生産手段の社会化とは?
 今週のゲストは日本共産党高知県委員会委員長の佐竹峰雄さんです。今日のテーマは「生産手段の社会化とは?」です。新しい共産党の綱領では「生産手段の社会化」という言葉が多用されています。従来は社会主義体制は「国有化」という手段が使用されてきました。聞きなれない言葉なのですが。
 株式会社などの形態をとらないということは、どのような所有形態を想像すれば良いのでしょうか?生活協同組合のような形態なのでしょうか?
   
佐竹峰雄さん

生産手段の社会化というのは社会主義、共産主義の未来社会での一番大事な「キーワード」です。これは資本主義社会になってきますと大量生産になってきます。

工場や機械設備のなかで人間と人間が共同で生産するようになってきます。しかし工場や機械設備は企業や資本家の私有になっています。その生産活動によって生まれる収益は資本家の私有になってしまいます。ここに資本主義社会の最大の矛盾があります。これを労働者、国民全体の所有に変えていこうというのが、「生産手段の社会化」です。

 

 そのありかたについては、今ここで具体像を申し上げることは出来ませんが、国有化とか公社化とか、協同組合化とか、様々な形態があります。ただ大事なのは生産管理への国民、労働者の参加のありかたです。旧ソ連のように一部の特権階級が支配していくのは社会主義とは言えません。生産手段の社会化とは言えません。抑圧型の社会が旧ソ連であり、社会主義とは無縁であったというのが、今の私たちの見解です。

観点を変えます。地球環境の保全のためにも「生産手段の社会化」は必要なのだとされています。大量消費型社会を改革しませんと、「生産手段の社会化」も変革されないのではないでしょうか?
 
そのとうりだと思います。今の生産手段の私有のもとでは、利潤本位の生産がすべてを決めていきます。絶えず不況や恐慌というものが、あります。利潤のためには手段を選ばないようになり、環境問題には無関心になりがちですね。生産手段を社会化すれば、環境保全をするために。、国民参加でよりよい経済活動が活発に行われていくと思います。
 
最近地域通貨やエコマネーという考え方があります。ミハイル・エンデが「劣化する貨幣」などを注目していたことが最近評価されています。そのあたりはどう思われますか?
これは私も不勉強な分野で申し訳ないところです。様々な提案がされていますね。高知県内でもその地域でしか通用しない商品券を発券したりしていますね。地域のなかで還流させる試みもありますね。大いに地域で討論し、その可能性を探って行きたいと思っています。
 

生産手段の社会化という概念は、カール・マルクスが言っていたのでしょうか?私の場合は記憶にないのですが?

 

カール・マルクス「ゴータ綱領批判」 岩波書店刊

「生産手段の共有の上に建設された協同組合的社会の内部においては、生産者は彼らの生産物を交換しない。ここでは生産物に転化された労働はこの生産物の価値としても、またそれらの有する物的性質としても現れない。」(西雅雄翻訳 )

生産手段の社会化というのは、社会主義、共産主義社会の決定的な「キーワード」です。今の資本主義の生産といいますのは「儲け本位」「利潤主義」です。生産手段を国民が手に握る事によって国民全体の利益のため、地球環境も含めた私たちの生存も含めたそのもののために活用していく考え方です。それが社会主義、共産主義の考え方であると思います。
 
自分の地域を元気にするために、自分の特技を生かして商売をやったり、市民運動をする。それを称して「コミュニティ・ビジネス」と言われています。その考え方についてどう思われますか?
わたしどもも共産主義というのは、「コミュニズム」です。つまり共同社会を目指すというものですね。地域社会、共同社会を良くするためにその考え方は共通です。大事なことは地域社会だけでは良い社会は生まれないと思います。国政全体の方向を大きく舵を切り替える必要があります。やはりアメリカべったり、大企業べったりの政治のなかでは、地域社会そのものが歪められてしまいます。地域経済も歪められます。
今の段階では私たちは社会主義を言っていません。資本主義の枠内でももっとなすべくことがある。大企業の横暴なやりかたにはもっと規制をかけるべきである。小泉内閣は「規制緩和」と言って、野放し状態にしています。逆に労働者や国民を守る。ルールある国民生活を私たちは日本改革の大きなテーマであると主張しています。
NGOやNPO、生協運動、組合運動などの「相互扶助」の考え方で世界を再構築するという考え方でよろしいのでしょうか?
そういうことになろうと思います。なりゆきでそうなるわけではありません。その国の方向を決めているのはその国の政府、政権ですね。政権を民主勢力が獲得することが大事なのです。進む道筋を大きくすることが大事です。わたしたちもそうした勢力の皆様方と手を握ることが大事です。