東洋町長選挙レポート
 
 2007年4月22日に投票が行われました高知県東洋町選挙。現職の田嶋裕起町長と沢山保太郎候補の一騎打ちでした。事実上東洋町が原子力発電からの高レベル放射性廃棄物最終処分場を受け入れるか否かの[住民投票」でした。

 正直私自身は東洋町とは過去関わりがありませんでした。今年に入ってから外京ゆりさんの奨めで高知市中央公園北口に休日に街頭署名活動を始めたぐらいでした。1昨年は映画「東京原発」を鑑賞しました。原発問題にもさほど関心があるほうではありまんでした。

 
 昨年の秋ごろは高知県津野町に高レベル放射性廃棄物の文献調査に応募の兆しがあるとの情報がありました。地元の住民の皆さんがたや支援者の強力な反対運動。周辺市町村の反対表明もあり、誘致は断念されました。

 年が明けた2007年になり高レベル放射性廃棄物最終処分場文献調査問題は突然東洋町に飛び火しました。当時は橋本大二郎高知県知事の「受け入れ反対」表明もあり、事態を楽観ししていました。

 

 ところが田嶋田嶋裕起東洋町長(当時)は、東洋町民のなかにも高レベル放射性廃棄物最終処分場文献調査に反対や心配する声が多数あるのに、どんど1人先行して東洋町長として文献調査に申請してしまいました。そしてあっさり原子力発電環境整備機構が受理し、資源エネルギー庁は正式な町長からの応募と認定してしまいまいました。

 東洋町民は田嶋町長のリコール運動を展開しました。リコールが成立し、住民投票が行われ、出直し東洋町長選挙が行われる予定でした。しかし4月5日に田嶋町長は突然辞任。出直し東洋町選挙は4月17日公示、22日投票になりました。統一地方選挙後半選と同時選挙になりました。

 さて4月17日東洋町選挙公示の日。外京ゆりさんと、沢山さんの友人でオンブズマン仲間の窪則光さんJANJANに投稿しているルポライターの成川順さん。県議会議員のふぁーまー土居さんと5人で公示当日に東洋町へ早朝に駆けつけました。午前5時に高知市を出ました。
 
 ふぁーまー土居さんは自民党党員ですが、県議選挙前に2回、中央公園での街頭署名活動に来て頂きました。直接市民と触れ合い、東洋町の核のゴミ問題の大変さを実感いただきました。自らの農業者の立場。地元消防団としての立場。地元放送局でのレポーターとしての立場からの情報や感じられたこともあり、一緒に東洋町へ行きました。
ふぁーまー土居さんは2回も多忙の中、街頭署名運動に来て頂きました。
 最初に東洋町野根の選挙事務所に到着。大きな看板で[核のゴミに反対」意志をしめす表示がされていました。
看板に心意気が伝わります。
 そこではふぁーまー土居さんは女性たちに大人気。気軽に写真撮影やスタッフジャンパーにサインをされていました。
 
 出陣式は甲浦のJA前です。既に大勢の報道陣と支持者が集っています。黄色のスタッフジャンパーを着た人達が集まっていました。とにかく数が凄い。
 
 ふぁーまー土居県議も何箇所かで街頭演説をしていただきました。
 
 出陣式のとき、後援会長さんの言われた言葉が忘れられません。「東洋町は深呼吸できる町。ご先祖から私たちは受けついてきました。いつまでも深呼吸のできる町に子々孫々に引渡しのが私たちの役割です。放射能で呼吸のできない町にしてはいけません。」と言われていました。
 
 多数の町民の皆さんや支援者が一丸となった5日間の選挙でした。

 4月22日投票の町長選では反対派の沢山保太郎(さわやまやすたろう)氏が勝利しました。投票率は89.26%、沢山保太郎氏1821票(得票率70.5%)。前町長の田嶋裕起氏は761票(得票率29.4%)で沢山氏の圧勝でした。

 喜びに沸く会場です。後援会長さんは[野根と甲浦がこの選挙を通じてようやく1つになりました。みんなのちからで東洋町を再生いたしましょう。」と冷静に言われていました。
 
東洋町から新しい日本をこしらえよう
 
 失業率15%。10年間で町内総生産額は28%のダウンした高知県東洋町。町民の信望が厚かった前町長が「禁断の果実」である高レベル放射性廃棄物最終処分場文献調査にともなう交付金に飛びつかざるを得なかった苦しさは理解できます。
 自分たちですら他人事はありません。高知県経済の「基幹産業」である建設土木、商業、医療業界、公務員経済がすべて右肩下がりの縮小均衡状態。かつて高知青年会議所(JC)で熱くまちづくりを語り合った仲間達の企業が最近何社も廃業や倒産しました。
 子々孫々に豊かな自然を残したい。と団結して立ち上がった東洋町の人達。対立を乗り越え気持は一つになるでしょう。前町長も町の将来を思えばこそ、「禁断の果実」に手を出したと思います。
 
 交付金に頼らないまちづくり、地方自治は可能なのか?それは地域社会で生きている地域の小さな企業とて同じです。それぞれに活路を見つけ見出す為に各人「なにが出来るか。」を出し合い信頼関係のもとに実践していきたいと思います。

 高知県の自然や資産、人とのつながりなど「あるものさがし」をして、高知の良さを全国に発信したい。その仕組みづくりをしたいという思いがあります。
 それぞれ皆様の「得意分野」で知恵を出し合えば良いのかなと思います。

甲浦の風景
東洋町名物こけら寿司 とてもヘルシーです。
 東洋町は予想以上の大差で核のゴミを受け入れないことになりました。町民のしこりが心配ですが、賛否が拮抗していた窪川原発の頃の窪川町や、マリンタウン計画の夜須町のような後遺症はそれほど残らないと思いました。

 わたしが「核のゴミ処理場」に反対しましたのは、巨額の交付金はでるでしょうが、風評被害と交付金依存症になれば地域の再生は不可能であると考えたからです。高知の「産物」の数々を都市部の市民に販売しようにも放射能の脅威があれば一切売れないからです。

 当面放射能の脅威はなくなりました。環境に配慮し、人に配慮する経済の仕組みが現実に確立されるようにみなさん一緒に行動されませんか。

 
沢山保太郎東洋町長が「けんちゃんのどこでもブログ」に出演されました。
 
 沢山保太郎東洋町長に高知市の1市民けんちゃんが聞き手となり、今後の東洋町のありかたについて、じっくり聞きました。収録は5月13日でした。
以下は放送予定です。
 
 高知シティFM(76・2MHZ)金曜日午前8時10分から30分まで
 
原子力政策と地方自治について 6月8日(金)
 

オンブズマン町長の心意気    6月15日(金)
 
東洋町再生の方策は?      6月22日(金)
 
東洋町のあるもの探し      6月29日(金)