高知の面白さ、つまらなさについて
 今週のゲストは高知工科大学工学部(フロンティア工学コース)大学院生の石井勇太さんです。今日のテーマは「高知の面白さ、つまらなさについて」でお話しをお聞きします。
 石井さんはblog「open gate」を見せていただきました。、高知のいろんな地域に出かけられていることを知ることができました。
率直にお聞きしますが、高知はどこが面白いのでしょうか?食べ物でしょうか、人情なのでしょうか?石井さんは県外の出身であると聞いていますが。そのあたりはどうでしょうか?
 私は広島県の出身で、高知へ来まして結構カルチャーショックがありました。例えば列車が「電気で動いていない」ことを知ったこととか。
 初めの方はただの田舎なんだと思っていましたので、普通に勉強する生活がありました。高知の人に遭っているうちに、高知が自分に合っているなと感じるようになりました。
 なかなか伝えにくいですが、高知の人や自然や文化が合っているなというのを感じます。
石井勇太さん
 高知での生活も数年になると思います。
 高知のいけないところ。駄目なところは率直に言ってどういうところでしょうか?都市部と郡部のインフラの違いはどうしようもないとは思いますが・・
 何がないと言えば、ないものだらけになってしまいますね。インフラとかモノ的なものをいえばないのであればしようがないので、それを活かすような努力が足りないのではないでしょうか。
 例えばイオン高知がありますね。イオン高知が進出したことで、中心市街地が寂れていくようなことが言われています。僕はその考え方がおかしいと思います。中心市街地の人達が、もっと魅力的なコンテンツや商品、もちろんサービスなども展開していれば、イオン高知のほうにお客を取られることもないと思います。
 そういった意味で、インフラの部分というよりも、チャレンジ的な部分が高知には足りないと思います。
9月26日に高知市おびさんロードでは、おびさんマルシェとららら音楽祭が開催され大勢の人達が来ました。
 そうしたなかで、研究を含めて高知県内各地へ石井さんは行かれていると思います。面白い地域はどちらでしょうか?とくにお薦めの地域はありますか?
またそれを友人達にはどのように紹介されていますか?
 そうですね。面白い地域ということなら「100も200も」上げることはできます。この前は十和村のほうへ行って来ました。この地域もお薦めですね。
 あるイベントをきっかけに知り合った方がいますのですが、秋のおもてなしツアーということで、高知市とか都市部の人たちを招き、十和村の秋を満喫してもらう企画がありました。
 そこでは栗拾いであったり、四国アイランドリーグの高知ファイティングドックスの選手達が植えられた稲を刈り取ったり。そんなイベントがありました。あと十和村の郷土料理を食べる機会もありました。沢山の地元の人にも会いましたが、会う人、会う人が皆良い人たちばかりでした。
 いきなり会いましたのに「今日うちへ泊まって行く?」とか「また来なさいや」とか言われました。十和村へ行ったのは2度ほどですが、高知市であるふるさと祭りの方へ出て行かれるので、お招きをいただいています。
 よそ者を歓迎する、もてなしの心は、高知県の地方へいくと残っているようなのでしょうか?
 これは「高知のいけないところ」かもしれませんが、高知の人は保守的な部分があります。始めは無愛想で会ったり、冷たそうにしていたりしていますが、懐に飛び込んでいきますと、たくさんのことを話したり、提案したしますと、僕のことをわが子のように思っていただいていただいています。
 あんあことしたいこんあんことしたいとたくさんの提案もしていただきました。
 人の良さは良いのですが、高知の人は人が良すぎて「商売が下手」で「機会損出」ばかりしているのではないでしょうか?
 よくある有名な話ですが、四万十川の鮎を高知の人は一生懸命採っています。
岸辺に待ち構えて買い付けにきていますのは愛媛県の業者の人達。その鮎は京都に送られて加工されていると聞いたことがありました。
 意外にも自分達の資源を活用して、自分達が幸せになることに対して「欲がない」ようにも思えますが・・。それはどのように思われますか?

 そうですね。僕的に話を聞いて感じたのですが、地域の方はそれで、満足しているのではないでしょうか。それはそれでいいのではないかと思います。
 でも経済的なことは大事であると思いますね。
 いくら自然が綺麗で癒されると言いましても、地域に若い人達が働ける職場がなければ、生活は出来ません。頑張っている人は高齢者ばかりで、若い人は殆ど見当たりません。
 この問題は地域でなかなか解決できませんね。資源や人情を活かして、工夫はないのでしょうか?皆頑張っているのでしょうが、上手くは行っていないと思います。
清流に淀川(いの町)
沖ノ島(宿毛市)

 既存のしくみが出来上がっているところで、仕組みをかえることは難しいと思います。周辺の3町村で「四万十ドラマ」という市民有志で(昔は第3セクターでした)株を買いまして、株式会社になっています。
 そこでは栗とかしいたけとか、地域方都市部へ、直接発送するしくみもこしらえています。馬路村の例はそのひとつです。
 地域を売り出して、ブランドとして成功することですね。高知県ではそうした取り組みが遅れているのが実情です。僕はいまや情報技術の発展によって今は物流とかその他世の中の経済の仕組みが変わろうとしています。
 僕たちのようなエンジニアがエンジニアの卵も含めて高知県には少ないと思います。今からの問題になってくると思います。今の経済システムが、情報技術を中心とした経済構造に変わって行きます。
 確かに愛媛県に「乗っ取られた」部分もあるでしょう。でも今は「転換期」に入るわけでして、そこで僕たちのような「情報技術」を沢山持っている技術者が高知県に沢山いることによって、それを活かす仕組みがあったりとか。高知県の人達が主体的にやったりできるとか、地域間の協力体制を構築したり、高知県全体で「ブランドイメージ」をこしらえたり。通年沢山の人達が高知県に来てくれる仕組みをつくっていくことが出来ると思います。