安田純平さん講演会 その5 (質疑応答)
 
司会 安田純平さんどうもありがとうございました。
  少し時間が有りますので、質問があるかたがありましたら・・
質問者A 遅れてきたんですけれども、安田さんにお尋ねします。国際テロ組織アルカイダについてです。いつでしたか、NHKのBS2で海外ドキュメンタリーと言う番組であったと思いますが・・。
 それでBBCが制作したドキュメント番組でした。アメリカで確か国際的な詐欺師で100件以上詐欺を働いた男に、上院下院で発言させ、ビン・ラディンの国際テロ組織があるという発言を最初にしたのは、アメリカの議会で、国際的な詐欺師が発言したことによるそうです。
 
 そういう番組がありました。間違いかもしれませんが。的外れな質問かもしれませんが、「テロ」というという自爆テロも含めて、新聞などはまるで世界で一つの組織が」あるやに報道されていますが、このあいだのBBCの制作番組を見たときに、それっていい加減なところからきているのかなとふらついています。
 それこそ客観的なところはどうなのでしょうか?それはありえないかもしれませんがそれに関連して、参考のコメントをいただきましたら勉強になるのですが・・。
安田 そうですね。アルカイダというのももともと名前すらなかったのを、アメリカで「アルカイダ」という組織名をつけたことで実態があるかのように感じるように皆さんがなったと。
 名前と言うものは大事なもので、つけた瞬間に実態があるかのようにありますね。
「9・11」以降ですね。言われ始めたのは。それまでにあったのかどうか。
 アフガニスタンでソ連軍に抵抗していたムジャ・ヒディンは確かにいたと。そのなかにビン・ラディンもかなり関与していたと。

1988年のニューヨーク。高層ビルは世界貿易センター。アメリカの繁栄の象徴。すぐ近くにウォール街があり、世界経済の中心部です。

そのビルの倒壊はアメリカ人に多大な衝撃を与え、「古く良きアメリカは永遠に消え去った」とも言われています。

 と言う話がありますけれども、今どう動いているのか全然わかりませんよね。さきほどの新聞の話でありましたが、「テロ」と簡単につけますと、「お客さんがやられた」となると簡単にテロになりますね。
 でも「CIAらしいですよ」となると、それはテロと言うより、戦争なんじゃないのという見方に変りますね。テロとなんなの?となると印象で決まりますね。
 テロとはなんなのかと言いますと定義はないですね。広辞苑や新聞を見て書いてあることは、「政治的な要求を暴力をもって通そうとする行為」でしかないわけですよ。
 そうしますと国会で殴った人はどうなるのかな。とかなるじゃないですか。誰をどうなるかという定義が全然ないんですね。日本では米軍基地が爆破されたという報道もテロと言っていますよね。
 軍事基地を爆破してもテロであれば、全部テロになります。それから某新聞にありましたが、自衛隊に対するテロやロケット砲攻撃とありまして。ロケット砲で攻撃すればテロではないのだ。ということがそこでわかりました。
 おそらく自爆でしょうね。彼らは。軍隊の組織に爆弾を持って突っ込んでいくのがテロであれば、神風特攻隊もテロになってしまいます。やっている主体が国家なのか、非政府組織なのか。同じ事を言ってもテロなのか。そうしますとゲリラ活動もテロに入るのかと。ひじょうに曖昧なのですね。
 ではどういうときにテロなのかと言いますと、人がたくさん死んで恐ろしいなと。テロって、語源がもともと恐ろしいですね。
 テロとの戦争と言いますが、何に対してしているのか。定義がないですも。テロとの戦争と言えば、テロの定義すらないわけですから、定義もないので、これ葉テロだと言えばなんでもテロになりますね。
 ブッシュ=小泉の権力者が「これはテロだ」と言えば、テロになり、戦争もなんでも出来てしまいますね。それをみんなが「怖いから」と気分で支えますよね。それがたいへん危険なことだと思います。
 私自身はテロと言う表現を使ってはいません。民間人を無差別に殺害するケースについては テロと言ってもいいのかなと思います。でもそれは「無差別爆破事件」と言ってもいい訳ですね。テロと呼ばなければならない理由はありません。
 わたしだけが定義をつけても自分で勝手に定義をつけても、違い人は違う定義で受け止めます。それがミソなんですね。
安田純平さん
 この共通した定義のない「テロ」という言葉をメディアのなかで使うのはひじょうにに危険ではないのか。私自身は使っていないというのがありまして、それがテロに対するわたしの考え方です。
 今回行った場所でハナブチャという町がありまして、アンサーブイスラムというテロ組織と言われていた村です。実際その基地跡があります。今アンサーイスラムはどうなっているのかといいいますと、アンサードイスラムと名前を変えております。
 反米闘争のなかでも先鋭強硬派と言われる組織になっています。今現在その中心はアフガンに言っていた人たちが戻って来て、クルド地域に支配地域をつくりまして、クルド政府とも戦っています。今回の戦争(2003年)までには5000人ぐらいいたのではないかといわれいます。
 イラク戦争開戦時に米軍が空爆し、その後クルド政府側が制圧した地域です。では5000人はどこへいったのかといいますと。何人かは亡くなったのでしょうが、5000の遺体が見つかってはいません。そのまま消え去りどこかで戦っているのでしょう。
  もともと実態のある組織と言われていますね。アルカイダとの繋がりも言われていますが、別の組織ではないかと思います。
 アンサードアルスンダですが、今年の5月でしょうかイギリスの民間警備会社に勤務されていた斉藤さんという日本人が殺害されましたが、その斉藤さんのパスポートの画像を流したのがアンサードアルスンダです。
 この組織ではイラク北部の米軍基地を爆破して何10人も米軍を殺害しています。米軍に対してはひじょうに激しいものがありますね。アンサードアルスンダで民間のわけのわからないところの爆破は聞いたことはありません。
 組織でもありつつ。アルカイダもよくわからない。今はわからないとしかいいようがないですね。組織的に活動していることはありえます。それがアルカイダのように民間人のいるところを無差別に爆破するということは考えらません。
 わけのわからんのを怖がることはないと思いますね。日本についてはイスラム教徒の組織が入ってくると言うのは考えにくいですね。1億3千万の国民でイスラム教徒は2000人程度で、ほとんど日本人ではないのでそれでどううなるのかなとおもいます。
 それより日本人のなかで爆弾を簡単につくったり。火炎瓶をこしらえたり。ガソリンを撒いて火をつけたら爆発しますよね。はっきり言ってテロは防げませんよ。そんな時、なんでこうなるのか、。事件は起こるのかと地域社会でどう守るのか?とか地域社会作りとか教育とかが大事になります。
 そこのところを「テロ」と言ってしまいますと・・。今「テロリスト」にはミサイルを打ち込んで殺すそうではないですか。なんか化け物だからひとまず殺しておけb。反論する機会も与えないようです。
 国民1人1人が自分を振り返って困るのは「偉いみなさん」たちなのですね。
政治家であったりとか、彼らにとっては「テロ」と言う言葉は便利なのですね。
 社会の原因を究明する前に、そいつらが悪いんだとミサイルを撃ち込んだ方が、簡単ですが、これはかなり危険なことです。

クラスター爆弾の犠牲になったイラクの市民。特に子ども達に犠牲者が多いと聞きました。

いきなりミサイルを撃ちこんでは「民主化」もなにもありません。

 
 話が長くなりましたが。だからそういうわけで、実態のないものを怖がるよりは、目の前の子どもであるとか、近所の人であるとか地域社会造りをきちんとしていけばいいのではないのかなと思います。
 地域社会がきちんとしませんと警察本来の治安維持も出来ないわけです。事情も聞かずにいきなりミサイルを撃ち込んできた人間を誰も信用しませんよね。地域からの信頼がなければ、治安維持は出来ないわかでして、いきなりミサイルを打ち込む「テロとの戦争」はやはり問題であると思います。
司会 時間が超過しましたがもうひとかたどうぞ。
質問者B 安田さんから見られてイラクの混乱はどのように解決されると思われますか?感想なり教えてください。
安田  解決の道はなかなか見えません。今回の選挙がどうなのかでしょうね。イスラムアラブのシーア派とクルドが関係が拙くなっています。選挙の後にかれらが連立を組むかと言いますと組まないかも知れないと言われています。そういうわけでシーア派の一派で撃ち合いなんかをしていた相手であるサドルの一派を取り込んだわけです。
 連立組めないので。そういうわけなんですが、サドル陣営は米軍なんかとも戦闘をしてきまして、宗派は異なりますが、スンニ派とも心情が近いのですね。元々イラクに住んでいた人なので自分達はイラク人だということを強調しています。
 そのシーア派の人たちから見ると、今の政権の人たちは、ずっとイランにいたのではないか。ということで、批判する状況になっています。彼らが政権にいることで、心情の近いスンニ派の言い分も入るかもしれないという期待もあるようです。
 それからスンニ派とクルドが組むかもしれません。そうなりますと今と様相が全然異なりますね。来年以降どうなるのかはわかりません。いまほど一方的にはならないでしょう。
 イランに逃げていたグループの中で「イラクーイスラム革命同盟」というグループがあります。それが警察組織になっていまして、スンニ派を捕まえては拷問をするわで、スンニ派によるとどうしようもないと。
 理由なく連行され、両足に電極を繋がれ、マル焦げの死体で戻される。言う話は一杯されます。でもスンニ派に人に言わせれば、サダム時代など比ではない。米軍が家宅捜査に入ってくれば安心すると。イラク軍、イラク治安組織が来るのは怖いと。
 それだけは嫌だとの関係ですね。イランとの関係が深いので、イラン人も関与しているのではないかと言われています。イランーイラク戦争の復讐を今やっていると。当時のイラクの空軍パイロットが暗殺されているそうですし。

 聞きますね。目には目をという風に20年前の話を今やっています。日本人に「ヒロシマ、ナガサキを忘れたのか」と言いますが、忘れてなくてもアメリカ人を殺してやろうと日本人はならないですね。曖昧になるというか。

 やられたから、やりかえしていたら絶対に治まりません。そこのところをどうするのか。見ていますとこの人たちは治める気があるのかと思いますね。ですので武力よる占領状態が終わって、なんとか生活が出来るようになれば、あの時米軍の空爆で壊されたものをなんとかしてほしいと法的にもう訴えることができますね。

 やはり基本的にはそもそもあれはなんだったのかと。イラク人は比較的冷静な人が多いので、あそこ内戦をしていても何も儲からないではないですか。サダム・フセインの30年間も我慢してきましたね。我慢していれば石油もあるし、一生懸命内戦をするよりは、少し不便だけれども普通の生活した方が得だよねと思う人たちです。


 わけもわからず殺されるのは多いので。みんながうんざりすれば戦争なんて出来ませんし。そのあたりかなと思います。
司会 最後にそちらのかたお願いします。
質問者C イラクのことより、足元の日本のことで気になりますのは、「書かれていない」ことに目を向けるということです。冗談ですけれども高橋尚子選手が優勝したときのNHKラジオでは殆ど放送されていませんでした。マラソンの主催者が朝日新聞だからでしょうか?
 共謀罪の話もされましたが、地元の高知新聞で出たのは2回だけでした。解説記事と、法案がでたというべた記事でした。民主主義の根幹に関わることの扱いが小さいなと思いました。
 安田さんはマスコミに居られた方なので、ひとつお伺いしたいことがあります。署名記事ですが、毎日新聞は社会面で署名を入れています。高知新聞は入れていません。さきほど反応することも言われました。
 最近高知新聞は読者投稿欄で配慮して、詳しい番地まで掲載しなくなりました。町名ぐらいになりました。社会面では記事を署名入りで掲載する毎日新聞のほうに親しみを感じていますが、どう思われますか?

 例えば毎日の社会面では、大島記者がアスベスト問題や労働問題で書いている。ですので問い合わせしたり、批判したりします。署名入りの入り記事については記者は抵抗があるのでしょうか?

安田  さきほどの全国紙ですが、関西と関東では紙面が全然違います。前日に阪神の井川投手がノーヒット・ノーランをしまして、近畿以西は紙面が異なり、わたしが講演で話したことは1面にはありません。

 署名記事ですが、わたしが居ました新聞社で署名記事は殆どなくて、紙面の場所で署名記事をかくところが決まっています。そこは署名記事。
 署名記事だから記者の責任で全部書けるのかと言いますとそうではなく、デスクの思惑が入ります。わたしの先輩は自分の署名記事なのにデスクがいじったのは許せないといいまして、また書き直して出したこともありました。

 書いたものは署名への抵抗はないですね。今のわたしの立場はすべて署名なので抵抗はありません。一応理屈として社としてのリスクもありますし。
 デスクが散々いじりながら署名で記者の責任と言われるのは、腹立たしいですね。

 そういう意味では今の現状では署名に対する責任を新聞社が感じていないのではないかと思いますね。署名なんだから手は出すなよ。というあまりにも酷い手の入れようもあります。

 また批判する側とすればまずちゃんと記事を指名する。社内では誰が書いたのかすぐわかります。誰が書いたかはすぐ繋がるようになっています。
 気にしなくてもいいです。署名で書いていましてもそもそも本人かそうかもわかりませんし。

 用件を考えれば、その記事を書い記者には繋がります。それに連なりちゃんと署名をした記者が扱われたらそれが良いとわたしは思います。

安田純平さん持参の「武装勢力スカーフ」を被っている受付のスタッフ。スカーフは好評でした。
司会 どうも皆さんありがとうごいざいました。安田純平さん、参加者の皆さん長時間ありがとうございました。
 また受付では憲法のトレーナーや、純平さんのお土産のスカーフも販売していあmすので、よろしくお願いします。アンケートはお構いない方は出してください。どうありがとうごいざいました。
安田純平さんのblog

http://jumpeiblog.air-nifty.com/atama/

2月番組に戻ります