石の心、人の心 について
 今週のゲストは寺尾産業有限会社寺尾石材店代表取締役の寺尾晴邦さんです。今日のテーマは「石の心、人の心について」でお話を伺います。
 寺尾さんは若いときから石材加工の仕事をされていました。今は従事されてから何年になりますか?
サッカーなども幼い時の経験が大事だと聞いています。石材加工の技術もそうなので  しょうか?
 22年になります。
サッカーなども幼い時の経験が大事だと聞いています。石材加工の技術もそうなのでしょうか? 南国FCのジュニア教室の様子
 はいそうですね。「石の目を見る」とか「石の目を身体で感じる」とかいうのはやはり若い頃に、身体に叩き込まれる感覚というものは、年齢が進むと難しいのではないかと思います。
寺尾さんは石のお仕事を始められたのは何歳のときでしたか?
16歳です。16歳から22年間です。現在38歳ですね。
石材加工の技術ですが、先ほど「石の目を見る」という専門的な話をされました。やはり若いときの感性というのと、後から学卒の人が業界に入ってこられますよね。どういう具合に違うのでしょうか?
石の目を見るというのは私たちは身体で感じます。身体が石がこういう風にすれば割れるなとか、勝手に感じるのです。ところがそういうことを、後から入られた人から教えてくれと言われます。
しかしなかなか口では説明できません。私らは勝手にそうなるやろうと感じますが、年齢が少し経ってから入った人はわからないと思います。ころあいを見て、このへんでのみを打つ。このへんの力で打って、最後の仕上げをするまでに途中の仕事が「荒が見える」。私らは最初から仕上がりを完全にわかっていて仕上げにまで至ります。途中の技術が(後から入って来た人は)なかなか出来ないですし、わかりにくいと思います。どうしても最後まで見ることはなかなか難しかったですね。
若いときに「石の目を見る」ということをしないと一流になれないとしますと、後継者を育てるのが大変ななのではないでしょうか。徒弟制度といいますか、マイスター制度などが必要になるのではないでしょうか。お話に出ました石材産業協会などはどのように考えられているのでしょうか?
石材産業協会自体が、業界の中では若手が集まって出来ています。なかには私のように技術のあるもの、また商業に長けているものなどいろんな人が集まっています。お互いにいいところを持ち寄って日本の石文化を持ち直そう、立て直そうというのが趣旨です。
 私も業界の中での経験で、石を見る目も身体だけではなくて、知識というものも大切なものだということを、さまざまな人との出会いのなかで、感じています。
石に向かうときの心構えはなにですか?また石材職人で認められるためには何年くらかかるのでしょうか?
私の場合は3年間の弟子を経て、4年目に職人と言われるようになりました。これは師匠、親方という呼び方をしていますが、親方と、兄弟弟子との出会いとか、環境によりますね。私の場合は香川の庵治石の産地でしたが、一応4年で職人になれるということでした。そういう環境と、高知へ帰ってから確立した技法も私の場合ありました。修行は一生というのは言えると思います。
16歳で業界へ入られたということは、4年といいますと20歳のときに、1人前、職人になられたわけですね。それはすごいですね。その年齢で1人前になれるということは。プロのサッカー選手ぐらいですよ。
年収がそんなにありませんね。その当時はお寺に収める仏像や菩薩像を造っておりました。それなりのレベルになりました。
寺尾さんとして、まちの発展に寄与できることはなにですか?また将来構想としてもたれていることがありましたら、ご披露ください。
まちづくりというか文化を大事にしたいなと思います。まちのあちこちにある史跡ですね。偉人の記念碑や生誕碑。いろいろなものがあります。そうした記念碑を守る、掃除をする。綺麗にすることをいろんな人たちの助けを借りて、子供たちにも広げて。次の世代を担っていく人達にも高知の文化を持ち続けていたいと思います。
石という事を考えましても良い例えはないようですね。
じゃんけんにも、「石」と「紙」と「はさみ」があります。それほど身近な存在です。でも「石頭」とか「石橋をたたいて渡る」などと良いたとえで石は使用されていません。でも専門家の立場として石との接し方をアドバイスをお願いします。
 もともとは日本人の生活にも石は身近な存在でした。石と接することを現代の人達も身近なものとして感じていただきたきたいのです。石屋の役目もそこにあります。石を生活に取り入れていただいて、(昔がそれが当たり前でした。思い出すというよりは、)新しい存在として石というものが、「心を和ませる」ことを自分で見つけていただきたいですね。それをみなさんに提供できる店でありたいと思います。
 石と身近に接する楽しみを見つけていただきたいと思います。
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