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市民生活と日本銀行  その2
今週のゲストは日本銀行高知支店長の迫田敏高さんです。今日のテーマは昨日に引き続き「市民生活と日本銀行 その2」です。昨日の話で私たち市民と日本銀行は直接お金の貸し借りなどで無縁とはいえ、関わりが深いと思いました。
 今一度市民生活との関連について、聞いてみたいと思います。
初歩的な質問ですが、日本銀行は政府から独立した特殊法人なのでしょうか?
財務省や、金融監督庁との関係はどうなっているのでしょうか?国土交通省と、道路公団との関係と似ているのでしょうか?
日本銀行はある意味で特殊法人なんですが、「日本銀行法」という法律に基づいて設立されました。国から出資を受けている認可法人です。認可を受けていますので、監督官庁は財務省になります。
財務省が監督されているのですね。
そうです。ただ「国土交通省と道路公団」との関係を言われましたが、日本銀行は財務省の言いなりかと言えばそうではありません。日本銀行は中央銀行です。その分政治から独立して、中央銀行としての役割を果たす必要があります。それは日本銀行法のなかで、「きちんと政府からの独立」が定められています。そのあたりが、「国土交通省と道路公団」のような他の特殊法人とは大きく異なっています。
日本では日本国の紙幣を発行することのできるのは日本銀行だけでしょうか?
通貨供給量は日本銀行総裁の一存で決定されるのでしょうか?現在の日本経済はデフレと言われています。皆が物を買わなくなりお金が回らないからよけい不況になるのではないでしょうか?そうであればかつて小渕内閣がした「地域振興券」のように、お金をばら撒いて消費を喚起したら良いと思いますが?

日本銀行券(紙幣)に対する日本人の信頼は大きいと思います。

クレジットカードなどが、簡単に偽造され、預金が引き出される事件があいつぎました。

よけいに現金に対する信頼が高くなってのではないでしょうか。

(写真はわざとぼかしてあります。)

日本銀行高知支店の掲示板にある「2千円札」の説明している文章です。

高度な印刷技術と偽札防止技術が使用されていることが良く理解できました。

 3つお話がありました。最初の紙幣を発行することについては、日本銀行が日本で唯一紙幣を発行しています。そうしますと通貨供給量(お金の量)は、日本銀行がコントールできるのではないかと思われるかもしれません。しかし日本銀行が使われているお金を増やそうと思っても、勝手に増やすことは出来ません。空からヘリコプターでお金をばら撒くことは出来ません。結局お金の量を決めるのは、みなさんが使うお金の量、「需給」と言います。

 どれくらい経済活動にともないお金の量が必要とされているか。基本的にはその量に左右されます。それでデフレを治すためには、小渕内閣のように地域振興券をどんどん出していけばとの事ですね。それもひとつの選択肢ではあります。 ただその場合、今日使うお金のつけは、財政支出によってまかなっておいて、つけは将来子供世代にまわす事になります。政策効果をよく見極めて、考えて行く必要があります。

市民として最低限知っておかねばならない日本銀行に関する情報はありますか? 学校で習うのは、「紙幣を発行しているところ」とか「火事などで紙幣が損傷しても形があれば日銀へいけば取り替えてくれるとか」くらいしか習いませんので。
一番密接な関係がありますのは、その2つの点です。更に日本銀行には2つの機能があります。ひとつは「銀行の銀行」です。銀行としか基本的には取引をしていません。それからもうひとつは、国の銀行です。国庫金と言いまして、国のお金を扱っています。「金庫番」のようなものと考えていただいたらよろしいと思います。このあたりも日本銀行のホームページをご覧になりますと、良く理解できると思います。

日本銀行高知支店ホームページ  http://www3.boj.or.jp/kochi/

渋沢栄一さんがこしらえたのは、日本銀行なのでしょうか?
第一国立銀行です。「国立」とはいえ、実際には民間の銀行でした。(現在のみずほファイナンシャルグループの前身の第一勧業銀行の元になった銀行です。)当時は「国立」銀行は、皆紙幣を発行していました。第一銀行、第二銀行、第三銀行もです。そうなりますと全体のコントロールが効きません。それを収拾するために、日本銀行が作られることになったのです。
公定歩合を決定されるのは日本銀行なのでしょうか?現在の利率は史上最低とうかがっています。景気が回復しない限り、上昇はありえないのでしょうか?公定歩合は景気回復のバロメーターと考えていいのでしょうか?
公定歩合は日本銀行が民間金融機関にお金を貸し出す場合の金利のことです。今は年率0・1%です。史上最低になっています。今はこうしたものよりも更に「市場金利」というものがあります。銀行同士が民間市場で取引する金利。これを主としてコントロールしています。今は不況で景気が悪いので金利は極力安くしておいたほうがいいのです。日本銀行は、「消費者物価の前年比の伸び率が安定的に0%以上になるまで」は、こうした低金利で行くことを宣言しています。
まだまだ景気はよろしくないということでしょうか?
はりまや橋商店街
はりまや橋商店街(金曜のはりまや市)
そうですね。
私たち一般市民は為替の知識がありません。外貨で預金するとか、外国債を購入するとかいう知識はありません。日本の銀行を信じ、預金しています。今後もそれで良いのでしょうか?お立場上発言しにくいとは思いますが、その方面の知識は必要なのでしょうか?
外貨預金も金融商品のひとつです。いろんな金融商品を持つことは、それだけ利益を生むチャンスが広がります。幅広い金融知識を持たれるということは、健全で豊かな生活を送るためには重要です。外貨預金を持つのも選択のひとつです。外貨預金の場合は為替のリスクを考えなくてはいけません。そういうところをよく勉強され、正しい知識を持たれて運用されることが重要です
昔香港旅行して驚いたのは、庶民が自国の通貨を信用していないところでした。金などにして資産管理しています。日本人が自国の通貨と銀行を信用しているのは、日本銀行の努力のお陰なのでしょうか?

はいとお答えしたいと思います。みなさんの日常生活のなかでお金が信用されるということは大変重要なことです。それは難しい言葉で言いますと、「通貨の信任」と言います。

通貨の信任は経済が成長していくためには、大変重要な要素です。経済を人間の身体に例えますと、お金は血液のようなものです。血液が信頼できるものでないと、身体は駄目になるということです。

迫田敏高さん
国民が自国の通貨と国内銀行を信用している間は、日本経済は健全であるということですね。それが金を持たなければならないとかいう事態になりますと動乱状態で危ないよということなのでしょうか?
そうです。
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