高知医療センターの問題について
 
今週のゲストは市民オンブズマン高知代表窪則光さんと、自治労高知県職員労働組合中央執行委員長の山崎秀一さんです。今日のテーマは「高知医療センターの問題について」です。高知県立病院と高知市民病院が統合され、PFI方式で高度医療の統合病院が再来年開業します。番組では窪さんも山崎さんも問題点をご指摘されていました。
山崎さんは番組のなかで、経営的に問題があるとご指摘されていました。100億円の収益のうち80億を民間企業が吸い上げる。残りは20億。人件費や機械の維持費は30億程度かかる。どう考えても赤字。そのつけは県民に回され、最後は民間企業に「身売り」されるのではという心配されていましたが・・・・・。
山崎 前回出演時にもご指摘させていただきました。少し数字が違います。病院組合の資産では100億から110億の収入です。そのなかで78億を高知PFIに支払う。残りは30億ぐらいですね。それで人件費を試算しますと病院組合直営の部分で、40億以上かかります。医療機器の更新などで、それに加えて10億〜20億のお金はかかります。そうすると赤字になります。私が懸念していますのは、赤字が増大に病院組合で持てなくなったときどうなるか。PFIを担っているのはオリックスです。オリックスの宮内社長は「総合規制改革会議」のメンバーであって、病院の民営化を主張されています。将来的に経営が成り立たなくなるときに、「身売り問題」が浮上する可能性があります。見売り先はオリックスになるでしょう。総合規制改革の中で、医療の民営化と「自由診療」(全額自己負担)の拡大が言われています。巨額の県費で民間病院をこしらえる。その病院の診療費は高く庶民は診察を受けることが出来ない。そんな事態を懸念しています。
窪さんはPFI方式だから、情報公開をしないと前回出演時に言われました。いくら民間企業と言えども、県民の命に関わることなので、情報公開の必要性はあると思います。なぜそれが出来ないのでしょうか?
 情報公開は県とか市役所が中心です。道路公社とか土地開発公社の情報公開が必要であれば、特別にそれぞれ情報公開法をつくらなければいけません。法律がなければ、情報公開の必要性がないとされています。民間企業は対象となっていないから、県民のお金が流れていると言いましても「民間運営ですから」と逃げることはできます。高知工科大学にしろ、PFI医療センターにしろ、結局美味しい部分ははすべて県民の税金があてになっています。仮に赤字がでましても、連帯保証人が県民なので、県民にとって何がこの仕組みでメリットがあるのかわかりません。心配しています。私は市民病院にかかっています。月に何回か行きますが、今度の統合病院は場所があそこでしょう。全国1の老人県ですので池は不便です。民間病院は喜んでいますよ。大きな病院があちらへいくので、むしろ民間病院が潤うのではないかと。ですから統合病院の経営は,結構厳しいのではないかと思います。
PFI方式の統合病院 高知工科大学
赤字になる可能性が大いにあるということですか?
山崎 経営は非常に厳しいと思いますね。100億から110億の収益というのは、病院組合が試算したのです。不思議なことに民営でやるほうが、公営(直営)でやるより患者も多くなり、収益もあがるようになっています。どこをどう押したらどうなるかわからないのです。窪さんがご指摘されていた懸念は当然あります。民間病院から、紹介を受ける病院ですね。この病院にそれだけ紹介があるのか?それを患者さんがのぞむのかという問題があります。それと不透明な部分があります。今度のPFIの契約の中で、病院のITを進めるのですが、IT関連だけは別契約になっています。これもよくわかりません。
もともとは島根県で病院の院長をされていた瀬戸山氏が来まして、その付き合いのある業者を引っ張って来ました。その業者と随意契約したかったのではないかと思われます。
そのあたりは情報開示のなかでは出てこないのでしょうか?
 県庁の食料費の問題でもそうですが、情報を持っているのは県庁ですね。私どもが情報公開法に基づき情報公開を要求しましても、情報を「選ぶ」のは県側なのですね。県庁さえもそうなのですから、民間経営のところは何とでも言えますわね。
山崎さんに伺いします。現在県立病院と市民病院に勤務されている職員は、全員PFI方式の病院に全員雇用されるののでしょうか?
山崎 されないです。医師や看護士、薬剤師の職種の直営の部分に行きます。それ以外は県庁の中で部署が変わります。

事務系の人なんかは県の他部署へ移動ですか?
山崎  そうです。
そうしますと雇用誘発効果はあるのでしょうか?
山崎 基本的な疑問があります。今の高知県庁の勤務状態は一定の労働条件にあります。これをPFIに委託しますと、「安くなるからいいじゃないか」という議論がありますが、しかし同じ仕事をするんですよ。そうしたときに民間の労働者というのは相当に劣悪な条件で働いています。特に今回のPFIの仕組みは、親会社のオリックスに、その下に県内企業はぶら下がる形になります。「ピンはね率」はものすごいと思います。そういう劣悪条件で働く労働者を作り出して良いのか?と私は思います。
雇用の問題としても問題があると言うわけなのでしょうか?
山崎 雇用の問題からしてもそう思います。
窪 建設の状態の時から県内業者にはあまり仕事が回ってきません。お金は県民から出ているのですが、県内企業は仕事にありつけない状態が続いています。まさにその現象が経営面でも出てくるのかなと思います。何のために県民がお金を出してああいうものをこしらえて、何のメリットや見返りがあるのかと思います。
規制緩和や医療制度の改編も同時に進行中です。PFI方式の統合病院に対し,ご両人の評価は厳しいものがあるようですね。
山崎 私は基本的には病院は公が担うべきものだと思います。と言いますとは医療法で定められています。「営利を目的としてはならない」という事があります。憲法で定めた健康で文化的な生活をを保障する。ですから、先に言いました「身売り」問題も含め、このPFI方式は大問題だと言えます。
窪さんのほうはそのあたりはどうでしょうか?
窪 積み残した県立病院の80億円の赤字を新しいPFIには持ち越せません。その分も高知県民は粛々と支払い続けなければなりません。赤字の付けばかり回されて県民はたまったものではないですね。