アメリカ生活事情の変化について
 今週のゲストはアメリカ生活事情に詳しい安岡正博さんです。今日のテーマは「アメリカ生活事情の変化について」です。安岡正博さんは、アメリカでの生活も30年以上になられると思います。1987年の「ブラックマンデー」や、90年代のIT景気、2001年の「9・11テロ」など大きな節目がありました。
アメリカ社会のここ10年の大きな変化といえば、IT化があると思います。
その影響はアメリカで仕事の上でも影響はあるのでしょうか?
IT化というのはどういうところをさしているのか意味がつかみかねています。オンラインショッピングは、すべてにおいて、無店舗販売はテレビショッピングでもEコマースでも急激に市場が拡大しているのは事実ですね。今アメリカはその流れの中で商業事態が激変しています。その現れは昔で言うデパートはどんどんつぶれていっています。
デパートといえば、アメリカではシアーズというところが有名でした。そこも駄目なのでしょうか?

シアーズもウォールマートもKマートも内容は危ないですね。
巨大なGMSなんかも店舗販売はやばくなっているということなのでしょうか?
好調な部分はあります。好調な売り上げを支えてきている購買層が変化してきましたね。つまりお金持ちが買い物に行く店舗ではなくなりました。下層(ロアクラス)の人間主体の店舗になりました。
昔であったら、ウォールマートは一般アベレージの人間が行くデパートという感覚がありました。今はもっと低所得者の人間にターゲットを絞ることによって、売り上げを保っているのが現実ですね。広く浅くでやっています。売上額は伸びていても利益は伸びません。
店舗数が増加していて売り上げが伸びているだけですね。1店舗の売り上げはどんどん落ちているのが現実です。数字は上がるが利益を上げていない。いつひっくりかえるかわかりませんね。
そのお話を伺いますと「底が浅い」と思いますね。
ピア39(サンフランシスコ市)
そうですね。今の「ドル安」を見てもそうでしょう。アメリカ経済は強いと思いませんね。
確かにそうですね。自動車産業なども景気拡大で販売数量は伸びています。しかしビック3もトヨタや本田にアメリカで食われましたね。今後環境対応やエコカーになると現地生産の日本車に食われますね。乗用トラックやRV車市場にも日本のメーカーが進出し好評と報道されていましたか方,アメリカのビック3もうかうかできませんね。
製造業はピンチでしょうね。設備投資の金額や、販売会社の店舗数やネットワークからしまして、ビック3に対して、少数の販売店しか持たないトヨタがアメリカで2位になったことは大変なことですね。工場の生産能力や品質面ではアメリカの企業は弱っている象徴ですね。ブラックマンデーのしんどい時代から、見かけはともかく脱却はしていませんね。
アメリカ経済が本当に再生しているいのであれば、日本はこれほどアメリカのドルを買いませんよ。アメリカがひっくりかえるほどのドルを日本が買い支えして持っているわけですね。
中国も台湾も、香港も韓国もみんなドルを大量に保有しています。
アメリカは「ドルを切り売り」しながら、経済が持っています。所得の「2極化」はどんどん進んでいます。金のない低所得者は増加しています。中間層がいなくなりましたね。
日本もアメリカ追随型の経済政策をしていますね。とくに竹中平蔵さんなどの経済政策はそうですね。貧富の格差が拡大し、金融政策の断行などしています。それは良いことなのでしょうか?景気はますます悪くなり、倒産、失業が増加しているようなのですが。若者が大学出ても就職できない時代になりました。昔は3%の失業率でしたが、今は全体で6%近く、若者にいたっては20%の失業率です。それはいたしかたないことなのでしょうか?
サンフランシスコ市路面電車 サウスストリートシーポート(ニューヨーク市)
しかたないですね。地球上には豊かさは決まった量しかないですね。アメリカが豊かだった時代では東南アジアが貧しい。低賃金で働きました。中国が豊になり豊かさが集まると、日本の豊かさが吸い取られる。アメリカの豊かさが吸い取られる。今後ヨーロッパがEUで豊かになると今度は中国が駄目になりますね。あるところへくるとそれも「致し方ないかな」と思いますね。みんなが仲良く幸せになることはないですね。
 それと統計の取りかたが日米で異なることも抑えておかないといけません。アメリカでは正社員の就労していない人、パートタイマーはあ失業者にカウントされます。日本はカウントされません。その違いがあります。日本の若者が失業率が高いのは、親がある程度豊だからですね。月8万円の仕事であればありますよ。それを15万欲しいとか思うからないだけなのですね。携帯電話をもてなくなるけれど職はあるはずです。
サンフランシスコ市ピア39
ラグナビーチ(米国西海岸)
そうすると日本でも貧富の格差が出てくるのですね。
歴史は繰り返すということですね。これではいけないということで、純な社会主義的な発想が生まれ台頭する可能性もありますね。日本でも2大政党で行こうと言って日本でも変わったことはないわけですね。あり方向へ行けば、ぶり返しがありますね。民主主義が成熟すると資本主義になり、資本主義が成熟すると帝国主義になり。アメリカのブッシュが独裁者と言われていますね。
平等社会を標榜していたソ連が崩壊し、石油利権を牛耳る少数の資本家が国を牛耳っています。昔のアメリカ状態。アメリカも極端に進めばまた戻る。日本も「切捨て御免」で行っていますが、進んでいくとまた新しい考えや思想が出てくると思います。新しい政党が出てくるかもしれません。
今は成功モデルはないということですね。アメリカもない世界もないということでしょうか?
新しい時代、新しい秩序、新しいものの考え方、あたらしい経済観念が生まれようとしているのではないでしょうか。「ニューなんとか」という時代になると思います。なんか産業のルネサンスとか言っています。今は中国へ工場を持って行っています。中国が豊かになりますと、ベトナムへ行くカンボジアへ行く。安いところを人間社会は追いかけますね。
そうしますと安岡さんのお話では経済の豊かさの「ゼロサムゲーム」をしていますから、どこかの国が豊かになると、どこかの国が貧しくなる。みなが豊になるということは「新大陸」でも発見されませんとありえないということですね。
それはそうですね。そういう「新しい潮流」は外国にいますと良く見えますね。
今の日本は皆は能力あるなしに関わらずホワイトカラー志向が強すぎるからで、勘違いしている部分がありますね。勝手に生活レベルを設定することが間違いですね。