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市民生活と日本銀行について    その1
今週のゲストは日本銀行高知支店長の迫田敏高さんです。今日のテーマは「市民生活と日本銀行について その1」です。日本銀行高知支店は本町3丁目にあり、電車通りに面している建物です。
 日本銀行は地方銀行などのように直接私たち市民にお金を貸してくれる存在ではありません。しかし毎日の経済関係のニュースでは耳にいたします。「公定歩合」「日銀短観」「日銀特融」「協調介入」などの言葉は見聞いたします。
日本銀行は日本経済の「ホームドクター役」だと言われています。日本経済は1991年前後にバブル経済が崩壊して以来低迷しています。その間にIT化の進展と近隣アジア諸国の経済発展もありました。現在の日本経済は「健康体」と言えるのでしょうか?

日本銀行高知支店

昨年は支店設立60周年でした。

日本銀行の支店数は、32です。北海道に3、福岡に2つあります。29道府県にあります。

 

健康体と言われるのには今一歩だと思われます。バブルの崩壊の後遺症を引きずって体力がなく、なかなか元気になれない。今やっと起き上がれるようになったけれど、元気に歩き回れるようになるためには、もう少し体温が上がって、顔に赤みがさして来る必要があります。
景気判断の根拠として、「日銀支店長会議」での様子が報道されます。地域経済の調査動向で判断されるのでしょうか?高知は全国水準からも景気が悪いと思いますが。
私たち市民の感覚(飲食街が閑散。空き家が埋まらない。物が下がるなど)と、どの程度一致しているのでしょうか?
できるだけ生活の感覚に合う報告を心がけています。ただ皆さんが日常接触されている会社は比較的小さい会社が多いですね。今景気が変わろうとしている、景気を引っ張って行こうとしている企業はもう少し大きな企業です。ですから皆さんが感じている感覚とは少し違うかもしれません。
主に日本経済を牽引しているのは自動車産業ではないでしょうか?国内の個人向け消費と輸出も両方とも好調のようだからです。アメリカが来年の大統領選挙をにらんで、国内産業保護を名目に、「円高誘導」策をとるのでしょうか?自動車産業も海外生産に力を入れるように報道されていました。そうなると日本の景気は今より落ち込むのでしょうか?
円高(円がだんだん高くなる傾向)につきましては、輸出に影響が出てきまして、輸出がしずらくなります。その動向には注意しておく必要があります。ただ今の円高は「円が強い」というよりは、「ドルが安い」という状況で進んでいます。アメリカ経済自体は比較的堅調と言われています。円高ということで今すぐ心配することはないと思います。

経済のつぼどこを押さえるのには、経済関係の情報の入手が必要です。


どのような入手方法があるのでしょうか?新聞の経済記事を読みましても理解不能なことが多いです。

日本銀行の動きを知るには、ホームページの閲覧が一番良いのでしょうか?最低限の経済知識を得る方法手段はありますでしょうか?

(毎日見聞していますが、難しいですね。)

よく質問されます。経済、そのなかでも金融の知識というものがわかりにくいと。新聞の記事など見てもなかなかわかりにくいと思います。実は高知支店も昨年11月に支店開設60周年ということでホームページを開設しました。そのホームページをご覧いただきましたら、少しわかりやすい言葉で解説していますので、参考になると思います。

日本銀行高知支店のホームページアドレス http://www3.boj.or.jp/kochi/

昨年11月末に栃木県の足利銀行が破綻しました。りそな銀行のような都市銀行と異なり、地域経済の中枢を占める地銀の破綻です。地域経済に与える影響は深刻です。
日本銀行も無担保の特別融資をされました。それは預金者の保護と、地域の金融不安の防止のためにされる応急処置と理解してよろしいのでしょうか?またその後はどうなるのでしょうか?意外に皆知らないのではないでしょうか?
足利銀行の場合は、「日本銀行は応急処置をする用意だけはしている」状態です。日銀特融をしますよという宣言をしただけです。実際にはお金を出しているわけではありません。足利銀行は現在もう「国有化」されています。国有化のもとで、新しい組織に組み替えるために、もし必要であれば、「公的資金」と言うものでありますが、国の財政資金を足利銀行に投入することによって、建て直しを図ります。地域の皆さんにご迷惑をかけないような再生を進めて行きます。そういう流れになっていきます。
あとはどななたか債権者がやってきて、経営者が変わることになるのでしょうか?
そういうことになりますね。
一時的に国有化されるけれども、また民営化されるわけですね。
そうです。どこかが引き取るまで一時的に国有化される。ということです。
為替動向など、「お金自体が商品」になるという感覚にはなじめません。しかし巨大なマネーが瞬時に世界中を飛び回り、およそ実態の経済とは無関係に売り買いされる現実をどう理解すればいいのでしょうか?
ニュースで、日経平均株価とか、円はどこそこ(ニューヨークやロンドン)でいくらとか言っていますが、市民生活とどう引き付けて考えたら良いのでしょうか?
お金は「物を買ったり、不動産を買ったり」するのと同じように、投資目的で使われたり、それが極端になりますと「投機」と言う形で、使用されます。物と同じようにお金は「商品」とみなすことができます。それには常にリスク(危険)が伴います。場合によっては損をするかもしれないのです。金融商品の取引が活発になれば、市場の厚みが増して活発な取引を促すという良い面もあります。
数年前にアジア各国の通貨がヘッジファンドといわれる連中に買い叩かれ、国家破綻寸前まで打撃を蒙りました。韓国やタイ、マレーシアなど大変でした。日本もそうした攻撃は受けているのでしょうか?
アジア通貨危機の時起こったのは、今も話があったように、お金が投機的に動いたことです。それを引っ張ったのは、ジョージ・ソロスという人が率いたヘッジ・ファンドといわれるものです。それが出来たのはアジアの通貨の市場が非常に小さかったためです。日本の円の市場は非常に大きいので、仮にそういう動きがあったとしても、円を大きく動かす状況にはならないと思います。
日本の円の経済圏はかなり大きいのでしょうか?中国とか、アジア各国に影響力があるのではないでしょうか?それを全部購入し、投機に使うだけの資金力は彼らヘッジ・ファンドにはないということですね。
そうですね。日本の経済力は、未だに世界でbQの大きさです。そこで使われる円の規模も非常に大きい。他のアジアの通貨のようにヘッジ・ファンドに利用されることはないということです。実際の輸出入の取引量も巨額ですので。
韓国などが成長してきたといいましても、神奈川県と埼玉県を足した程度の経済規模なのですね。日本の経済規模を高知の中小零細企業の中で、あくせくしていますと感じられません。
高知県全体の製造業の売り上げは、トヨタ自動車単体の16分の1です。連結で30分の1の規模ですから。
それぐらい格差があるのですね。国際情勢だ、なんだと報道されていましても、理解できないことが良くわかりました。高知の小さな商業圏は「国際情勢」には左右されないということですね。
直接という意味ではそうですね。
新居浜なんかでは「国際情勢」の影響でしょうか、主要な企業が見る影もなく衰退していますから。
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