まちづくり一緒にやろうや条例について
 
今週のゲストは内田洋子さんです。今日のテーマは「まちづくり一緒にやろうや条例」(正式名称「高知市市民と行政とのパートナーシップのまちづくり条例」)についてです。
 内田さんはNPO高知市民会議の専務理事を努められ、他くらしを見つめる会会長など市民運動に携わってこられました。高知市行政と市民とのパートナーシップ。なかなか難しいテーマとは思いますが?
アメリカの社会学者によれば、住民参加には8段階あります。
下から「世論操作」「セラピー」「一方的情報提供」「表面的意見聴取」「形式的参加機会増大」「パートナーシップ」「一部権限委譲」「住民のコントロール」です。
高知市の住民参加の段階は率直に言ってどの段階だと思われますか?
住民参加の8段階について まちづくり一緒にやろうや条例の構成図

「形式的参加の機会増大」から、「パートナーシップ」への移行期間だと思います。
条例制定の動きは何時頃からありましたか?またどのような市民がメンバーで、経緯はどうでしたか?市役所側の対応は一貫していましたか?市議会の理解度はどうでしたか?
私も途中からの参加です。2001年にまちづくり条例の制定計画がありました。それは高知市の総合計画のなかに位置づけはありました。2001年の6月に条例策定委員会があり、そのときに声をかけられたということがありました。
条例策定委員会の委員の内訳は、市民委員が12人、市職員が6名でした。
同じ水平の立場で、毎月ワークシップをみっちりしました。それが形式的参加ではないという証拠は、条例の例文は全くありませんでした。白紙状態からこしらえました。とても大変な作業でありました。
よくありがちな行政主導の審議会、委員会などは、事務方の行政があらかじめ、契約しているコンサルタントに例示文や雛形を制作させておいて、委員会のとき「どうでしょうか」なんてやりますね。委員としての発言の機会も少ないし、字句の訂正程度しか出来ませんね。それいうやり方では全然なかったようですね。
民間人と行政職員の方には全員に、今どういう活動していて、過大があるのか全員に出していただきました。本当に多様な活動をされている人達ばかりで、教育や福祉の分野の方もいました。そうして課題を出していただいて、落とし込んでいきました。条例にしたら良いものと、要綱というものとを作業のなかで別けて行きました。
そして自分達が知りたいことを、行政の委員さんに質問します。すると次回の会合までに行政の委員さんは宿題にして必ず答えなければならないのでした。勉強を繰り返しながら、やっていきました。6月に声がけしていただいて、出来上がりが年度内ということだっんですね。そのことをみんなが1回目の委員会で言いました。結局2年がかりでこしらえたと言うことです。
それだけ熟度が高まればレベルの高いことが出来ますね。一緒に委員をされていた市役所職員の人も転勤なしで、ずっと一緒にされたのでしょうか?
 

土佐弁での条例制定にもこだわったそうです。審議は行政でよくある「年度内策定」に縛られず2年かかって作成されました。

行政側委員も転勤することなく、内田さんたち市民側委員とともに汗を流しました。

そうです。一緒にやりました。
市議会の皆様方にはどうでしたか?
市民提案ですね、市長が市議会に提案した形になりまして、賛同いただきました。
市議会は市民の代表として、市政を監視する役目ですね。条例文のなかに「見守り委員会」の項目があり、監視の役目も書かれていますね。市議会の反応が気になるところですが。
市議会の議員さんはNPOのこうした活動は「目の上のたんこぶ」のような気持ちになられているのではないでしょうか。本来ならば議員さんがこうした活動をするべきだと思います。地域の課題などをワークショップなどをして、民意を吸い上げ、議会へ持っていくべきでしょう。議員さんがコーディネーターになっていただけれな良いのですが。
本来がそれが地区代表だと思いました。
そこまでやるとしっかりしたものができますね。
高知市広報誌「あかるいまち」6月号に「まちづくり一緒にやろうや条例」が掲載されていました。そのなかで「活動拠点の充実」「まちづくりファンド」「見守り委員会の設置」などが紹介されています。具体的にはどういうことなのでしょうか?
活動拠点の充実というのは、高知市内各地でまちづくりをされている、これからやろうとする市民がいるとします。その場合まちづくりの専門家を紹介したり、相談にのったりします。「まちづくり活動支援センター」(仮称)を想定しています。
 
それから「見守り委員会の設置」というものがあります。それは条例というのは、こしらえただけで機能しない、「開かずの条例」になりがちですね。そういうのではなくて、自治体の対策が本当に、私たちのこしらえた条例に沿って運営されているかどうか。それを市民の「見守り委員会」をこしらえて見守って行きたいと思います。

まちづくりファンドは資金面で、まちづくり活動を支援しています。通常の助成金と違いまして、まちづくり活動をしている人達がお互いに交流ができること。そこでお互いの発表を聞くことによって、自分達の活動がブラッシュアップしていけばいいねということで、公開審査会にしました。


運営委員さんとも「どうして自分達の活動を理解してくれないのですか」というやりとりも必要ですね。わたしのまちづくりをお互い議論することによって、そのまちづくりがみなで高まるのではないかと思いました。1回目でしたからね。今後は「暖かいファンド」になっていくことを願っています。

 具体的に条例が制定されては高知市行政と一緒に取り組まれているプロジェクトなどはありますか?おかまいない範囲でご紹介ください。
ひとつはNPO高知市民会議は、高知市から委託された事業をしています。それに「まちづくり連続講座」をしています。行政だけでなく、専門家のみなさんにも一緒になりながら、市民のまちづくり活動の第一歩を始めています。
あとは「エコマネー」のこととか、そんなことも考えていきたいと思います。まだまだ一杯あります。