アメリカから高知を見る  その1
今週のゲストはアメリカ生活事情に詳しい安岡正博さんです。安岡正博さんは、高知市の出身であり、30年以上前に単身渡米し、アメリカで生活されてきました。
 高知にも生活基盤があり、年間数回も米国と高知を往復されています。今日のテーマは「アメリカから高知を見る その1」です。私は安岡さんと知りあいたのは18年前ですが、最近ようやく安岡さんの当時言われていた言葉が理解出来るようになりました。
当時安岡さんは「自治体が倒産する時代が日本でも来る」と言われていました。アメリカのクリーブランド市は現実に倒産し、大変だったそうです。どのようにして再建
したのでしょうか?高知でも参考になるでしょうか?
そうですね長野県が巨額の負債を抱えてこのまま行きますと倒産するのではないかと言われていましたね。なんとかしなければと知事が言っていました。僕が昔言っていたクリブランドには実際住んでいました。あの当時の知事が今民主党の大統領予備選挙に出ている1人ですね。あの頃記憶していますのは、電力会社が隣のペンシルベニア州にに買い取られまして、オハイオ州の電気が供給され、請求書が来たりしました。公共サービスも他から入って来ました。これからの事例の先例ではなかったかと思いますね。
高知でも高知市は2000億円を超える借金があり、「倒産」の危険度が増していま  す。国からの地方交付税の減少と、税源の委譲、地方への業務の委譲などの「三位一体」改革が進行しています。アメリカの自治体の動きで「教訓」はありますか?
難しい質問ですね。ひとつだけいえるのは住民自身が自覚は高い。日本は前の下水が詰まったら市役所に電話して何とかしろと言いますね。市は県は国はどうしているという感覚が強いですね。アメリカはそうではないですね。自分達でやらねばならない。その感覚の違いを考えないと。国は勝手なことをしているからけしからんと言っているのですが、その議員を選んだのはあんたたちなのだ。その自覚がないといけませんね。投票へも行かずに政治家に「丸投げ」しているからいけないと思いますね。
その意識がアメリカとこちらとの大きな違いですね。依頼心が日本人は強いですね。
そう。日本ではお上から看板貰った人間が庄屋になり、奉行所で来て、自治体を川上から引っ張ってきた。アメリカは違うわけですね。幌馬車で着いて、畑を耕しとうもろこしを植え、自分で家をこしらえますね。まちづくりをしましたね。学校も教会もこしらえましたね。国民1人1人がこしらえた街ですね。州法などが強い、よく映画の西部劇では、自分の家と土地を守るために銃を使って守っても良い。ところが日本ではお代官様に言わなければならない。その違いは自分で家をつくり、自分で道を作り、自分達がお金を出して教会を作りますね。日本の場合は違いますね。高知に教会を作る場合も東京のお金で高知に教会を作るわけですね。運営費は地元で集めますね。向こうは自分達は自分で違いますね。そこに根本的に違いますね。
いつも安岡さんが感じておられる「高知のまどろこしさ」はどんなところにあるので  しょうか?
本気度と言いますか切実さ、真剣さが商店街からも地域からも感じられないところですね。自分達でなんとかしようというものを感じないのです。なにか流行を追っているような、補助金があるかららとかそんなレベルですね。まだまだ豊だからですよ。
はりまや橋商店街でのはりまや市(毎週金曜日開催)の様子(高知市)
15年前安岡さんは「ノンプロフィットであるが、事業を行い収益を上げる組織。行  政からも企業からも補助金に依存しない組織をこしらえろと言われました。それがNP  O法人であることは最近理解できました。アメリカ社会ではNP0はどう根付いているのでしょうか?日本や高知を見られてまどろこしいところはどんなところにありますか?
いつでもそうですが、なんでもそうですが、日本では「ファッションじみている」ということです。本当に自分達がつきつめた組織であり、団体かといえばそうではない。なんかNPOも物凄いことになっていて、NPOで詐欺を働く連中まで日本では出てきているとか。自分達から湧き出てくるような組織でり、行動であるようなものでなければなりません。その場合「利益」を生まないと絶対駄目だと思いますね。みんながかね出し合って人が来て人がたくさん来た。しかし物は売れない。
昔は「まちおかし」とか「商店街の活性化」なんて流行していましたね。NPOも同じではないでしょうか。独自性がありません。
高知でも「観光・コンベンション」と提唱されていますが、アメリカでのそれとは全然異なっているようです。安岡さんの提唱される「観光・コンベンション」とは高知ではどうあるべきなのでしょうか?
どうであるか言われますけれども駄目ですね。それはバブルの時代の産物ですね。この金のない時代で観光コンベンションをする必要はないと思いますね。高知まで来るよりは、ディズニーランドでしたほうがましですよ。会議室もホテルもありますし。高知では観光へ行くところもないし。観光コンベンションなんて「時代遅れ」ですね。
かるぽーとはなんだと思いますね。あそこは観光コンベンションの拠点にすべきでしょうに。どうもスポットを当てているところが違うのではないかと思いますね。
 
セントルイス市ユニオンステーション ボルティモア市 イナハーバー
日本では都市再開発事例として紹介されていました。安岡さんよれば今も繁栄しているそうです。
商店街でありながらくつろげる快適性がつくられています。