アメリカ大統領選挙の展望について
今週のゲストは、アメリカ生活事情に詳しい安岡正博さんです。今日のテーマは「アメリカ大統領選挙の展望について」です。
 今年は4年に1度の大統領選挙の年です。1月下旬にはニューハンプシャー州で予備選挙が始まり、11月まで長期の選挙期間になります。共和党は現職のブッシュ大統領が指名されそうですが、民主党側は候補者が乱立し、本命候補が見えません。
昨日のお話ではテロに対する報復をすばやく実行したブッシュ大統領が、すんなり再選される勢いがあるのではないでしょうか?どうなのでしょうか?
そうではないと思います。今のところはブッシュは再選は疑問ですね。民主党もディーン候補も台頭しているようですね。イラク戦争後の戦後処置に間違いを犯したブッシュ氏の人気は低落気味ですね。彼にまかせていいのかというのが思っていますね。
イラク戦争の戦後処理でもたついています。戦争直後はブッシュ大統領は90%近く
の支持率がありました。現在はかなり低下し、不支持率も増大しています。父親のブッシュ元大統領同様敗退する可能性はあるのではないでしょうか?92年の大統領選挙のときはアメリカ経済が低迷していました。今はアメリカ経済は悪くないように言われていますが、そのあたりはどうなのでしょうか?
なんかバブル的ですね。消費動向が良いといわれています。お金持ちが消費をしているのではなくて、お金を持っていない人間が借金をして消費をしている状態ですね。失業率も高い、産業構造が空洞化している。製造業が弱っているのに景気が良い。基本的にはみな景気が良いとはとらえてはいませんね。
民主党にもチャンスがあるということですか? ホワイトハウス(大統領官邸)
ホワイトハウス(米国大統領官邸)
今まで以上に接戦になるでしょうね。前回の場合もゴアが勝ってもおかしくはないと思いますね。ブッシュ氏自身外交政策があったわけでもないし。やはり経済の建て直しに軍事産業や石油産業の後ろ盾のある人物が閣僚やスタッフで入っていますね。副大統領のチェーニーや、国防長官のラムズフェルドなどです。それにたいする疑惑も言われていますし、簡単にはブッシュ再選というわけにはならないでしょう。
 アメリカ大統領の動向はジミーカーター以来、レーガンやクリントン、ブッシュもそうですが、田舎知事が大統領になるパターンが多いですね。これは外交政策に弱い人物が、世界の指導者になることになります。本当はそれは駄目なことですね。
 昔はケネディにしてもニクソンにしても上院議員をやっていて外交政策をちゃんと勉強した人が大統領になっていましたね。今はそうではない。外交がわからない人がリーダーになる。裏には結局ロビイストが暗躍し、背景にある企業の思惑が大統領の外交政策にも色濃く反映されるわけです。
確かにカーター以来そんな兆候がでていますね。民主、共和を問わずに。田舎知事がいきなり「世界帝国」の大統領になるのはまずいのでないのでしょうか?外交政策にも間違いが起こる可能性もあるのではないでしょうか?
ワシントンDCにて(米国東海岸研修1988年)
施設の説明をされる安岡正博さん(1988年)
カーター以前は大統領になる人はいませんでしたね。民主党でもディーン氏はバーモント州の知事ですね。2番手のゲッパート氏がいます。彼のほうが政治的経験も豊富です。政策もパイプもありますね。カリスマ性のある知事が候補者になってしまう動向が最近あります。今の現大統領もテレビ討論会で外交的手腕のないことを暴露されました。
 でも大統領になり外交政策を立案する場合のブレーンが問題ですね。ブッシュが大統領に就任直後からイラク攻撃を準備していましたから。
 カーター大統領の時代も外交的な失敗が続きました。イランの問題がありましたし。イランでの米国人の捕虜問題がありました。その対応もまずかったですね。外交に強い人間でなければ大統領になったのが、いきなり田舎知事になることがまずいぞということは、アメリカでも言われています。
副大統領のチェーニー氏や国防長官のラムズフェルド氏は、石油資本や軍事産業の利害代弁者だと言われていますが?
そうでしょうね。アメリカの外交政策に大きな影響を与えていますね。イラクへ介入することによって石油を安定させようという戦略でしょう。イラクを手中にするとOPECをコントロールできるという思惑は確実にあるでしょうね。
民主党はどうなっているのでしょうか?民主党を支持する産業界は特色がありますか?
政策は民主・共和は50歩・100歩ですから、政権をとりそうなところにみ方するのでしょうから。

ブッシュ大統領が大本命ではないわけですね。逆転もありえますね。
ありえると思います。イラク情勢の動向が大きいでしょう。 安岡正博
6月にはアメリカ軍はイラクから撤退するやに言われていますが?
向こう(アメリカ)ではそんな話は聞きませんね。不名誉な撤退以外はありえないと思いますね。
トップページへもどる