建築設計と3Dの活用について
 今週のゲストは建築設計士の田上圭一さんです。今日のテーマは「建築設計と3Dの活用について」でお話を伺います。
 過去私も自宅を建てた事がありました。知り合いの設計士に依頼し、簡単な図面を書いていただいてイメージを脹らまして建築しました。壁の色見本なども見ましたが、小さく出来上がると随分イメージが異なりました。3Dを活用しますと、パソコンの画面で、イメージや施主の希望が再現されるのでしょうか?うまく引き出すことが出来るのでしょうか?
実は私はまちづくりで3Dを使い始めたのではなく、設計をしていましたので、ユーザーとの打ち合わせ用に使い始めました。
 当時は図面で打ち合わせをするのは大変でした。東京の物件が出たのを機会に、ノートパソコンを持って、3次元で模型を作ってその模型をその場で打ち合わせに使用し、形を決めて帰ってくる。
 それは距離の問題、お金の問題、時間の問題がありました。その場で決めたい。模型とか、スケッチと言うのは、その場で、特に模型はですが、手直しが大変です。直すのがつくるよりもっと大変なのです。
 そうしますと施主さんが、こうしたいという話を、こちらのほうでこうしましょうというのを出せない状態でした。
 ノートパソコンを持って行って施主さんと話をした時に「設計と言うのはこういう形でしているのが、普通だろう。」と言われました。
 「図面でしかやっていません。」と言いますと、「そんなことは無い。」と言われました。
 それからか、主に使い始めたのです。
従来もパソコンの画面で、平面的な写真を使用して、着色したり、材質を変えたりすることは出来ていました。田上さんの提案されている3Dはそれ以上のことが出来るそうなのですが。例えばどのようなことが設計する上で可能なのでしょうか?
ある住宅設計の3Dです。3Dを活用されて施主の意向を汲み取ります。(画像は田上圭一さんのサイトより掲載しました。)
 
 実はエスケス模型で最初は考えていました。単なるかこだったんですね。よくある模型、白い模型を建築関係の人は使います。
 それと同じようなことだったんです。最初の頃の3Dは。
 だんだんレベルが上がってきまして、当初出来なかったことが、出きる様になりました。一番大きな部分は、テクスチャーを貼る、つまり壁の部分を貼るとか、色を変えるとかいうことだけでありません。
 実は一番メリットを感じたのは、光なんです。3次元で模型をつくります。何年何月何時何分の光がどのように差し込んでくるということが、一発で出ます。そうしますと、ここに窓を造りますとこのように光が入ってきますよ。明るすぎましたら、ここにルーバーをつけましょう。
 ルーバーをつけることによって、影が落ちますよ。と言う話が出来ます。
 そうしますと、この窓はこれくらい有効とかいう話を、日差しを想定してできます。これが凄く良かったです。
3Dを活用されてからは、以前とはどのような面で設計に関して変化がありましたでしょうか?
 そうですね。日差しですね。これだけは手書きのスケッチでは出来ませんでした。
 日差しは、朝の日差し、昼の日差し、夕方の日差しと3次元ですべて再現されたのでしょうか?
 そうではなく、時間をずらしますと、朝から晩まで、リアルタイムに日差しの状態が再現できます。
 それは凄いですね。
 簡単にできるようになりました。

 模型でしてもわかりませんね。影があたりましても自分がその模型の中に入れませんので。

 今はその場所で、1日の日差しを全部再現することができる様になりました。リアルタイムでできるようになりました。以前はできなかったのですが。

日差しの具合も時間経過と共に表現することが可能になりました。
 
家を建てるのは人生で大変大きな買い物です。図面やイメージでは不安なので、多くの人が住宅展示場へ足を運び、プレハブ建築を選択するようです。それについて田上さんはどう思われますか?
 1分の1の模型は一番です。実際にこしらえてどういこうというのが、一番良いのです。とてもそんなことは出来ません。
 受託展示場で問題なのは、建物はあるのですが、周りの環境とかはそれぞれ違いますね。環境の違いは、その場ではわかりません。
 方位も変わりますし。
 3Dでは、その場の環境をある程度シュミレーション出来ます。さきほどの日差しの関係もそうです。周りの写真を撮って、VRという手法なんですが、そこを周りにはめ込みますと、自分の家の窓から周りがどう見えるのかが、造れます。
 そうしますと、ここに窓を開けますと隣がそう見えるのかがシュミレーション出来ます。
 建築士に設計を個人住宅でお願いするのは、オーダーメイドを注文する感覚になります。3Dを活用しますと、景観とか、自分の家が周りからどう見えるのかとか、再現できるのですね。非常に便利ですね。
 設計士はもともとそういう仕事をしています。3Dだからということだけではありません。それで設計しています。ただ施主さんとのコミュニケーションが上手くいくか,いかないかだけなのです。
 上手くいっておれば、3Dなくても大丈夫です。

 設計士と施主とのコミュニケーションが上手くいけば、3Dは昔はありませんでしたし。それを促進する道具として開発されてので、上手にうまく使用すればいいのですね。

 店舗や事業所の設計と、個人住宅の設計の違いは何でしょうか?やはり施主の考え方を聞いて設計士が提案されるのでしょうか?
 自分が気に入った設計士が見つかるかどうかが問題です。設計士を選ぶ場合ですが、気に入った建物を見て、施主さんに、誰が建てたか設計したのかを聞きます。そういう形をとることにより、自分の思いを相手に伝えることが出来ると思います。
 その場合コミュニケーションとして3Dがあれば、非常に便利です。1回作って、全体のイメージを見せますので、不安感はすくなくなりますね。
 出来るまで何が出来るのかと言う不安はなくなりますね。
田上圭一さんが設計されたある事業所店舗。上が完成写真。下が3Dで提案されました画像です。
 
 コミュニケーションをより深まるために、設計士も3Dを活用すれば、個人住宅も設計士に依頼するようになるのではないでしょうか。
 もっと設計士に依頼していただきたいですね。3Dを設計士が使う使わないは別にしまして、みな考えているのですね。今までは図面しか表現の仕方はありませんでした。
 模型の代わりに、そういう表現(3D)が広がったと考えていただいたら良いと思います。