地域社会をどう再構築しますか?
 今週のゲストは高知市環境課課長補佐の佐竹敏彦さんです。今日のテーマは「地域社会をどう再構築しますか?」でお話しを伺います。
 佐竹さんは以前自宅のある地域の町内会長もされていました。だいたい仕事を引退された人がされる大変な地域の要役ではあります。その経験から見えたものはどうなのでしょうか。
地域の商店が寂れ、郊外型量販店や、コンビニエンスストアが沢山高知にも出来るようになりました。「顔の見えない地域社会」になりつつあります。この10年ぐらいの変化についてはどう思われますか?
 そうですね。町内会長として見た地域の状況なんですが、高齢化が進んで若い人が少なくなりました。若い人が少ないと言うことは、小さな子供たちが少ないと言うことです。

 町内会の集まりも、高齢者の集まりになりがちで、老人クラブの集まりのようになっています。人口は高知市の場合は増加しています。全体の人口は増えていますが、高齢者の比率が増えていっています。

 現在も町内会長をされているのですね。
 そうです。現職です。 佐竹敏彦さん
 仕事をされながら、町内会長というのは大変ではないのでしょうか?
 自分には、行政も町内会も地域コミュニティの育成と言う視点からは同じことではないかと思います。ですから大変とは思いません。
 地域社会といえば、いろんな職種の方が居住されていますね。炭焼き小屋をこしらえるお話は大変楽しい話でした。それ以外にも活動と言うのもあるのではないでしょうか?
 私などの町内での関わりと言えば、不燃物の収集。管理とか、夏場の消毒作業とかぐらいなのですが。それほど関わりはないのですが。

 町内会そのものが、地域福祉であるとか、情報交換の場であるとか、防災組織の作って防災活動をするとか。一種の行政レベルの取り組みの団体ではあります。そういう点での活動や、その他いろんな形の活動があります。
 それぞれの状況に応じた活動をしていますね。

 最近各地で災害が多発しています。以前番組に出演いただきました高知市消防局の神岡俊輔さんによれば、「災害時に救助隊が助けることの出来る人は僅か。隣近所の助けあいで助かった人が遥かに多い」といわれました。高知市でも地域コミュニティがあるところと、存在していないところがあるようですが・・。
1995年の阪神・淡路大震災
自力、家族、隣人救助が95%!です。
 
 実際はどうなるかはなんとも言えないと思います。隣近所の助け合いがあれば、いざと言う時のコミュニティのあるほうが遥かに、ないより有利であると思いますね。

 私たちのところも自主防災組織がありまして、毎年訓練をしています。防災施設を活用しまして、避難訓練とか、初期消化訓練などを行っています。
 コミュニティの育成は基本的な姿勢として実践しています。

 最近行政も財政危機になり、従来実施していました市民を巻き込んだイベントなども中止や縮小に追い込まれています。予算も削減されています。
 佐竹さんのお話を伺っていますと、行政云々ではなく、地域の住民が、炭焼きのお話のようで、自分で知恵を出して、自分で労力を提供して、やることはやる。それが基本にありますと防災もまちづくりも何ら支障はないように思いますが。
 私は公務員になった理念もそうです。公務員は24時間地域の皆さんのためにやる。というのが基本です。私はそのために公務員になりました。
 自分がやれる範囲で、地域の資源をどう活かして、楽しく活用できるのか。いろんな取り組みを町内会活動でやっています。自分で出来ることは自分でやるわけですね。
 それが私達のやっていることですね。
市民参加の梯子団。佐竹さんたちは最上段にいます。
高知市まちづくり一緒にやろうや条例
 
 その話でいきますと地域の資源は、佐竹さんが地域社会を再生する場合、使用する「道具(コミュニケーション・ツール)はどのようなものがありますか。
 さきほどのお話では。地域の資源は自然環境もあります。地位にいる人材もそうなのではないでしょうか。
 それが一番であると思います。ですので、いろんな職種の方、いろんな生き方をされた方。知恵とか経験をされた方が地域社会にはいます。集まりがあれば、いろんな取り組みが出来ます。
 今回も炭焼きをやろうと言う事でやりましたし。自主防災組織をつくろうということでも、前から提案されている方がいました。つくりましょうとなりました。その活動の中で地域のネットワークが地域として支えあう社会が出来ました。
 皆が知恵を出し、協力し合うことがあれば、可能ですね。そういう点では人材が一番ですね。自然環境にも人材が一番ですね。
 人材の集まり方が地域の活力になってくるのではないでしょうか。知事は「住民力」という事を言われています。私は「地域の人材力」と思います。
 知事の言われていることは、既に神田(こうだ)地区では実践し、成果を上げていると言うことですね。
 男性は地域に溶け込むのは難しいとされています。佐竹さんは仕事をしながらの活動だけにたいへんであったと思われます。極意をお話し下さい。
炭焼き小屋は地域のシンボルです。
 今年のお正月はこの囲炉裏を囲んで猪料理を賞味されました。
 
 酒飲みですね。酒を飲んで集まる。そういう中で、意外性を持っていたのが、炭焼きですね。やはり人間は「自然環境の中で育つ動物」です。自然の中で皆さんも触れ合えば、意気込みも出来ます。いがみ合いもありません。

 美味しいものを地域の自然のなかで食べれば、いろんなコミュニケーションが出来ます。その生まれてきたコミュニケーションのなかで、どのような取り組みが出来るのか。ごく自然に出てくると思いますね。
 酒を飲み、自然のなかで食べながらやることが、一つの資源ではないかと思います。