高知の森林の可能性について
 今週のゲストはくろしお地域研究所所長の吉田文彦さんです。今日のテーマは「高知の森林の可能性について」でお話をお聞きします。
 高知県は県土の82%が森林で日本1です。また高知県は森林環境税を県民から徴税し、「山の日」などの行事を開催し、啓発を促しています。
かつて高知県は日本1の木炭生産県でした。化石燃料の枯渇の可能性や、地球環境保 護のために木炭の活用は現実的であると思いますがいかがでしょうか?
 山村の活性化や森林の活用は叫ばれてはいますが、そのあたりの事例やアイデアなどは吉田さんはどのようにお考えなのでしょうか?
そうですね。木炭の生産量は全盛期から言えば格段に減ってはいます。しかし土佐備長炭は、個性的な取り組みがなされています。竹炭の生産などもされています。ただ量的にはそれほど大きなものではありません。
 これからの課題は間伐をどのように進めていくのか。間伐材も含めて木材を市場に出した後の廃物を生かしていくようなバイオマスであるとか。そんな課題もあると思います。
 それからグリーンツーリズムというものもあると思います。そういうこともひっくるめて森林地域をひとつの環境保全ということで、非常に大きな役割を担っています。水を生み出す場でもありますし。空気を生み出す場でもあります。
室戸市にある備長炭の釜(左)と 炭の釜だし風景です。
 重用な地域であるのですが、今はお金にならないのが問題なのですね。今はお金になりつつ、森林地域の活性化にどうつなげていくか。ひじょうに大事であると思います。
 一言で言いますと、「環境」「経済」「社会」が「三位一体」となって、地域づくりが山村地区でも課題であると思います。そういう取り組みが模索されていると思います。
 私どもの非常に重要視しているところは「森林の国際認証」です。ある面では大事です。FSC(Forest Stewardship Council)と略称されています。森林管理協議会と日本語では訳されています。地域の山林を三位一体的に魅力的なものにしていくということで、取り組んでいます。そういう取り組みが、進んでいます。
 一方で、国内認証の動きがあります。誤解が一部にありますが、国内認証を受ければ、国際認証であるFSCが追認されるということはありません。関係はありません。
吉野川流域。森林は水資源です。
仁淀川流域の集落。森林と一体化しています。
 
 要はFSCの認証を受けるためには、森林作りでそれなりの努力が必要です。河畔林(川岸の樹木)の維持管理、配慮をするとか。森林の貴重な動植物類を保全するとか。ある程度人間と自然との共生している森林経営をするものでなければなりません。
 
 森林を活用する施策は、教育関係その他であるのでしょうか?山村部の廃校跡を手入れし、寄宿舎にし、教育施設にするとか。グリーンツーリズムの拠点にするとか。ビジネスモデルを高知からこしらえることは可能なのでしょうか?
 そうですね。一言で言えば可能です。廃校について山間部と言われてますが、都市部についても廃校の活用が言われています。高知市の場合もそうです。都市部の廃校と中山間部との廃校は意味が違います。
 都市部の場合は、高齢者のための施設や、NPOやベンチャー企業の拠点などに再利用される可能性があります。NPOの問題はありえます。
 山間部の場合は、体験交流や社会教育、生涯教育、農産物加工とか自然環境学習とか、多面的な利用が可能です。先日お話しました地域のよさを背景に(あるもの探しをして)、グリーンツーリズム的な活用は十分出来ると思います。
 それにはそれなりのノウハウもいりますので、いろいろ地域の人たちだけでなく、業者も一緒になって研究して、やっていく必要があります。そうすれば可能性は十分にあると思います。
くろしお地域研究所    http://www.kuroshio-net.jp/index.html
森林環境税        http://www.pref.kochi.jp/~seisaku/kinobun2/hp_1/sinrinkankyouzei.htm
FSC森林認証制度   http://www.wwf.or.jp/forest/fsc/  
5月番組に戻ります