高知は特色のある地方都市なのでしょうか?
 今週のゲストは朝日新聞高知総局の篠塚健一さんです。今日のテーマは「高知は特色のある地方都市なのでしょうか?」でお話を伺います。
篠塚さんは4月に高知へ来られ、県政記者クラブなどで取材されています。他の地方都市との差異はあるのでしょうか?
まず高知県政について伺います。橋本知事と県議会は「程よい緊張関係」を保っているように思います。観察された印象はどうなのでしょうか?
7月定例県議会がありましてそれを見たのですが、ひじょうに面白かったです。

 特に面白かった点はどういうところだったのでしょうか?
収録の様子です。多彩なテーマにきっちりと答えていただきました。文章化しましても、しっかり回答いただきました。
 そうですね。みなさん主張や会派が違っていましても、熱い思いを持ってやっていらっしゃると思います。
 橋本知事が去年の選挙の公約で南国市かどこかの山を購入するという
ものがありました。それを質すという質問がありました。まだ買っていないということでした。
 それは公約違反ではないかと詰め寄るような場面がありました。橋本知事は昨年の12月に再選したばかりです。オール与党体制ではありませんので、緊張感は感じました。
 県議会での議員の質問力レベルはいかがでしょうか?自分で調査して、原稿まで執筆して質問しているようなのでしょうか?まさかとは思いますが、県職員が「代筆」している県議会議員はいるのでしょうか?
 「代筆」については調べてみれば面白いでしょうが、まだ調べてはいません。「質問力」というですね、独自の調査の結果を出された方もいらっいます。実際それは新聞の記事にもなっています。そういうところは評価されても良いのではないかと思います。
 それ以外は一般的なことも多かったなと思いました。
 他の県や地域と比較して、高知県議会とか高知県政のレベルは、特に著しく低いとかそういうものではないと言うことなのでしょうか。
 そうです。これは高知の特性にも繋がりますが、「人が良い」と思います。よそから来てもそんなに区別される体験はありません。聞けば割と答えてはくれますし。これはひじょうに暖かさがありますね。
 それは主義主張が違っていても同じようなところがありますね。ここは感じているところがありますね。
日本最大級の露天市である日曜市
高知の料理は皿鉢(さわち)料理。お酒に合います。
 篠塚さんは入社されてから7箇所くらい赴任地を回られています。高知の特性を言われましたが、他にはありますか?
 お酒は良く飲まれますよね。とにかくそれはあります。ひろめ市場がありますね。お昼を食べに行ったりしますけれども、絶対飲んでいる人がいます。
平日の昼間からですか?
 ジョッキで飲んでいる人が必ずいますね。平日の昼間にですね。これはなかなか見れない光景だと思いますね。
 ある種の特色なのかなと思います。
 酒飲み県のイメージがあるのでしょうか?
 そうですね。たしかにお酒も美味しいですからね。そういう気持ちもわかりますね。
 高知県は観光に力を入れています。県外から来られまして観光地としての魅力、競争力はあると思いますか?
 まだまだ高知県内回っていないところがあります。沖縄や北海道と比較したときに、高知と言いますとイメージが沸いてきませんね。
 高知と言うときにイメージが沸いてこないのは、やはりちょっとあるのかなと思います。どうしても沖縄であれば沖縄の音楽などのイメージが浮かんできたりします。かなりインパクトが強いですね。
 高知の場合はそこまでの打ち出しが出来ていません。そういう気がしますね。浮かんでくるものが、「よさこい」とか「お酒」とか散発的なもので統一的なものはないですね。それがあると全然違うと思います。
 四万十川があるよとか、かつおが上手いよとか。象徴的な建物や場所はないからでしょうか。
 ランドマークになるものはそういえばないですね。桂浜ぐらいでしょうか。でもあそこに15分以上は居れませんね。つまらんからですから。以前番組ゲストで来られた安岡正博さんは「桂浜に竜ヶ洞と高知城があれば観光地で半日ぐらい過ごせるだろう。と言われました。
 しかし誰もそんなこと言いませんね。高いパンフこしらえ観光PRしていますが、ずれているように思いますね。
 話は変わりますが、7月の参議院選挙を取材されていて、「変化」は感じられますか?高知は4党が候補者を出し、公明が自民党に協力した選挙区でした。全国的な潮流と同じ傾向は高知でもありますか?
そうですね。全国的にもそうでしたが、これまで保守系が強いとされてきた農村部や漁村部で無党派化したということが見られました。
 今回の選挙結果は広田一さんが当選されましたが、ふりかえってみても、44町村のうちの24町村で次点の森下候補を上回っていましたね。これは事前ではなかなか想像出来なかった展開です。郡部やそういったところから、変化の芽が出てきているのだなということが今回の選挙で出ているのだということが良くわかりました。
民主党岡田代表も、参議院選挙で、広田候補支援のために2度も高知へ来ています。(写真は高知市役所前での様子です。)
 事前の評価は広田候補の関係者に聞きましても、「森下候補の背中が見えてきた」というものでした。ふたを開けましたら逆転して、意外に差がついてしまったなということには私も驚きました。
 そのあたりは農村部のほうが「流動化」したことは感じられましたでしょうか?
そうですね。票数での影響はそれほどでもなかったと思います。やはりまず森下さんが有利であったと思ったところが、広田さんがいくつか勝っているということも事実としてがありました。
 都市部でももっと決定的な差がつきましたね。
 その変化は全国的に地方が流動化したことの傾向が高知でも現れたと考えてよろしいのでしょうか?
 
 それはいえると思いますね。広田さんの特殊なのは民主党の公認候補ではなく、推薦候補ということでしたし。無所属と言う立場でしたので、保守系の人達も票を入れやすかったと思います。いろんな要素がかみ合ったと思います。
小泉純一郎首相は2度も参議院選挙の最中に、森下候補の支援に高知へ来ました。(写真は高知市の中央講演での自民党演説会の様子です。)
 4月に篠塚さんは高知に来られました。高知県の経済状態についてどう思われますか?見られて良いと思われますか?悪いと思われますか?
 経済状態と言われましても。お子さんが大学へ行かれて、卒業して東京から帰って来る時にはっきりわかりますね。どこに就職したらいいのか。あまりに選択肢が限られているのではないかと思います。
 だからここまで県庁などの存在が大きい県も珍しいのではないかと思います。民間企業が乏しいのですね。他の県と比べて選択肢がなくて多くないことが、高知にいろんな意味で影響を与えているのかなと思います。
 観光の話もしていただきましたが、「特色」が弱いことが欠点なのでしょうか?
 良いものはたくさんあるとは思いますが、統一されたイメージなものがないものですから、「散発的」になってるなと思います。
 もっと高知と言えば浮かんで来るものを決めて全面に押し出したほうが、特に関西圏を飛び越えて関東圏とか、東北とか、そちらのほうに対して訴えかけていく力になるのではないかと思います。
 そのあたりの絞込みやセールスプロモーションは上手くいっていないということですね。
 なにが資源なのかということをもう一度検討しなおすということを自分たちのなかからも、外からも見て検討することが必要であると思います。
 
 高知空港を高知竜馬空港と名前を変えましたが。インパクトはあると思いますか?
 だからといって外から来て「竜馬空港だったんだなあ」ということだけだと思いますね。名前効果で使ってくれる人が増えるのかというのは、僕は「幻想」だと思いますね。取材してみて利用者数などを検討してみる必要があります。