高知市政のありかたについて
 今週のゲストは高知市職員労働組合執行委員長の野田裕張さんです。今日のテーマは「高知市政のありかたについて」でお話を伺います。
 市役所は市民生活に最も身近な存在です。住民票や印鑑証明書、納税証明書などは必要で市役所に行く機会は市民は多くあります。
 母子手帳や、保育園への入所、小中学校や、介護保険、ごみの収集、水道、下水道など、市民の「人生」にも深く関わりがあります。
 過去、氏原、坂本、横山と継続したいわゆる「革新民主市政」時代は、市職労にとりましては「与党」市政でした。1994年から9年間継続した松尾市政(松尾徹人前市長)とは是々非々のように見えました。現在の岡崎市長との関係はどのようになっているのでしょうか?
 そうですね。確かに氏原、坂本、横山時代は「革新市政」が長く続きました。職員として、労働組合として「役割分担」してきたと思います。それは「市民が求めてきた市政」でありました。
 当時は投票で選ばれた革新市政でありました。その後松尾市政になり、9年間を経て、2年前に岡崎市政が発足いたしました。当然「実質推薦」と言う形で、市職労も誕生に努力もしたわけです。かといって、すべて岡崎市長を応援してきたわけではありません。
 これから高知市政が担い手が誰が一番良いのかということで、政策も含めて判断し岡崎さんが一番良いだろうと選んだと思います。
 いずれにしましても岡崎市長は、財政困難なこの時期を支える市長だということがありますから、非常に厳しい要求を職員にも、また市民にもされる大変しんどい市政を担います。私どもの「市民生活が低下しないことを第一に考えながら、これからの高知市はどうあるべきか」。そういった運動をしていく。と言う風に考えています。 野田裕張さん
 高知市政も、松尾市長時代の「大型事業優先」の市政が財政破綻寸前状態となり、現在事業の見直しなどがされています。市職員の皆さんへの給与の切り下げなど、具体的な事態になっているのでしょうか?
 具体的なことは非常に恥ずかしい話です。一昨年団体交渉をしまして、職員の基本給の5%カット、また特殊勤務手当てを始めとする諸手当の凍結、そして清掃行政の一部の部門における外部委託。などの提案がなされまして、約半年にわたる団体交渉を高知市側とした結果、一致点を見出しました。私どもとしましては「引き下がった」形になりましたが妥結しました。
 今後の市政運営に寄与する形をとりました。ただいずれにしましても、松尾前市長の「功罪」が一方であるかもしれません。この今日的な財政危機を造った全ての原因ではないと考えています。その一つの要因としましては大型事業は当然あります。国の姿勢や経済政策など大きなの流れの中で、地方自治体が非常に苦しい思いをしている。
 そういった意味においても、今後の高知市をどうするのか、どう守っていくのかがが問われる時代だと思います。
高知市役所本庁舎。財政再建の途上にあります。
 さきほども野田さんも言われましたが、前市長時代の「法外な」借金財政のように、私たち市民からは見えました。労働組合としてのの批判は、当時はされなかったのでしょうか?
 確かに無駄なことと思われることについては批判もしてきました。松尾前市長の考え方もあると思います。それは地方に遅れた、箱物といいますか、文化施設も含めたものは必要であったでしょうし。くしくも国体(2002年高知国体)もやりましたので、施設整備もいたしました。
 これについては、すべて批判ができるだろうかということもあります。ただ将来を見据えた計画的な予算執行であったのか。ということに関しては疑問符が残ります。
 市職労の資料に中に「民間では採算が取れなくても大事な事業はある。それは公が担わねばならない。」とありました。具体的にはどのような事業があるのでしょうか ?
 全てのジャンルにおいてそうだと考えています。すでに市場化テストという形で、完成市場を民間へと言う動きもあります。国の中でテストがされています。
 そのなかで嫌でも地方でも波が来るだろう。決して労働組合を担うものとしましてはのぞましくないものです。それは、公でなくては出来ないもの。安全であり、公平であります。そう言ったレベルがきちんと保たれるかどうか。
 民だからそういったレベルが保たれないとは決して思いません。やはり、コスト論、利益向上主義という世界が公的なところへ入ってきて、果たしてすべてのジャンルで同じサービスが、提供できるのか。そこにはまだまだ疑問があります。
 例えば、私たちは「ふれあい収集」ということを提案してます。それは清掃収集部門の方々に、1軒1軒の自分でゴミ出しが出来ない人達を家庭訪問していただいて、安否確認、健康上の問題。地域でのコミュニティをつくる。そういったことをテスト上でも試行して出来ないか。ということを高知市に投げかけています。
 それは政策判断になりますから、一方的に出来ませんが、高知市政の一つの柱として、組合から提案している内容のひとつです。
 いずれにしましても、これでいいのかということが問われています。不況が長い時代において、市民のみなさんから見れば公務員に対する目線も厳しい。そのなかで公務委員の姿勢。ありかた。そういうことが問われています。そのなかでやはり組み替える議論。そして市民にとって必要なものはなにか。そのことが一番問われていると思います。

 3月から高知市池地区に、県立中央病院と高知市市民病院が合体した「統合病院が」スタートします。

 そこの職員は労組に加盟されているのでしょうか?民間になるのでしょうか?特殊法人になるのでしょうか?労働組合はどうなっているのでしょうか?

(高知医療センター さんSUN高知 高知県広報紙より)

 そうですね。高知医療センターという名称です。県立中央病院と、高知市民病院の統合病院が発足いたします。これは俗にいう「特殊地方公共団体」です。地方公共団体と言いますと、市町村、県とかになります。それと同等です。これが公益業法という法律がありまして、その全部適用になります。
 公共団体において、予算、人事、権限を持つような形になります。全く民間へと言うわけではありませんが、そこでは独自の運営がされます。私ども高知市で働いている職員も大勢行きます。そこでの身分も当然新医療センターの職員として位置づけられて働くようになってきます。
 当然労働組合も既に発足させています。昨年の3月20日に新病院センター労働組合が組織を県の組合と、市職労病院分会とでつくりました。そこは、職員の「受け皿」となる労働組合を発足させています。