国と地方のありかたについて
 今週のゲストは、国土交通省四国地方整備局高知河川国道事務所所長の岡本誠一郎さんです。今日のテーマは「国と地方のありかたについて」です。国は「三位一体計画」と称し、地方への交付金、補助金を削減してきています。
 従来型の「陳情」では地方も対応できなくなっています。しかし財政力の弱い地方はどうすれば良いのでしょうか?

 私がかかわりのあるNPO法人YASU海の駅クラブは、四国整備局の事業「みなとオアシス」の事業をしようとしています。こういう共同的な事業は増加するのでしょうか?

 地方が地域の活力を保つ、元気作りをするためには、地域の人達が、地域づくりを一生懸命やっている人達の力は欠かせないと思います。それで私たちの道路河川海岸でも、こうして地域づくりを一生懸命されている人達との連携がひじょうに力になります。
 お互いにそれぞれメリットがあるのではないでしょうか。例えば河川では「ラブリバー・パートナーシップ制度」がありまして、いろんな団体が清掃美化活動(例えば仁淀川のある区間を)をしていただいています。
それは協定なんか結んでやっています。より組織的な活動に発展させていこうということになりますと、NPO(非営利公益法人)になります。組織として活動していく人達と、私たちとの共通の接点を見出していきます。そこの中からいろんな取り組みを一緒にやっていこうとしています。
 昨日の話でも潮江地区の景観整備でも、そういうNPOの人達との協働事業でやっていければ、ひじょうに活動に幅が出てくると思いますね。
NPO法人YASU海の駅クラブによる海岸清掃活動の様子です。(夜須町)
 
 かつて小泉八雲たアーネスト・サトーが賞賛した、景観が地方にはあります。棚田や森林、河川や海岸線。画一的な道路やコンクリートで固めるのではなく、景観保全がこれから求められています。そうした「国民の資産」を守るためには、どのような方法があるのでしょうか?
 まず景観は地域の歴史や文化と言うものの現われだと思います。まずは地域の景観が財産であり、資産である。そういう共通認識が出来てくることが重要であると思います。これは行政だけで出来ることではありません。地域の住民の人達のの意識や、活動で繋がってくると思います。
私は訪ねたことはありませんが、ドイツのロマチック街道は、景観の美しい街路として有名です。四国の道路もそういう可能性があるようなところはありますか?
 わたしはいっぱいあると思います。何気ない道端の景色。川ですとか、田畑、山、海。つくられたものではなく、自然や生活の風景そのものが随分残っているのが、高知県内ではないでしょうか。
 私の家内はこの4月に引越ししたばかりで、四国に来たばかりですが、少し郊外に出ますと風景が懐かしい感じがすると言います。
 その原風景が残っているのではないかと思います。
佐川町の風景。坂が多く生活は大変ですが、景観は素晴らしいところです。

大月町龍ヶ迫地区。美しい景観です。
 
 地方からの「提案能力」が問われる時代であると思います。地域の良いものを事業化していく事が大事であると言うことを伺いました。国側のお立場としておかまいない範囲でのアドバイスをお願いします。
 具体的な例として景観の話をさせていただきます。景観は、「景観みどり3法」という3つの法律が整備されました。景観法、都市緑地法、それから屋外広告物法の改正という3つの法律が、制定されまして、いろんな形で街の景観を良くしていこうということが、強力にすすめることだできるようになりました。
 これは国はそうした法律はつくりましたが、実際にそれを進めていくのは、地方自治体の条例によるところが、大きいです。つまり地域の景観をどうするべきなのかとか。動きは、形にしていける、規制をかけていく。いろんなことができるようになっています。地域の提案能力はますます生かせるようになっているのではないかと思います。
 確かにそうですね。道路ですが、電柱を地中に埋設したり、CAB事業などの整備を道路管理者がしましても、看板が乱雑にあり、建物の色がめちゃくちゃでありましたら効果はありませんね。そういう整備も生かされませんね。
 周りは全然変わらなければ、ポイントだけ整備しても効果がありませんね。そこがまさに地域住民との協力が問われることですね。景観一つとりましても、そうですね。
岡本誠一郎さん
 確かにそうですね。ヨーロッパやアメリカの都市づくりの話を聞いてみましても、条例が厳しくて、看板を出してはいけないとか、地味目にしろとか。行灯式看板は駄目でテントにしろとか割合厳しいですね。ニューヨークなどでも厳しいようです。
 その結果往来する人の服装の色が目立つ街にしたり。条例による厳しい制約があるやに聞いています。それは地域住民の意識の発露として表現されているのですね。と言うふうに住民側もしなければならないと思いますね。
 景観はまさにその地域、文化の現れですね。結局地域の人たちが町並みの景色をどう考えるのか。それが一番にあると思います。これはまさに地域からの提案発案でなければならないと思います。
 どれだけ地域に対して思いやりがあって、どうなのかと。それが住民力というのか、民力と言うのか市民力というのか何かわかりませんが。それなのでしょうか?
 
 「コミュニティ・プライド」と言う言葉があります。地域に対してどれだけ、住民がプライドを持っているか。そういったことが一番重要ではないかと私は思います。