市民との協働をどうつくりますか?
 今週のゲストは、高知市職員労働組合執行委員長の野田裕張さんです。今日のテーマは「市民との協働をどうつくりますか?」でお話を伺います。
 市役所の仕事は、市民との関係が深く、市民と市職員との信頼関係の構築が何より大事です。具体的な方法手段についてお尋ねしたいと思います。
前市長時代に「特定市民」と言われる声の大きな人たちが市役所職員を恫喝し、行政 のありかたを歪めているように思われました。現在はどうなっているのでしょうか?

まず市民の方を「特定」とつけて良いものかどうか疑問に思います。これは市議会の時にある議員さんが、そういった状況を「特定市民」という言葉をこしらえたと聞いています。
 1人1人の市民を「特定」と呼ぶのは問題であると思います。ただ言われるように、不当要求をするをする市民が存在しているのは、新聞とかでご存知のとおりです。


 高知市としても不当要求に対して、対応マニュアルを作成しています。本来はこういったマニュアルをつくらなければならないような高知市の実態、組織のありかたが嘆かわしいと思っています。
 本来であれば、どれをもって不当とするのか。それに毅然とした組織的な対応が出来たのか。このことが本来問われるべきであろうと思います。
 確かに不当な要求をされる方は、ねちねちと1人1人の職員を捕まえてやっているという実態もあります。そのことに対して1人の責任ではなくて、全体での責任を取っていくことですね。嫌がおおでも悲しいかなその状況がこの10年の間にひじょうに多く生まれてきたと思います。

 高知市議会との関係は組合の立場はどうなっていますか?市当局と同じように、「是々非々」なのでしょうか?市財政危機になれば必ず市職員の給与削減問題が市議会で論議されますので無縁ではないと思いますが・・。

 そうですね。市議会議員の皆様は市民から選ばれた40人の方々です。その意味で言えば市民の代表であると考えています。当然高知市に対して批判的な人や建設的な意見を持たれた人もたくさん居ます。


 職員に対して強烈な意見を言われる方々もいます。非常に多くの方々は職員の仕事や態度のあり方、組合運動への理解を示している議員の方もいらっしゃいます。議会と言うものは条例などを議決をする権限を持っていますから、相談していく場合も多々あります。

野田裕張さん野田裕張さん
 労働組合の執行委員というものは大変忙しく、かつて私も民間企業で経験したことがあります。労組同士の繋がりや、付き合いに終始し、市民との付き合いや繋がりが弱いように思いますが。そのあたりはどのように改善されるのでしょうか?
 確かに労働組合と言う組織自体、外から見れば、一般の人から見れば「何をしているのかわからない」組織のように受け止められがちです。
 実際中に居ればそういう私たちは感覚は無いのですが、他から見るとそうでもないようです。例えば市役所を退職された方。そして民間に移られた方がいます。そちらから言えばそのような意見を聞きます。

 私たちも「市民との協働」と言う意味で市民との繋がりを持ちたいです。高知市で働く職員が組織する労働組合なのですから。市民の声が本来あってなしえる制度とか、そういう要求も高知市に対処出来る。その意味で組織化された労働者が、高知県では17・2%だと聞いています。
 市とか県とか労働組合同士の付き合いは確かにあります。なかなか市民の皆さんと話すきっかけがありません。それは大きな課題であると思います。

 毎年1月下旬に開催される高知市職員労働組合連合会「旗びらき」の様子です。政党関係者や労働組合関係者が多く参加されています。
 労働組合と言えば、昨年は特筆すべき出来事がありました。昨年プロ野球選手会(労組)が日本のプロ野球史上初のストライキをしました。
それに対して8割以上の国民が支持しました。これは1960年前後の三井三池闘争以来の労組の支持率ではなかったでしょうか?さきほど野田さんも言われていましたが、市職労も市民との「共闘」は考えられてはいないのでしょうか?
 本当に大きなテーマで課題としているところです。選手会の場合は、古田会長を中心として、筋の通ったやり取りをして、それに対しての共感が国民レベルでありました。
 組合のやり取りが、こうした経済化の中でどこまで理解が得られるのかと言うことはあります。若干背景は違うのかなと思います。労働組合と言うものも市民の生活を改善するというようなものであれば、しっかりと筋を立てて事を追求していかなければならないと思います。
 これがなければ、わがままな自己満足な組織に終わってしまいます。そういう恐れもあります。確かに高知市職員労働組合は、組合員の労働条件を守り、向上させる大きな目的があります。一方で生活を守る。市民生活を守る。低下させない。そうした両輪で構築された組織です。市民との共闘、対話をつくっていかなければならないと考えています。
 前日もうかがいましたが、市民サービスの観点で公共でやるべき事業と、民間でやるべき事業の区別を組合側としてもすべきであると思いますがいかがでしょうか。
 どうしても公共でやるべきものを市民が支持する。その形ができれば市民との協働は出来ると思いますが。
 収録の様子です。野田裕張さんは、言葉を選んで難解な労働問題をお話いただきました。

 私が委員長になって3年になります。その前後あたりから、今の仕事を見直そうと提起をしています。ただ長い間慣れ親しんできた仕事を変えるのは非常に労力が要ります。
 当然それまでの評価と総括があった上で、市民ニーズにどう答えていくか。当然限られた予算の中でやっていくわけです。自分の仕事をもう一度、足元から出せる発想に大切にしながら、職場の中を組み替えていくのか。


 求められています。そのためには是非、市民の意見をいただきたいと思います。現場で働く職員は市民と触れ合うきっかけをもっています。その事が行政の情報になります。その事が行政の情報になります。そのことがなければ行政として「体をなしません」。その意味で是非とも多くの意見を頂きたいと考えています。