高知県政の諸問題について私なりに検討しました
 
橋本大二郎さんの考え方を点検しました。

 橋本大二郎さんの「トップリーダーとしての考え方」に対し、高知市の1市民けんちゃんが、点検し、論評させていただきました。
 私自身高知シティFMの番組「けんちゃんの吠えるウォッチング」にて「高知県政特集」を企画し、1ヶ月間毎日放送したこともあります。また橋本大二郎さんには、2回ゲスト出演もしていただきました。
 「けんちゃんの吠えるウォッチング」での出演は  こちら

 「けんちゃんのどこでもコミュニティ」での出演は  こちら  です。

 かなりの長文ですが休日に読み点検いたしました。挿入している画像は直接内容には関係ありません。長文で字ばかりなので、見やすくするための工夫です。

 
T. 4期目に向けて

▽マニフェストにかえて


 従来の政治家の公約が、あまりに総花的だったせいか、最近では、実現にいたる手法と、財源を明確にすることを内容とした、マニフェストが、はやり言葉になっています。確かに、「高齢者の福祉を充実します」といった類の、抽象的な表現をら列した公約には、自分自身うんざりとしていましたから、マニフェストの理念には大賛成です。
 しかし、現職の知事の場合、県庁の組織を使えば、数字的な裏づけのある政策くらい、簡単に作れてしまいます。ですから、それをまとめて、「これがマニフェストです」と出すのも、何となく気のひける思いがします。 また、最近では、マニフェストばやりになってきましたから、旧態依然とした政治家をふくめて、猫も杓子もマニフェストの感があります。これでは、やがて、「悪貨は良貨を駆逐する」というグラシャムの法則が、働くのではないかと危惧します。
 その上、政党の政策であれば、数字的な裏づけのある目標をならべた、マニフェストだけでも、こと足りると思いますが、政治家である知事は、それだけでなく、自分自身の言葉で、県民の皆さんに、語りかけるべきだと考えました。
 それが、この「お約束」の文章が、長たらしいものになってしまった理由です。このため、同じことが、違う角度から、繰り返し出てくる部分もありますので、読みにくいかと思いますが、その点は、どうかお許し下さい。

 
*知事は以前から「マニフェストなるものは出さん」と公言していました。上の発言はその気持ちを表したものでしょう。行動規範でもなんでも良いです。県民の立場では「こうやれば、こう変わる」という行動要項を出していただきたいです。
 

▽4期目に挑戦します


 僕も、間もなく、3期目の任期を終えようとしています。この12年間、僕は、文字通り身を削る思いで、県民の皆さんのために、全力投球をしてきました。そのためか、先日は、心臓の検査のために、半日の入院を余儀なくされましたが、おかげさまで、心臓にかかわる、全ての疑いは晴れました。これも、神様が下さった、絶好の休養の機会と受けとめて、気力も一層充実をしました。
 その、リフレッシュした気力と体力で、この11月に予定されています、次の知事選挙に、再び挑戦することにしました。

 
*阪神の星野監督が辞任しました。やはり激務です。知事職も同様です。橋本さんはお酒を殆ど飲まないので、年齢のわりには若い肉体です。身体も柔らかいし、持久力もある。小柄だが食欲旺盛ですし。
 

▽多選へのご批判に答えて 


 ただ、4期目に挑戦ということになりますと、当然、多選への批判の声も起きようかと思います。そもそも僕は、以前から、多選について尋ねられた時には、「それは、ご本人の意欲と気力にもかかわることだし、何よりも、選挙民の皆さんが決められることなので、始めから、何期以上務めるのはいけないと、決めつけることは出来ない」と、答えてきました。加えて、12年の経験をふまえて言えば、知事という仕事のいそがしさから考えて、在職期間の長さよりも、年齢や気力が問われる仕事だと感じています。

 
*正直もう3期12年もしたのかという感じですね。従来の利権県政の時代が長く、県庁に利権構造、事なかれ主義が根を張っているので、簡単には変革は無理だと思うからであります。
 
一方、これまで、多選の問題点を指摘された知事さん方は、いずれも、任期を重ねるとともに、各政党の相乗りの、推薦や支持を受けてこられた方でした。このことが、長年の在職期間の間に、一般の県民の皆さん方よりも、議会や関連の団体との関係が強くなって、それが、しがらみにつながっていったことも、否定できないと思います。この点、僕は、回を重ねるごとに、明確な無党派の知事として、新しい形を貫いてきました。このことは、従来の知事とは、かなり異なる点ですので、多選という理由だけで、消極的なイメージを持たれる方には、このようなことも、判断材料の一つにいれていただければと思います。
 
*これは橋本大二郎さんだけができる政治手法です。「スーパースター」である証です。昨年も前高知市長が「草の根運動で行う、一切の政党の推薦はいらん」と言っていましたが、中途で方針を転換。共産党を除く政党の推薦を得て3選されました。他の人には真似の出来ない政治手法です。
 

▽徹底して県民に向きあう県庁に


 ただ、これまで申し上げたような、「多選も、いちがいには悪いとは言えない」といった、消極的な側面とは違って、僕自身は4期目に、これまでとは違った、大きな意味を感じています。 と言いますのも、振り返ってみれば、この12年の間には、自らの力不足が招いた出来事をはじめ、幹部の職員が関わった事件など、自戒と反省を迫られる出来事が、数多くありました。また、そうした中で、これまでの仕事のやり方を続けていたのでは、いつまで知事をしていても、県は、大きくは変わらないのではないかとの、実感も持ちました。
 しかし、その一方で、この12年の経験があればこそ、県庁を変えることが出きるとの、確信も持ちました。ですから、僕の気持ちの上で、4期目への挑戦は、3期目までの延長線上にはありません。むしろ、これまでの3期とは違った形で、高知県庁を、徹底して県民に向きあう組織に変えていくことが、4期目の最も大切な目標です。
 少し大げさな表現に聞こえるかもしれませんが、様々な傷も負った、手おいの獅子の心境で、3期目までとは違う、4期目の自分に挑戦をしてみたいと思います。と同時に、それくらいの覚悟がなくては、三位一体の構造改革が進む中での、地方の経営にはのぞめないと自負しています。

 
*私が一番関心があるのはこの部分である。実際に県職員は県民と向き合う気があるのだろうか?それが一番心配です。実際にどういう仕組みで向き合うのか。本気でやる気があるのかそれが問題です。
 

▽県民参加の政策づくり


 これまでも、県民参加型の県政を目指してきましたが、選挙にのぞむにあたっても、県民参加型で、公約づくりを進められればと考えました。このため、僕の話を一方的に聞いていただく形の集会ではなく、少人数でも、様々な地域や分野の方々とお会いして、ご意見やご提案をうかがう懇談会を、この6月から、県内の各地域で積み重ねてきました。
 あわせて、これらの懇談会に、ともに出席をしてくれた県内の大学生のグループ、「プロジェクトK」の皆さんからも、先日、とりまとめの提言をもらいました。
 それらの結果は、この4期目に向けてのお約束の中にも、盛りこんでありますが、立場の異なる、多くの県民の皆さんのご意見を聞いて、それを、政策づくりに結びつけることの難しさを、改めて実感しました。
 冒頭にも述べましたように、僕は、マニフェストの理念に、反対なのではありません。しかし、それより先にすることが、いくつかあると感じています。その一つは、これまでの公約の点検ですし、もう一つは、公約づくりの中に、県民参加を取り入れていく手法です。もちろん、最終的には、出来ることと出来ないこと、また、今やるべきことと後まわしにすべきことの判断を、僕自身がしなくてはなりません。しかし、それまでの過程で、県民の皆さんに、公約づくりの道のりを、少しでも開いていけたことは、新しい自治の形として、意味のあることだったと思います。

 
*直接県民と対話し何かを汲み取る姿勢は評価できます。これはリーダー1人がやればすむ問題ではありません。県庁職員すべてが、同じ姿勢になり、「県民参加を前提にした」県政を推進する必要があります。あまりに「従来型」の職員が多すぎます。
県行政経営改革室が予算措置をしている県民参加型公共掲示板「ぷらっとこうち」。9月1日に開設しましたが、運営委員会が公開されるまで2ヶ月かかりました。それも私たちが執拗に要求しなければ、未だに公開されなかったでしょう。「進んでいる」と思われている部署でさえそうですから、そうでない部署はまだまだでしょう。
 

▽お金をかけない選挙を


 また、お金がかかると言われる選挙の形を、なんとか変えていきたというのも、長年の思いでした。ただ、これまでは、決して、思い通りの形が作れたわけではありません。それだけに、あえて4期目への挑戦を決意した今、今度こそ、お金のかからない、また、お金をかけない選挙を、実現したいと思います。
 具体的には、後援会への入会を勧誘する「しおり」づくりや、大きな会場を借りての「決起集会」、さらには、各ご家庭に、事務所から一斉に電話をかける、「電話作戦」などを一切やめます。また、大きな音で、候補者の名前だけを繰り返す、いわゆる「連呼」もしません。あわせて、選挙中の費用も、極力少ない額に納めます。
 これらのことを、4期目にあたっての、まず始めのお約束にしますが、マスコミの方からも、「それは、橋本大二郎だから出来ることだ」といった、ご指摘を受けます。そのように、かいかぶっていただくのは有り難いのですが、ぼくは、そうであってはならないと思います。と言いますのも、お金をかけない選挙の実現は、候補者次第なのではなく、有権者次第だと思うからです。
 これを機会に、将来にわたって高知県の知事選挙は、お金のかからない、また、お金をかける候補者が出にくいような、選挙になればと願ってやみません。それは、また、自由民権の発祥の地、高知ならばこそ、実現できることではないかと思います。

 
*これも現職の強みと。「スーパースター」のなせることですね。他の人には真似が出来ないことですから。無名の新人が「売名」行為に一体いくらかかるのか想像がつきません。
もうすぐ年賀状が発売されますね。一体いくら年賀状を書かれますか?100枚書く人は多いほうですね。
 高知市議会議員で2000票。高知市選挙区の県会議員は8000票。高知市長で6万票。高知県知事で20万票。高知1区の衆議院で3万票が当選には必要です。組織も資金もない「無名の市民が」、お金をかけずに投票用紙に有権者が名前を書いてくれるはずはありません。
 「お金のかからない選挙」というのであれば、政党主導の公募した候補者同士が争う形になりませんと不可能だと思います。現行の選挙制度では無名の市民が当選する確率はゼロです。将来韓国のようにインターネット選挙の様相になれば、また状況は違って来るでしょうが。
 
U. これまでとこれから 

▽長くて短い12年 


 平成3年12月に、初めて知事に就任しました時には、正直を言って、こんなに長く知事を務めることになろうとは、思っていませんでした。と言って、何期務めてその後はといった展望が、あったわけでもありませんが、ばく然と、そう長くはない期間を想定していました。
 その一方で、初めのうち周囲の方からは、「一期か二期ですぐやめて、中央の政界をめざすに違いない」とか、「知事は次のステップへの腰かけだ」など、勝手な憶測を言われたのもでした。ただ、僕自身は最初から、「政治家としての仕事は、高知県知事が最初で最後」といった表現で、腰をおちつけて、地方の仕事に取り組んでいく気持ちを、明らかにしていました。

 
*「骨を埋める」という言葉があります。高知で墓地を購入するところまでやれば、田舎の人間には信用されるものです。かつて中村に一条氏がいました。戦国時代に戦乱を逃れ、京都から高知県中村付近に逃れてきた貴族です。
 中村に京文化を伝え、小京都といわれる街をこしらえました。地元の人達との交流がありました。やがて戦国大名の長宗我部氏に滅ぼされ、山内家の支配になりました。しかし地元の人々は一条氏を慕い、一条神社をこしらえ、盛大な京式のお祭りも伝承しています。
 「土に返る」という東洋思想を重視していただきたいですね。
 また江戸時代初期に土佐藩の家老で野中兼山という人物がいました。30年間に渡り、土佐藩の基礎をつくった人でした。土木工事のみならず、教育、産業、農林業、などに多大な業績を残しました。彼が土佐藩の基礎をこしらえたのでした。幕末の土佐の人物の活躍は彼の存在なしには語れないのです。
 

▽しがらみがないからこそ出来たこと


 それからの12年は、今にしてふり返れば、あっと言う間でしたが、最初に手がけた仕事のひとつは、「人事諮問制度」の廃止でした。と言っても、一般の県民の方には、何のことだかわからないかもしれませんが、高知県には、前知事の時代まで、県が内定した人事異動の表を、発表の前日に職員団体(労働組合)に見せて、了解の得られないものは差しかえるといった、取り決めがありました。
 知事には、選挙によって県民の皆さんから、職員の人事権がゆだねられていますが、労働組合には、民主主義のルールからしても、そのような権限はありません。にもかかわらず、こうした人事への介入を許していたことが、県庁一家意識のなれあいやもたれあいを、ひいては、とかく切磋琢磨の競い合いや緊張感を欠きがちな、公務員の意識をひきずっていく、一因になっていました。このため、就任一年余りで、この制度を廃止しました。
 その後も、仕事中に、組合の用があるからといって職場を離れる、一時離席≠竅A実際には、組合の仕事しかしていないのに、職場で仕事をしていることにして給料を受け取る、ヤミ専従≠ネど、従来から続いていた慣行も、次々と改めました。辻本清美元議員の秘書給与の問題が、国費をだまし取った詐欺罪で立件されたことから考えてみれば、ヤミ専従≠焉A県費の詐取ではないかと指摘されても、いたしかたないような取り決めだったと思います。
 こうしたことともに、仕事をしてもしなくても、また仕事ができてもできなくても、年齢を重ねただけで給料が上がっていく、わたり≠ニ呼ばれる給与制度も、全面的に改めました。これら給与制度の改革で、あわせて、毎年およそ20億円の財源を、県の借金の返済や、県民の皆さんへのサービスに、ふり向けることができました。
 これらのことは、いずれも、県民の皆さんとは直接かかわりのない、県庁の組織内のことですから、外からは見えにくかったかもしれませんが、県の職員の、意識や仕事ぶりに影響を与える、大切な問題でした。と同時に、僕が、県庁内の、ひいては県内のさまざまなしがらみに、とらわれざるを得ない立場だったなら、絶対に手をつけられなかった課題だと考えています。 

 
*人事諮問制度の廃止は評価しています。ただ県職労組合長の指摘では、「現在県人事制度はいびつです。人事課、秘書課、行政管理課の職員が優遇され、その他の課の職員は人事評価に怯えて仕事をしています。あまりに上意下達的なやりかたです。いわばトップリーダーの意向をかさにして、強引な人事を強行しています。」と言う部分は調査の必要があると思います。事実であれば「不当労働行為」の疑いもあるからです。
 
また、しがらみということで言えば、県庁の中には、各種の団体や特定の個人との間に、様々なしがらみがありました。また、そのことによる心理的な圧迫が、モードアバンセ事件などの、一因になっていたことも否めませんので、過去の念書や覚え書きを公表することにしました。
 そうした中で、県の融資に絡む問題にも登場した人物で、県の体育協会や観光の業界に、強い影響力を持っていた特定の個人に対して、国体の開催を機会に、毅然とした対応をとれたことは、県政改革の上で、象徴的な出来事でした。
 さらに、この9月からは、僕を含めた、県の職員への様々な働きかけを、全て公表することで、県民の皆さんの目の届かないところで、県政が動かされていくことがないように、仕組みを改めました。
 これまで、多くの人が気づきながら、結局は長い間、県政の中から排除しえなかったこうした問題に、ある程度の道筋をつけえたことで、高知県に全くゆかりのなかった僕を、知事にお選びいただいたことへのお返しは、かなり実現できたのではないかと感じています。
 
*そのあたりはよくぞやったと評価します。他の人ならなしえなかったと思います。妥協的な人物では「はびこられた」と思います。
 

▽隠し事のない県政を


 また、今お話をしました、念書や覚え書、それに働きかけの公表に代表されますように、広い意味での、県庁の改革の一つとして、情報公開の徹底にも努めてきました。今年度からは、監査委員会の事務局による意見なども、公表するようにしましたし、この夏には、トンネルの手抜き工事をした企業への、処分を検討する委員会の際に、審議の内容を積極的に公開しました。
 ちょうど同じ頃、イギリスの新聞、フィナンシャル・タイムズの取材で、「改革派と呼ばれる知事の共通点は何か」という質問を受けましたが、その時にも、「情報公開に熱心なこと」を一例としてあげました。県政の透明性をあげることは、行政と県民の皆さんとの距離を縮めるためにも、また、職員がしがらみにとらわれて、後ろめたい思いで、仕事をすることがないようにするためにも、大切な課題だと思っています。ですから、今後とも、担当する県政情報課に、より強い指導力を認めることで、積極的に情報公開を進めていきますが、県民の皆さんにも、単に県政の問題点をチェックするための手段としてではなく、県政に参加して、ともに県づくりを進めていくための手段として、情報公開を、もっと前向きに活用していただきたいと思います。

 
*知事だけが「情報公開」をするのではなく、県庁のすべての部署が情報公開を前提に仕事を組みなおすべきですね。これが全然出来ていませんでした。
 長野県の田中知事は、県庁記者クラブを廃止しました。市民オンブズマン高知の指摘のように、年間2000万円を超える費用を県庁が民間企業である新聞社や放送局に提供しています。県庁内の郵便局や、銀行は「家賃」をちゃんと支払っています。県庁記者クラブは家賃を支払うか、部屋から出て行くかすべきでしょう。 オンブズマンのつぶやきHP参照
 

▽基盤整備は着実に


 一方、この12年間をふり返ってみますと、基盤整備では、前知事の中内さんから、陸、海、空、それぞれの事業をひきつぎました。このうち高速道路は、須崎まで開通させることができましたし、鉄道も宿毛線からごめんなはり線まで、計画されていた線が全て開通しました。
 一方海では、高知新港が開港しましたし、空では、高知空港にジャンボ機などの乗り入れが可能になる、滑走路の2500メートルへの延伸が、来年春に実現をします。さらに、僕が知事になってから、新たに取り組んだ分野として、情報化を支える、基幹のネットワークの整備を進めてきました。
 ただ、道路はともかく、鉄道と港や空港は、今後の利用をいかにのばしていくかが大きな課題ですので、ハードの事業の完成をもって、目標が達成されたわけではありません。また、情報化の分野では、各地域でのブロードバンド化をどのように進めるのか、また、テレビ放送のデジタル化にどう対応するのかといった、大きな仕事が残されています。

 
*優先課題として「全戸ブロードバンド化」を本気で進めるべきでしょう。県民全所帯にパソコンがあり、皆ホームページを持っている。あらゆる産業からインターネットで情報発信ができる。そうなるとき、初めて高知工科大学を設立した意義目的が県民に理解されるでしょうから。
 

▽国や中央への提言


 ところで、今申し上げました基盤整備の事業では、国の制度のお世話になった面も、かなりありました。これに対して、高知県から、国や中央に提案をした事例もいくつかあります。例えば、国体の簡素化もその一つです。その結果、開催県が総合優勝をしなくてはいけないといった、長年のトラウマを打ち破ることが出来ました。
 また、従来から国の基準になっていた、2車線での道路整備に変わって、1.5車線の道路整備が、制度として取り入れられたのも、高知県からの発信がきっかけでした。これによって、高知県では、あと90年かかると予想されていた道路の改良事業が、30年ですむことになりました。
 さらに、今年度から始まった、森林環境税の取り組みも、本県独自のものですが、今後は四国連携の中で、他の3県にも広げていきたいと思います。あわせて、やがては、森林環境の保全を対象にした税が、国全体の取り組みになるように、目指していきます。

*「1・5車線」も「国体で開催地が優勝しない」という事例も良いと思います。
 人事と点で言えば、県職労組合長もご指摘されていましたが、国からの「天下り人事」を廃止」すべきです。現在高知県庁は総務部長や、財政課長は総務省からの出向者のお決まり部署です。そのほか土木部は国土交通省からの出向者が管理職になっています。これらを廃止すべきでしょう。
 
▽いくつかのプロジェクト事業も
 これらに加えて、この12年の間に、高知工科大学の立ち上げや、第1期から第2期の土佐の教育改革、さらには、深層水という、地域の資源を活用した産業おこしなどに、取り組んできました。いずれの取り組みも、課題を抱えていますが、これらのことも含めて、これから4年間の目標を、できるだけわかりやすく、お示ししていきたいと思います。あわせて、3期目の公約を中心に、これまでお約束をしてきた事業や取り組みが、実現できたかどうかも、お示しをすることにいたします。
 ただ、いきなり過去の仕事の自己点検が、ずらずらと並びますと、読んで下さっている方も、疲れてしまわれると思いますので、このことは、付属資料として、後にまわさせていただくことにして、まずは、これからのことに話を移したいと思います。
高知工科大学 授業の様子
*問題点も一方であります。総点検はすべきでしょう。
 

▽小泉改革の問題点


 そこで、最初に、国との関係で今地方がおかれている、現状の説明から始めますが、総理大臣の小泉さんは、ご自身の進める改革の目標を、「地方にできることは地方にまかせる。民間にできることは民間にまかせる」と、言い表しておられます。そのこと自体には、誰も反対する人はいないと思いますし、僕自身も大賛成です。
 ただ、世の中の仕組みは、地方と民間だけでできあがっているわけではありません。つまり、もうひとつの存在、国がどういう役割を果たすのかの説明がないことが、小泉総理の進める改革の、大きな問題点です。ですから、例えば、高速道路の将来をめぐる議論では、国の基幹となる動脈の整備にあたっては、まず、国が果たすべき責任と役割を明確にすべきだと、地方からの声をあげ続けてきました。

▽三位一体の改革とは


 こうした、小泉改革の一連の流れの中で、国と地方との関係を大きく変えていこうという提案を、一般に、三位一体の改革(※1)と呼んでいます。ここで言う三位とは、国の省庁から地方に出されている、補助金などの削減や廃止≠ニ地方交付税制度の見直し=Aそれに、それらを実現するために必要な税財源の移譲=Aつまり、国がとっている税を、地方の取り分に振りかえることの、三つをさしています。
 ただ、これもまた、一連の小泉改革の常として、税財源のばらつきに伴う全国の地域間の格差を、国としてどこまで解消していくのか、また、全国のどこに暮らしていようと、これだけのサービスは保証しましょうという国としての基準を、どのように定めるのかといった議論がないまま、国の財政難の辻褄あわせだけが、先行していくきらいがあります。と同時に、どのような形で三位一体の改革が進められていくにせよ、国にも地方にも、大幅な財源不足があることを考えますと、高知県が、県民の皆さんのサービスのために使える財源は、今よりかなり少なくならざるを得ません。
 例えば、今ある財源が1000だったとすれば、それが700とか800に減っていくことを、覚悟しなくてはなりません。ですから、ここで生じる200〜300分の減額が、地域の経済に与える影響や衝撃を、いかに少なくしていくかは、高知県にとっては大きな課題です。後ほど、個別の対策で述べます、土木建設業からの雇用の移転などは、こうした課題への対応の一つです。
 しかし、こうした問題の反面、これまで、補助金などを受ける見返りとして、国が地方に求めてきた、さまざまな規制や制約がなくなって、地方が自由に財源を活用できるようになるならば、住民サービスの面では、今まで以上に、柔軟な対応が可能になります。といったことから、僕も、この改革に対しては、基幹的な税財源が地方に移されて、地方の自由度が増すことを条件に、賛成の立場をとってきましたし、県庁の中でも、本格的な三位一体の改革を前提に、これからの高知県が、目指すべき方向を議論してきました。
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 (※1)もともとは、キリスト教の言葉で、創造主としての父なる神と、キリストとしてこの世に現れた子なる神、それに聖霊なる神の三つをさします。ただ、受験戦争を生き抜いてきた僕は、三位一体と聞きますと、英訳と英作文、それに英文法の三位一体≠うたった、英語の参考書を思い出してしまいます。

 
*権限を国が保有しながら、事務業務などを地方に移し、補助金も減らしていくことだけではないのかと思いますね。「教育」の問題などは明らかな責任放棄になります。
 


▽住民力≠引き出せるかどうかが鍵


 これから述べます個別の内容にも、庁内での議論が反映されていますが、その中で、今後の地域社会が目指すべき方向として、確実に言えることは、これまでのように行政が、つまり国、県、市町村が、公共的なサービスを、何から何まで担っていくことは、難しくなるということです。別の言い方をすれば、地域ごとに、各種の公共的なサービスを担っていく住民力≠ェ、さらには、それらの住民力≠ェ結びついた、支えあいの仲間が育っていくかどうかが、安心で住みやすい地域を作っていくための鍵になります。
 もちろん、こうしたことを言います背景には、財政がさらに厳しくなるという、懐具合の事情もないわけではありません。しかし、それ以上に大切なことは、お役所仕事と評される、行政や公務員にまかせるよりも、民間の力や、住民どうしの支えあいの力を活かした方が、よりよいサービスを提供できるということです。
 例えば、去年、高知県で国体が開催されました際、民泊という形で、地域の皆さんの力をお借りしました。その結果、民泊を受けいれた集落ごとに、そこに泊まった各都道府県の選手たちとの間に、交流が生まれました。そのことで、地域の皆さん方は、自ら行動することの楽しさを、感じられたはずですし、それとともに、やればできるという自信も、実感されたのではないかと思います。ですから、この国体の経験を、地域の支えあいに活かしていければ、それが、災害に備えての自主防災の組織や、高齢社会の中での健康
づくりや助け合い、さらには道路や河川などの管理を、地域で面倒を見ていく仕組みなどに、つながっていくと思うのです。
 ただ、この取り組みを実現させていくためには、予算をつければそれで一件落着といった、これまでの行政の手法では不十分ですので、進め方の戦略をよく考えなくてはなりません。このように、住民力≠いかにして引き出していけるかは、三位一体の改革を前に、率先して取り組まなくてはいけない課題です。

仲間づくり懇談会の様子
*大事な事だと思います。通常政治家が使用する「国民」や「県民」は選挙のときだけしか存在しないからです。普段は無視。私たちは政治家に「白紙委任」したわけではありません。常に業務で県庁職員が「県民」を意識するようになれば、県庁は改革されるでしょう。
 

▽国、県、市町村の役割の見直し


 また、三位一体の改革に向けては、高知県が現在実施している全ての事業を、「本来なら、国、県、市町村のどこが担うべきか」といった視点から、分類し直した上で、それをもとに、財源や権限の見直しを、国に求めていく必要があります。と言いますのも、本当の意味での分権を目指していくためには、本来どこが担当すべき仕事かを、明確にしなくてはいけないと思うからです。
 それとあわせて、財政上の制約も加味した上で、県として、断念または中断せざるを得ない事業やサービスを、明らかにしていきます。と同時に、その分、どのような仕事に重点をあてていくのかを、あわせて説明したいと思いますが、その際、当初の案では、初めに、各部局ごとの方向性をお示ししていました。しかし、それでは、従来型の縦わり行政の印象が強すぎるとのご指摘をいただきましたので、まずは、要約版としてもご覧いただけるように、お約束の概略をまとめてみました。

 
*市町村は県庁以上に住民と向き合ってきました。県庁は「国から補助金を貰い。市町村に配分する」業務しかしてきませんでした。長年その仕事振りになれ、県民と向き合うことになれていない職員は多数でしょう。また市町村も県に頼る「癖」から脱却していません。これからの大きな課題です。
 
V. 縦糸にあたる各部局別の方向性 

(1)危機管理担当

▽ぐらっときたらすぐ逃げられるために

 南海地震対策は、県が中期的な重点課題としてかかげた、4本の柱の1つです。そこには、被害そのものを押さえるための、ハードの事業から、災害から避難してもらうための、ソフトの事業まで、多岐にわたる対策が考えら
れます。しかし、全てに手を出していたのでは、財政的に裏づけのある計画は作れません。そこで、まずは、自主的な防災組織による避難誘導など、ソフトの対策に特化して、当面の計画づくりを進めます。と言いますのも、南海地震で予想される被害のうち、死傷者の30%以上は、津波によるものですので、ぐらっときたら、すぐに安全な場所に逃げることが、命を救うわかれ目になるからです(※2)。
 このことに関して、ある方が、面白い話をされていました。それは、人の脳にかかわることなのですが、人間の脳には、右脳と左脳という二つの機能があって、ものごとを考えて分析する仕事は、左脳がつかさどっています。このため、無心に立ち向かわなくてはならない時に、左脳が働きますと、無用な迷いがでて失敗をしてしまいます。たとえば・・・と、この方が例にあげたのはゴルフの例でした。それは、どんな話かと言いますと、球を前にクラブをかまえた時の脳波をはかってみますと、アマチュアは左脳が働いてしまうために、迷いが生じて良い球が打てません。これに対してプロは、球を前にしても、全く左脳が働かないため、無心に素晴らしい球が打てるというのです。この話を引き合いに、この方は、大地震がおきた時には、「はたして津波がくるだろうか」とか、「何を家から持ち出そうか」など、余計なことを考える前に、つまり左脳が働く前に、反射的に高台に逃げ出すくらいの訓練を、積んでおかないといけないと言われていました。では、そのために
どうすれば良いのかですが、やはり、自主的な防災組織を作って、いつも忘れずに、連絡や訓練をくり返すことにつきるのではないかと思います。
 ただ、そのためには、自分たちの地域は、大きな地震があったら、すぐに逃げ出さないといけない地域だと、あらかじめ知っておいていただくことはもちろん、避難のための道と避難場所の確保や、避難の道筋を示すマークの統一などが必要です。
 特に、避難の道と、避難場所の整備は、優先的に取り組まなくてはならない課題です。
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 (※2)最も人口が集中している、高知市の場合、揺れを感じたら、およそ30分後には、津波の第一波が襲ってくると言われていますので、それまでには、安全な高台に避難していなくてはなりません。また、津波は、一度や二度で終わるものではありませんので、安全な場所にたどりついたら、そこに、8時間は避難している覚悟が必要です。

 
*わたしは海に近い低い地域に居住しています。4階建てにしましたが、もともとの地盤が弱く、海抜ゼロですから。逃げようにも周りの道路はまだ低い。家計に余裕が出来たら、車に車両保険をかけます。避難用にゴムボートを購入しようかと思います。かつて浸水罹災体験があるだけに真剣に考えては居ますが。
 

▽建物の耐震化への取り組み 


 あわせて、地震の際には、建物の倒壊による被害が大きな問題です。阪神淡路の大地震の時にも、亡くなった方のおよそ90%は、壊れた家の下敷きになった方でした。
 このため、学校をはじめ、多くの人が集まる公共的な建物の耐震化に、重点的に取り組まなくてはなりません。また、昭和56年に、建築基準法が改正されて、耐震化が義務づけられる以前に建てられた建物は、一般の住宅も含めて、耐震の診断と、その後の手あてが必要になります。ただ、防災の先進県の静岡県でも、「自分が元気でいるうちは大丈夫だろう」といった思いから、補助制度を作っても、なかなか住宅の耐震化は進まないという現状ですから、どうすればこれが進むのか、知恵をしぼらなければなりません。
 とはいえ、いずれ進めていかなくてはならないことですので、それらの対策が、できるだけ、地域の経済や雇用を広げる効果をもつように、県内の建設業や工務店、さらには木材産業との連携を図っていきます。

 
*一度診断を受けてみようと思いますね。
 
(2)健康福祉部 

▽ここでも住民力≠ェ問われます 


 高知県は、高齢化の比率、つまり、人口に占める65才以上のお年寄りの比率が、去年の10月1日現在で24.6%と、島根県、秋田県についで、全国で三番目の高さになっています。さらに、2年後には、75才以上の後期高齢者の数が、65才から74才までの前期高齢者の数を上まわる、超高齢社会を迎えます。
 これに備えて、地域の中に、健康づくりを進めるための、あるいは、お年寄りの手助けをするための仕組みを作っていくことが、第一の課題です。と言いますのも、それが出来れば、元気なお年寄りに、地域のさまざまな活動を支えてもらうための、素地が生まれますし、それが、お年寄り自身の、やる気や生き甲斐にもつながるからです。さらに、そのことが、医療や介護にかかる費用の高騰を、押さえることにも役立ちます。
 ただ、これまでも、こうした仕組みづくりの大切さが、言われ続けてきましたが、多くの地域では、まだ実現をしていません。そこで、例えば中土佐町の元気塾=i※3)のように、全ての市町村の、モデルになるような事例を取りあげて、成功の秘訣を、ほかの市町村に伝授出来ればと思います。
 と同時に、市町村ごとに、保健衛生への予算のかけ方をはじめ、食生活や疾病の特徴、さらには、それらの結果として、医療や介護にかかる負担が、どれだけ違うかなどがひと目でわかる、順位表の形のカルテを作ります。それをもとに、それぞれの市町村の住民の皆さんにも、わが町わが村では、どのあたりの数値が悪いのかを、知っていただくことで、その壁を乗りこえる活動につなげていきます。
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 (※3)お年寄りの健康づくりや生きがいづくりのために、平成10年から、町内の5ヶ所で始まった、「はつらつ教室」が前身です。まだ、この時は、役場の職員が、運営の一切を取り仕切っていましたが、お年寄りを、お客さん扱いにしていたのでは、自立の支援にはつながらないと、役場の職員は、黒子にまわることにしました。かわって、塾生であるお年寄りと有償のボランティアが、ひとり一人役割を持って、運営をしています。プログラムはないため、町内11ヶ所の塾がそれぞれに、自分たちのやりたいことを、思いのままに楽しんでいます。
 
▽在宅でも施設でもない居場所づくりを


 こうした、住民力≠いかした健康づくりなどの仕組みとともに、住み慣れたご自宅と施設との中間にあたる、住みかえのための居場所づくりに、重点的に取り組みます。
 庁内で協議をした時、一人の職員が、こんな体験談を話してくれました。84歳で身体障害2級のお父さんと、段々と体力の衰えたお母さんは、ふるさとの中山間の村にいれば、施設に入らざるを得ませんが、高知市内では、マンションの上層の階に暮らしています。それというのも、エレベーターを降りれば、すぐ近くにスーパーと病院と酒屋があって、時にはカラオケスナックにもいけるからです。また、お母さんは電車で帯屋町にも出かけます。
 ところがある日、お母さんが入院をしました。急にさみしくなったお父さんは、「わしも一緒に入院したいのう」とつぶやきながら、慣れぬゴミだしをしたとたん、背中をいためて入院をしてしまいました。その時、お母さんが言った言葉が、職員の耳に残りました。それは、「早く退院したい。ここにいると、まわりの人が暗いので病気になりそうだ」という言葉でした。 こうした事例からも学びとれますように、病院のような施設は、暮しの場ではありません。しかし、施設でないと暮らしが支えられない場合には、そこを選ばざるを得なくなります。だからこそ、家族に頼らず、仲間の支えあいで暮らしていけるような、住みかえ用の居場所づくりが必要になります。 ただ、このことは、健康福祉の関係だけで、縦わりの計画を作っても、事業が進んでいくものではありません。そこで、住宅の耐震化への取り組みと同様、住宅や街づくり、さらには、森林部門の担当者なども含めたチームを作って、戦略的に手順を追って進めていきます。

*私も昨年ホームヘルパー2級の資格を家内と2人で取得しました。施設介護の現場と在宅介護も体験しました。在宅介護は大変です。特にホームヘルパーの負担が大きく、何かと制約だらけで、介護は困難ですね。
 ホームヘルパー資格を持っている人の3分の1しか勤務していない実態を国も自治体も施設経営者もどう考えるのでしょうか?介護保険を考案した国の官僚の皆さん方の想像を超える事態であると思います。
 

▽高知医療センターの立ち上げ


 一方、平成17年の3月には、全国でも初めて、PFI方式で運営される公的な病院として、高知医療センターが開院します。この病院は、ガンや循環器などのセンター機能を中心に、より高度な医療を提供します。

PFI方式で建設が進む医療センター *PFI方式の是非は十分な検討はされたのでしょうか?オンブズマンや県職労の指摘がありました。「利益はPFIが吸い上げ、赤字は県民負担ではないのか」「民間企業ゆえ情報公開されないから不安」という指摘がどうなるのだろうか。

*PFI方式の是非は十分な検討はされたのでしょうか?オンブズマンや県職労の指摘がありました。「利益はPFIが吸い上げ、赤字は県民負担ではないのか」「民間企業ゆえ情報公開されないから不安」という指摘がどうなるのだろうか。

http://www.mmjp.or.jp/kochi-goseigoudou/onbuzu1.htm(オンブズマンのつぶやき)


(3)文化環境部

▽資源循環型社会のビジョンづくり


 環境の分野では、環境基本計画をはじめ、地球環境を考える、アジェンダと呼ばれる行動計画を作ってきました。しかし、率直に言って、全体を網羅した総花的な内容になっていますし、住民が、自ら動いて下さるような形にはなり得ていません。そこで、この上にまた計画づくりかと言われそうですが、再度県民参加の形で、しかも、民間や住民の皆さんが、率先して動かしていって下さるような、資源循環型社会のビジョンづくりを進めます。
 その際には、資源の面からの、地方の自立といった視点から、食料やエネルギーの、自給率を高めるための取り組みも、検討に値する切り口だと思います。
 例えば、水を例にとりますと、従来から日本は、水の資源は豊富だと言われて来ました。地理的な条件や気候的な条件を、アフリカや中近東から、西アジアにかけての国々と比べた時、そのことは今もかわりはありません。しかし、今や国境をこえて、世界中を動いている農産物や肉類を、水という切り口からとらえた時、日本の水資源の自給率は、決して高いとはいえないのです。
 と言いますのも、輸入されている穀物や肉類を生産するのに使われた、水の量をたしあわせてみますと、830億トンの水が、海外からもちこまれている計算になりますので、国内で農業や畜産に使われている水の量、590億トンは、日本人が消費している農畜産物全体の、40%しかみたせていないことになるからです。
 今取り上げましたのは、国全体にかかわる数字ですが、これを地方にあてはめてみれば、食料やエネルギーの、自給率を高めるための目標を設定することが、その面からの地方の自立に、ひいては、資源循環型の社会づくりにもつながることがわかると思います。
 もう一つ、土木関連のハード事業の中に、環境に配慮した工法や資材の、数値目標を取り入れたいとの思いも、持ち続けています。


▽芸術文化の指針も


 一方、文化の分野では、これまでの県の文化政策が、地域振興とからめたものに偏りすぎてはいないかとの、ご批判をいただいたことがあります。そのご指摘も、もっともな点がありますので、いわゆる芸術文化の分野に焦点を当てた、文化政策の指針をあらためて作ります。

▽民間の力の活用を進める


 また、先ほどの、健康や福祉の分野にも言えることですが、文化関係の施設の運営では、民間の力をいかすことを、より積極的に進めていきます。それは例えば、県立施設の運営を民間に委託するといった方式ですが、このことは、財政的な効率性という観点からではなく、サービスの質を高めるという観点から、必要なことだと思います。
 あわせて、これまでにお話をした分野では、地域の支えあいの仕組づくりでも、施設の運営の受け皿づくりでも、NPO的なグループの存在と活躍が欠かせません。さらには、住民と行政とを結ぶ仲介役など、NPOが活躍する場面がますますふえていきます。もちろんその際には、NPOを行政の下請け的な機関ととらえるのではなく、公的なサービスを担う、対等な立場の仲間として位置づけることが必要です。そのためにも、NPOの継続的な活動を可能にしていくような、新しい提案をしていきたいと思います。
 と同時に、NPOをはじめとする民間の団体が、その企画力をいかせるような予算の組み方を工夫していきます。

 
*このあたりの知事の考えを一般県職員が理解し、県民と「対等な付き合い」が出来るかどうかが問題でしょう。県職員は慣用句で「NPOの活用」を言う人がいます。しかしNPOの趣旨などを理解し、ともに協同しようという意識は今ひとつのようです。意識変革が必要でしょう。
 NPOの活用よりも国からの補助金申請のほうに仕事としては慣れていますし、ノウハウもあります。「新しいこと」はやりたがらないと思いますね。
 
(3)農林水産部

▽地産地消のすすめ


 産業の分野に目を移しますと、農業では、環境の分野でとりあげました、自給率の向上とも関係して、地域でとれた産物を地域で消費するという、地産地消の取り組みを、南国市の学校給食や、高知市内の病院の病院食、さらには、各地域の女性グループの活動など、成功事例をもとに、他の地域にも広げていきます。

▽園芸への重点化と規模拡大への取り組み


 その一方、県外との取引きでは、高知県の農業の70%以上を占める園芸だけで、600億円以上を稼いでいますので、園芸の分野で、規模の拡大をめざす、意欲のある生産者の力を、伸ばしていかなければなりません。 その背景にある、統計の数字をみてみますと、高知県や宮崎県といった大きな市場から離れた産地では、担い手もビニールハウスの作つけ面積も減少していますが、千葉県や茨城県、それに福岡県など、大きな消費地に近い産地では、逆に、担い手もビニールハウスの作つけ面積もふえてきています。このような現状をふまえて、県外の産地との競争を考えますと、これまで以上に、園芸への重点化が必要になります。それを実現するため、財政面でも人員配置の面でも、何をやめて、その分の資金と人をどこにまわすかを、明確にしていきます。
 さらに、園芸振興の要点をあげてみますと、期待された品質が確実に提供されること=Aまとまった量を確保できるようにすること=Aしかも、年間通じて安定して供給できる体制を保つこと=Aそれに、安全性の確立≠ニ、その裏返しとして、事故品が出た際の機敏な対応≠ェ求められます。その実現に向けて、例えばナスであれば、現在、一軒の農家当り平均28アールの規模を、平均40〜50アールに拡大していくといったように、規模拡大に向けての目標を設定して、予算の重点化をはかります。

▽安全と安心への取り組み


 また、安全性の面では、法律が改正されて、様々な作物に使用できる農薬の範囲が、これまで以上に限定をされました。このことは、少量でも多品種の作物の生産が売り物の本県にとって、死活問題にもなります。このため、いわゆるマイナー作物に使える農薬の、登録を進めることが緊急の課題になっています。このことには、残された2年の猶予期間中に、全力で取り組みますが、こうした生産者側の苦労をよそに、安全で安心な食べ物への消費者の要求は、ますます厳しくなっています。
 この点で、俗に言われる有機無農薬の栽培技術に対して、これまで県の農政は、決して暖かい対応をしてきたとは言えません。しかし、消費者のこの問題に対する視線が、一層厳しくなることが予想される今、有機無農薬型の生産者と、真正面から向きあう部署を立ち上げますとともに、その技術を、専門的に扱う技術者の確保が必要になります。あわせて、民間の方の力をお借りして、有機無農薬型を目指す方々のための、研修機能を立ち上げたいと思いますが、このことは、UIターンで新規就農を志す方の中に、有機無農
薬型の農業を指向する傾向が強いこととも、合致すると思います。 あわせて、生産農家から、野菜を運ぶ運送会社にいたるまでを、国際的な環境の基準である、ISOの輪でつないでいくといった、安全と安心に向けての徹底した取り組みを、さらに広げていきます。
 こうしたことを通して、「食」と「食の安全」を、高知のブランドイメージにまで高めていきます。

 
*農協の不正行為は高知農産物ブランドを失墜させました。高知県は有機農法の産地です。農政は個別に頑張っている農家には冷たいようです。
窓口が各地の農協になっているようでは、消費者の求めている「あるべき農業の姿」とかなり乖離しているのではないでしょうか。
(4)森林局

▽労働力の確保が鍵


 森林、林業の分野では、先ほどから何回か引きあいに出しています自給率が、全国ベースで18%と、特におちこみが激しくなっています。その原因や、その状況を改善するにあたっての壁は、数多くありますが、森林県である高知県の場合、何よりも緊急の課題は、山で働く経験と技術を持った、質の高い労働力の確保です。
 と言いますのも、すでに、こうした人材の平均年齢は、僕と同じ年の56才になっていますし、10年後には、現在のおよそ2000人から、900人にまで減ることが予想されています。このため、まずはこの10年間に、600人の新たな人材を育成して、全体で、少なくとも1500人の規模を確保することと、このことによって、山で働く人たちの10年後の平均年齢を、50才までにおさえることが第一の目標です。
 このため、例えば、担い手育成のための基金も使っての、計画だてた間伐や、いわゆる緑の雇用事業などを、人材育成の場として活用していきます。と同時に、森林環境税を、専門技術者を育成するための財源として活用することも、検討してよいのではないかと考えています。

 
*高知は日本一の森林県。でも林業経営の前途は暗い。私事ですが、子供は森林学の大学へ行っていますが、その方面の就職は全くありません。「学校林」のある高校もあります。手入れが大変なら若い労働力を雇用していただきたいものですが・・・。
 

▽川下の強化


 また、全体的な森林行政では、川上から川下まで、国の政策の枠組みをそのまま受けこんだ、総花的な対応をやめて、人の配置も予算も、川下の対策に思い切ってシフトすべきです。と言いますのも、川下の販路を広げていくことを抜きに、川上の状況を改善することはできないと考えるからです。
 そのためにも、国の林野行政のもと、補助金を得るために、膨大な時間と労力を費やして作ってきた計画づくりを、大幅に簡略化して、その分の余力を、川下対策に傾けていきます。

 
*「土佐派の家」の試みも建築関係者を中心にされてはいます。しかし需要を掘り起こすところまでにはなってはいませんね。公共建築物などで、実績を積むことでしょう。またカーポートや塀など「エクステリア」部門で製品開発などもすべきでしょう。
 
(5)海洋局

▽UIターン組に的を


 海洋、水産の分野でも、就業者はこの10年間に、30%減りましたし、このままでは、10年後には、今よりさらに、40%減っていくと予想されています。このため、現在の水揚げを確保していくためには、今後、700人の新たな人材を育成する必要がありますが、それを実現するには、UターンやIターン組に、焦点をあてなければなりません。この点、現在は、Iターンの研修生にはかなりの支援策がありますが、Uターンの方に対しては、こうした支援策がありませんので、Uターンの方々にも、同じような対応策を考えます。

 
*難しい問題だと思います。
 
▽ハードからソフトへ、そして磯焼け対策へ
 一方、政策全体をみますと、予算の75%が、漁港を中心とした、ハードの事業に費やされてきました。これを、担い手対策など、ソフトに大きく転換しますとともに、ハード事業の中でも、漁港から沿岸整備の事業への転換を図ります。この沿岸整備の事業のうち代表的なものが、コンクリートの塊を海に投げ入れる、魚礁事業ですが、高知県では、平成12年度までの25年間に、170億円が投下されています。ただ、その効果がどうだったのかの測定はできていません。
 これに対して、漁業関係者と懇談をしますと、魚礁の効果を認める声もある反面、沿岸の藻が死滅して魚のすみかがなくなっていく、磯焼けという現象を何とか改善してほしいという、切実な声が聞かれます。こうしたことから、原因が解明されていないなど、難しい課題もありますが、磯焼け対策には、正面から取り組む必要があります。

▽民間の力の活用


 また、漁協の存在が、かえって、漁業の新たな展開を、円滑にしていない面も否定できません。ですから、決して敵対的な関係をという意味ではありませんが、現在の漁協にかわる新しい組織を作って、そこに民間の経営者を送りこむといった手法も、検討すべきだと思います。
 と同時に、室戸市周辺には、海洋深層水の研究や企業化をはじめ、イルカを使った癒しの療法など、海を活用した様々な活動が集中しています。こうした集積をいかすために、観光や産業技術など、各分野と連携をしたチームを立ち上げます。その際には、民間の方に、プロデューサーの役割を務めてもらいたいと考えています。

海洋深層水からの天然塩の製造
*県の土木部局は「民間人の知恵」に耳を傾けようとはしませんでした。良い例が夜須のマリーナです。私は環境に負担をかけない「陸置きマリーナ」を提案しましたが、当時の港湾関係者は、防波堤の安全性を強弁するだけでした。今でも民間人の提案を採用するとは考えられません。県の言う民間人は、「東京の人」であり、私たちは「県民」であって、民間人ではないのですから。
 
(6)商工労働部

▽知事を先頭に、県の力を活かして 

産業政策のしんがりは、商工労働の分野ですが、ここではまず、一律で公平な対応といった、これまでの役所の固定観念を捨てて、伸びる可能性とやる気のある企業を応援していきます。
 その際には、特に、県の持っている、広い意味での信用力をいかして、対象になる企業をあと押しすることに重点を置きます。例えば、環境の分野で検討をしています、資源循環型の製品の認証や、環境にやさしい製品を県庁が購入する、いわゆるグリーン購入の品目をふやしていくことも、県の持つ力の生かし方の一つです。また、環境型の製品に限らず、県が直接その製品を買うことで、いわばモデル展示場の役割を果たすことができれば、その製品の信頼性を高めることが出来ます。
 あわせて、県内の企業を応援するため、僕自身が、取引先の企業に出向いたり、宣伝にひと役買ったりするトップセールスを、積極的に進めていきます。
 さらに、ベンチャー企業を支援するための、基金制度を考える場合にも、財政的な支援を中心にするのではなく、その企業が、ベンチャーを支援する基金から、資金を調達しやすくなるようにお手伝いをするのも、一つの手法だと思います。

▽地場企業の経営力の向上支援


 企業の力は資本の大きさだけでなく、むしろ経営の質で決まると言われています。高知県の地場企業が、外部からの競争に勝てる経営力をもてるように、商工会議所や商工会の指導活動を支援していきます。

 
*このあたりは全く機能していません。率直に従来型の商工労働行政の失敗を商工労働部は認めるべきです。
 

▽企業の誘致と新しいビジネスおこし


 香我美町に進出している、ルネサステクノロジ(※4)の、2棟目の工場の建設は、半導体の不振の影響で、計画が凍結されたままですが、本県の物づくりにとっては、非常に大きな重みを持ちますので、引き続き、強く誘致を働きかけていきます。
 あわせて、売れ残っている用地の販売に、全力で取り組んでいきますが、多額の公費をつぎ込んでの団地づくりは、今後は取りやめます。
 また、企業の誘致や、新しいビジネスをおこすにあたっては、高知工科大学の総合研究所や、連携研究センター、さらには、高知大学の海洋コアセンターなど、各研究機関との連携が欠かせませんが、百のお題目よりも、一つの実績を目指します。
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 (※4)三菱電機と日立製作所が、半導体の部門を統合した、新しい会社の名前です。本県の香我美町に進出している、三菱電機の高知工場は、この新会社に移行して、上に書きましたように、名前が変わりました。

▽雇用問題に一歩踏みこむ


 一方、雇用の問題は、極めて切実で緊急の課題ですので、職業の紹介やあっせんは国の仕事といった、職業安定法の既成概念に縛られることなく、県としても、直接できる限りの、職業紹介の対応を検討していきます。
 あわせて、今後とも公共投資が減少することを考えますと、これまで、本県の経済を支えてきた、建設関連の企業から、多くの雇用が失われる心配があります。この間、大豊町で、伝統の碁石茶作りを始めたという方にお会いしましたが、この方も、本来のお仕事は土木の分野で、「このままでは、従業員を食べさせていけないので、碁石茶に挑戦をした」とのお話でした。こうした例を、いきなり、他にあてはめることは出来ませんが、農業法人などの分野も含めた受け皿づくりと、そこへ移るための研修のプログラムづくりに、取り組んでいきます。

(7)産業技術委員会

▽科学技術アカデミーの立ち上げ


 一方、これら各産業の分野の、技術開発や研究をうけもっている、産業技術委員会は、各産業別に縦わりになっていた、公設の試験研究機関を一本にまとめて、5年がたちました。この間に、研究に対する外部の評価を取り入れることで、評価されない研究を取りやめるなど、連携と一本化の効果は、徐々に出始めています。
 ただ、その一方で、工業技術センターと、紙産業技術センターや産業振興センターとの連携が、十分とれていないなどの、課題も残されています。そこで、外部の各分野の専門家のお力をお借りして、高知県科学技術アカデミー(仮称)をたちあげます。これによって、県内の科学技術の情報の、一本化をはかりますとともに、それを、産業の利用につなげていきます。

(8)土木部

▽ソフトの工夫と管理補修へのシフト


 公共投資に話を移しますと、すでにのべましたように、農、林、水、の分野では、ハードからソフトへの転換を、これまで以上に図っていきますが、そもそも、ハードの事業が中心の土木の分野でも、こうした工夫が求められます。例えば、危険個所を、ハードの施設で守るだけでなく、周辺の住民の皆さんに、危険地区であることを知らせる地図、ハザードマップを作って、日頃から注意をうながしていくのもその一つです。
 また、三位一体の改革を前にして、道路、下水、砂防、都市計画など、それぞれの分野の現在の計画を、大幅に縮小または変更せざるを得ません。しかし、その一方で、現在の維持管理と補修のための予算では、やがて、河川も道路も橋りょうも荒れ果てて、本来の機能が果たせなくなるといった恐れがあります。このため、すでにできあがっている施設の寿命をのばして、大切に有効に使っていくことに、予算を重点化していきます。
 と同時に、補修の一環として、バリアフリーまたはユニバーサルデザイン(※5)の考え方で、道路や標識などの整備を進めていくことも、高齢社会や、観光の振興に重点を置いた県づくりにとって、ふさわしい工夫だと思います。
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 (※5)お年寄りや障害のある方が、不便を感じないように、道路の段差をなくしたり、階段をなだらかな坂にかえたりすることを、バリアフリーと言います。さらに、全ての人にとって使いやすいものは、高齢者や障害者にも使いやすいとの考え方から、障害のある方もふくめた、全ての人に使いやすいデザインを考えていくことを、ユニバーサルデザインと言います。

▽計画から維持管理までの住民参加


 と同時に、道路にしろ、河川にしろ、その管理の全てを、行政が引き受けるのではなく、自分たちで出来ることは自分たちでやっていこうという思いを持った、住民の皆さんの、自主的な組織の立ち上げも求められています。 一方、数あるハードの事業のうち、何をやめて何に重点を置くかは、県としても、一定の考え方を持っていなくてはなりません。しかし、全てを、県のレベルで一律に決めるのではなく、各地域ブロックごとに、住民の皆さんの声を聞きながら、検討していく必要があります。このため、土木部の分野だけでなく、各種の従来型のハード事業に、情報の基盤整備も含めて、地域ごとに、何に重点をしぼるかを検討して、判断する場を立ち上げます。
 あわせて、事業の実施にあたっては、地域の了解を得られたところから着手していくといった、ルールを明確にしていきます。こうした取り組みを通して、事業の計画から実施、さらにはその後の維持管理まで、住民参加の徹底を目指していきます。

▽環境と県内への配慮


 資源循環型社会への取り組みでもふれましたが、土木工事の中にも、より明確に、環境に対応した工法の採用を、打ち出していきます。それは、地元の間伐材の活用などを、仕様書に書き込むといったことですが、あわせて、資材に県内産を使うことなどを、明確化することにも挑戦します。このことは、公正取引委員会との関係で、微妙な問題がありますが、県内への経済効果を考えたとき、検討すべき課題だと考えています。

(9)港湾空港局

▽的をしぼった港の整備を 


 港の整備の分野では、予算額を40%削減しても可能な範囲で、高知新港と須崎港、それに宿毛湾港の、三つの重要港湾の整備を進めていきます。
 このうち高知新港では、フェリーターミナルになる西工区の整備のほか、臨海部のセメント会社が進めています、火力発電の資材を搬入するために、必要な防波堤の整備を進めます。しかし、その後、防波堤をさらに延長するかどうかは、既成の事実とはせずに、あらためてその可否を判断をします。
 また、須崎港では、津波防波堤と高潮防潮堤を、さらに、宿毛湾港では、防波堤を整備しますが、ここでも、防波堤をさらに延長するかどうかの可否は、あらためて判断をします。
 一方、これら重要港湾を除く地方港湾は、東は甲浦から西は下田まで、県内に16港ありますが、四万十川河口の、下田港周辺の事業に集中投資をします。

▽住宅の移転の勧めも検討


 また、津波対策の最前線をあずかる、海岸事業としましては、まず、人口が密集している高知市と須崎市で、防波堤や堤防などが、地震に対してどれだけの耐久性があるかを、診断しておかなくてはなりません。一方、住宅が密集していない地域では、震災対策のためとはいっても、ハードの事業だけに、膨大な投資をすることは難しくなりますので、住宅や街づくりの部門とも協力をして、住居の移転をお願いすることも、検討すべき時期にきていると考えています。

(10)情報化担当

▽ブロードバンド化への対応


 これからの時代は、道路や港など、従来型の基盤とは別に、情報化の基盤が、地域にとって特に重要になります。その一つが、多くの情報を、素速く処理できるようにする、ブロードバンド化です。この点で高知県は、幹線のネットワークを県が整備した上で、そこから一軒一軒のお宅までの足まわりは、市町村ごとの実情にあわせて整備していくという手法をとっています。これにあわせて、中村市、窪川町、吾川村の3市町村を手はじめに、地域ごとの計画を作っていきます。その結果もみて、平成19年度中には、県内の50%を、ブロードバンド化するのが目標です。
 その際、どの程度のサービスを確保するために、どこまでコストをかけるかは、各市町村の自主的な判断になりますが、ブロードバンド化が、社会的なコストの削減に、どのように役立つかや、道路など、従来型の基盤整備の事業と比べて、どちらを優先させるかなどが、判断の基準になります。

▽テレビのデジタル放送


 少し難しい話になりますが、2011年(平成23年)には、テレビの方式が、アナログからデジタルに変わります。この結果、現在、県内に10%ほどある難視聴の地域が、20%くらいまで、広がるのではないかと心配されています。
 ただ、テレビ放送のデジタル化は、国の戦略として進められるものですから、国の責任で難視聴の解消を図るよう、今後とも強く求めていきます。また、この分野は、技術的には日進月歩の世界ですので、この問題への、県の最終的な対応を決めるまでには、もう少し時間をかける必要があります。

▽データセンターの活用


 一方、県と市町村とを結んだ、情報化の基盤を生かして、県や市町村が参加した、コミュニティデータセンター(CDC)を立ち上げます。このセンターでは、県や市町村からの、事務の委託も受けますが、この他にも、サービスの範囲を広げることができます。このため、センターの経営は、民間の方におまかせをすべきだと考えています。
 
(11)企業局と病院局

▽電気事業の将来
 特別な分野として、公営企業と県立病院がありますが、このうち電気事業は、平成22年度に、大きく仕組みが変わります。と同時に、この年は、京都議定書で政府が、CO2の削減目標を達成すると約束をした年ですし、各電力会社が、発電量の一定の割合を、自然エネルギーにするよう義務づけられた法律で、その目標を達成しなければならない年にもあたっています。
 こうしたことから、電気事業を、ひきつづき県が担っていくのか、それとも、施設を含めて、電力会社などに売却をするのかを、決断する時期が迫っています。

▽残る三つの県立病院のこれから


 高知医療センターの新設に伴って、県立中央病院は廃止されますので、県立病院として残るのは、幡多けんみん病院と安芸病院、それに、精神科の芸陽病院の三つになります。これらの県立病院では、一期から二期にわたる経営改善の取り組みの結果、いわゆる隠れ借金を、かなり圧縮することができました。
 そこで、第三期目の計画として、16年度からの5年間では、各病院に、独立採算性や、実績主義に基づく賞与の制度などを、取り入れることによりまして、借入金に頼らない運営の実現をめざします。
 その中で、今後、県立病院として、精神部門の在り方をどう位置づけていくかは、安芸病院と芸陽病院の、建物の建て直しの時期までには、つめておかなくてはならない課題です。
 
(12)教育委員会


▽子どもの数の減少と学校の統廃合


 教育の分野では、今年度から19年度までの5年間に、小、中、高校の児童生徒の数が、現在の8万人余りから7万5000人余りへと、5000人も減っていきます。このため、県立高校の規模を、一定に保とうとすれば、分校も含めて、5校分の減少が避けられません。
 あわせて、単位制の導入などによって、幅広い選択肢を提供する必要がありますが、地域によっては、高校の建物を活用した、大学教育の可能性を、さぐりたいと思います。
 また、三位一体の改革をうけて、義務教育の教員の人件費に対する国の負担金は、大幅に見直される恐れがあります。こうした状況の中で、これまで積み重ねてきました、土佐の教育改革の成果や、今後の取り組みを挫折させないためには、本来、市町村の判断にまかせられるべき、小学校と中学校の統廃合に関しても、市町村合併が進む17年に向けて、県として望むべき方向性を、お示しすべきだと考えています。
 とは言いましても、決して、財政の厳しさを背景にした、効率化が狙いなわけではありません。あくまでも、子どもたちに、社会性や切磋琢磨の気概を身につけてもらうためには、ある程度の規模での、団体生活の経験が必要だという、子どもたちの将来に視点を置いた考えですので、その趣旨に添って、計画づくりを進めていきます。
 また、こうした努力なしに、単に国の負担金の打ち切りを批判しても、そうした主張は、通りにくい時代になっていると思います。

▽30人学級などのこと


 また、教育面では、第二期の教育改革の柱として、引き続き、基礎学力の底上げに努めていきますし、生徒指導の面では、治療から予防への合い言葉のもと、魅力ある雰囲気づくりを目指していきます。
 あわせて、まずは、小学校の1〜2年生から、30人学級の実施に取り組みたいと思います。ただ、三位一体の改革に基づく大きな変化を考えました時、さらに30人学級を拡大していくためには、先ほども言いました、小中学校の統合が避けて通れません。さらに言えば、子どもたちのためにという基本にたち返って、教員の皆さんの側から、「給与を下げてでも、教員数の確保に努めていこう」といった、自主的で積極的な動きが出ることを期待しています。

▽幼保の一元化への取り組み


 一方、これら学校教育の課題とともに、就学前の子どもたちへの対応が、ますます重要になっています。この点に関して、幼保の一元化と言いますと、抵抗を感じられる方がおられるのもよくわかりますが、それぞれのもつ役割を、ないがしろにするとか、一方に吸収していくといった趣旨ではなく、共通のカリキュラムや、共通の研修プログラムを作ることで、お互いの質を高めていくための、お手伝いをしていきます。

(13)総務部

▽県庁の経営のお手伝い


 お手伝いと言えば、県の職員が、県民の皆さんのために仕事をしていく、そのお手伝いをするのが、総務部の役割です。ところが、県庁の長い歴史の中で、総務部は、各部局の上に立って、人事や財政の面から、組織を管理していく存在と、受けとめられてきました。
 また、今もなお総務部の側には、自分たちが、チェックや管理をするといった、上からものを見る意識が、根づよく残っているように思えてなりません。それだけに、こうした意識を払拭して、県庁全体の経営のお手伝いという役割を、徹底しなくてはなりません。

▽県庁の業務の思い切った見直し


 一方、三位一体の改革を前に、総務部がなすべきことは何かを考えてみますと、その一つは、従来型の仕事の仕方を、全庁的に変えていく、お手伝いをすることです。そのためには、民間への思い切った業務の委託や、自宅でもできるテレワークの導入など、全般的な業務の見直しが必要ですが、この作業は、長い間、県庁の仕事の仕方が身についた、県の職員には、なかなか難しいことですので、外部の委員による見直しの部会を、今年度中にも立ち上げます。

▽公社などの廃止と民営化
 あわせて、11の公社や外郭団体の見直しも、役所の中の議論だけでは、「ただちには難しい」を、繰り返すことになりかねませんので、土木部関係の、三つの公社をまとめた管理のための団体や、分収林契約が残る、森林整備の分野をのぞいては、今年度中に、5年以内の廃止や民営化、または民間の経営力の活用といった、将来の方針を決定します。

▽定員の配分を総枠方式に


 また、庁内の組織の編成は、これまで、「この仕事は何人分の仕事にあたるから」といった、あいまいな基準で、定数の配分を決めていました。今後は、こうしたやり方をやめて、部局ごとの総枠をきめた上で、部局長が、自らの経営判断で、自由に、部局内の人員を動かせるようにします。

▽人事の時期の柔軟化と、成果や能力の評価


 こうした新しい枠組みの中での、部局長の権限と責任に加えて、予算を、計画の段階から、実行に移すまでの流れを考えてみますと、4月で人事が一変することに、疑問を感じざるを得ません。このため、少なくとも幹部の人事は、10月に実施することを、検討してはどうかと考えています。
 あわせて、人事面では、実績や成果、それに能力が重視されるように、評価の軸を変えていきます。また、県民の皆さんには、かなりわかりにくい、専門の用語で恐縮ですが、能力の開発に力点を置いた、コンピテンシ−(※6)と呼ばれる考え方を、人事評価にも、本格的に取り入れていきます。
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  
 (※6)アメリカでは行政から始まり、民間の企業で広まった、人事経営の仕組みの一つで、良い成績を修めた人の、行動の特性を分析した上、その特性を身につけられるような、研修のプログラムを作って、全体の社員の能力を、高めて登用していこうという考え方です。
 日本では公務員制度があるため、主に企業で導入されています。確かに、企業と役所には、活動の目的に大きな違いがあります。しかし、企業ならばお客様本位、また、県庁ならば県民本位というように、誰のために仕事をするのかといった目標の設定には、違いはありません。ですから、県庁の場合は、県民本位の仕事のできる職員が、特性を学ぶべき対象になると思います。

(14)出納事務局

▽出納室の検査権限の形骸化


 もう一つ、県庁の仕事を、お手伝いする役目を果たしている部署に、出納事務局があります。ここには、各部局から、予算にもとづいて支払いを求められた時に、審査をする役割が与えられてはいます。しかし、実際には、担当の部署の長の印があれば、規則にてらして、明らかに不適正といった場合をのぞいて、出納の側では、ハンを押さざるを得ない現状にあります。
 このため、出納事務局からは、審査の権限と責任を担当の部署に移して、業務との一元化を図るべきではないかとの、提案がでています。これも、当然の方向だとは思いますが、この面でも、県庁の仕事の仕方を思い切り変えていくことが、まず前提にあるべきだと思います。と言いますのも、各部局が、受け持っている仕事の整理をしないまま、審査の権限を請けおっても、責任ある仕事にはつながらないのではという、不安があるからです。

▽出納業務の集中化と外部委託


 あわせて、現在、旅費の事務を外部に委託する方向で、準備を進めていますが、今後法の規制がなくなっていけば、出納の集中化と外部への委託を、さらに進めていきます。

(15)企画振興部

▽またまた住民力≠ェ登場


 去年の国体の盛りあがりを見て、まだまだやれるという、自信を持った方も多いのではないかと思います。それだけに、あの力を、地域の自主的な活動につなげていけるかどうか、ここでも、住民力≠フ発揮が問われます。
 このため、今年度から、地域の元気応援団長という名称で、7つのブロックに職員を派遣していますが、こうした機能を強化することで、各分野に芽ばえつつある、地域の支え合いの仕組みとの、連携を図っていきます。
 また、これまでの地域政策を振り返ってみますと、例えば、農水省は農業を、林野庁は林業をというように、省庁や部局の縦わりで、仕事をしてきました。しかし、すでにこの手法では、対応できない状況になっています。
 このため、個別の法律に基づいた規制の緩和ではなく、包括的な中山間特区というくらいの、踏み込んだとらえ方で、仕事の進め方を組み直していく必要があります。その際、その原動力になっていくのは、地域に出ていく職員です。                                                                     

▽市町村の合併を見通して


 総論の部分でもふれましたが、市町村合併に向けて、国、県、市町村の、役割分担の見直しをはじめ、市町村に、どこまでどのような形で、権限を移していくのか、別の言い方をすれば、自立支援≠ニ言う時に、どこまで県が手をさしのべるのかといったことが、あらためて問われています。
 このため、その具体的な基準を、できるだけ早く、明確にする必要があります。
 あわせて、平成17年3月までの合併の流れも、詰めの段階に入ってきましたので、これまで以上に、積極的にかかわっていきます。

▽四国連携への取り組み


 市町村合併に続いて、道州制や都道府県の合併の話が出ています。ただ、このことは、合併して力を持ってくる市町村と、国との間で、中二階的な存在になってくる県の機能を、将来どうするのかといった議論抜きには語れません。ですから、ここでは直接はふれませんが、それとは別に、四国連携の取り組みは、もっと積極的に、進めていくべきだと思います。と言いますのも、施設にしろサービスにしろ、4県が別々にやる必要がないと思われるものが、数多く見うけられるからです。
 このため、道州制などの議論とは別に、四県連携の実を上げていきます。また、これとは逆に、もともとは各県の連携を目指したものでありながら、現在はすでに形骸化している、ブロックの会合がいくつかありますので、これらの整理も必要です。

W. 各部局に共通する横糸にあたるテーマ 

 以上、各部局ごとに、これまでの仕事をどう見直していくのか、また、今後目指すべき方向はどこかを考えてみましたが、それに目を通していただいただけでも、幅広い分野に共通するテーマや、部局の壁をこえて取り組むべき課題が、見えてくるのではないかと思います。そこで次には、これまでお示しをしたことを縦糸とした場合、いわば横糸にあたる共通のテーマを、取り上げることにします。
 
(1)県民どうしがお互いに支え合う仕組みをつくる

 三位一体の改革を、説明した部分でもふれましたが、それぞれの分野で、住民力≠活かした仕組みづくりが、求められています。部局ごとの課題のなかでも、南海地震に備えての自主防災の組織や、健康福祉の分野での、健康づくりと支えあいの仕組み、さらには土木の分野での、道路や河川などを地域の住民が管理していく仕組みにふれましたが、これからは、公共的なサービスの全てを、行政にゆだねるのではなく、やれることは自分たちでやっていこうという、雰囲気づくりが求められています。
 このことは、三位一体の改革が言われる前から強調してきたことですが、言い換えてみれば、官と民との役割の分担を見直して、民間の側の守備範囲を広げることで、地域の元気を高めていこうという狙いです。
 総論で申し上げたことの、繰り返しになりますが、その背景に、財政的な事情があることは否定しません。ですから、「行政の責任転嫁だ」と受けとめる方もあろうかと思いますが、決して、そのような消極的な意味で、支えあいの仕組みづくりを、提案しているのではありません。と言いますのも、この方が、公務員の手によるサービスよりも、ずっと柔軟で、地域の実情にあったサービスが提供できますし、その上、これらの活動に参加して下さる方がふえてくれば、そのことが、地域の住民の皆さんの、やる気や元気さにつながってくることは、間違いないからです。

 そのために、
 @  県の職員を、現在の元気応援団長のような形で、来年度は50人、さ来年度は100人、地域や各分野の現場に出します。
 A  地域の活動の受け皿になる、NPOを支援するため、収益事業の成果を活かして、新たな事業を展開する場合に、課税免除が実現するよう国に求めます。
    あわせて、高齢化の先進県として、福祉にかかわるNPOが、活動しやすい環境をつくるため、各種の規制緩和策を検討します。
 B  支えあいの活動に利用してもらうため、空き部屋のある職員住宅や教員住宅、さらには、休校中の学校や空き教室の活用に、原則として、規制を加えません。また、遊んでいる県の土地の活用にも、積極的に取り組みます。

(2)外部への委託など民間の力を活用する

 支えあいの仕組みづくりも、広い意味では、民間の力の活用にあたりますが、ここでは、県の運営する施設や県の仕事そのものを、民間の経営や運営に移すこと、さらには、民間の方の経営力をお借りすることなどをさして、民間の力の活用と言っています。
 と言いますと、「営利を目的とする企業と、公的なサービスを提供する行政とは、そもそもの成り立ちが違うので、県の施設の運営を民間にまかせたら、県民の皆さんへのサービスが、低下するのではないか」といった、不安を感じられる方もいらっしゃると思います。
 そう言えば、知事になって間もない頃、赤字をたれ流す体質になっていた県立病院の、改善計画を立てました際にも、「医は仁術か算術か」といったたぐいの、ご批判を受けたことがありました。言うまでもなく、医は仁術でなければなりません。ただ、その一方で、税金で運営をしている限り、それを少しでも有効に使っていく手だてを、考えなければいけません。だからこそ、仁術の名に隠れて、楽な仕事や無駄な仕事を、目こぼしすることがあってはいけないと考えました。
 それだけでなく、県立という枠組みの中で、公務員が担っている仕事を、民間にまかせた方が、サービスそのものの質が上がる例は、枚挙にいとまがありません。そのことは、公務員が運営をすれば、おのずと9時から5時までの仕事になりますし、利用者をふやそうともしないといったことからも、容易に想像のつくことと思います。こうしたことから、県立の施設や外郭の団体の民営化などを、計画的に進めていきます。
 あわせて、テレワークの技術などを活用することで、県が行っている事務や事業の、民間への委託を、目標を立てて断行します。また、民間の皆さんが主人公だとの考え方のもとに、NPOをはじめとする民間の方々が、自分たちの企画で動かしていけるような、予算の組み方を考えます。
 そのために、
 @ 福祉の分野では、大津寮と南海学園の民間への移管のほか、療育福祉  センターと身体障害者リハビリテーションセンターの民営化、または、そこへの、民間の力の活用を図ります。
 A 文化施設でも、県のOBの派遣をやめることなどで、民間の力を活かしていきます。
 B 公社や外郭の団体は、民営化または民間の経営力の活用を進めます。今年度中に、その計画を明らかにします。
 C 高知県観光コンベンション協会の運営は、民間の方のリーダーシップにまかせます。予算も、大枠の金額を決めた上、使い方は、協会の自己責任にまかせるような手法を考えます。
D 民間の実務者による部会を作って、県庁の仕事を、3年後には何パーセント外部に出すという、大きな目標を立てます。その上で、例えば、財政課のように、これまでの県庁の常識では考えられなかった、象徴的な部署を、まず初年度で、目標の割合まで一気に外部委託するといった手法で、県庁の意識を変えていきます。
 E NPOをはじめとする民間の方々が、みずから企画して実施できるような、予算の組み方を考えます。その際には、従来のように、細かい要件を定めるのではなく、県として求める成果目標、つまり、「どういう成果を出してもらいたいか」を明確にした上で、それを実現するための手法は、民間の側におまかせをします。ただ、成果が達成できなかった時に、そのことをどう評価するかは、検討の課題です。

(3)課題に柔軟に対応できる組織にする

 さ来年の3月が期限になっている、市町村合併という変化にあわせて、県庁の組織を見直す必要がでてきます。ただ、市町村合併とは関わりなく、県庁の組織は、早いテンポで変化していく社会の動きにあわせて、柔軟に変わっていかなくてはなりません。
 一方、少子化や中山間への対策のように、縦わりの事業の積み重ねでは、対応できなくなっている課題もあります。こうした分野には、これまでも、プロジェクトを組んで対応してきましたが、ただ単に、議論をして提案をするだけのチームではなく、権限を持った組織編成が求められています。

 そのために、
 @ 各部局の事務所の統合は、県内全域で一度に進めるといった、固定的な考え方にとらわれず、出きるところから、柔軟に進めていきます。
 A 地域ブロックによっては、農業や林業と、土木との連携や統合にも、柔軟に取り組んでいきます。
 B 少子化など、縦わりの積み重ねだけでは対応できないテーマに、権限を持った独立の組織を立ち上げます。

(4)幅広い分野に競争の仕組みを取り入れる

 これまでの補助事業は、既成の団体を対象にしたものになりがちでした。このため、ある種の独占状態が生じて、支援策のはずが、かえって割高の負担感につながった例も、ないではありません。確かに、既成の団体が果たしている役割は、大きなものがありますが、これからの時代を生き抜いていくためには、より厳しいコスト意識が求められています。このため、同じ補助制度でも、競争が起きるような仕組みを考えなければいけません。
 また、研修などの事業を行う場合、従来は、細かい事務手続きを通じて、委託する事業者を選んでいました。これに対して、研修を受けたい人に、直接講習券を配れば、事業者の間に、より良いサービスに向けての、競い合いをうながすことができます。
 このようにして、幅広い分野に、競争や切磋琢磨の考え方を、取り入れていきます。

 そのために、
 @ さまざまな分野の、支援策を作るにあたっては、既成の団体だけを対象にするのではなく、何らかの形で、県が認定をしたグループなどを窓口にした、新しい枠組みを考えます。
 A 研修事業などを行う際には、一つの事業者に委託するのではなく、直接利用者に講習券をお配りした上で、ご自分の好きな事業者を選んでいただくような、事業の仕組みを作ります。
 B 最近は、各種の入札を前に、事業者に提案を出してもらう、プロポーザル方式が盛んですが、その審査も、県の職員だけにまかせるのではなく、無作為に選んだ委員に、あわせて評価をしてもらいます。
 
(5)国からの自立をはじめ、役割分担の見直しを図る

 三位一体の改革が、本来の意味で実施された場合には、地方の自由度が限りなく保証された、実質的な分権が実現します。しかし、財源の面では、高知県のように、経済力の弱い県は、さらに厳しい状況を、覚悟しなければなりません。そのためにも、今のうちから、国からの自立に向けての、準備と努力が必要です。
 と同時に、市町村の自立を支援するために、県は何が出来るか、また、何をなすべきかを、考えなくてはいけません。

 そのために、
 @ 本来、どこがその仕事を担うべきかという視点から、国、県、市町村の、役割分担を見直したうえ、それにあわせた、税財源の見直しや再配分を、国に求めていきます。
 A 上記の区分けに基づいて、県と市町村との分担の見直しの案を、年内にまとめます。ただ、それが、県の財政的な負担を減らすための、市町村への事業と権限の押しつけと、受けとめられてはいけないことは、言うまでもありません。
 B 地方の自由度が高まることを前提に、現在、地方の自由な活動の妨げになっている、法律や制度を、年内にはまとめて、国に対して、廃止や改善を提案していきます。

X. 今年度からの4つの柱≠ニのかかわり

 県では、今年度から、5年ほどの中長期の期間を見こして、重点的に取り組むべき、4つの柱をたてました。これまでの内容と重なる部分を、できるだけ避けながら、次には、その4つの柱ごとに、今後取り組むべき方向を、展望します。

(1)南海地震への備え

 この点は、危機管理担当や港湾空港局などの項目の中で、大きな方向性をご説明しました。

(2)産業と雇用の対策

 各分野ごとの産業への対応は、それぞれの担当部局のご説明の中で、お示しをしました。

▽観光の振興と交流人口の拡大


 これに対して、観光の振興や交流人口の拡大は、一次産業から、二次、三次の産業まで、数多くの分野の雇用に、すそ野の広い効果をもたらします。このため、昨年度から、民間の力もお借りして、高知県観光コンベンション協会を立ち上げましたが、機能としては、まだまだ不十分です。
 また、そもそも、県をあげてのおもてなしの心や、高知に着いてからの二次交通など、観光に取り組むための基盤が、あまりにも弱いのも事実です。その原因の一つは、県が、観光に対するビジョンを持っていないからだと、ご指摘を受けていますので、表現は少し俗っぽくなりますが、県民の皆さんに、「これから高知県は、観光で飯を食っていく」という、共通の認識を持っていただけるような、観光のビジョンを作ります。
 ただ、これからの観光は、高知県だけで考えるのではなく、四国4県の連携の中で、四国全体で取り組むことと、高知県で取り組むこととを、分けていかなくてはいけません。このため、JR四国やエアライン各社などとともに、他の3県にも、このことを働きかけます。
 さらに、観光はすそ野が広いだけに、担当の部局だけで、進められるものではありません。食べ物や産品はもとより、交通機関でも道路標識でも、全てのことが、観光や交流人口の拡大につながります。そうした意識で、仕事に取り組んでいきます。

 @ 観光立県を、多くの県民の皆さんに意識していただくため、高知県の観光のビジョンを作ります。その際、四国の4県連携の中で、四国として取り組むことと、高知県が取り組むこととの、役割分担を明らかにします。
 A 観光面での、四国連携の象徴として、JR四国への、SLの導入を支援します。
 B 同じく、4県連携の一つとして、八十八ヶ所四国巡礼の、世界遺産への登録に取り組みます。
 C 高知空港や高知駅などと、観光の拠点とを結ぶ、いわゆる二次交通の仕組みを具体化します。その際には、広く競争をおこすという「横糸」の視点から、路線バスの会社だけでなく、タクシー事業者のなどにも、広く参入を呼びかけます。 
 D 高知県観光コンベンション協会の運営は、民間の方のリーダーシップにまかせます。予算も、大枠の金額を決めた上、使い方は、協会の自己責任にまかせるような手法を考えます。
 E 高知県出身で、世界的に活躍している、プロのサーファーがいますので、この方の力を借りて、サーフィンのメッカとしての、高知の魅力を磨きます。

▽雇用に関して 


 他県の知事さんの、マニフェストをかいま見ますと、「雇用を○○人ふやします」といったものが、いくつかでてきます。しかし、僕は、ある程度の根拠を持って、それを言いきるだけの自信がありません。ですから、雇用問題は、最も大きな課題の一つという認識はありますが、対策は、努力目標にならざるを得ません。
 ただ、商工労働部の「縦糸」の部分でも、雇用対策に一歩踏み込むとの、覚悟をのべました。このため、現在の雇用問題にも、これまで以上に取り組みますが、若い世代の方々との懇談の中で、「中学生や高校生は、何に関心を持っていれば、自分が就職を考える頃に、それがいきてくるかがわからない。とすれば、5年後、10年後に、どんな分野の人材を社会が必要とするのかを、調査して知らせていくことが、県として取り組むべき雇用対策ではないか」とのご指摘を受けたことが、印象に残っています。
 あわせて、観光の分野と同様、全ての部署の担当者が、自分の守備範囲と雇用問題との関わりを、常に意識することが肝心です。

 @ これからの雇用対策というか、若者の就職対策の一つとして、5年後10年後には、どのような職種が必要になるのか、または不足するのかを調べた上、中学生や高校生と、その保護者に、その情報をお知らせしていきます。
 A ただ、短期の対策も必要です。このため、雇用への取り組みは、基本的には国の事業といった、固定観念を打ち破って、県独自の対策にも取り組みます。
 B 「縦糸」の説明の中で、建設業からの雇用の移転にふれましたが、それに限らず、職を失った方への、または、将来その危険のある方への、研修プログラムの充実が求められています。
 C 高校の就職担当に、民間の方など、教員以外の人を配置します。あわせて、就職率によって成果を評価する、報奨制度も導入します。 

▽公共事業の減少への対応


 全般的に厳しい経済状況の中で、特に本県では、これまで、県の経済を支えてこられた建設関係の企業が、公共投資の減少の中で、雇用を維持できなるおそれがあります。
 このため、雇用の面でのべました、他の業種に移るための研修も大切ですが、せっかくの投資が、少しでも地域の経済に効果を生むよう、工夫しなくてはなりません。

 @ 公共事業の実施にあたっては、金額的にあまりに大きな違いがない限り、県内の企業や、県内産の資材の活用を、強く指導します。このことは、公正取引委員会とも関わる問題ですが、検討の委員会を年内に立ち上げた上、来年度からの実施を目指します。
 A 住宅への地震対策や、お年寄りのための住み替えの居宅づくりなど、住宅にかかわる対策を、県内の工務店などの元気づけや、雇用の拡大につなげていくため、成果の目標と期限を明らかにした上、一定の権限も持ったチームを立ち上げます。
 
(3)高齢者やこども、それに障害者の暮らしやすい地域に

▽高齢社会にかかわること


 高齢社会への対応は、健康福祉部の「縦糸」や、「横糸」の支えあいの仕組みづくりの中で、すでにふれました。

▽こどもにかかわること


 また、こどもに関することは、教育委員会の関係の中でも取り上げましたが、来年の2月の議会には、「こども条例」も提案します。このことによって、こどもたちの自由な意見が、受けいれられるような社会づくりを目指します。
 一方、子育てにかかわることでは、学齢期までの医療費の無料化が、大きな論議の的になっています。議会の多くの会派の方々からも、要請をいただいていますし、すでに、高知県だけが遅れた状況になっているとの、ご指摘も受けています。しかし僕は、税金として納めていただいたものを、結果的に、そのままご家庭にお返しするといった手法は、政策的には、あまりに安易に思えてなりません。
 大変失礼な言い方ですが、無料にすれば、皆さんが喜こんで下さいます。それだけに、政治家にとっては、とても魅力的な政策です。ただ、ご家庭に支払う能力のある方も、一律に無料という考え方は、今の時代には、そぐわないのではないかとも思います。
 このため、同じ年間数億というお金をかけるのなら、少子化対策として、もっと政策という名にふさわしい事業があるのではと考え続けきましたが、結局、これといった政策が思い浮かびませんでした。その一方、子育て中の親ごさんにとって、お子さんの病気ほど、不安なことはないでしょうから、先ほどふれました、所得による制限などふくめて、制度の拡大の方向を検討します。

 @これまでのような、縦わりの積み重ねではなく、少子化の問題に、広い視野で取りくむ、一定の権限を持った、独立の組織を立ち上げます。  
 A乳幼児の、医療費助成のあり方を検討します。
 B男女共同参画型社会や、少子化の時代を、身をもって体験してもらうため、県庁の男子職員全員に、1ヶ月か3ヶ月くらいの期間、育児休業を取ってもらいます。実質的には、義務として取らせますが、義務と言ったのでは、効果も半減しかねませんので、自主的に取れるような工夫をします。

▽障害者のこと


 すでにのべましたように、関係の施設の運営にも、民間の力をお借りしていきます。その方が、はるかに、障害者の身になったサービスが提供できると、確信をしています。
 また、高齢社会が進めば、多くの人は、何らかの形で障害をかかえることになりますので、障害者問題は、決してマイノリティ(少数者)の問題ではなくなります。ですから、例えば、道路行政が、建設から維持管理へと中心を移していく中で、ユニバーサル・デザインをいつも意識するといったように、全ての場面で、このことが意識される必要があります。

 @ 障害者のための、職業訓練などを目指して立ち上がった、NPOの活動を支援することなどで、障害者の雇用の拡大を進めていきます。
 A どの分野にも言えることですが、温かい思い入れと視覚障害者への訓練など、県内での人材と実績のある分野を、県の責任で応援していきます。 
                      
 
(4)資源循環型社会の先進地を目指す
 
 このことも、主には環境政策の中で、説明をしましたが、各種の産業政策から、土木などハードの事業にいたるまで、多くの部署にかかわるテーマです。このため、農業の分野での、地産地消と有機無農薬への取り組みや、土木の分野での、環境への配慮を前提にした工事手法の採用など、それぞれの項目の中に、その考え方を盛りこみました。
 さらに、将来への夢もこめて、ここでは、企業を対象にした、排出権取引への対応と、新しいエネルギーへの挑戦に、ふれてみたいと思います。
 まず、排出権取引ですが、ヨーロッパの諸国では、企業が環境に貢献する活動をすれば、その分税金を免除するという、制度があります。環境問題への関心の高まりの中で、わが国でも、近い将来に、この排出権取引の考え方が、取り入れられると思います。それを、先取りして、環境問題に関心をもつ大手の企業に、高知の森林の管理を請け負ってもらって、それを、山の雇用に結びつける手立てを考えたいと思います。
 また、高知県では、すでにおよそ半分の市町村が、「新エネルギービジョン」を策定していますし、四万十川流域の幡多地域では、全国でも初めて、広域でのビジョンづくりが進められています。また、法律によって、四国電力が義務づけられている、自然エネルギーを使った発電のうち、33%は、風力などを使って、県内から供給されています。
 こうした実績に加えて、日本一の森林県としてのバイオマス(※7)の可能性や、無尽蔵とも言える海水を、電気分解してできる水素など、自然エネルギーの資源が豊富にあります。また、化石燃料の仲間ですので、少し性格は違いますが、土佐湾の沖合の海底には、メタンハイドレード(※8)が眠っています。それぞれに、難しい課題が数多くありますが、特区的な発想もふくめて、このテーマに本格的に取り組むことができれば、高知県の将来に向けての、大きな夢にもつながると思います。
 (※7)木を切った後のおがくずや、チップなどを使って、電気や熱をおこす技術です。北欧などの国々では、エネルギー源として確立されていますが、日本では、おがくずなどを集めるのに、多大な物流コストがかかることなどから、まだ実用化にいたっていません。
 (※8)駿河湾から土佐湾にかけての沖合で、海底の地盤の中に眠っている、大量のメタンガスのことです。将来、わが国にとって、有力なエネルギー源の一つですが、シャーベット状の固まりになっているため、いかに安いコストで地上まで上げるかが、技術的な課題になっています。しかし、この技術が、採算があう形で実現すれば、至近距離にある高知県にとっては、資源循環の意味からも、新しい産業とのつながりの面からも、大きな可能性が期待されます。
 @ 県内の産業技術を、実用化につなげるための、高知県科学技術アカデミー(仮称)が立ち上がった際には、新しいエネルギー資源の活用の可能性を、大きなテーマの一つにかかげます。

Y. 高知県の将来を見通して

 高知県は、統計的な数字で見る限り、これからも、人口の減少と、それに伴う高齢化と少子化が避けられません。さらに、三位一体の改革による、大幅な財政構造の変化といった、厳しい環境も予想しなくてはなりません。 その中で、まず考えなくてはいけないことは、これまでのように、行政が幅広い分野のサービスを受けもったうえ、そこに高いコストをかけていくのは、かなり難しくなるということです。ですから、繰り返し述べてきましたように、支えあいの仕組みを作ることによって、低いコストでも、満足感の
得られる地域のサービスを、作っていくことが大切です。
 このことは、一見地味な取り組みに見えるかもしれませんが、そもそも地域社会は、みんなの助け合いから始まりました。その助けあいの機能を、税金を支払うかわりに、役所にまかせてきたのが、近代の歴史でした。ですから、これをもう一度、地域にお返ししていくことは、決して、無責任なことではありませんし、このことが、地域の元気や誇りにもつながっていくと、信じています。
 また、少子化に対しては、今さらというご批判は甘んじて受けるとして、少子化を、県全体の大きな課題としてとらえる、組織を立ち上げると、お約束をしました。ただ、そこでも、こどもを増やすことよりも、まずは、少なくなったこどもを大切に育てることに、力を注がざるを得ないと思います。4つの柱ごとの事業展開の中で、県庁の男子の職員全員に、育児休暇を取らせることをお約束しましたが、こうしたことから、少子化問題を考える動きが、出てきてほしいと期待しています。
 一方、人口の社会増に、大学が果たす役割は大きなものがあります。ですから、それぞれの大学の魅力を増していくことにも、出来るだけの応援をしていきます。
 このうち、僕が理事長を務める高知工科大学では、例えば、CGや映像、それにアニメなど、大学に入学する若者の人口が減る中でも、確実に関心を呼ぶと思われる分野に、果敢に挑戦をしていきたいと思います。その一環として、来年の夏には、アメリカのこの分野の専門家による、6週間のセミナーを予定していますが、こうしたことは、新しいビジネスの芽にもつなげがるものだと、期待しています。
 また、同じ高知工科大学のプロジェクトとして、「創知の杜」という構想があります。これは、小中一貫の全寮制の学校に、住宅政策や、お年寄りの福祉を組み合わせたものですが、これに対して、小学生のうちから、親元を離れて寮生活を送るのは、好ましいことではないというご意見もあります。ただ、自然環境の身近さなど、大都市にはない地方の特性を活かした、少子化時代の取り組みとして、検討する価値のあるアイディアだと思います。
 これと同じように、豊かな自然条件や、暖かな気候などを活かして、退職後のお年寄りを対象にした、地域づくりを考えてはとのご提案も、多くの方からいただいています。これまでは、話だけに終わってきたきらいがありますが、そろそろ、こうした提案に、正面から取り組んでいける環境が、整ってきたように思います。
 このように、将来の人口の構造を見きわめながら、夢のある仕事にも、取り組んでいきます。  

Z. 県民の皆さんに関心をもってほしいこと

 この12年の間には、県民の皆さんに、もっと関心をもってもらえたらと思うことが、いくつかありました。それぞれに、玄人好みはしても、地味なために気づかれにくいとか、みんなが知っている割に、その力が生かし切れていないなど、様々な理由がありますが、その価値に気づく方がふえれば、高知を変えていくこともできます。といったことで、そんな例を三つだけご紹介します。

(1)高知県土地基本条例


 その一つ目は、高知県土地基本条例です。3年前の平成12年に、中土佐町で、県外の企業が採石を始めるために、森林法や採石法に基づく、許認可の申請を出しました。しかし、中土佐町は、カツオの一本づりの伝統を生かした、カツオまつりをはじめ、黒潮本陣や風工房といった施設の整備を通じて、食や文化をテーマにした、町づくりを進めています。
 このため、町内からは、せっかく多くの人が来てくれるようになった町の中を、石を積んだトラックが、一日に何十台も走るのでは、町の雰囲気がだいなしになってしまうなど、反対の声が続出しました。町長さんからも、反対の意見書が県に出されましたし、町の議会も、反対の決議をされました。また、住民へのアンケートでも、およそ70%の方が、反対の意思を明らかにされましたので、僕も、判断にあたっては、こうした町の意思とともに、環境や景観への影響を、考慮したいと思いました。
 ところが、森林法も採石法も、表現の仕方は異なるものの、結果として、農業や漁業に被害を与えるとか、道路など公共の施設を害するといった、限定的な場合を除いては、許認可をしなくてはいけないという、企業の自由度を、大幅に認めた内容になっています。このため、地域の声に耳を傾ける、裁量の幅がありませんでした。そこで、地方分権一括法が制定されて、こうした許認可の事務も、国の下請けではなく、地方の独自の事務になったはずなのに、古いままの法律ではおかしいと、国にも提言をしました。
 しかし、国の姿勢は簡単には変わりません。こうしたことから、県独自の条例を作ることで、この種の開発に、ある程度の歯止めをかけようと考えました。それが去年の4月から施行になった、高知県土地基本条例です。詳しい内容は省きますが、市町村があらかじめ、自分たちの町の進むべき形を示した、土地の利用計画を作ることを前提に、その計画にてらして、住民をまきこんだ公聴会の開催や、その中での、事業者の側の説明責任を明確にしています。また、このことによって、その手順に従わないような開発計画を、
抑制していくことを狙いにしています。
 自画自賛だと叱られるかもしれませんが、この条例は、住民が自らの責任で、地域の土地の利用計画を決めていくという点で、分権型の自治のあり方を具体化したものだと、専門の方々からは高い評価を得ています。 ところが、残念なことに、まだ、この土地利用計画を定めた市町村がありません。たぶん、中土佐町のような事例が、我が身にふりかかれば、皆さん行動に移されるのでしょうが、自らの地域に問題がおきるまでは、対岸の火
事としか見ていないのではないかと思います。
 これまでの経験でも、例えば、近くに遊技場が出来るといった時、切羽つまってから、「最後の権限は知事さんだからどうか止めて下さい」と来られます。ところが、先ほどのような理由で、法律的にはどうにもならないような場合がほとんどですから、「知事さんならやってくれる」と信頼していただけるのは有難いのですが、正直を言って、有難迷惑なところもあります。
 ですから、小泉さんのきまり文句ではありませんが、備えあれば憂いなし=A是非とも、それぞれの地域で、自分たちの街をどうしていくのか、住民参加型で、土地利用の計画を作っていただきたいのです。また、このように、自己責任≠ノ基づく自己決定≠実践していくことが、本当の意味での、分権型社会への第一歩だと思います。そうした意味で、この土地基本条例は、多くの県民の皆さんに、利用していだたきたいものの一つです。

 

 
*それはそのとうりでしょう。住民自治の基本は、住民のコントーロールですから

(2)青島港との友好港の提携


 二つ目は、高知港と中国の青島港との、友好港の関係です。この関係は、5年前の3月に、高知新港が一部開港をした時にスタートしたものですが、今考えましても、青島側が、よくぞ友好港の締結を了承してくれたものだと思います。と言いますのも、青島港は、去年一年間のコンテナの取り扱い量が、およそ341万TEUと、高知港の、なんと500倍近い荷物を取り扱っていますし、中国国内のランキングでも、香港をのぞけば、上海に次いで2位になっている、大きな港だからです。また、この勢いでいけば、近いうちに上海を抜くとも言われています。さらに、青島が友好港の関係を結んでいる港は、高知港以外は、力のある港ばかりなのです。そんな中、多くの方の努力が実って、高知と青島の間に友好の関係ができました。
 ところが、これに対して、青島との友好提携などの結果、高知新港に直接ショウガが輸入されるから、高知県産のショウガの価格が下がるといった、批判をされる方がいます。この話を聞いて、正直なところ僕は、あまりにも筋違いな話だと思いました。と言いますのも、別に高知で水揚げをされなくても、全国各地の港から、様々なものが輸入されていますし、その輸入量の総額が、国内のものの価格に影響を与えるのですから、高知の港に入るかどうかは、全国的な価格の動向には、何の関係もないからです。と同時に、なぜせっかくのチャンスを、もっと前向きにとらえられないのだろうかと、少しさびしくもなりました。
 もちろん、輸入農産物の問題を、軽く考えているわけではありません。むしろ、このことに対しては、資源循環型社会の項目でも述べました、世界の水資源の問題など、地域環境の視点から、国としての守るべき基準を、打ち出すべきだと考えています。しかし、だからといって、せっかく開けた港の価値を、全面的に否定してしまおうというのも、あまりにも視野がせますぎます。
 中国は、様々な分野で、売りこむ先の市場としても、ものを買いつける先としても、極めて重要なパートナーです。その中国にあって、大きく成長をしている青島が、縁あって高知と関係をもってくれているのですから、一次産業から三次産業まで、この機会をのがすべきではないと思います。あわせて、この9月からは、上海にも高知県の事務所を開きましたし、青島にも高知ファズの事務所があります。どうか、この関係を、もっと大胆に活用していただきたいものです。

殆ど利用のない高知新港のクレーン 延々と工事が続く高知新港
*高知県の経済人には「大陸相手の商売」は殆ど無理ではないかと思います。スケールが違います。韓国市場に商業者が商売で参入できる余地はあるのではないかと思います。
 

(3)よさこい鳴子踊り


 三つ目は、"よさこい"です。もう11年も前のことになりますが、知事になって間もない僕のもとに、北海道の大学生が訪ねて来ました。「お兄さんが高知医大にいた関係で、高知でよさこいを見た時に、心を動かされた。そこで、このよさこいと、北海道のソーラン節とをくみあわせたお祭りを札幌で開きたい」と言います。これがよさこいソーランのそもそもの事起こしでした。これをきっかけに、よさこい鳴子踊りは、あっという間に全国に広がりました。今では、全国の200カ所以上のお祭りやイベントに、よさこいが取り入れられています。
 こうした経過から、よさこいを、北海道で始まったものと勘違いしている人もいるため、「軒を貸して母屋をとられたのでは」といった、心配をされる方もいます。しかし、これまでよさこいを知らなかった人たちが、きっかけは、北海道であれ原宿であれ、はたまた名古屋であれ、全国のお祭りに広がった結果、よさこいを知ることになりました。であれば、もう一度腰をすえて、"本家は高知"を売りこんでいけばと思うのです。
 と同時によさこいには、毎年、その内容が変化していくという特徴がありますし、参加する人々に、不思議な力を注ぎこむエネルギーもあります。ですから、このエネルギーを、県内の市町村の元気の源に使わない手はありません。実際、各地域をまわりますと、「よさこいをやってみたい」という方も数多くおられます。といったことから、いわば高知の文化財とも言えるよさこいの力を、もっともっと見直して、観光だけでなく、地域の支えあいの接着剤としても、活用すべきだと思います。

 以上、三つの事例をあげましたが、県民の皆さんが関心を持って取り組んでくだされば、地域のために活かしていけるテーマは、この他にも数々あるはずです。そんなことにも、目を向けていただければと思います。

[. 県庁改革のコペルニクス的転回

▽採用試験の見直し


 冒頭でも、県庁を、徹底して県民に向きあう組織にすると、お約束をしましたが、そのためには、採用試験から、人事評価の基準、さらには、日々の仕事の在り方にいたるまで、全てにわたって、県庁改革の、コペルニクス的転回(※9)が必要です。
 これまでの、県庁の採用試験は、全国の自治体の試験を請け負っている団体が、作成したものを使っています。そのため、公務員を目指す人が通う学校で、そうした試験に対する、特別な勉強をした人が、入りやすくなるという状況を作ってきました。
 しかし、机の上で、お役所仕事だけをする公務員では、これからの、地方の経営にはあたれません。これからの時代は、どのような組織でも同じですが、自ら課題を見つけたうえ、その解決方法を考えて、実行していける、そんな人材が求められています。
 このため、従来の試験がどのようなものだったのか、その内容の公表とともに、新たな試験方法の開発を、人事委員会にお願いしていきます。

▽人事評価の基準を県民本位のものに


 また、数年前から取り入れています、人事評価の基準を、あらためて読んでみましたが、組織にとって使いやすい人が、高く評価をされる、人の管理に重点を置いたものになっています。これを改めて、県民の皆さんに、正面から向きあう職員が評価されるような、組織本位ではなく、県民本位の評価基準に変えます。

 
*趣旨は賛成しますが、一体誰が「査定」をするのでしょうか?県民と向かい合っている職員はごく少数派にすぎません。それも正しく向かい合ってあるのかは疑問です。その具体的なシステムまで言及しませんと、改革は不可能です。
 

▽能力開発の考え方を本格的に採り入れる


 また、県庁の研修制度は、すでに、例えば課長なら、新任の課長を集めて講義を聴かせる研修ではなく、課長を務めるにあたって、求められる能力を示したうえ、その能力を身につけるための研修を受けるという、能力開発型のものに改めています。
 これに対しては、「自分は課長になりたい、だから研修を受けます」といった、自ら手を挙げる方式が、日本人の感性にあわないといった、根強い批判やアレルギーがあります。しかし、これまでも、人事異動があるたびに、「適材適所」という言葉が使われてきました。とすれば、求められる力を身につけた人を登用していくことこそが、本来の意味での「適所」ではないでしょうか。また、将来は、福祉、産業、土木などの分野別に、これからの時代に求められる能力を、職員に示したうえ、それを高めていくための研修のプログラムを、開発していきますが、このことによって職員は、人事当局の意思ではなく、自らの意思で、県庁の中で進むべき道を、選んでいけるようになります。これこそが、「適材」ではないかと思うのです。
 こうしたことから、今申し上げた能力開発型の研修、これを、コンピテンシイ(部局別の、総務部の項目でご説明しました)と言いますが、このコンピテンシイで求められる能力を、人事評価の基準にも活かしていきます。

 

* 中央省庁からのいわゆる「天下り人事」は廃止すべきです。このあたりのコメントがないのは極めて残念です。総務部長、財政課長という県庁の「要」が中央省庁の職員によって「定位置」とされています。おかしいと思いますね。

 

 

▽予算の組み方を変える


 また、県庁の仕事の在り方も、大きく変えていかなくてはなりません。それを、ひと言で言えば、予算を中心にした、しかも、それを作ることに、膨大な時間と労力をかける手法からの転換です。こうしたことが、財政課の職員の人たちの意識とはかかわりなく、「財政課は力がある」とか「財政課は一段上だ」といった、意識を生んできました。
 もちろん、行政にとって、予算が大切なものであることに、変わりはありませんが、全てにわたって、柔軟な発想が求められています。例えば、これまでは、年間総合予算といった考え方に縛られていましたため、4月当初に組んだ予算が、結局は使われないままで終わるといった例も、数多くあります。このように、結果的には使われなかった予算が、もし初めからはずされていれば、その分の予算で、数多くの仕事が出来たことになります。
 また、こうした年間総合予算の手法が、年度末までに、予算を使い切らないといけないという意識を植えつけますから、予算が少しでも残るように、出来るだけ有効に運用していくといった考え方が、なかなか広がりません。
 これに対して、年間を通じて実施する予定の事業は、年度当初までに、議会にお認めをいただいたうえで、予算としては、例えば、その半分だけを、枠として計上すようにしたらどうでしょう。そして、実施できるものから、予算を使っていきます。足りなくなりそうになったら、年間に残り3回ある議会のたびに、補正予算お願いしていきます。こうすれば、結局は使えなくなって、年度末に清算をする予算の分を、無駄にしなくて良くなります。また、議会のたびに、仕事の進み具合がわかりますので、議会の議論も活発になると思うのです。
 あわせて、これまでは、一定の枠を、各部局の予算調整官にまかせるとしながらも、細かい点を財政課がチェックする事例も、かなり見うけられました。今後は、枠は枠として、一切を各部局の責任にまかせるようにします。その上で、財政課は、細かいチェックや計数の管理ではなく、いわゆる隠れ借金の処理のように、県全体の将来に関わることや、組んだ予算が、より有効に使われるためのお手伝いに、撤してほしいと思います。

▽財政課を外部委託の先頭に


 また、こうすることによって、財政課の仕事の30%〜50%を、外部に委託していきます。なぜ、財政課かといえば、先ほども言いましたように、特別な存在感で見られがちな財政課を、まず外部委託することによって、どの部署でも出来ないことはないという、覚悟が決まると思うからです。県庁全体でも、次の任期中には、30%から50%の仕事を、外部に出していきます。
 そのための委員会を、なるべく早く立ち上げますが、このことは、お家で仕事をするテレワークなど、次の時代の雇用の場づくりにも、つながっていくはずです。

 
*民営化がすべて素晴らしいとは限りません。その場合も事業の「情報公開」がセットで義務付けられなければ、意味はありません。
 

▽県民の皆さんが直接活用する予算の工夫


 もう一つ、予算の作り方に関して言えば、事業の進め方などを細かく定めているために、その分、事務作業がかさむ結果になりますし、サービスの受け手の思いと、ずれが生じる場合もあります。
 このため、分野によっては、まず県の側から、こうした成果を出してほしいという目標をお示ししたうえ、県の認定を受けたグループやNPOなど、しかるべき団体に、企画から実施までをおまかせするような、新たな予算の組み方も工夫をしていきます。
 その際、例えば、情報化や福祉といった分野の、研修などの事業では、実施する事業者を選ぶのではなく、直接県民の皆さんに、人数分の講習券をお配りしたうえ、事業者は県民のみなさんが選ぶといった手法も、取り入れていきます。

▽県立の施設の民営化など


 一方、外部への委託では、テレワークなどを活用した、事務の部門だけでなく、公社や県立の施設などの民営化や、民間への経営の委託を、積極的に進めていきます。

▽予算にかわって人の力と知恵で仕事をする


 ここらで、話を少しもとに戻しますと、予算だけで勝負をする手法を見直したいと、先ほど申し上げました。その背景には、財政が厳しくなったという、現状があることも否定はしませんが、それ以上に、人と知恵の力で、仕事をする時にきていると思うのです。
 このため、来年度は50人、さ来年度は100人の規模で、職員を地域の現場に出します。といった話をしますと、「職員が、何をしていいかわからないのではないか」とか、「どんな仕事をさせようと思っているのかわからない」といった声が出てきます。
 例えば、県の職員は、名刺だけでどこにでも出入りできますから、一般の県民の皆さんとは違って、様々な情報を手に入れることが出来ます。また、県庁の中のどこをつつけば、その仕事を進めることが出来るかの、ノウハウも持っています。このため、地域をまわれば、県庁の職員に、こんなことをやってほしいという声は、いくらでもあります。「何をしていいかわからないのでは」と、心配をする必要はありません。
 それだけでなく、各部局の経営方針の中でも、地域の支えあいの仕組みづくりや、広域の地域別での、基盤整備の優先順位づけなどが、大きな共通のテーマになっていますが、これを実現するためには、支えあいの組織化を働きかけたり、現場をまわって協議したりする、人の力と知恵が必要です。とすれば、50人が地域に出るとなった時点で、「その人材はうちにほしい」という声が、各部署からあがってこないわけがありません。

▽各部局の定員も大枠だけに


 また、先ほどは予算の面で、各部局に、一定の枠内は、自由にまかせると言いましたが、職員の定員の配置でも、従来のように、「この仕事は何人分の役にあたる」と、一つずつ積み重ねていく方式を改めて、各部局に枠を設けたうえ、その中での配置の仕方は、部局長の経営判断にまかせるようします。

▽幹部の人事の時期の再検討


 となりますと、予算にしろ定員の配置にしろ、4月1日付けの異動で、部局長が変わってしまうのでは、連続性が保てないことになります。こうしたことから、幹部の人事を、10月に実施することも、検討すべき課題だと思います。

▽男女共同参画や少子化への視点


 もう一つ、男女共同参画や、少子化への対応として、男性の育児休暇の取得をふやすことは、大きな課題の一つです。この点、県庁でも、育児休暇を取る男性職員は、少しずつ出てきましたが、まだまだわずかな数にとどまっています。そこで、県庁の男性職員に、表現はあまり望ましいものではありませんが、育児休暇を、一定の期間義務づけます。こうして、男女共同参画型社会や少子化の課題を、身をもって体験することが、県としてなすべきことは何かを考える、きっかけになればと思います。
 これと同時に、女性の職員で作りました、プロジェクトW(女性=WOMANの頭文字です)が、事務の簡素化への提案とともに、県庁内への保育所の設置を議論しています。もちろん、民間の仕事を圧迫することになってはいけませんので、慎重な工夫が必要ですが、こうした形で、女性の目から見た県庁の見直しも、積極的に進めていきます。
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 (※9)中世ポーランドの天文学者、コペルニクスは、それまでの常識だった天動説をくつがえして、地動説をとなえました。同様にというのは、あまりにも大げさですが、これまでの県庁の改革は、どちらかと言えば、役所を中心にした、「官動説」に基づくものでした。これを、県民の皆さんを中心にした、「民動説」に変えたいとの思いを込めて、コペルニクス的転回という表現を使いました。

\. 締めくくりにあたって

 縦糸と横糸、それに加えて、全庁的に取り組む政策の4つの柱と、少し欲張りすぎたため、読みづらかったことと思います。このため、僕自身、書き終わってみて、あまりの長さに驚きましたが、それだけ、思いを込めて書きました。
 もちろん、内容は、4期目に向けてのお約束ですが、たとえ自分が、知事を続けることがなくても、高知県として取り組んでいくべきだと思ったことを、12年の経験をもとに、つづったつもりです。その意味では、とりあえず3期目までの、卒業論文といった趣も込めています。
 縁もゆかりもなかった僕を、迎えいれてくださった高知県には、他の県にはない、人をひきつける独特の力があります。こうした力に、吸いよせられなければ、12年前に、高知に来ることもなかったでしょう。ですから、そんな力を持った県民の皆さんが、ふるさとへの誇りを胸に、一体感を持って力をあわせれば、どんなに厳しい環境も、乗り越えていけると確信しています。その基盤になるのが、地域の支えあいの仕組みづくりだと、繰り返し申し上げてきました。
 と言いますと、もっと楽しい夢もほしいと、思われるかもしれません。この点でも、県内の大学が取り組まれている、各種のプロジェクトや、新しいエネルギーへの挑戦、さらには、室戸の海洋深層水など、夢を追うのにふさわしい素材は数多くあります。これも、みんなで力をあわせれば、現実の成果につなげていけるはずです。
 一方、県庁そのものの仕事の仕組みを、大胆に変えることも、お約束しました。このため、「そんなこと出来るものか」と、はすに構える職員もいるかと思います。
 しかし、従来型の経済政策が、行き詰まりを見せている今、コペルニクス的と表現をしました、行政の思い切った転換は、心理的な要素も含めて、県の経済への刺激剤になると信じています
。また、それが、地方に出来る、有効な経済政策の一つだと考えました。
 僕も、高知に来て12年がたちました。すっかり高知の地にも、なじんだ気がします。そこで、これを機会に、南国市の中山間地域に、山林を買い求めることにしました。森林環境税がスタートをした年に、わずかばかりとは言え、山主に名を連ねることに、ささやかな満足感を感じてい

 
(読んだ全体の感想について)
 

*やや「総花」的な印象は否めません。県庁の各部署の活動に言及していけば、自然にそうなったのでしょう。専門的にコメントしているために「じゃあなにがどう変わるの?」と言った場合、一言では言えない「弱さ」がありますね。

 たとえば「土木」部を解体する。土木部都市計画課という位置づけがおかしいと思いますね。最初に工事ありきの発想がありありです。むしろ都市計画部土木課のような「コペルニクス的転換」が必要ではないでしょうか。

 知事1人が「情報公開し」「新しい発想で行動しましても」、多数の一般職員の意識は殆ど変化は見られません。それは大幅な組織の変更がないからです
 やみ融資事件を引き起こした商工労働部などは廃止すべきです。高知商銀巨額融資焦げ付け事件。やみ融資事件。別件やみ融資事件。多数の県民にあるべき商工行政が、特定の企業や個人に資金を投入、焦げ付かせました。商工労働部という名前すら聞きたくありません。廃止していただきたい。
 とは言っても産業振興政策は必要ですので、部署は入りますね。高知は「観光」「商業」の比率が高く、それを主要な産業のひとつとして位置づけています。それを軸にすべての部局の事業計画を「再構築」すべきでしょう。
 「環境」「ゆとり」「スローフード」など高知が得意とする分野はある。それを強調すべきであると思います。また私たち高知県民は12年経った今も橋本大二郎さんの「スーパースター性」を活用しきっていません。もっと最大限に活用すべきです。
 この文章も部下に書かせているものでなく、本人が自ら書かれているところに関心しました。県民の1人として「添削」させていただきました。