21世紀の労働組合運動とは?
 今週のゲストは、高知市職員労働組合執行委員長の野田裕張さんです。今日のテーマは「21世紀の労働組合運動とは?」でお話を伺います。
 日本の労働組合組織率は最近は低下傾向に歯止めが掛からず、全労働者の20%を割り込んでいます。高知県でも労組組織率は高くはありません。不況下で労働条件は悪化している傾向にあるようなのですが・・・。
 高知市役所職員の労働組合加盟率はどうなっていますか?若い人の加盟率はいかが でしょうか?教職員などは労組に加盟しない人が多いようなのですが。
 高知市職員労働組合、通称市職労と言いますが、加盟できる対象者があります。管理職の方は加盟が出来ません。団結権にもとづき消防の職員は加盟できません。市立高知商業高校の教職員、水道局の職員はそちらの労組に加盟するかたちになります。私どもの対象者は2400人になります。
 加盟率でいいますと98%を超えています。殆どの方が、加盟されています。ほぼ100%ではないかと思います。
 高知市職員労働組合の建物。歴史を感じさせる木造の建物であります。
 現在給与に対して組合費は何%なのでしょううか?結構高額ではないのでしょうか ?加盟を勧める場合いはどのような点を強調されていますか?
 よく言われることです。基本給与というものがありまして、労働組合費は1000分の15%プラス130円を毎月頂いています。ただ高知市職員労働組合は上限を決めています。
 上限は5488円です。基本給にかけてこれ以上は取らないようにしています。組合加盟の時は当然、議案も含めてこういう運動をしていますよと説明します。やはり1人1人の意見をきちんともらう。使用者側(市長)に意見を直接言うのは困難ですから、その意見を吸い上げて、高知市を改善し、変えていく。そのような団体ですよということを説明いたします。時間をかけて説明をすれば理解いただいています。
定期大会でスピーチされる野田裕張さん
定期大会の様子です。(写真は野田裕張さん提供)
 
 組合運動の広報手段についてお聞きします。相変わらず機関紙と配布ビラと、街宣なのでしょうか?インターネットや携帯電話による労組活動はされないのでしょうか ?またその見込みはどうなっているのでしょうか?
 非常に痛いところです。昔からゲラ刷りのビラを配布することは相変わらずやっています。一つの手段として、高知市にも行政支援システムというインターネットをもっていますが、これに労働組合の活動が流せないという問題があります。
 福利厚生の問題については流せないこともないですが、そういう問題もありまして、ビラやオルグ、街宣などの伝統的なやりかたから脱していないのが現状です。
 

 現在の市職労の広報手段は機関紙などの「紙媒体」です。今後はIT対策が必要だと思います。

 しかしホームページを持っている労組は少なく、IT化には遅れているように思われる。

 何回も指摘されているとは思いますが、労組は労組だけの交流とお付き合いに終始し、他の業界とのお付き合いがないようです。農業者、商業者など。そのあたりはどのように思われますか?

 そうですね。労働組合の関係者ばかりですと情報も限られます。それは労働者だけでなく、経営者や市民の方の意見も聞きたいと思っています。実はそのすべをあまり持っていません。こちらからどう聞きだすのか。どうしても身内の論議で終わってしまいます。
 そのことに最近問題を感じています。


 高知市職員労働組合は、自治研活動をしています。高知市に関係している政策や制度を研究し、高知市に対して要求もしています。私達の頭の中で考えることと、市民の中で考えたことが意見が分かれるわけですね。
 どうしても行政マンが考える制度、政策は限られます。いろんな意味での情報発信はしたいなと思っています。実態は残念ながら市民に対しては、十分ではありません。

  アルバイトやフリーター、臨時職員、外部委託業務が市役所でも増加するのでしょ うか?立場は違えど同じ勤労者です。連携することは考えられているのでしょうか?

 当然必要であると思います。その場合その前段階でそれらの「非定型労働者」を作り出すことが良いのかどうかという問題も考える必要があります。仕事をされていますからそこで得た給与で生活をされています。


 安い給与で働くする人をこしらえるのではなくて、「ワークシェアリング」などをやっていけることを考えています。


野田裕張さん
 これは私たちも労働組合です。働く者として、組織があろうがなかろうが、一緒だと考えています。そことは手を結ぶ必要性があります。私たちが所属しています自治労などがありますが、「公共サービス産別」というものがあります。公共に携わる労働者、正規や臨時に関わらず関係者についての連携を探りながらいっています。これは大きな課題です。
 高知市版ワークシェアリングには取り組まれていますか?
 ワークシェアリングと言われました時に、経営者側の感覚と、私達の感覚は違います。日本版のワークシェアリングは「自分達の身を削って分け与える」となっていますが、オランダ方は若干違うようです。
 仕事を細分化する。再生産する意味合いが強いようです。そのためにきちんとした対価も払いましょう。具体的なワークシェアリングはないのですが、具体的なありかた考え方はお互いきちんと整理しましょう。ということになっています。