科学は万能ではない

 今日のテーマは「科学は万能ではない」です。 現在、私たちは科学技術が作り出した製品に囲まれて暮らしています。 これらのものなくしては衣・食・住が成り立たないといってもそれほど大げさではないでしょう。 また、科学技術は破壊兵器や環境ホルモンなど、人間にとっては望ましくないものにも大きく関わっています。そのため科学技術が発展することに不信感を抱く人も少なくありません。 これから5回にわたって「科学」について考えてみたいと思います。

今週は科学について研究しているまさしさんにゲストで来ていただいています。

(1「科学」という言葉を聞いたとき、どんなことを連想するでしょうか? 学  校で習った理科のことや、科学技術を利用した製品などが挙げられると思いま すが、 科学とはそもそもどんなものなんでしょうか。 *「科学」という言葉 を辞書で引くと、「特定の対象領域に対する経験的実証的学問」と出ています 。 言葉がわかりにくいので、少しずつ見ていきましょう。 「特定の対象領  域」ということは、物事の全てではなく、ある一部分だけだということです  。 科学はどんな事柄でも取り扱えるわけではありません。

(2)(1を受けて)「経験的実証的」というのも少し分かりにくい言葉ですが  。 *科学が取り扱うことのできるのは、実際にやってみたり、事実と照らし  合わせて 確かめることができる事柄に限られるということです。 例えば「  この絵はすばらしいかどうか」といった、正しいかどうかが価値観によって   変わるような事柄は、「科学」が取り扱える問題ではないということです。

(3)科学に対して不信感を持つ人が、「現代科学では説明できないこともある  」という 言い方をすることがあります。もっともな意見だとも思われますが。 *もちろん、この世界には科学的にわかっていないことがたくさんあります。   むしろわかっていることのほうが少ないでしょう。

 * しかし、多くの先人たちの努力によってわかって来たこともたくさんあるこ  とも忘れてはいけません。 「現在わかっていないことは引き続き調べればよ  く」、そして「間違いや矛盾があったら、 それが分かった時点で修正すれば  よい」、というのが科学のとっている方法です。

*(地動説が天動説にとって変わったのもそんな一例です。) 科学的な知識はこ  のように長い時間をかけて蓄積されてきた、人間の知恵だといえるでしょう  。 私たちはこれらの知恵を粗末にしてはいけないと思います。

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2002年3月1日