのですが。
 アンケート調査については、先行資料がないので、前と比べて変化があるかどうかということは、わかりかねます。しかし、性別別に調査結果をまとめると、男性回答者の傾向として、「性別冠詞については、特に気にしていない」「性別冠詞は必要、新聞での用いられ方も今のままでよい」というのが上げられます。
 女性回答者は「性別冠詞は必要なく、性別に関する情報も必要ない」との傾向があるようです。今のメディアを見てもわかるように、家事・育児の場に男性の姿が見え始めています。性別冠詞についても、男性の方に敏感になってほしいですね。
 家事や育児の場でも最近では男性の姿が見えてきたとの話ですね。子どもが生まれてから3歳頃から保育園へ行く頃までは、母親の影響や力が大きいですね。病気などもしなくくなった小学生に入学してからも、実は大変です。どっさり宿題が学校から出ます。ようするに親子で宿題にとりくまないと終わらないようになっているようです。
 それは親が、男親でも、女親でも頑張って親子で宿題に取り組むことによって、子どももやがてそれがわかり、自立するようになって「学習習慣」が身につくと思います。先生方からも聞きました。そのあたりは西森さんはどう思われますか?
 そうですね。やはり共働きの家庭も増えまして、子ども達と家で一緒に接する時間は夕食を食べるときだけとかになっているようです。学校もゆとり教育なので、授業時間数も減っていますし、どうしようかと言う感じになっているのでしょう。
 家庭と地域と連携がこれからますます大切になってくると思います。