地域の元気応援団とは何か?
 今週のゲストは、地域の元気応援団、高知県庁企画振興部地域づくり支援課、地域支援企画員である隅田紀子さんと、松岡好江さんです。
 今日のテーマは「地域の元気応援団とは何か?」でお話を伺います。高知県庁は今年50人の県職員を高知県下の地域に派遣しました。市町村役場や関係機関に席を置き、地域で活動されています。
 昨年は7人が地域に派遣されていました。それが今年は、一気に50人と言うことは、それだけ期待度も大きいのでしょうか?

松岡 

 平成15年4月に、東部、南国・香美、中央・嶺北、仁淀川下流域、高吾北、高幡、幡多の7ブロックに7人の「地域の元気応援団長」が派遣されました。

 県民・NPO・市町村などの個人や各団体などから様々な提案やご意見をいただく中で、実際に地域に入って、地域の方々の想いを受け止めて共に考え、行動していくためには、ある程度のマンパワーが必要であり、地域のニーズに応えるための増員であると受け止めています。

 

松岡好江さん
 また、もう一方で県庁の仕事の方向性を変えるという側面もあります。
 今までは、市町村を通じて間接的な情報を元に、机の上で考えていたものを、住民の方に、生の情報をダイレクトにいただきながら、個々の地域の視点にたって、軸足を住民において、地域支援企画員が、肌で感じたことを県政に活かすためには、より多くのアンテナがあったほうがいいということであると思います。

 元気応援団になられた人は、「志願」された人達なのでしょうか?またその動機はな にだったのでしょうか?隅田さん、松岡さんそれぞれにお伺いします。
隅田 「志願」したものが全体の3分の2程度であると聞いています。
 残りの3分の1は通常の人事異動での配属となっています。
 私(隅田)は、志願しました。私は、県庁の中で「福祉職」という職種で採用されまして、入庁以来、ずっと健康福祉部という結構「狭い部の」中で、「障害のある方」と関わりのある仕事をしてきました。

、福祉という仕事は、「ひと」の営みそのものであり、本当に広く豊かな感性を持って取り組まないと、仕事というビジネスライクな考え方だけになりますと、だんだんと殺伐としたものになってきます。

す。

隅田紀子さん
 「ひと」が障害があってもなくても、自分の暮らしたい地域で豊かに暮らすという当たり前のことを地域を通してもう一度一緒に考えたいと思い、希望いたしました。
 もちろん、「障害」にこだわるわけではなく、「ひと」の想いを受けとめて、少しでもその人の思いを形にし、地域の中で実践できるような支援をしていきたいです。それを通して自分自身が少しでも豊かになれたらいいなぁとそんな思いもありま
松岡 私(松岡)も志願しました。私は高校卒業して県庁に入庁以来、8回の人事異動でいろいろな場所にいきました。そのほとんどが女性と言うこともあってか、庶務・経理的な仕事でした。
 4年前に土佐山田町にある香美農業改良普及センター(現在は中央農業振興センター農業改良普及課)に異動になり、農業改良普及員が直接農家の皆さんと関わる仕事を目の当たりにする中で、自分も外に出て仕事をしてみたいと思いました。

 また、県民の皆さんは県庁をどのように感じておられるのか、組織の外から見てきたいという思いもありました。地域に出てお聞きした皆さんの声を県庁の中に届けるのが仕事であると思っています。

「地域の元気応援団」の概要を前半にお伺いしました。地域応援団全体で「こうする」とか方針はあるのでしょうか?それとも各人で「メニュー」を考えて実施するのでしょうか?
隅田 一応地域支援企画員は、住民の力を活かした地域の支えあいの仕組みや、それを基本とした新しい公共的サービスの仕組み作りなどに向け、地域と行政をつなぐ、また地域の自立・共助を進めるための組織づくりや、その機運づくりを助長するという使命をもって職務に取り組んでいます。

ブロックごとに個性があります。7つのブロックの中では、チームごとにテーマを決めてで仕事を進めているチームもあれば、各地域支援企画員が自分自身でテーマを見つけて個々に取り組んでいるチームもあります。こうしなくてはいけないと言う、縛りはありません。自由な発想で仕事を進めています。

 隅田さんや、松岡さんたちは高知県中央部に派遣されていますね。中央部の人達と話し合って「こうやろう。ああやろう。」と言うことは(具体的には)あるのでしょうか?

高知県庁本庁舎。昨年は7人、今年は50人。高知県下各地域へ「元気応援団員」が派遣されています。

来年は更に50人、合計100人程度の県庁職員が地域に派遣されることになります。

隅田 月に一度、定例会と言いますか、チームの者が集まって話し合いをする場があります。そこで「悩み出し」とか、「みんなでこれは取り掛かったらいい」とかいうものにとっては、協力体制をとってやります。

 現在、地域づくり支援課としても、地域支援企画員の共通テーマをもって、地域を考えていこうという動きもあります。
 具体的には、「子育て」と「むら・まちの普段着の食文化の発信」ということですが、「子育て」は、私達子どもをもつ親にとっても切実な関心事であり、地域支援企画員として中山間地域である「ムラ」の想いを形にすることは大切な課題ではないかと思います。これからこの2つの課題について、ワーキンググループを立ち上げて、地域のかたの想いを結集できたらいいなあと思います。

 地域応援団の人たちと、高知県庁との「関係」はどうなっているのでしょうか?
県からの「支援」はあるのでしょうか?
松岡 支援と言う形はですね。私たちが地域へ入りまして、地域の人達の声を聞きまして、県の方へ届ける。繋ぐという仕事になってくると思うんですけど。その後の具体的な県民の方との関わりは、セクション、セクションがあたっていくようになっています。

 私たちの仕事はそこへ繋ぐまでの仕事かなと思います。


 コーディネーターということなのでしょうか?
松岡 そうですね。

 地域支援企画員は、土木や農業といった部門ごとに配置された県の出先機関に属さない職員で、縦割りの組織にとらわれず、職員の自由な発想で自主的に活動しています。
 職員の所属は、県庁の企画振興部地域づくり支援課の職員という位置付けですが、日常的には、主に市町村役場に机をおいて活動しています。
 その際,私たち地域支援企画員は、「県庁」からの全面的なバックアップ体制を取り付けた形で、地域で活動しています。
県政の基本理念としては、「自らの力で歩む高知づくり」、「県民と正面で向き合う県政」というコンセプトがあり、地域支援企画員は住民の方や、市町村の方から上がってきた一つ一つの声を、県庁の各課室に届けながら、一つ一つの具体的な事例を通して、関係を調整しています。
 よく、「県庁の仕組みがわからない。」、「どこに相談に言ったらいいかわからない。」というお声をお聞きいたしますが、私たち自身も県庁の組織の全てを理解しているわけではありませんが、もし、お声をおかけいただきましたら、誠心誠意、必要な情報を集めてお届けして、また必要があれば、各課室におつなぎできたらと考えています。


 繋ぎ役と言うことになりますと市町村役場の人たちとの関係はどうなっていますか?「前例のない」試みだけにとまどっているのではないでしょうか。
県民の森工石山(くいしやま)高知市からj車で約40分ほど。土佐山村にあり、自然林もあります。
 
隅田 私たちは、中央・嶺北チームの中の高知市駐在員ということで、対象エリアの所管の市町村が、『高知市』『鏡村』『土佐山村』となっています。
 まず、『高知市』は、中核市として確固たる組織をもち、堅実な市政を運営されていますので、私たちが割り込む隙はないのですが、先ほども言いましたとおり、具体的な事例を通して、市役所にお教えいただかなくてはならないことがたくさんあり、住民の方と一緒になって説明を受ける場合があるのですが、その際には、非常に親切な対応をしてくださっています。県の職員と言うことで信頼もいただいています。

 地域支援企画員という、県の職員としての周知度は努力不足もあり、非常に低いと思いますが、具体的な連携をとる場合には、非常によい感触を得ています。
 『鏡村』とは、「マイ・カントリー事業」という、高知市への合併後も、「鏡地区」が集落としての誇りをもって、より今以上に活性化していくための事業を協力し合いながら進めました。
 また、鏡村の間伐体験に小・中学生を受け入れるお手伝いもしています。

『土佐山村』では、松岡のほうに事務机をわざわざ用意してくださり、村に関する情報をいただいています。両村とも、現在は高知市との合併を間近に控えており、その事務整理に追われているようですし、新たに何かに一緒に取り組むということは難しい状態です。
 関係作りにおきましては、一定出来ているのではないかと思います。

鏡村での「まちむら交流研修会」の様子です。
松岡 私は土佐山村に良く行かせて頂いています。合併を控えて、事務処理が行政の人は大変な場面を迎えています。施設の管理ですとかいろんな場面で、県のアドバイスを貰いたいとかお声もいただいたり、村の役場の要請がありまして、県のセクションに繋ぐということのお手伝いをしています。

 なかなか新たにいろいろやっていくことが、合併も控えて、難しいところです。そのあたりは合併後も、引き続いて「中山間振興室」というセクションが高知市におかれますので、関係作りが上手くいくようにお手伝いしていきたいと思っています。

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