旧日本軍性奴隷とはなにか?
 
 今週のゲストは高知での平和ネットワークづくりに参加されている平和資料館草の家事務局長の金英丸(キム・ヨンファン)さんと、Wind of peaceとsaladのメンバーである渡辺鈴予さん、植田二朗さん、安部文章さん、内村瞳さんです。
 今日のテーマは「旧日本軍性奴隷とは何か?」でお話しを伺いします。日中戦争やアジア・太平洋戦争の時代に旧日本軍により、性行為を強制された女性達のことです。
10月22日に被害女性の1人である朴玉仙(パク・オクソン)さんの証言集会が、14時30分から高知県民文化ホールにて開催されます。実現にいたる経緯はどうだったのでしょうか?
渡邉 
まず私が大学で授業を受け、好きなことをプレゼンテーションしていいよ。と言われました。それで朝鮮半島の南北問題を取り上げようと大学の先生に言いいました。そのときに金英丸さんを紹介されました。
 それでお話しを聞きに行きました。いろいろ質問をしていますと、「韓国へ行って見てくれば」と言うことになりました。

 そのままなにも知らずに韓国に行きました。2004年3月に韓国へ行ったのですが、そのツアーの中で旧日本軍性奴隷のおばあさんたちが、住んでおられるナムヌの家へ行きました。そこでおばあさんについての事実を知って、衝撃を受けました。
 それを一つの形にしたいなと思い、気持ちを伝えたいと言うことで、旧日本軍性奴隷問題を扱う「証言集会」というのを全国同時に開催しました。そのときはハルモ二おばあさんが来ることができなくなりました。映画上映をしました。
 今年の夏に韓国でのワークショップに行きまして、そこでそのハルモ二に会いまして、もう一度その気持ちが高まりまして、今年もしたいなと思いました。
 今年こそは、おばあさんを読んで証言集会をしたいと思い準備をすすめ今に至っています。

日本の植民地時代の謝罪や、補償を求める韓国の人たちの抗議運動の様子です。

日本政府は最近になって、当時の政府や軍の関与を認めました。しかし具体的な保障措置は未だにとられていません。

この点がドイツとは大きく異なっています。

(写真は東京地裁に入廷する韓国の人たちです)

 

主催は高知実行委員会SALADとなっています。「高知県の学生や、若者を中心にして身近な生活や社会の問題、平和や国際問題にいたるまで、みんなで考え交流し合い行動を起こしていく集まりです」とあります。結成された時期や、メンバー、活動状況などをお話し下さい。
安部 昨年開催しました「12・4 消せない記憶」という企画で集まりましたことがきっかけで、始まりました。その後なにもしない期間がありました。なにかしだそうということで、今年の4月27日に「SALAD」という名前で集まりが出来ました。

 SALADの意味と言うのは、アメリカは「人種のサラダボール」と言われています。多種多用な人種があってお互いの価値観を認め合っている。それがサラダボールと言われている所以です。自分達もお互い知り合って、いきたいなと家投げました。
「従軍慰安婦」と日本の教科書で記述されてきました。最近教科書での記述が減っているようなのですが、そのあたりの日本社会の背景をどのように考えられますか?

 今年は戦後60周年ですが、中学校の歴史教科書の採択がありました。扶桑社の「新しい歴史教科書」が話題になりました。4年前に比べまして採択率が、増えました。でも0・4%にとどまっています。


 でも残念ながら、「従軍慰安婦」の記述は4年前の教科書と比べますとすべての教科書からなくなりました。ただ1箇所だけありましたが写真のなかで掲載されているだけでした。それは戦後60年経過した中で、未だに日本社会が歴史教科書を見てみましても、戦前と戦争の歴史をどう清算するかそれが問われることだと思います。


 それで残念ながらある学校でこの教科書が採択されました。
 4年前と比べて東アジアで共通の歴史教科書をつくろうとする動きもあります。「未来をひらく歴史」という本を出版しました。それは日本、中国、韓国の市民社会が一緒につくったものです。
 東アジア共通の歴史認識を目指して、過去を清算して未来志向を、私たちも一緒に努力するべきだと思います。
 

 
 韓国の「ナヌムの家」にも行かれたそうですが、率直な感想はいかがであったのでしょうか?旧日本軍性奴隷の被害者の女性達にもお会いされたようですが・・・
渡邉  日本人の私が韓国のナムヌの家に行きまして、その横に旧日本軍から被害を受けたおばあさんが、旧日本軍に教えられた日本語を使って、暖かく接してくれて寛大な心で受け入れてくれたことに対して、すごく自分が罪悪感を感じました。心が痛みました。
 
 今年は日韓条約締結40周年です。2国間の戦後処理は政府間では終わったとの見解を日本政府は出しています。民間人に対する戦後補償は全く手付かずの状態ではないでしょうか。
 戦争が終わって60年。日本と韓国が国交正常化して40年。節目の年であります。特に戦後補償の問題で言いますと、ドイツの例が参考になりますね。ドイツの場合は過去の強制連行と収容、あるいはユダヤ人の迫害を加えた企業や政府が、個人の補償を徹底してしています。
 それに対して、国は従軍慰安婦の歴史を認め、過去の歴史に対してお詫びもしています。しかし実際は被害を受けた日本軍慰安婦の個人と、強制連行されました犠牲者、犠牲者の遺骨の返還の問題でも、日本政府や企業が補償を全然していません。
 原爆の被害者も含まれます。それに対して長年裁判をしてきています。裁判の時間も長く、去年だけでも慰安婦のハルモ二たちが4〜5人亡くなりました。強制連行や戦争による被害者達は、「日本政府はわれわれが死ぬのを待っているのだ。」と言われています。
 被害者を支援する日本の市民運動もたくさんいまして、それを被害者の立場にたって解決することが何よりも大事です。
 最近は日本の歴史教科書も「従軍慰安婦」の記述がなくなっています。しかし被害女性は存在しています。その事実を市民にどのように伝えていこうとされていますか?
渡邉  まず政府のしてきたことと、おばあさん達の歩んできた事実を知っていただいて、今の日本の問題と私たち自身の問題を考えていってもらいたいです。
 

10月22日土曜日 高知県民文化ホールグリーンにて、入場料1000円で、開場2時、2時半より講演を開催します。

韓国から朴玉仙(パク・オクソン)さんをお招きしまして証言集会を開催しますので、皆さん是非参加してください。

 

* 「証言集会」の様子と交流会をレポートしました。  こちら をクリック
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