福祉住環境コーディネーターとは?
 今週のゲストは福祉住環境コーディネーターの笹岡和泉さんです。今日のテーマは「福祉住環境コーディネーターとは?」でお話を伺います。
 また笹岡さんは建築士の資格も持たれています。福祉の環境を整えるための資格のようなのですが・・・・。
まず伺いますが「福祉住環境コーディネーター」という資格は最近できたのでしょうか?またどのような活動をされているのでしょうか?現在高知での資格保持者は何人ですか?福祉住環境コーディネーター協会はありますか?
 福祉住環境コーディネーターという資格は東京商工会議所の検定試験になります。平成11年の5月に第1回の試験が実施されました。それが始まりです。
 年間10万人ぐらいの受験者数がいるぐらい関心度が高いです。高知県では3級の合格者が200人程度、2級が260人います。1級はまだ新しい試験ですので高知ではまだ合格者はいません。
 新しい資格なのですが難しい資格なのですね。
 そうですね。内容としては障害者や高齢者の人の住宅改造などに関わる時に、介護保険についてであったり、病気についての詳しい知識であったり、福祉用具についてや建築についての基礎的な知識などを幅広く勉強しなければばりません。
 3級は広く浅く自分の為に勉強するというものです。2級は「人のため現場で知識を役立てる」ためのより深い知識になります。1級になりますと、家屋だけを直しても駄目で、もっと町全体を直すとか、「まちづくり」まで広がっていきますので難易度が高くなっています。
 平成12年度といいますと、2000年4月に介護保険制度がスタートしました。同時に福祉住環境コーディネーターがスタートしているということですね。
 そうですね。やはり現場のニーズ(要望)が高まって来て、こうした資格が出来てきたと思います。 笹岡和泉さん
笹岡さんは、福祉機器の展示会にも関わられたと伺いました。「使い勝手の良い」福祉機器を作成するための取り組みはどうされていますか?またメーカーは対応できているのでしょうか?
 そうですね。自分達は住環境のほうがメインです。福祉機器を作成することはありませんが、やはり住環境を整備する場合に、家を直すだけの対応では解決できません。
 福祉用具も組み合わせながらの取り組みも必要です。福祉機器について詳しい理学療法士やケアマネージャーさんとか、業者さんやメーカーさんとの情報交換して、情報を共有しながらということがありました。そのなかで福祉機器の展示会なども、住環境の整備もあわせて実施していっています。
 ケアマネージャーとか、理学療法士とか建築士さんとか、専門家をコーディネートされるのが、住環境福祉コーディネーターのお仕事なのですね。
 そうです。そういう「繋ぎ役」がいませんでしたので、現場から必要とされてきています。私たちが「現場」へ行って話しを聞くのはせいぜい1〜2時間程度。在宅介護をされているホームヘルパーに事情を聞いたほうが、詳しくわかる場合がありますね。
 ここは段差があって躓くとか。
介護保険制度がスタートして4年目です。その趣旨は自宅で介護サービスを
受けることが前提になっています。笹岡さんが関わりになられていまして、何が皆さんは困っていると思われますか?
収録の様子です。多くの資料やデータを持参いただきました。現場を踏まえたお話は説得力がありました。
 そうですね。介護保険制度は自立を大前提にしています「。障害や能力に応じても自立した日常生活を出来るように」という趣旨で出来ました。問題点はなかなか「メインで関わる職種が決まっていない」のです。ケアマネージャーさんは住宅改修の現場の関わるときは繋ぎ役になる場合もあります。
 あるいは知り合いの大工さんから連絡が来る場合もあります。なかなかその方の本当に困っている場合は、「繋ぎ役」が明確でない場合が多いですね。それと職種が違う、職種の専門用語が違うので、意思の疎通が上手く行っていない場合もあります。
 業者のなかでうまく連携が取れていないことと、依頼者の求めることにたどり着けないこともあります。手摺をつけたものの、使えなかったとか。そういう問題があると思います。
介護保険制度の場合、住宅改造費用は確か20万円までだと聞いています。これの増額の可能性はあるのでしょうか?また20万円でどの程度のことが出来るのでしょうか?
 増額の可能性は私ではわかりません。場合によっては限度額が20万円よりもう少し高ければ、もっと十分な改修が出来たとにという事例もありました。何もお金をかけて大規模な改修をしなくても、材料とか施工方法とか、福祉用具と併用したことを考えるとか。
 少し模様替えをしてスペースをとってあげたり、安定した棚を手摺代わりに活用したり。ちょっとした工夫で対応出来るので、私は20万円というのは、少ないという風には思いません。工夫や依頼者の希望を取り入れて、「最小限の工事で、最大限の効果を生み出す」のを目指すのが一番であると思います。
それぞれ、福祉と建築と言う業界が違いますね。福祉の分野も幅が広くて、それぞれの言葉が違う。「通訳」をされているのが笹岡さんの役割なのですね。
今までそうした役割の人がいなかったこともあります。福祉住環境コーディネーターの資格を持たれている人は、それぞれの職種の人がいます。建築士、ケアマネーネージャー、ヘルパーや作業療法士、理学療法士など多くの職種の人達が取得されています。皆関わるのかで、「+アルファ」でそれぞれ自分の職種を生かしています。
 関わる中でそれではいけないのではないかと、第3者機関で、それを繋ぎ役が必要ではないかということで、NPO(非営利公益法人)として始めたこともありました。
浴槽の改装した例。段差をなくしたりします。壁に手摺をつけたりもします。